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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服202010087 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W05
管理番号 1372828 
審判番号 不服2020-5203 
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-17 
確定日 2021-03-19 
事件の表示 商願2018- 99526拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標について
本願商標は,「ムズムズ」の文字を標準文字で表してなり,第5類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,平成30年8月3日に登録出願,その後,本願の指定商品については,原審における令和元年8月29日付けの手続補正書をもって,別掲1のとおりの商品に補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標は,『ムズムズ』の文字を標準文字で表してなるところ,その指定商品中『薬剤(農薬に当たるものを除く。)』を取り扱う分野においては,むずむずとかゆい感じがする症状について効果のある商品が取り扱われている実情がある。そうすると,本願商標をその指定商品中『皮膚などがかゆい感じがする症状について効果のある薬剤(農薬に当たるものを除く。)』について使用したときは,これに接する取引者,需要者は,どのような症状について効果のある商品であるかを理解するにとどまるというのが相当であり,本願商標は商品の品質を表示するものである。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記商品以外の『薬剤(農薬に当たるものを除く。)』に使用するときは,商品の品質の誤認を生じるおそれがあるため,同法第4条第1項第16号に該当する」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は,「ムズムズ」の文字を標準文字で表してなるところ,その文字は,「皮膚や粘膜の上を小さな虫がはい回るような,かゆい感じがするさま。」の意味を有する(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)語である。
そして,原審において示した別掲2の例に加え,別掲3に示す例からも,本願商標の指定商品中「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」を取り扱う分野において,「ムズムズ(むずむず)」の語が,「皮膚などがかゆい感じがするさま」程の意味合いで身体の症状を表す語として広く使用され,かつ,そのような症状に対して効果がある商品(薬剤)が販売されている実情が認められる。
そうすると,本願商標に接する取引者,需要者は,「ムズムズ」の文字が有する意味及び上記の取引の実情から,「(皮膚などが)かゆい感じがするさま(症状)」の意味合いを容易に理解するというべきであるから,本願商標をその指定商品中「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」に使用しても,「(皮膚などが)かゆい感じがする症状に効果のある薬剤(農薬に当たるものを除く。)」であること,すなわち,商品の品質(効能又は用途)を表示したものとして理解し,認識するにとどまると判断するのが相当である。
したがって,本願商標は,商品の品質(効能又は用途)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであって,自他商品を識別する機能を果たし得ないものであるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「ムズムズ」の語が多義語であり,「歯痒かったり気持ちがはやったりして落ち着かないさま」の意味合いを表すものと広く使用されているものであることから,本願商標に接する取引者,需要者をして,単に「皮膚や粘膜の上を小さな虫がはい回るような,かゆい感じがするさま」を想起するにすぎないものではない,旨主張する。
しかしながら,上記(1)のとおり,本願商標は,その指定商品中「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」との関係において,これに接する取引者,需要者に「(皮膚などが)かゆい感じがする症状に効果のある商品」であることを理解,認識させるというべきであるから,「ムズムズ」の語が多義語だとしても,そのことは,本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性の判断を左右するものではない。
したがって,請求人の主張は採用できない。
イ 請求人は,過去の登録例を挙げて,本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張している。
しかしながら,挙げられた登録例は,本願商標とは,構成文字の違いなど,その構成及び態様等が異なり,事案を異にするものであり,かつ,具体的事案の判断においては,過去の審決例や登録例に拘束されることなく判断されるべきであるから,これらの事例の存在が上記の判断を左右するものではない。
したがって,請求人の主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
別掲
1 (指定商品)
第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。),医療用試験紙,燻蒸剤(農薬に当たるものに限る。),殺菌剤(農薬に当たるものに限る。),殺そ剤(農薬に当たるものに限る。),殺虫剤(農薬に当たるものに限る。),除草剤,防虫剤(農薬に当たるものに限る。),防腐剤(農薬に当たるものに限る。),医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,おりものシート,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,医療用接着テープ,歯科用材料,おむつ,おむつカバー,はえ取り紙,防虫紙,乳幼児用粉乳,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。),人工受精用精液」

