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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 |
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管理番号 | 1372940 |
異議申立番号 | 異議2020-900282 |
総通号数 | 257 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-05-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-10-29 |
確定日 | 2021-04-02 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6279905号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6279905号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6279905号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和元年8月26日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同2年7月13日に登録査定、同年8月13日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第6264872号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成31年4月16日に登録出願され、第3類「シャンプー,毛髪用トリートメント剤,化粧品,せっけん類,つや出し剤,歯磨き,香料,薫料」を指定商品として、令和2年7月1日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により、取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 本件商標中の図形部分は、円に「N」の文字を配し、円の中心部分から左右に直線を引いてなるものであるのに対し、引用商標中の図形部分は、円に「N」の文字を配し、円の中心部分から左に直線を引いてなるものである。 さらに、両者は図形部分の下に、「NA」から始まり、4文字目が「O」からなる5文字の欧文字を配置してなるものである。 したがって、本件商標と引用商標とは、その全体及び図形部分が外観上類似する商標であり、また、指定商品も互いに類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に規定される商標に該当する。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、淡い灰色の地色に、円形とその内側4点において交差するように配された「N」字状の線と円の左右から中心部分を通るように横線が配されてなる図形部分と、その下部に「NANOA」の欧文字を横書きしてなるところ、図形部分と文字部分は、上下に明確に分かれ、視覚上、分離して看取されるものである。 そして、本件商標の構成中「NANOA」の文字部分は、一般の辞書等に載録のない語であって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語と認められるものであるから、特定の観念を生じないものである。 他方、本件商標構成中の図形部分は、文字部分と一体となって特別な観念を有することや一連一体の称呼が生じるなど、何らかの関連性を有しているともいえないものである。 そうすると、図形部分と文字部分とが、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認めることはできないから、図形部分と文字部分は、それぞれが独立して出所識別機能を有する要部であると認められる。 以上から、本件商標からは、「NANOA」の文字部分に相応する「ナノア」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標は、別掲2のとおり、円形とその内側4点において交差するように配された「N」字状の線と円の中心部分から左の縦線まで横線が配されてなる図形部分と、その下部に「NALOW」の欧文字を横書きしてなるところ、図形部分と文字部分は、上下に明確に分かれ、視覚上、分離して看取されるものである。 そして、引用商標の構成中「NALOW」の文字部分は、一般の辞書等に載録のない語であって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語と認められるものであるから、特定の観念を生じないものである。 他方、引用商標構成中の図形部分は、文字部分と一体となって特別な観念を有することや一連一体の称呼が生じるなど、何らかの関連性を有しているともいえないものである。 そうすると、図形部分と文字部分とが、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認めることはできないから、図形部分と文字部分は、それぞれが独立して出所識別機能を有する要部であると認められる。 以上から、引用商標からは、「NALOW」の文字部分に相応する「ナロウ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について ア 外観について 本件商標の要部の一つである図形部分と引用商標の要部の一つである図形部分とを比較すると、両者は、「円形」、「N字状の線」及び「横線」の構成を共通にするものの、引用商標の横線は、本件商標の横線の3分の1程度にとどまり、この差異は小さいものとはいえないから、看者に近似した印象を与えることはなく、相紛れるおそれはないものである。 次に、本件商標の要部の一つである「NANOA」の文字部分と引用商標の要部の一つである「NALOW」の文字部分とを比較すると、語頭の2文字「NA」及び4文字目の「O」を共通にするとしても、構成文字全体として、外観上明らかに相違するものである。 そうすると、本件商標と引用商標はその構成全体を比較しても、外観上、判然と区別できるものである。 イ 称呼及び観念について 本件商標より生じる「ナノア」の称呼と引用商標より生じる「ナロウ」の称呼は、語頭の「ナ」の音が共通するものの、それに続く音が明確に異なるものであり、3音という極めて短い音構成におけるこの差異が全体の称呼に与える影響は決して小さいとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調、語感が相違し、称呼上聴き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。 また、本件商標と引用商標は、共に特定の観念を生じないから、観念上比較することができない。 ウ そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較するとこができないとしても、外観においては判然と区別できるものであり、称呼においても聞き誤るおそれのないものであるから、これらが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (4)申立人の主張について ア 申立人は、本件商標に係る図形部分の横線が、円の両端まで伸びている一方、引用商標に係る図形部分の横線が直径の3分の1程度にとどまるとの差異はあるとしても、これらの差異が、両商標の図形部分において共通する構成を凌駕し、視覚的印象を異にするほどのものとはいえない旨主張する。 しかしながら、上記(3)アのとおり、両商標の図形部分は、その横線の長短の差異が外観全体に与える影響は決して少ないといえるものではないから、当該構成の違いにより相紛れるおそれはないとみるのが相当である。 イ 申立人は、「化粧品」は、デパートなどに陳列されるような高額で売買されている商品もあるが、ドラッグストアなどで販売される比較的安価な日用品に属する商品もあることを考慮すると、需要者が必ずしも外観上のわずかな差異を見分けるほどの注意力をもって接するとはいえない旨主張する。 しかしながら、上記(3)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であり、相紛れるおそれはないというべきである。 ウ したがって、申立人の主張はいずれも採用できない。 2 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、その登録は同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標:色彩については原本参照) 別掲2(引用商標) |
異議決定日 | 2021-03-24 |
出願番号 | 商願2019-118509(T2019-118509) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(W03)
T 1 651・ 261- Y (W03) T 1 651・ 263- Y (W03) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 神前 博斗 |
特許庁審判長 |
半田 正人 |
特許庁審判官 |
水落 洋 大森 友子 |
登録日 | 2020-08-13 |
登録番号 | 商標登録第6279905号(T6279905) |
権利者 | 株式会社リミットエイト |
商標の称呼 | ナノア、エヌ |
代理人 | 中川 慶太 |
代理人 | 下田 一徳 |
代理人 | 辻田 朋子 |
代理人 | 樋口 頼子 |