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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z42
管理番号 1370967 
審判番号 取消2018-300152 
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-03-16 
確定日 2021-01-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第4617377号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4617377号商標の指定役務中、第42類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の設計に関する情報の提供,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の設計及び設計に関する助言」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4617377号商標(以下「本件商標」という。)は、「フェニックス」の片仮名を標準文字で表してなり、平成12年6月21日に登録出願、「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の設計に関する情報の提供,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の設計及び設計に関する助言」を含む第42類、第35類ないし第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同14年11月1日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成30年4月2日にされたものである。
また、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成27年4月2日から同30年4月1日までの期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を審判請求書、審判事件弁駁書において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第42類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の設計に関する情報の提供,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の設計及び設計に関する助言」(以下「取消請求役務」という。)について、要証期間内に、日本国内において商標権者・専用使用権者又は通常使用権者によって使用された事実は見当たらないから、商標法第50条第1項により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標の同一性について
ア 本件商標は、片仮名の「フェニックス」であるのに対し、被請求人が使用の主張をしている商標は、欧文字の「FENICS」(以下「使用商標」という。)であることから、使用商標は、本件商標と同一の商標ではないことは明らかである。
また、本件商標「フェニックス」のローマ字表記は「Phoenix」と考えるのが相当である(甲3)のに対し、使用商標は「FENICS」であることから、両者は片仮名及びローマ字の表示を相互に変更するものではない。
さらに、本件商標の称呼は「フェニックス」であり、観念は「エジプトの伝説的な霊鳥。不死鳥。」が生じる(甲3)のに対し、使用商標は「Fujitsu Enhanced Information and Communication Services」の頭文字を取った造語(略称)であることから(乙3)、その称呼は「フェニクス」とするのが自然であり、特定の観念が生じることはない。そのため、本件商標と使用商標からは、同一の称呼及び観念は生じない。
そうすると、本件商標と使用商標は、「片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」でもないことは明らかである。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であるということもできない。
イ 乙第2号証には「FENICS(フェニックス)」の記載があるが、この「フェニックス」の使用態様は、被請求人が意図する「FENICS」の読み方を示しているだけであり、また、乙第3号証には「FENICS」の上段に一回り小さく「フェニックス」と記載されているが、この「フェニックス」の使用態様も、被請求人が意図する「FENICS」の読み方を示しているだけであり、いずれも「フェニックス」を商標的に使用しているとはいえない。
したがって、乙第2号証及び乙第3号証によっても、本件商標を使用している証明にはならない。
なお、乙第4号証ないし乙第8号証には、「フェニックス」の文字は見当たらない。