2 原審において示した,「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」を取り扱う分野において,「ムズムズ(むずむず)」の語が,「皮膚などがかゆい感じがするさま」程の意味合いで身体の症状を表す語として広く使用され,かつ,そのような症状に対して効果がある商品が取り扱われていることを示している例(下線は合議体による。以下同じ。)
(1)2008年3月27日付け 日経産業新聞5ページ
「花粉症薬,“脱季節品”狙う,製薬各社,年間通じ効用PR。」の見出しの下,「第一三共ヘルスケアは昨年十二月,抗アレルギー薬『エージー』ブランドからメントールを加えて清涼感を持たせた点鼻薬を発売した。清涼感のある製品は鼻のムズムズ感が解消されるため,症状の軽い人には好まれる。」との記載がある。
(2)2008年2月7日付け 朝日新聞 朝刊 24ページ
「花粉の季節がやって来た 飛散量,今年は半減に 環境省予測 /愛媛県」の見出しの下,「同店の人気商品は,ここ2?3年のうちに出始めた『花粉症予防薬』。発症後に症状を緩和する対症療法的な従来の薬と異なり,鼻がむずむずしたり,くしゃみが出始めたりする初期のうちに服用することで,症状を現れにくくするという。」との記載がある。
(3)「興和株式会社」のウェブサイトにおいて,「新コルゲンコーワうがいぐすり」の見出しの下,「『風邪が流行している時』,『ノドがムズムズ・イガイガする時』,『外出先から帰った時』,『お口の中のニオイが気になる時』などにガラガラ・ブクブクとうがいをすると,主成分の殺菌・消毒成分がノドに炎症を起こすバイ菌を直接退治して,ノドを正常な状態に保ってくれます。」との記載がある。
https://hc.kowa.co.jp/colgen/yobou/ugai/(令和2年12月11日最終閲覧)
(4)「アスクル株式会社」が運営する「LOHACO」のウェブサイトにおいて,「メンソレータム ADボタニカル 90g ロート製薬 かゆみ止め 鎮痒消炎薬【第2類医薬品】」の見出しの下,「○こんなかゆみに かゆみを感じたら,すぐのご使用がおすすめです。寝ている間のムズムズするかゆみ」及び「効能・効果 かゆみ,皮フ炎,かぶれ,じんましん,虫さされ,しっしん,ただれ,あせも,しもやけ」との記載がある。
https://lohaco.jp/product/6182573/(令和2年12月11日最終閲覧)
(5)「楽天市場」の「くすりのiQ」のウェブサイトにおいて,「【第3類医薬品】ムヒ デリケアエムズ クリーム(35g)(鎮痒消炎薬)【池田模範堂】」の見出しの下,「●爽快クール!+3つの特長でムズムズかゆみをすばやく止めます。」との記載がある。
https://item.rakuten.co.jp/kusurino-iq/4987426002459/(令和2年12月11日最終閲覧)

3 別掲2と同様に,「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」を取り扱う分野において,「ムズムズ(むずむず)」の語が,「皮膚などがかゆい感じがするさま」程の意味合いで身体の症状を表す語として広く使用され,かつ,そのような症状に対して効果がある商品が取り扱われていることを示している例
(1)2020年7月3日付け下野新聞16ページ
「夏場のマスク肌への影響は/宇都宮・あい皮膚科/相原院長に聞く/暑さで蒸れて雑菌増加/湿疹やニキビ,ダニ増殖も/『念入りにケアを』」の見出しの下,「さらに『マスクの影響で今年,患者さんが異常に多くなっている』と相原院長が心配するのがニキビダニ皮膚炎。もともと皮膚にいるダニ(毛包虫)が増殖して炎症を起こし,赤い湿疹やむずむずとしたかゆみが出る。(中略)治療法は硫黄の塗り薬か抗生剤の服用。保険外で自費になるが,抗炎症作用などがある外用薬メトロニダゾールもよく効くという。」の記載がある。
(2)2018年6月23日付け北國新聞 朝刊23ページ
「◎丈夫がいいね(2252) 第69部・お肌を守る 水虫 5人に1人は菌がいる 無症状でも感染させる恐れ」の見出しの下,「足の指の間がむずむずとかゆい。(中略)金沢医科大病院皮膚科の牛上敢(つよし)助教は『白癬菌は皮膚に付着すると,皮膚の表面である角質内で増殖します。そして,角質の下の生きた表皮細胞が菌を感知すると炎症を起こして,かゆくなります』と説明する。水虫の治療のための塗り薬はいろいろ種類が開発されている。薬を1日1回塗れば,大概の場合は1カ月ほどで改善してかゆみをほとんど感じなくなる。」の記載がある。
(3)2013年3月9日付け 愛媛新聞 24ページ
「子どもにも花粉症増加 県内 乳幼児期の発症も マスクや薬 早めの対策を」の見出しの下,「鼻はむずむず,目もかゆく,くしゃみも連発?。つらい花粉の季節が到来した。(中略) 乳幼児でも使用できる飲み薬,3歳からの点鼻薬などもあるため,耳鼻科や眼科を受診すれば適切な薬の処方を受けられる。」の記載がある。



審理終結日 2020-12-15 
結審通知日 2020-12-21 
審決日 2021-01-27 
出願番号 商願2018-99526(T2018-99526) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 浦辺 淑絵 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 大森 友子
藤村 浩二
商標の称呼 ムズムズ 
代理人 高梨 範夫 

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