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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 W0435
管理番号 1371820 
審判番号 不服2020-6369 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-11 
確定日 2021-03-03 
事件の表示 商願2018-53803拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「SPIC」の欧文字を横書きしてなり、第4類「工業用油,燃料,燃料ガス,灯油,オイルガス,石炭,粉炭(燃料用のもの),工業用ワックス,照明(灯火)用ワックス,塵埃除去剤,鉱物燃料」及び第35類「広告,商品の実演による広告,建設プロジェクトの事業計画の管理,情報技術分野における商品の販売促進のための見本市及び展示会の企画・運営及び開催,他人の商品及びサービスのライセンスに関する事業の管理,輸出入に関する事務の代理又は代行,マーケティング,商品・役務の買い手及び売り手のためのオンライン市場の提供,人事管理に関する指導及び助言,事業所の移転の助言,コンピュータデータベースへの情報編集,商取引の受注管理,財務書類の作成,スポンサー探し,自動販売機の貸与」を指定商品及び指定役務として、平成30年4月24日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『SPIC』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、該文字に、英語で『清浄な、汚れのない』などの意味合いがあり、また、他人の名称や略称を示す語として使用されている例があるとしても、該文字は、英語で『ラテン系アメリカ人;プエルトリコ人, メキシコ人の蔑称』の意味合いをも有する語と認められるから、本願商標を出願人が商標として登録することは、国際信義に反し、公の秩序を乱すおそれがあるというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、上記1のとおり「SPIC」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、「(侮蔑)スペイン系アメリカ人」(「ジーニアス英和辞典 第5版」(株式会社大修館書店))の意味や、「完全にきちんとしていて清潔である」(「Weblio 英和辞典・和英辞典」https://ejje.weblio.jp/content/spic)の意味を有する語である。
(2)我が国における「SPIC」の文字の使用の実情
ア 我が国において、「SPIC」の文字を店舗名や商号に含む企業は、例えば、「SPIC SALON」(2004年4月21日 FujiSankei Business i.8ページに、「・・・美容室の名前は『SPIC SALON』。現在フランチャイズにより全国に五十四店舗がオープンしている。」との記載がある。)、「株式会社スピック(英語名:SPIC Corporation)」(第11号証)及び「株式会社スピックインターナショナル(英語名:SPIC INTERNATIONAL CO.,Ltd)」(第12号証)など、複数存在している。
イ 海外企業の略称としての使用
我が国の新聞報道記事においては、海外の企業名の略称として、「SPIC」の文字が複数使用されていることが、例えば、以下(ア)ないし(ウ)のとおり認められる。
(ア)2019年3月29日 日経産業新聞 30ページ
「独シーメンス、中国電力大手と提携。」の見出しの下、「独シーメンスは26日、中国国有電力大手の国家電力投資集団(SPIC)と戦略提携を結んだと発表した。中国国内でシーメンスがSPICに発電設備を供給する一方、SPIC傘下のタービン大手に大型ガスタービンの技術を供与する。」との記載がある。
(イ)2002年6月13日 静岡新聞 朝刊 27ページ
「中国貿易拡大で直行便が週4便に-きょうから清水港」の見出しの下、「大連、青島への直行便は韓国の高麗海運、廈門は日本郵船・現代商船・SPIC(タイ)が担当。」との記載がある。
(ウ)2000年3月22日 日刊工業新聞 15ページ
「シークス、インド企業集団とエレクトロニクス分野で事業協力」の見出しの下、「シークスはインドの企業集団であるサザン・ペトロケミカル・インダストリーズ・コーポレーション(SPIC)グループと、エレクトロニクス分野での事業協力で合意した。まずシークスとSPICグループのソフトウエア開発会社が共同で、部品在庫管理システムなどの物流関連ソフトを商品化する。」との記載がある。
ウ その他、様々な名称の略称等として、「SPIC」の文字が複数使用されていることが、例えば、以下(ア)ないし(エ)のとおり認められる。
(ア)2006年4月14日 河北新報朝刊
「指定捜査員に100人指名/福島県警、事件の専門化に対応/福島県警は13日、事件の種類に応じ、専門的な視点で初動捜査などを行う『指定捜査員』を指名した。一線署に所属する捜査員100人が指名され、事件発生」の見出しの下、「指定捜査員は、放火や殺人などの事件に出動する『スパック(SPAC)』と、詐欺などの知能犯事件に投入される『スピック(SPIC)』、暴力団などの組織犯罪に対応する『スポック(SPOC)』の3種類。スパックには2チーム60人、スピックとスポックには各一チーム20人が指名された。」との記載がある。
(イ)2002年12月6日 日経産業新聞 5ページ
「オリンパスのSCMシステム??週ごと生産計画作成(ネットシステムこう使う)」の見出しの下、「伊那工場で利用されている生産計画管理、手配計画、工程管理、在庫管理のためのシステム『SPIC』をもとに、外部でも利用可能な『Mini SPIC』を独自に開発した。」との記載がある。
(ウ)1996年9月5日 鉄鋼新聞 3ページ
「[新社長に聞く]、ナス物産社長、杉原守氏」の見出しの下、「ステンレス加工情報センター(SPIC)はユニークな部署ですね。杉原:加工会社のネットワーク情報を持っていまして、ユーザーの要望に応じて選んでいます。ファイルに登録している加工先は約八百社で、実際にお願いしているのは百社くらいです。」との記載がある。
(エ)「Saas Productivity Improvement Conference」の略称として、「SPIC2018」や「SPIC2019」とのタイトルのカンファレンスが開催されている(第13号証及び第14号証)。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性
本願商標は、上記1のとおり、「SPIC」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字が「(侮蔑)スペイン系アメリカ人」の意味を有する英語であるとしても、それ以外の意味をも有する語であり、また、上記(2)のとおり、我が国には「SPIC」の文字を店舗名や商号に含む企業が複数存在し、「SPIC」の語は海外企業の略称として我が国の新聞報道で複数使用され、その他、様々な名称の略称等として複数使用されている実情が認められる。
そうすると、本願商標は、「(侮蔑)スペイン系アメリカ人」の意味を有する英語であるとしても、本願商標に接する取引者、需要者が、直ちにスペイン系アメリカ人を侮蔑する語であると認識するとはいいがたいものである。
以上よりすれば、本願商標は、本願商標をその指定商品及び指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反し、国際信義に反し、公の秩序を乱すおそれがあるものとはいえず、さらに、他の法律によってその使用が禁止されているものとは認められない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2021-02-15 
出願番号 商願2018-53803(T2018-53803) 
審決分類 T 1 8・ 22- WY (W0435)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉岡 めぐみ和田 恵美 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 庄司 美和
板谷 玲子
商標の称呼 スピック 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 

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