さらに、「FENIX」と「フェニックス」、「Phoenix」、「PHENIX」等の商標が併存登録されている(甲4?甲11)。
本件商標と使用商標は、称呼「フェニックス」と「フェニクス」も異なり、外観「フェニックス」と「FENICS」が明らかに異なり、観念も比較することができず、両者は、類似しない商標であるから、使用商標は、本件商標と同一の商標ではなく、社会通念上同一の商標でもない。
(2)使用に係る役務について
電子計算機の分野における「設計」とは、「これから作るものに必要とされる機能や性能などを検討し、どのような構成で作るのかを仕様として決定すること」(甲12)をいう。
この点、被請求人は、本件指定役務に含まれる「電子計算機の周辺機器」とは、「ディスプレー、プリンターなどの出力装置、ハードディスクやDVDドライブなどの記憶装置、マウス、キーボードなどの入力機器、ルーターやモデムといった通信機器など、コンピューターに接続するあらゆる装置のこと」(乙1)をいうと主張している。
そうすると、「周辺機器の設計」とは、「コンピューターに接続する装置に必要とされる機能や性能などを検討し、どのような構成で作るのかを仕様として決定すること」と定義づけることができる。
ア 乙第2号証は、その冒頭部分に「『FENICS』とは、『Fujitsu Enhanced Information and Communication Services』の略称であり、富士通が提供する企業向けネットワークサービスの総称」である旨の記載がある。
ここで「ネットワーク」とは、「複数のコンピュータや電子機器などを繋いで信号やデータ、情報をやりとりすることができる」仕組み(甲13)をいうものであり、装置である「電子計算機(周辺機器を含む。)」とは異なるものである。
この点、被請求人は、「最適な通信回線・サービスの提供のみならず、コンサルティング、ハードウェア、ソフトウェア、各種ソリューション、運用サポートまでワンストップで提供するサービスに係る商標として使用」(乙2)している旨主張している。
しかしながら、当該証拠において述べられている役務は、専ら「ネットワークに関するサービス」であり、「電子計算機(周辺機器を含む。)の設計等」について、明確に示されていないから、「FENICS」は、「電子計算機(周辺機器を含む。)の設計等」について、使用されているものではない。
イ 乙第3号証についても、「ネットワークサービス総合カタログ」と題されており、被請求人が「FENICS」を企業向けネットワークサービスとして提供していることが分かる。
この点、被請求人が主張している「顧客の拠点に設置されるサーバの設計を行うサービス」は、正確には「管理サーバの二重化による信頼性の向上、最新のフレッツ回線のサポート、ブランチインターネットによるセンター回線のトラフィック軽減など、コストパフォーマンスに優れたサービス」を意味している。
ここで「サーバ」とは、「コンピュータネットワークにおいて、他のコンピュータに対し、自身の持っている機能やサービス、データなどを提供するコンピュータのこと。また、そのような機能を持ったソフトウェア」を意味しているものである(甲16)。そして、一般に「回線のサポート」や「回線のトラフィック軽減」は、「ネットワーク回線」に関するサービスを指すものであり、「電子計算機(周辺機器を含む。)」に関するサービスを表すものではない。
当該証拠において図示されているサービスは、「VPN管理サーバを東西拠点に配置」し、「高速・低遅延」なネットワーク回線を提供すること、すなわち、「サーバ機の貸与、設置」あるいは「Webサーバ(ネットワーク)の設計」である。
したがって、当該証拠は、「サーバの設計」を行っていることを証明するものとはいえない。
また、被請求人は、「『管理サーバの二重化』とは、複数の管理サーバをそれぞれ主系サーバ、従系サーバと設定し、二重化するシステムを構成すること」(乙4)と主張しているが、「システムの構成」とは、「コンピュータのハードウェアやソフトウェアを適切に組み合わせた環境を設定すること」(甲19)を意味するものであるから、「電子計算機(周辺機器を含む。)の設計等」とは異なり、提出された証拠によっては、「『管理サーバの二重化』の過程においてサーバの設計を行っている事実」を証明したことにはならない。
さらに、被請求人が主張している「アクセス回線及びルーターのレンタル・設計・運用まで一括で提供するサービス」は、正確には、「お客様海外拠点のISP、アクセス回線及びルータのレンタルや構築・運用まで一括でご提供。お客様の手間をかけることなくグローバルな社内ネットワーク構築」の提供を意味している。
ここで「構築」とは、「ソフトウェアや機器、資材などを開発あるいは調達し、それらを組み合わせて全体として動作するシステムに組み立てること」を意味しているものであり(甲21)、当該証拠において示されている役務は、「アクセス回線及びルータのレンタルや構築・運用」であり、「アクセス回線及びルーターの設計」ではない。
また、被請求人が主張している「通信機器を設計するサービス」とは、正確には「『FENICS2 M2Mサービス』(審決注:「FENICS2」の「2」は、ローマ数字で表記されている。以下同じ。)は、お客様の製品に組込む通信機器、グローバルなモバイルネットワーク、データを蓄積・抽出するセンター機能を一括提供し、業種・業態に合わせてお客様の製品の価値向上や新たなビジネスチャンスの創出を実現」することを意味している。
