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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W14 審判 一部申立て 登録を維持 W14 審判 一部申立て 登録を維持 W14 |
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管理番号 | 1370256 |
異議申立番号 | 異議2020-900143 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-05-21 |
確定日 | 2020-12-21 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6233534号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6233534号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6233534号商標(以下「本件商標」という。)は、「PRESSENCE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成31年4月17日に登録出願、第14類「キーホルダー,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製靴飾り,時計」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革」、第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、令和2年2月4日に登録査定、同年3月6日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議申立の理由に引用する登録第2116387号商標(以下「引用商標」という。)は、「Presence」の欧文字(3文字目の「e」にアクサンテギュが付されている。以下同じ。)を別掲のとおりの態様で表してなり、昭和61年5月2日に登録出願、平成元年2月21日に設定登録され、その後、同10年9月22日、同20年12月24日及び同30年10月30日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。そして、指定商品については、同21年5月13日に、第9類「眼鏡,眼鏡の部品及び附属品」及び第14類「時計,時計の部品及び附属品」とする書換登録がされたものであり、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第14類「全指定商品」(以下「本件申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。 (1)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について 本件商標の指定商品中「時計」は、引用商標の指定商品と同一又は類似である。 (2)本件商標と引用商標の類否について ア 本件商標 本件商標は、欧文字の「PRESSENCE」よりなるところ、本件商標からは、当該欧文字に相応して「プレセンス」、「プレゼンス」、「プレッセンス」等の称呼が生じる。 本件商標は、構成する欧文字が既成語を表すものではなく、一種の造語からなるものであって、それ自体が特定の観念を生じさせるものではない。 イ 引用商標 引用商標は、欧文字の「Presence」を筆記体で表してなるところ、引用商標からは、当該欧文字に相応して「プレゼンス」、「プレザンス」等の称呼が生じる。 「Presence」は、フランス語で「いること」、「存在」等の意味を有している(甲4)。また、対応する英単語「Presence」(アクサンテギュは付されていない。以下「Presence(英語)」という。)も同様に「いること」、「存在」等の意味を有している(甲5)。したがって、引用商標からは、これらの単語の持つ意味に即して、「いること」「存在」等の観念が想起され得る。 ウ 両商標の対比 (ア)外観上の類似性 本件商標は、欧文字の「PRESSENCE」よりなるのに対し、引用商標は筆記体で表した欧文字の「Presence」よりなる。両商標のつづりの差異は中間に位置する「SS」と「s」のみであり、連続して「S(s)」の文字を有するか否かの差異にすぎない。このような細かい差異は、両商標を直接対比して観察した場合には認識し得るものの、時と場所を異にして、離隔的にそれぞれの商標に接した場合には、明瞭に把握できない程度の差異にすぎず、それぞれの商標の印象としてはほとんど残らないため、見誤る場合も多いものといえる。 この点、過去の審決例においても、欧文字からなる商標のつづりにおいて、中間に位置する文字が1つであるか、2つであるかの差異を有する商標について類似であるとして認定されている(甲6?甲8)。 これらの審決例は、いずれも外観上似通った印象を与えるものとして、類似商標として認定されたものである。本件の場合において、これらの審決例と異なった認定がなされるべき特段の事情はないものといえる。 このように、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのある、外観において類似する商標である。 (イ)観念上の類似性 上記イのとおり、引用商標は、「いること」「存在」等の観念が想起され得るものといえる。 他方、本件商標は、それ自体としては、特定の意味合いを想起させるものではない。しかし、本件商標「PRESSENCE」と既成語の「Presence」や「Presence(英語)」とのつづりの差異は、それぞれの中間部に位置する「S(s)」の文字が1つであるか、2つであるかの点のみにある。このため、例えば、本件商標に接する需要者が、中間に位置する「S(s)」の数を認識しない場合や、既成語の「Presence」や「Presence(英語)」が「いること」、「存在」等を意味することを理解はしているものの、その正確なつづりまでは記憶していない場合等には、本件商標から「いること」、「存在」等の観念を想起し得るものといえる。 以上のことを考慮すれば、本件商標と引用商標とは、それぞれから生じ得る「いること」、「存在」等の観念において共通しており、観念上、相紛れるおそれがある。 (ウ)称呼上の類似性 a 上記イのとおり、引用商標からは、「プレゼンス」、「プレザンス」等の称呼を生じる。 他方、本件商標については、これに接した需要者が必ずしも「プレセンス」、「プレッセンス」という称呼を認識するとは限らず、以下に説明するように、「需要者が、取引上自然に認識する音」としては、これらの他にも、引用商標から「プレゼンス」の称呼も生じ得る。 すでに述べたように、本件商標と既成語「Presence」、「Presence(英語)」との外観上の類似により、需要者が後者と前者とを誤認した結果、本件商標「PRESSENCE」から、引用商標から生じる称呼と同じ「プレゼンス」の称呼が生じ得る。 また、既成語と本件商標「PRESSENCE」が別の造語であると理解する需要者の場合であっても同様である。我が国における英語の普及の程度を考慮すれば、特定の意味を持たない欧文字からなる造語に接した需要者は、これを英語読みで読み上げる場合が多いといえ(甲9)、本件商標から「プレゼンス」の称呼も生じ得る。