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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W03053544 審判 査定不服 観念類似 登録しない W03053544 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W03053544 |
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管理番号 | 1370222 |
審判番号 | 不服2020-1707 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-02-07 |
確定日 | 2021-01-09 |
事件の表示 | 商願2017-153742拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、「AZURE」の欧文字を標準文字で表してなり、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料」、第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。),サプリメント」、第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,香料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薫料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,サプリメントの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品(酒類を除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第44類「美容,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり治療,医療情報の提供,健康診断,栄養の指導,介護,医療用機械器具の貸与,美容院用または理髪店用の機械器具の貸与」を指定商品及び指定役務として、平成29年11月22日に登録出願されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、現に有効に存続しているものである。 1 登録第4734840号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:「アズール茶」(標準文字) 登録出願日:平成15年4月3日 設定登録日:平成15年12月19日 更新登録日:平成25年9月10日 指定商品:第30類「茶」 2 登録第4738164号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲1のとおり 登録出願日:平成15年5月8日 設定登録日:平成16年1月9日 更新登録日:平成25年12月10日 指定商品:第29類「肝油を主原料とするカプセル状の加工食品」 3 登録第5315014号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:「AZUL」(標準文字) 登録出願日:平成21年6月19日 設定登録日:平成22年4月9日 更新登録日:令和1年12月10日 指定商品及び指定役務:第14類「キーホルダー,身飾品,宝飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製靴飾り,時計」、第18類「かばん金具,がま口口金,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服」及び第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」 4 登録第5454302号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成:「AZULE」(標準文字) 優先権主張:2010年(平成22年)8月26日 アメリカ合衆国 登録出願日:平成22年9月30日 設定登録日:平成23年12月2日 指定商品:第10類「心臓カテーテル,血管カテーテル,カテーテル用ガイドワイヤ,カテーテル挿入用装置,ステント,その他の医療用機械器具」及び第44類「医療情報の提供,医療用機械器具の貸与」 5 登録第5635583号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 登録出願日:平成25年8月9日 設定登録日:平成25年12月6日 指定商品:第3類「化粧品(香水類を含む)」 以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。 第3 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)商標の類否について ア 本願商標について 本願商標は、「AZURE」の欧文字を表してなるところ、該文字は、「空色、青空」の意味(「新英和中辞典」株式会社研究社)を有し、「アジュア」と発音される英語として辞書に掲載されているものの、我が国においてその意味が広く一般に知られている語とは認められず、また、本願商標の指定商品・指定役務の分野において、特定の意味合いを有する語として知られているとの事情も見いだせないから、一種の造語として看取されることも少なくないものといえる。 