すなわち、上記サービスは「通信機器の貸与」あるいは「コンピュータネットワークシステムの設計」であり、「通信機器を設計するサービス」ではない。
その他、乙第3号証において、「フェニックス」(本件商標)が、「電子計算機(周辺機器を含む。)の設計等」(本件指定役務)について使用されている事実を明確に表している箇所は見当たらない。
ウ 乙第5号証ないし乙第8号証は、被請求人が行った「FENICS」を冠したサービスの導入事例を紹介したものである。
しかしながら、これらの証拠は、「FENICS」が各会社の「ネットワークを再構築」すること及び「通信機器の設置」について使用されたことを示しているだけであり、「通信機器の設計のサービス」に使用されたことを示しているわけではない。
さらに、被請求人は、「本件商標が、被請求人によって扶桑電通株式会社に導入されたネットワークサービスに係る商標として使用されて」(乙8)いることを自ら認めている。そして、前述のとおり、「電子計算機(周辺機器を含む。)の設計等」と「ネットワークサービス」は、全く異なるものである。
同時に、当該証拠において、本件商標が「通信機器の設計に係る商標として」使用された事実が具体的に示された箇所は見当たらない。
3 まとめ
したがって、被請求人は、要証期間内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標を、取消請求役務について使用された事実を何ら立証していないし、正当な理由があることも明らかにしていない。
その他、被請求人が提出する証拠において、本件商標を取消請求役務について使用している事実は見当たらない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を、審判事件答弁書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
1 本件商標は、要証期間内に、日本国内において、商標権者である被請求人によって、取消請求役務について使用されている。
まず、前提として、電子計算機の周辺機器とは、「ディスプレー、プリンターなどの出力装置、ハードディスクやDVDドライブなどの記憶装置、マウス、キーボードなどの入力機器、ルーターやモデムといった通信機器など、コンピューターに接続するあらゆる装置のこと」と定義され(乙1)、その定義に基づくと、ルーター等の通信機器は電子計算機の周辺機器に含まれるため、「ルーター等の通信機器の設計に関する情報の提供」や「ルーター等の通信機器の設計及び設計に関する助言」は、取消請求役務に該当する。
2 本件商標は、被請求人が1985年に電気通信事業に参入した当初より、30年以上にわたって提供を続けている企業向けネットワークサービスに係る商標であり、要証期間内に、最適な通信回線・サービスの提供のみならず、コンサルティング、ハードウェア、ソフトウェア、各種ソリューション、及び運用サポートまでワンストップで提供するサービスに係る商標として使用している(乙2)。
2017年4月版の本件商標を使用したサービスの総合カタログ(乙3)においても、顧客の拠点に設置されるサーバの設計を行うサービスやアクセス回線及びルーターのレンタル・設計・運用まで一括で提供するサービス、通信機器を設計するサービス等に係る商標として使用されている。
したがって、要証期間内に、被請求人が本件商標を使用したサービスの提供に当たって、取消請求役務が提供されていることは明らかである。
3 被請求人のカタログ(乙3)において、「管理サーバの二重化」が言及されているが、前述のように、被請求人は、顧客の拠点に設置されるサーバの設計を行うサービスを行っている。「管理サーバの二重化」とは、複数の管理サーバをそれぞれ主系サーバ、従系サーバと設定し、二重化するシステムを構成することであり(乙4)、被請求人は、この「管理サーバの二重化の過程においてサーバの設計を行っている。
そして、当該カタログは、最終頁に「2017年4月」と記述されていることから、要証期間内に頒布されていたことは明らかである。
すなわち、要証期間内に取消請求役務に含まれる「サーバの設計」について言及されたカタログが頒布されていたものであり、商標法第2条第3項第8号の使用がされていた。
4 本件商標が、要証期間内に、被請求人によって青山商事株式会社、株式会社ハローズ及び株式会社伊藤園に導入されたネットワークサービスに係る商標として使用されている(乙5?乙7)。
当該サービスにおいて、ルーター等の通信機器の設置あるいは設計のサービスが提供されたことが示されており、被請求人が本件商標を使用した役務の提供に当たって、取消請求役務が提供されていることは明らかである。
5 本件商標が、要証期間内に、被請求人によって、扶桑電通株式会社に導入されたネットワークサービスに係る商標として使用されている(乙8)。
当該サービスにおいて、被請求人により、扶桑電通株式会社の全国54か所の拠点のネットワークを構築するための通信機器の設計に係る商標として本件商標が使用されている。
6 結論
したがって、本件商標は、要証期間内に、取消請求役務について使用されていることが明らかであるから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当するものではない。