この点について、例えば、本件商標のように「S」を2つ連ねた構成からなる英単語において、「Dessert」が「デザート」、「Scissors 」が「シザーズ」、「Aussie」が「オージー」、「Brassiere 」が「ブラジャー」、「Missouri」が「ミズーリ」、「Possess」が「ポゼス」、「Dissolve」が「ディゾルブ」と、いずれも「S」部分を濁音として読み上げることからも裏付けられる。これら英単語は専門用語などではなく、一般的な日本人にとってもなじみのあるものといえる。これらの既成の英単語同様、本件商標「PRESSENCE」の中間部分からも、濁音の「ゼ」の音が生じ得るといえ、本件商標からは、「プレゼンス」の称呼が生じ得るとみるのが相当である。 この「プレゼンス」の称呼は、引用商標から生じる称呼の1つでもあるから、引用商標から生じる称呼と、本件商標から生じ得る称呼の1つは共通しており、互いに相紛れるおそれがあるといえる。 b 上記のとおり、本件商標からは「プレゼンス」の称呼が生じ得ることは明らかであるが、万が一、「プレセンス」の称呼のみが生じるとの認定がなされたとしても、本件商標と引用商標とは、称呼上類似するものといえ、互いに相紛れるおそれがある。 すなわち、両商標における称呼上の差異である「ゼ」と「セ」の音は、それぞれの商標の中でも、明瞭に聴取し難い中間部分に位置するものであり、また、母音「e」を共通にするものであり、両商標を一連に称呼した場合には、全体の語感や語調が非常に近似したものとなり、称呼上互いに相紛らわしいものとなる。 この点、中間部分において、「ゼ」と「セ」の音の違いを有する商標については、過去の審決例においても、類似であるとの認定がされている(甲10?甲13)。 これらの場合と比較しても、本件商標が引用商標とは非類似であると認定されるべき特段の事情はない。 以上のように、仮に、本件商標から「プレセンス」の称呼のみが生じるとの判断がなされたとしても、本件商標と引用商標とは、全体の語感や語調が近似したものとなり、称呼上互いに相紛らわしいものである。 (3)まとめ 商標の類否については、対象となる商標の外観、称呼、観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察し、当該商標を指定商品等に使用した場合に引用商標と出所混同のおそれがあるか否かにより判断すべきであるところ、上述のように、本件商標は、外観、称呼、観念の3要素のいずれにおいても相紛れるおそれがあるから、本件商標と引用商標は、類似の商品に使用した場合、商品の出所に誤認混同を生じるおそれのある類似の商標であるといえる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 当審の判断 (1)本件商標 本件商標は、上記1のとおり、「PRESSENCE」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「プレッセンス」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いを有するものとして認識されているというような事情も見いだせないことからすれば、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。 (2)引用商標 引用商標は、筆記体風の「Presence」(3文字目の「e」にアクサンテギュが付されている。)の欧文字を別掲のとおりの態様で表してなるところ、その構成文字に相応して「プレゼンス」又は「プレザンス」の称呼を生じ、「いること、存在」(甲4)などの観念を生じるものというのが相当である。 (3)本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観において両者は、つづりの比較において、中間の文字「S(s)」が2文字と1文字という差異と、3文字目の「e」にアクサンテギュの有無という差異を有する上、両商標の書体に明らかな差異を有するから、これらの差異が両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。 次に、本件商標から生じる「プレッセンス」と引用商標から生じる「プレゼンス」及び「プレザンス」の称呼を比較すると、両者は第2音「レ」の音の次に促音を有するか否かの差異、及びそれに続く音に「セ」と「ゼ」及び「ザ」の音の差異を有するから、これらの差異が6音及び5音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。 さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないのに対し、引用商標は「いること、存在」などの観念を生じるものであるから、両者は相紛れるおそれのないものである。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって、両商標の指定商品が類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (4)申立人の主張について 申立人は、本件商標は、「s」を2つ連ねた我が国で親しまれた英単語「Dessert」「Scissors 」などが「デザート」「シザーズ」などと発音されることから「プレゼンス」の称呼も生じること、及び本件商標は一定の需要者をして「いること、存在」などの観念を生じ得ること、また、過去の審決例を挙げ、本件商標と引用商標は類似する旨主張している。 しかしながら、上記「Dessert」、「Scissors 」などの申立人が挙げた英単語が「デザート」「シザーズ」などと発音されるとしても、本件商標の構成中の「SS」の前後の文字が引用商標と共通する英単語「essence」が我が国において「エッセンス」と発音され親しまれていることからすれば、本件商標は、看者をして「プレッセンス」の称呼を生じるものと認識するというのが自然であるから、上記(1)のとおり、「プレッセンス」のみの称呼を生じると判断するのが相当である。 また、商標の類否の判断は、その指定商品又は指定役務の一般的な取引者・需要者の認識を基準に、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、比較される商標について個別具体的に判断されるべきものであるから、過去の審決例によって上記判断が左右されるものではない。 その他、本件商標と引用商標が類似するとすべき事情は見いだせない。 したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標の指定商品及び指定役務中、本件申立商品についての登録は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(引用商標) |
異議決定日 | 2020-12-10 |
出願番号 | 商願2019-53526(T2019-53526) |
審決分類 |
T
1
652・
262-
Y
(W14)
T 1 652・ 261- Y (W14) T 1 652・ 263- Y (W14) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 池田 光治 |
特許庁審判長 |
冨澤 美加 |
特許庁審判官 |
山田 正樹 小田 昌子 |
登録日 | 2020-03-06 |
登録番号 | 商標登録第6233534号(T6233534) |
権利者 | 株式会社ラピーヌ |
商標の称呼 | プレッセンス、プレスセンス |
代理人 | 門田 尚也 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 杉村 光嗣 |
代理人 | 中谷 弥一郎 |
代理人 | 鎌田 直也 |
代理人 | 鎌田 文二 |
代理人 | 西尾 隆弘 |