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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W21
管理番号 1370132 
審判番号 不服2020-3769 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-19 
確定日 2020-12-10 
事件の表示 商願2018-131793拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第21類「ストロー」を指定商品として、平成30年10月23日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『バイオマスストロー』及び『BIOMASS STRAW』の文字を二段に横書きしてなるところ、その構成中『バイオマス』及び『BIOMASS』の文字は、『生物体をエネルギー源または工業原料として利用すること。また、その生物体。』の意味を有し、近時、プラスチック製品の原料を植物由来のバイオマスプラスチックに切り替える動きが広がっており、バイオマスを使用したストローの開発・販売が広く行われている実情があるから、『バイオマス(BIOMASS)』及び『ストロー(STRAW)』の2語を結合した本願商標の構成文字全体からは、『バイオマスを使用したストロー』ほどの意味合いを認識させる。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、前記意味合いを認識するにとどまるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「バイオマスストロー」の片仮名及び「BIOMASS STRAW」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ、その構成中「バイオマス」及び「BIOMASS」の文字は、「生物体をエネルギー源または工業原料として利用すること。」を意味する語として一般に広く親しまれている語であり、また、「ストロー」及び「STRAW」の文字は、「飲み物を吸い飲むための、麦わら・ビニール製の細長いくだ。」(いずれも「広辞苑第七版」岩波書店)を意味する語として一般に広く親しまれている語であって、本願指定商品との関係においては、商品の普通名称を表すものである。
そして、原審説示及び別掲2のとおり、環境汚染の要因の一つとされる使い捨てプラスチック製品について、世界で使用をやめる動きが広がる中、プラスチック製品の原料を植物由来のバイオマスプラスチックに切り替える動きが広がっており、バイオマス素材を使用したストローの開発・販売が広く行われているところ、別掲3のとおり、バイオマス素材を使用した商品を表示するものとして、「バイオマスレジ袋」、「バイオマスプラカップ」、「バイオマスファイル」等のように当該商品の普通名称に「バイオマス」の文字(語)を冠した「バイオマス○○」の語が広く一般に使用されていることが認められるものである。
さらに、「BIOMASS STRAW」の欧文字は、「バイオマスストロー」の英語表記であると無理なく理解できるものである。
そうすると、「バイオマスストロー」及び「BIOMASS STRAW」の文字からなる本願商標を、その指定商品に使用するときは、取引者、需要者をして、「バイオマス素材を使用したストロー」であることを認識、理解されるというのが相当であるから、本願商標は、単に商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当する。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「バイオマスストロー」の商標を使用しているのは、指定商品を取り扱う業界において請求人だけであり、第三者は「バイオストロー」、「エコストロー」等の言葉を「バイオマスを応用して製造されたストロー」の品質を表示する言葉として使用しているから、本願商標が品質表示語として使用される蓋然性がなく、取引者、需要者が商品の品質を示すものとして認識し得る商標ではない旨を、主張している。
しかしながら、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本願商標がその指定商品との関係で商品の品質を記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の需要者、取引者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の品質を表示したものと一般に認識されるものであれば足り、それが一般に用いられていた実情があったことまでを必要とするものではないと解されるところ、前記(1)のとおり、商品の普通名称に「バイオマス」の文字(語)を冠した「バイオマス○○」の語が広く一般に使用されている事実があることに鑑みれば、本願商標を、その指定商品に使用したときは、「バイオマス素材を使用したストロー」を表したものと容易に認識され、取引者、需要者は商品の品質を表示するものとして認識するというべきである。
そして、仮に第三者が「バイオストロー」、「エコストロー」等を「バイオマスを応用して製造されたストロー」の意味を表示する語として使用しているとしても、そのことをもって、本願商標が品質表示であることの認定を妨げるものではなく、また、本願商標が品質表示として使用され得ることについては、別掲4のとおり、複数の者によってバイオマス素材を使用したストローに「バイオマスストロー」の語が使用されている事実があることからも裏付けられる。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1(本願商標)