第4 当審における審尋
当審において、令和元年6月28日付けで、被請求人に対し、答弁書における主張及び提出された証拠によっては、要証期間内に本件商標を取消請求役務のいずれかについて使用したことを把握できないことから、要証期間内における本件商標の使用事実を証明する新たな証拠の提出を求める旨の審尋及び請求人の提出した平成30年9月26日付け弁駁書副本送付を行い、期間を指定して、これに対する回答及び意見を求めた。

第5 被請求人の対応
被請求人は、上記第4の審尋及び弁駁書副本送付に対し、何らの応答又は意見の提出もしていない。

第6 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出した乙各号証によれば、次のとおりである。
(1)「FENICSとは-Fujitsu Japan」と左上に記載されたウェブサイトのプリントアウト(2018年7月30日出力)の2葉目には、「FENICSとは」の記載の下、「富士通が提供する企業向けネットワークサービス/『FENICS(フェニックス)』とは、『Fujitsu Enhanced Information and Communication Services』の略称であり、富士通が提供する企業向けネットワークサービスの総称です。」の記載、「FENICSの歩み/1985年に電気通信事業に参入し、『FENICS(フェニックス)』という名称でVANサービスの提供を開始しました。」の記載がある(乙2)。
また、同ウェブサイトには、「FENICSは、30年以上にわたり、お客様とともに問題に向き合い、解決し、実績を積み重ねてきました。・・・。/・ワンストップ提供/お客様の要件に対して最適な通信回線・サービスをマルチキャリアで提供します。さらに、コンサルティング、ハードウェア、ソフトウェア、各種ソリューション、運用サポートまで、最適なネットワークサービスをワンストップで対応します。」の記載がある(同)。
(2)「FUJITSU Managed Infrastructure Services/FENICS/ネットワークサービス総合カタログ/2017年【4月版】」と題する資料(以下「カタログ」という。)には、その表紙の中程やや上部に表された「FENICS」の欧文字の上段に小さく、「フェニックス」の片仮名が記載されている(乙3)。
同カタログの第04頁には、「クラウド活用に最適な次世代高機能VPNサービス/FENICS ビジネスVPNプラス」の記載の下、「管理サーバの二重化による信頼性の向上、最新のフレッツ回線のサポート、ブランチインターネットによるセンター回線のトラフィック軽減など、コストパフォーマンスに優れたサービスです。」の記載があり、第05頁には、「海外事業所を接続する国際ネットワークサービス/FENICS グローバルVPNサービス」の記載の下、「海外拠点側ルータまでを一括提供」の項に「お客様海外拠点のISP、アクセス回線およびルータのレンタルや構築・運用まで一括でご提供。」の記載がある。
また、同カタログ第12頁には、「遠隔地に点在する管理対象物の情報を活用するためのネットワークサービス/FENICS2 M2Mサービス」の記載の下、「お客様の製品に組込む通信機器、グローバルなモバイルネットワーク、データを蓄積・抽出するセンター機能を一括提供し、業種・業態に合わせてお客様の製品の価値向上や新たなビジネスチャンスの創出を実現します。」の記載がある。
加えて、同カタログの最終頁の下部右側に「富士通株式会社」及び「2017年4月M」の記載がある。
(3)「2.2運用管理サーバ二重化(連携型)」と左上に記載されたウェブサイトのプリントアウト(2018年7月30日出力)には、「2.2 運用管理サーバ二重化(連携型)」の記載の下、「複数の運用管理サーバをそれぞれ主系サーバ、従系サーバと設定し、二重化するシステム構成です。基幹業務で利用するシステムなど、主に監視を止められない場合に利用します。クラスタシステムを用いて高信頼化する場合と異なり、両方のサーバから監視業務を行っているため、ノードダウン時でも監視は継続できます。」の記載と共に、「管理運用サーバを二重化した場合の構成図」の図示がある(乙4)。
(4)「FENICSビジネスマルチレイヤーコネクト 導入事例 青山商事株式会社様:富士通」と上部に記載されたウェブサイトのプリントアウト(2018年7月30日出力)には、「全国約900店舗のネットワーク再構築をスムーズに展開/お客様に新たな価値を提供するデジタル戦略を支える」の記載の下、「青山商事株式会社様 導入事例」として「同社はデジタル戦略を支えるためにFENICS ビジネスマルチレイヤーコネクトを導入し、全国約900店舗のネットワークの再構築を行っています。・・・。/[2018年4月19日掲載]」の記載があり、「【導入事例概要】」として「業種:小売業」及び「ソリューション:FUJITSU Managed Infrastructure Services FENICS ビジネスマルチレイヤーコネクト(審決注:下線が付されている。)」の記載がある(乙5)。
