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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1370271 
異議申立番号 異議2020-900231 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-09-14 
確定日 2021-01-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6263184号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6263184号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6263184号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年1月23日に登録出願、第25類「被服,履物,帽子」を指定商品として、同年5月13日に登録査定、同年6月25日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、申立人が「Tシャツ」に使用をしていると主張するものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
(1)証拠について
ア 甲1は、申立人の従業員Aが、自己の創作物(著作物)であることを証明するために、私署証書に対して、令和元年8月27日付けで公証人の確定日付印を受けた証書であり、その10頁には、引用商標がティーシャツの前面胸部に大きく表されており、引用商標の作成日は、本件商標の出願日より前の平成30年3月23日である。
引用商標は、別掲2のとおりの構成よりなるところ、新宿のビル群とスカイツリーと東京タワーとは、同時に存在しえないこと、及び「THE」、「CITY」、「TOKYO」の三段に横書きした英文字を赤い夕日の約四分の一の背景と略対称となるように配置していることから、独創性を有するものである。
イ 甲2は、申立人による部分意匠に係る意匠登録出願の控である。
ウ 甲3は、前記イの出願に係る、令和2年2月28日付け新規性の喪失の例外証明書提出書であり、申立人は、従業員Aから平成31年1月10日に意匠登録を受ける権利を譲り受け、意匠に係る物品を販売した同年2月15日において、意匠登録を受ける権利を保有していたものである。
エ 甲4は、本件商標の商標権者(以下、単に「商標権者」という。)の通信販売に係るウェブページであり、当該ウェブページには本件商標を前面胸部に表したティーシャツが表示されている。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、引用商標と同一であり、甲2の部分意匠に係る登録出願は、本件商標の出願日より後に出願されたものであるが、「意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする意匠登録出願」であるから、甲3より本件商標の出願日よりも前に申立人が意匠登録を受ける権利を保有し、引用商標をティーシャツに付して販売していたことがわかるから、本件商標の出願行為は、他人の採択した創作物(著作物)を剽窃的に出願する行為である。
そして、他人の採択した創作物(著作物)を剽窃的に先回りして出願する行為は、公正な取引秩序を乱すものであり、かかる商標登録は公序良俗を害するものであって、健全な法感情に照らし許されるべきではない。また、公正な取引秩序の維持を法目的とする商標法の精神からも、かかる行為は認められるべきではない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、本件商標の出願日よりも前から(甲3)、ティーシャツの前面胸部に、引用商標を付して外国人向けに広く販売し、好評を博しており、引用商標は、日本国を訪れる外国人の間で周知となっていたものであるから、商標権者が引用商標と同一の本件商標を使用すると、申立人の商品との間で出所の混同を生じるおそれがある。
また、本件商標は、ティーシャツの前面胸部に大きく意匠的な使用態様で付されており、商標的な使用態様である襟後部のタグには付されていないから(甲4)、商標権者が本件商標を使用すると、申立人の商品との間で出所の混同が生じる。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、引用商標と同一であり、申立人は、本件商標の出願日よりも前に引用商標をティーシャツに付して販売していたこと、引用商標は、日本国を訪れる外国人の間で周知となっていたこと、また、商標権者は商標的な使用態様ではなく意匠的な使用態様で本件商標を商品に付して使用していることから、商標権者は、引用商標が商標登録出願されていないことを奇貨として先取り的に本件商標を出願しており、引用商標にあやかって利益を得ようとする、不正の目的が推察される。
また、周知性がやや弱くても、不正の目的が強ければ、他人の周知商標の無断利用を防止するという観点から、商標法第4条第1項第19号の適用を認めるべきである。

4 当審の判断
申立人は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号の各号について引用する商標を明確にしていないが、その主張及び甲各号証により、別掲2の構成からなる標章を引用しているから、当審は、上記各号について引用する商標は、前記2の引用商標と認定し、判断した。
(1)引用商標について
ア 申立人の提出にかかる証拠及び同人の主張によれば、申立人の従業員Aが、引用商標のデザインを平成30年3月23日に作成したとする私署証書に対して、令和元年8月27日付けで公証人の確定日付印を受けたこと(甲1)、引用商標について、令和2年1月31日に意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする意匠を出願しており(甲2)、新規性の喪失の例外証明書提出書において、意匠に係る物品を平成31年2月15日に販売したとしていること(甲3)が認められる。
しかしながら、公証人の行う認証は、当該文書が作成名義人の意思に基づいて作成されたことを公証人が証明するものであり、その文書の成立の真正を証明するにとどまり、引用商標の作成者及び作成日について証明するものではない。
また、新規性の喪失の例外証明書提出書において、引用商標を付したティーシャツ(以下「申立人商品」という。)を、平成31年2月15日に、新宿のB店舗にて販売したと主張しているものの、当該証明書に表されているのは申立人商品を写した写真のみで、具体的にB店舗で販売されたことを裏付ける証拠は見いだせないから、これをもって同日に当該商品が販売されたと認めることはできない。
その他、申立人(従業員A)が本件商標の出願より前に引用商標を作成し、申立人が申立人商品を販売していたことを裏付ける証拠は見いだせない。
イ 申立人は、本件商標の出願日よりも前から、申立人商品を外国人向けに広く販売し、好評を博しており、引用商標は、日本国を訪れる外国人の間で周知となっていたと主張しているが、前記アのとおり、申立人商品が、本件商標の出願日よりも前(平成31年2月15日)から販売されていたと認めることはできず、そもそも、申立人商品についての販売数、広告宣伝に関する主張、立証はないのであるから、引用商標が、申立人の業務に係る「ティーシャツ」を表示するものとして日本国内又は外国における需要者に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第7号について
前記(1)のとおり、申立人が、本件商標の出願日よりも前に、申立人商品を販売した事実は認められず、また、商標権者が、引用商標が登録されていないことを奇禍として、他人に先取り的に本件商標を出願したといった事情をうかがうことはできない。
そうすると、本件商標の出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあるとは認められず、また、本件商標の登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないものであるとも認められない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標はいえないから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
前記(1)のとおり、引用商標は、申立人(他人)の業務に係る「ティーシャツ」を表示するものとして日本国内の需要者に広く認識されていたものではない。
そうすると、たとえ本件商標と引用商標との類似性の程度が高く、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性が高く、その需要者を共通にするとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはないというべきである。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標又は申立人を連想、想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
前記(1)のとおり、引用商標は、申立人(他人)の業務に係る「ティーシャツ」を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたものではない。
また、商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものであるというべき事情は認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に該当せず、その登録は、同項の規定に違反してされたものとはいえない。
他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲1(本件商標、色彩については原本参照)


別掲2(引用商標)



異議決定日 2020-12-21 
出願番号 商願2020-12274(T2020-12274) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
T 1 651・ 222- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菊池 夏未福田 洋子 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 木村 一弘
黒磯 裕子
登録日 2020-06-25 
登録番号 商標登録第6263184号(T6263184) 
権利者 株式会社カネトミ
商標の称呼 ザシティートーキョージャパン、シティートーキョージャパン、ザシティートーキョー、シティートーキョー 
代理人 池田 直文 

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