別掲2 プラスチック製品の原料を植物由来のバイオマスプラスチックに切り替える動きが広がっており、また、バイオマスを使用したストローの開発・販売が広く行われている事実(合議体注:下線は当審の合議体が付したものである。以下、引用箇所において同じ。)
(1)「東京読売新聞」(2018年8月31日)において、「植物プラ 普及させます 生産・開発に補助金 環境省、汚染防止へ一歩」の見出しの下、「環境省は来年度から、植物が原料のバイオプラスチックの普及を後押しする事業を始める。環境汚染の原因になる使い捨てプラスチック製品について、世界で使用をやめる動きが広がる中、国主導で代替品を広げる考えだ。」、「米コーヒーチェーン大手スターバックスは2020年までに、全世界の店舗でプラスチック製ストローの使用停止を決定。」、「〈バイオプラスチック〉トウモロコシやサトウキビなどの有機物を原料にして作られる『バイオマスプラスチック』と、微生物によって分解される『生分解性プラスチック』の総称。」の記載がある。
(2)「日刊工業新聞」(2018年10月22日)において、「使い捨てプラ、30年までに25%減 環境省が戦略素案」の見出しの下、「環境省は2030年までに使い捨てプラスチック排出量を25%削減する数値目標を盛り込んだプラスチック資源循環戦略の素案をまとめた。35年までに廃棄プラ全量を熱回収も含めて100%リサイクルし、30年までにバイオマスプラの200万トン導入を目指す。」、「対象となる使い捨てプラはレジ袋、ストロー、スプーン、皿など。レジ袋は使用抑制のため有料化する方針。」の記載がある。
(3)「テレ東プラス」のウェブサイトにおいて、「スタバは脱プラスチックを実現できるのか:ガイアの夜明け」の見出しの下、「2019.1.15」、「日本での基本方針は、ストローを使わず、口を直接つけて飲めるフタを採用すること。しかし、看板商品でもあるシャーベット状のフラペチーノはストローが不可欠。」、「紙製のストロー、植物を主な原料とするバイオマスプラスチックのストロー、微生物によって自然分解される生分解性プラスチックのストローで試飲を繰り返し、味わいの変化や安全性などを確かめていく。」との記載がある。
https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/business/entry/2019/018732.html
(4)「日経産業新聞」(2019年10月31日)において、「JR東、プラ削減進める。」の見出しの下、「JR東日本はグループ会社の直営店舗などで使うプラスチックの削減を進める。プラスチックのレジ袋やストローをバイオマスや生分解性などの素材に順次切り替える。2020年に置き換えを終える予定だ。環境への配慮をアピールし、国連が掲げる『持続可能な開発目標(SDGs)』の実現に取り組む。」の記載がある。
(5)「日刊工業新聞」(2020年6月16日)において、「ローソン、ヨーグルト飲料を紙カップ化」の見出しの下、「ローソンはオリジナルヨーグルトドリンク5品の容器をプラスチックから紙に切り替えリニューアル発売した。」、「貼付のストローも植物由来のバイオマスプラスチックを一部使用したものにする。」の記載がある。
(6)「東京読売新聞」(2020年7月1日)において、「レジ袋有料化 対応様々 きょうから 高め価格、バイオマス素材=長野」の見出しの下、「プラスチック製のレジ袋が1日から全国の小売店で原則、有料化される。県内のスーパー各社は、高めの料金設定や環境負荷の低いバイオマス素材を使用したレジ袋の導入など、プラスチックごみ(廃プラ)の削減に向けた機運を高めようとしている。」、「1日からの有料化は、植物由来のバイオマスプラスチックが25%以上配合された袋などは対象外。」の記載がある。