(5)「FENICSビジネスマルチレイヤーコネクト 導入事例 株式会社ハローズ様:富士通」と上部に記載されたウェブサイトのプリントアウト(2018年7月30日出力)には、「電子マネー機能付きポイントカードに安心と信頼を/スーパーマーケットの24時間営業を支えるネットワークの再構築」の記載の下、「株式会社ハローズ様 導入事例」として「瀬戸内エリアの暮らしを支える『24時間営業の食品スーパーマーケット』ハローズ様は、電子マネー機能付きポイントカードの開始をきっかけに『FENICSビジネスマルチレイヤーコネクト』を導入しネットワークを再構築しました。・・・。/[2017年2月21日掲載]」の記載があり、「【導入事例概要】」として「業種:食品スーパーマーケット業」及び「ソリューション:FUJITSU Managed Infrastructure Services FENICS ビジネスマルチレイヤーコネクト(審決注:下線が付されている。)」の記載がある(乙6)。
(6)「SDNコントローラーFUJITSU Netwoerk VELCOUN-X/ネットワーク導入事例 株式会社・・・」と上部に記載されたウェブサイトのプリントアウト(2018年7月30日出力)には、「全国200カ所以上の事業所における監視対象の/ネットワーク機器の管理をSDNコントローラーで効率化」の記載の下、「株式会社伊藤園様 導入事例」として「『お茶』を中心とした総合飲料メーカーの伊藤園様は、長年の運用で複雑化したネットワークを刷新(『FENICSビジネスマルチレイヤーコネクト』を採用)するとともに・・・。/[2017年6月1日掲載]」の記載があり、「【導入事例概要】」として「業種:流通」及び「導入製品:SDNコントローラーFUJITSU Netwoerk VELCOUN-X、FUJITSU Managed Infrastructure Services FENICS ビジネスマルチレイヤーコネクト(審決注:下線が付されている。)」の記載がある(乙7)。
(7)「FENICSビジネスVPNプラス 導入事例 扶桑電通株式会社様:富士通」と上部に記載されたウェブサイトのプリントアウト(2018年7月30日出力)には、「Microsoft Office 365の活用で逼迫するネットワークトラフィックを/FENICSで解決」の記載の下、「扶桑電通株式会社様 導入事例」として「『ITCコンピュータサービス』でお客様の課題解決を支援する扶桑電通株式会社様は、富士通のネットワークサービス『FENICSビジネスVPNプラス』のブランチインターネットを利用し、クラウドサービス利用時の課題を解決。・・・。/[2016年3月31日掲載]」の記載があり、「【導入事例概要】」として「業種:流通業」及び「ソリューション:FUJITSU Managed Infrastructure Services FENICSビジネスVPNプラス/FUJITSU Managed Infrastructure Services FENICS2 ユニバーサルコネクト アプリケーションブリッジサービス(審決注:下線が付されている。)」の記載がある(乙8)。
(8)乙第4号証ないし乙第8号証には、「FENICS」の欧文字の記載は見受けられるものの、「フェニックス」の片仮名の記載又は表示は見いだせない。
2 判断
(1)本件商標と同一又は社会通念上同一の商標の使用について
ア 本件商標
本件商標は、「フェニックス」の片仮名を標準文字で表してなり、その構成文字に相応して「フェニックス」の称呼を生ずると共に、その構成文字が、「【Phoenix】エジプトの伝説的な霊鳥。不死鳥。」の意味を有する語(甲3)であり、我が国においては、上記意味を有する外来語として理解されるというのが自然であることから、「不死鳥」の観念を生ずる。
イ 「FENICS」の文字の使用
被請求人のウェブサイトのプリンアウト(乙2、乙4?乙8)、カタログ(乙3)中には、「FENICS」の欧文字の記載があることが認められるところ、当該欧文字は、その構成文字に相応して「フェニクス」及び「フェニックス」の称呼を生ずると共に、「Fujitsu Enhanced Information and Communication Services」の略称とされ(乙2)、特定の意味を表示する語として一般に知られているとはいい難いから、特定の意味を理解させない一種の造語として認識され、特定の観念を生じないものというのが相当である。
してみれば、「FENICS」の文字は、本件商標と同一の構成文字からなる商標ということはできない上、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変換するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標ということもできないから、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえず、当該欧文字の使用をもって、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標の使用ということはできない。
ウ 「フェニックス」の文字の使用