また、一般的には、商標が、それ自体あまり知られていない欧文字からなる場合、我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の読み方に倣って称呼されるとみるのが自然である。 してみれば、本願商標は、英語風の読み方に倣って「アジュア」の称呼を生ずるほか、ローマ字風の読み方に倣って「アズレ」の称呼をも生ずるというのが相当である。 そうすると、本願商標は、「アジュア」又は「アズレ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標について (ア)引用商標1について 引用商標1は、「アズール茶」の文字からなるところ、その構成中の「アズール」の語は、辞書等に掲載のないものであって、一般に広く親しまれた意味を有する語ともいえず、また、その構成中「茶」の文字は、引用商標1の指定商品の普通名称であるから、自他商品の識別標識としての機能を発揮する部分は、「アズール」の文字にあり、該部分が強く支配的な印象をもって認識、把握されるとみるのが相当である。 そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して、「アズールチャ」の称呼を生じるほか、「アズール」の称呼をも生じ、特定の観念を生じないものである。 (イ)引用商標2について 引用商標2は、別掲1のとおり、上段に「アズル」の片仮名を、下段に「Azur」の欧文字を表してなるところ、構成中の「Azur」の文字は、「青い色。紺碧。」の意味(「クラウン仏和辞典[第4版]」株式会社三省堂)を有するフランス語として辞書に掲載されているものの、我が国において、該文字がそのような意味を有する既成の語として一般に広く知られているとはいい難いものであるから、特定の意味を有しない一種の造語として認識されるというのが相当である。 そして、引用商標2の構成中、上段の「アズル」の片仮名部分は、下段の「Azur」の欧文字部分の読みを特定しているとみるのが相当であるから、引用商標2からは、「アズル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (ウ)引用商標3について 引用商標3は、「AZUL」の欧文字からなるところ、該文字は、「青い。青色。」の意味(「現代スペイン語辞典(改訂版)」株式会社白水社)を有するスペイン語として辞書に掲載されているものの、我が国において、該文字がそのような意味を有する既成の語として一般に広く知られているとはいい難いものであるから、特定の意味を有しない一種の造語として認識されるというのが相当である。 そうすると、一般的には、商標が、それ自体あまり知られていない欧文字からなる場合、我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の読み方に倣って称呼されるとみるのが自然であるから、「AZUL」の構成文字に相応して、「アズル」又は「アズール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (エ)引用商標4について 引用商標4は、「AZULE」の欧文字で表してなるところ、該文字は辞書等に掲載のない語であり、また、本願商標の指定商品・指定役務の分野において、特定の意味合いを有する語として知られているとの事情も見いだせないから、一種の造語として看取されるものである。 そして、一般的には、商標が、それ自体あまり知られていない欧文字からなる場合、我が国において広く親しまれている英語風又はローマ字風の読み方に倣って称呼されるとみるのが自然である。 そうすると、引用商標4は、英語風の読み方に倣って「アズル」又は「アズール」の称呼が生じ、ローマ字風の読み方に倣って、「アズレ」の称呼が生じるものである。 してみれば、引用商標4は、「アズル」、「アズール」又は「アズレ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (オ)引用商標5について 引用商標5は、別掲2のとおり、上段に「アズール」の片仮名を、下段に「AZUL」の欧文字を表してなるところ、構成中の「AZUL」の文字は、「青い。青色。」の意味(「現代スペイン語辞典(改訂版)」株式会社白水社)を有するスペイン語として辞書に掲載されているものの、我が国において、該文字がそのような意味を有する既成の語として一般に広く知られているとはいい難いものであるから、特定の意味を有しない一種の造語として認識されるというのが相当である。 そして、引用商標5の構成中、上段の「アズール」の片仮名部分が下段の「AZUL」の欧文字部分の読みを特定しているとみるのが相当であるから、引用商標5からは、「アズール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 ウ 本願商標と引用商標の類否について (ア)本願商標と引用商標1ないし引用商標3及び引用商標5(以下、まとめて「引用商標A」という場合がある。)の比較について a 外観について 本願商標と引用商標Aの外観は、それぞれ前記1(1)ア及びイ(ア)ないし(ウ)、(オ)のとおりであり、その構成文字等が明らかに異なるものであるから、本願商標と引用商標Aとは、外観上、判然と区別できるものである。 b 称呼について 本願商標から生ずる「アジュア」、「アズレ」の称呼と、引用商標1から生ずる「アズールチャ」、「アズール」、引用商標2から生ずる「アズル」、引用商標3から生ずる「アズル」、「アズール」及び、引用商標5から生ずる「アズール」の称呼とは、それぞれの音構成及び構成音数等が相違し、称呼上、明瞭に聴別できるものである。 c 観念について 本願商標と引用商標Aとは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができないものである。 