別掲3 バイオマス素材を使用した商品を表示するものとして、当該商品の普通名称に「バイオマス」の文字(語)を冠した「バイオマス○○」の語が広く一般に使用されている事実
(1)「吉沢工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「環境にやさしいレジ袋『バイオマスレジ袋』」の見出しの下、「石油由来ポリエチレンと同じ『エチレン』から作られたさとうきび由来のポリエチレンは品質面、物性面は石油由来と同等であり、当製品に切り替えた重量の3倍のCO2排出量を削減することができます。」との記載がある。
http://www.yoshizawakogyo.com/biomass-fukuro/
(2)「株式会社ヤマニパッケージ」のウェブサイトにおいて、「バイオマスレジ袋商品のご案内!」の見出しの下、「2020年7月1日からのプラスチック製レジ袋有料化に伴い、バイオマスレジ袋ができました!!」、「地球に優しい植物性プラスチックを使用しています。」との記載がある。
http://www.yamani-p.com/news/24786
(3)「ASKUL(公式)」のウェブサイトにおいて、「【アウトレット】旭化成パックス グリーンプロマックス 270ml(9オンス) 1袋(40個入)」の見出しの下、「植物から生まれたしっかり素材のバイオマスカップが安い!」との記載がある。
https://www.askul.co.jp/p/2852995/
(4)「ANA NEWS」、「2009年9月10日」「空の上から地球を考える『e-flight』」における、「4.具体的なサービス」、「(2)各項目別の詳細」において、「4.プラカップのバイオマスプラカップ化」、「毎年再生可能な植物を原料とする、ネイチャーワークス社の Ingeo(TM)バイオポリマー(ポリ乳酸)から作られた、環境にやさしい透明のプラスチックカップです。従来の石油由来のプラスチックに比べ、樹脂の製造過程では、非再生可能エネルギーの使用を約60%削減し、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量を90%以上削減することが出来ます。」との記載がある。
https://www.ana.co.jp/wws/us/j/about_ana/corp_info/pr/09-0709/pdf/09-150.pdf
(5)「通販モノタロウ」のウェブサイトにおいて、「[バイオマスファイル]ボックスファイル リヒトラブ」の見出しの下、「従来品(P.P.製)に比べ、焼却時のCO2排出量を13%削減」、「材質 本体/資源米配合ポリプロピレン」との記載がある。
https://www.monotaro.com/g/00545876/?t.q=%83o%83C%83I%83%7D%83X

別掲4 バイオマス素材を使用したストローに、「バイオマスストロー」の語が使用されている事実
(1)「江戸川物産株式会社」のウェブサイトにおいて、「ECO-FRIENDLY」の見出しの下、「【バイオマスストロー】」、「・サトウキビ由来のポリエチレンを使用したストロー」、「従来のストローを遜色なく使用でき且つ石油由来原料を削減を実現したエコ商品です。」、「【バイオマスカトラリー】」、「・植物由来のポリ乳酸配合のポリスチレン(バイオマスプラスチック)で作られたカトラリー」、「二酸化炭素排出削減及び石油由来プラスチック使用量削減に寄与しています。」との記載がある。
https://edg.jp/eco-friendly/
(2)「備品資材市場」のウェブサイトにおいて、「GPEストロー(バイオマスストロー) 4.5mm×18cm 単袋 500本入」の見出しの下、「植物由来のプラスチックを使用した環境に配慮したストローです。」との記載がある。
https://www2.infomart.co.jp/material/listup/shousai.pagex?0&iid=979820
(3)「e-cafe supply」のウェブサイトにおいて、「Cafeバイオマスストロー ストレート 6×210mm 黒 紙袋 500本」の見出しの下、「バイオマス素材を25%配合した、環境に優しいエコストローです。」との記載がある。
https://www.e-cafeshop.com/shopdetail/000000001085/
(4)「生協の宅配パルシステム」のウェブサイトにおいて、「パルシステムオリジナル『飲む国産野菜・果実!ジュース』 環境に配慮したストローに変更しました」の見出しの下、「環境に配慮したストローに変更したことで、二酸化炭素(CO2)排出量の削減と石油資源の節約につながります。ABパック用にBPマーク付きバイオマスストローを採用しているのは、現在はパルシステムだけです(2020年2月10日現在)。」との記載がある。
https://information.pal-system.co.jp/item/200214-straw/


審理終結日 2020-09-23 
結審通知日 2020-09-28 
審決日 2020-10-19 
出願番号 商願2018-131793(T2018-131793) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W21)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 直樹中山 寛太 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 板谷 玲子
黒磯 裕子
商標の称呼 バイオマスストロー、ビオマスストロー、バイオマス、ビオマス、マス 
代理人 藤本 綾子 

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