被請求人のウェブサイトのプリンアウト(乙2)、カタログ(乙3)には、『FENICS(フェニックス)』とは、『Fujitsu Enhanced Information and Communication Services』の略称であり、富士通が提供する企業向けネットワークサービスの総称です。」及び「FENICSの歩み/1985年に電気通信事業に参入し、『FENICS(フェニックス)』という名称でVANサービスの提供を開始しました。」との記載(乙2)や、「FENICS」の欧文字の上段に小さく、「フェニックス」の片仮名が記載(乙3)されていることが認められるものの、これらの「フェニックス」の片仮名は、いずれも「FENICS」の読みを特定するために付記的に記載されているものであって、「フェニックス」の文字が単独で被請求人の業務に係る役務の出所表示として使用されているものとはいい難い。
そして、他に、被請求人が提出した乙各号証中に「フェニックス」の文字が被請求人の業務に係る役務の出所表示として独立して使用されている事実を見いだすことはできない。
してみれば、乙第2号証、乙第3号証中に記載されている「フェニックス」の文字をもって、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標の使用ということはできない。
(2)取消請求役務の提供について
被請求人は、取消請求役務として、「ハードウェアのネットワークシステムに関するサービス」、特に、「管理サーバの二重化」の過程において「サーバの設計」の提供を行っている(乙3、乙4)旨主張しているが、これが、電子計算機用プログラム(ソフトウェア)の設計なのか、顧客別の専用ハードウェアを設計することなのか判然とせず、被請求人が「サーバ(ハードウェア)の設計」を提供していることが不明であるといわざるを得ないことから、上記第4の審尋において、「サーバ(ハードウェア)の設計」を他人のために提供していることについて、具体的な証拠をもって説明をするように求めたにもかかわらず、被請求人は、何らの回答もしていない。
また、被請求人の提出した同人のウェブサイトのプリントアウト及びカタログからは、取消請求役務が実際に提供されたか否かが明確ではないことから、当該役務が要証期間内に提供された事実を示す具体的な証拠(見積書、発注書、請求書、納品書等)の提出を求めたのに対し、被請求人は何らの回答もしていない。
そうすると、被請求人が提出した乙各号証によって、「サーバの設計」、「ルーター等の通信機器の設置又は設計」、その他取消請求役務のいずれかについて、顧客に対して当該役務が提供されたことを具体的に把握することができないといわざるを得ないから、被請求人が取消請求役務を提供したことを認めることはできない。
(3)カタログ頒布の事実について
被請求人は、「要証期間内に取消請求役務に含まれる『サーバの設計』について、カタログ(乙3)が頒布されていたものであり、商標法第2条第3項第8号の使用がされていた。」旨主張しているが、当該カタログの作成経緯、頒布事実について不明であることから、上記第4の審尋において、その作成部数、頒布の方法、頒布先、頒布日等を説明するように求めたにもかかわらず、被請求人は、何らの回答もしていない。
してみれば、取消請求役務に関するカタログが頒布された事実を認めることはできないから、被請求人の行為が商標法第2条第3項第8号の使用に該当するということはできない。
(4)小括
以上からすれば、使用商標は、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標とはいえず、被請求人が取消請求役務を提供したということもできない上に、カタログを実際に頒布して商標法第2条第3項第8号の使用に該当する行為があったということもできないから、被請求人が、要証期間内に、日本国内において、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を使用して、本件商標の指定役務中、「サーバの設計」その他取消請求役務を提供したと認めることはできない。
その他、要証期間において、取消請求役務のいずれかについて、本件商標に係る商標権者又は使用権者が本件商標の使用をしたことを認めるに足りる証拠の提出はない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、取消請求役務について本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、結論掲記の役務について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2020-11-12 
結審通知日 2020-11-17 
審決日 2020-12-03 
出願番号 商願2000-69285(T2000-69285) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z42)
最終処分 成立  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
冨澤 美加
登録日 2002-11-01 
登録番号 商標登録第4617377号(T4617377) 
商標の称呼 フェニックス 
代理人 向山 直樹 
代理人 特許業務法人スズエ国際特許事務所 

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