d 本願商標と引用商標Aの類否について そうすると、本願商標と引用商標Aとは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであり、互いに非類似の商標というのが相当である。 (イ)本願商標と引用商標4の比較について a 外観について 本願商標と引用商標4とを比較すると、両者はいずれも標準文字で表された欧文字の5文字からなるものであって、語頭を含めた3文字目までの「AZU」及び語尾の「E」のつづりを共通にする一方、異なるところは、4文字目の「R」の文字と「L」の文字との差にすぎないものであるから、全体の外観において類似するものである。 b 称呼について 本願商標と引用商標4とは、「アズレ」の称呼を共通にするものである。 c 観念について 本願商標と引用商標4とは、両者とも特定の観念を生じないものであるから、観念については比較できない。 d 本願商標と引用商標4の類否について そうすると、本願商標と引用商標4とは、観念において比較できないとしても、外観において類似し、称呼を共通にするものであるから、これらを総合して考察すれば、本願商標と引用商標4とは、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 (2)本願の指定役務と引用商標4の指定役務との類否について 本願指定役務中、第44類「医療情報の提供,健康診断,医療用機械器具の貸与」は、引用商標4の指定役務中の第44類「医療情報の提供,医療用機械器具の貸与」と同一又は類似の役務である。 (3)小括 以上によれば、本願商標は、引用商標4と類似する商標であって、引用商標4の指定役務と同一又は類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 請求人の主張について 請求人は、令和2年2月7日付け審判請求書において、本願商標「AZURE」からは「アジュア」の称呼が生じ、引用商標4「AZULE」からは「アズレ」「アズーレ」「エイゼットユーエルイー」の称呼を生ずるため、称呼が明らかに異なる旨、5文字という少ない文字構成からなる商標中、4文字目の「L」と「R」において相違するものであることから、該差異が全体に与える影響は大きく、更に、本願商標と引用商標4の「医療情報の提供、医療用機械器具の貸与」という医療を扱う分野においては、人の命にも関わることであるため、常に細心の注意力が求められるから、「L」と「R」において相違は容易に判別でき、両商標は、外観上、区別し得る旨、両商標とも特定の観念を想起しないから、観念が明らかに異なる旨主張する。 しかしながら、本願商標である「AZURE」の文字を「アジュア」と称呼することがあるとしても、既成の英単語としてよく知られているとはいい難いことからすれば、これをローマ字風の読み方に倣って「アズレ」と称呼することも決して少なくないというのが相当である。 また、請求人の主張する取引の実情を裏付ける証拠の提出はなく、かつ、主張に係る取引の実情は、取引における一場面を抽出した特殊的、限定的なものというべきであって、商標の類否に当たって考慮すべき取引の実情とは、一般的、恒常的なそれを指すものであるから、その主張は採用できない。 そして、本願商標及び引用商標4の指定役務に係る「医療情報の提供,健康診断,医療用機械器具の貸与」の需要者層は、医療患者や、病気の予防・健康の増進を求める一般世人等、一般の消費者も含むものであるから、その注意力は決して高いとは言えず、当該需要者が、両商標を正確に観察し、記憶し、想起して、これによって役務の出所を識別するというよりは、むしろ、商標全体から受ける印象ないし認識によって役務の出所を識別する場合が少なくないというべきである。 そうすると、上記(1)ウ(イ)で述べたとおり、本願商標と引用商標4とは、観念については比較できないことを考慮したとしても、外観上、両者とも標準文字で表されており、その構成文字の第4文字目において「R」と「L」が異なるのみで、時と所を異にしてみるときは、全体の外観において類似した印象を与えるというべきであり、「アズレ」の称呼を共通にするものであるから、両商標は、役務の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。 また、請求人は、本願商標と同じつづりの文字からなる商標(登録第6042621号商標)が引用商標4と併存登録されている旨主張する。 しかしながら、商標の類否の判断は、対比する商標同士の構成態様と、それらの指定商品及び指定役務との関係から個別かつ具体的に判断をなすべきものであって、他の商標登録の事例により本審理の判断が左右されるものではない。 よって、請求人の上記主張を採用することはできない。 3 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 引用商標2 別掲2 引用商標5 |
審理終結日 | 2020-05-14 |
結審通知日 | 2020-05-19 |
審決日 | 2020-06-08 |
出願番号 | 商願2017-153742(T2017-153742) |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W03053544)
T 1 8・ 263- Z (W03053544) T 1 8・ 262- Z (W03053544) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 杉本 克治 |
特許庁審判長 |
山田 正樹 |
特許庁審判官 |
青野 紀子 木住野 勝也 |
商標の称呼 | アジュール、アズール、アズレ、アジャー |
代理人 | 小林 正樹 |