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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X09
管理番号 1370092 
審判番号 取消2019-300343 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-04-26 
確定日 2020-12-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第5447070号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5447070号商標の指定商品中,第9類「携帯電話機用蓄電式充電器,携帯電話機用充電コード,携帯電話機用充電コード巻き付け具,携帯電話機用充電ホルダー,携帯電話機用充電器用容器(バッグ),携帯電話機用イヤホンジャック,携帯電話機用滑り止めシート及びシール,携帯電話機用置き台,携帯電話機,その他の電気通信機械器具」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5447070号商標(以下「本件商標」という。)は,「HACCA」の文字を標準文字で表してなり,平成23年3月4日に登録出願,第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,携帯電話機用バッテリー,その他の電池,携帯電話機用蓄電式充電器,携帯電話機用充電コード,携帯電話機用充電コード巻き付け具,携帯電話機用充電ホルダー,携帯電話機用充電器用容器(バッグ),携帯電話機用イヤホンジャック,携帯電話機用滑り止めシート及びシール,携帯電話機用置き台,携帯電話機,その他の電気通信機械器具,携帯電話機用ゲームプログラム,電子計算機用ゲームプログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音声ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」を指定商品として,同年10月28日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,令和元年5月20日である。
なお,本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成28年(2016年)5月20日ないし令和元年(2019年)5月19日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中の「携帯電話機用蓄電式充電器,携帯電話機用充電コード,携帯電話機用充電コード巻き付け具,携帯電話機用充電ホルダー,携帯電話機用充電器用容器(バッグ),携帯電話機用イヤホンジャック,携帯電話機用滑り止めシート及びシール,携帯電話機用置き台,携帯電話機,その他の電気通信機械器具」について,日本国内において継続して3年以上商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 審判事件弁駁書における主張
(1)被請求人は,令和元年6月25日提出の答弁書において本件商標を携帯電話機の部品である「電池フタ」につき使用している旨主張している。
しかしながら,被請求人は本件商標を使用した時期につき何ら主張,立証するところがなく,本件商標を要証期間に使用した事実がない。
以下,被請求人の提出した証拠につき,その理由を指摘する。
乙第1号証及び乙第2号証として提出された「オンラインショップのウェブサイト」の写しには「本日10時00分までのご注文で,『東京都千代田区飯田橋』に最短で2019年6月20日(木)にお届けします。」の記載があり,これがこれら証拠の日時を示す唯一の記載であるが,この日時は本件審判請求日より以後であり,本件審判における本件商標の使用に当らない。
また,乙第3号証にも「写真追加2013年1月24日」の記載があるが,これも本件審判請求日との間に6年の差があり,同様に本件商標の使用に当らない。
乙第10号証の「auケータイ図鑑」においても「2011年6月発売」の記載があるが,これも8年以上前の日時である。
さらに,被請求人は書籍「ケータイの形態学」における使用を主張しているが(乙12,乙13),書籍に示されていることが本件商標の指定商品についての使用事実でないことは明らかである。
乙第14号証及び乙第15号証は被請求人のウェブサイトの写しであるが,これらにも本件商標が要証期間に使用された事実は示されていない。
(2)甲第2号証として提出した「ウイキペディアのINFOBAR A01」の写しによれば,被請求人は本件商標を携帯電話機のカラーバリエーションとして使用した事実が示されており,その発売日は2011年6月30日で,「2012年12月全国で終売となる。」の記載がある。
この甲第2号証の示す事柄が事実であるとすれば,前記したとおり,本件商標の被請求人による使用は本件審判請求の登録日より7年も前に終了しており,乙各号証についての請求人の主張は裏付けられている。
(3)以上のとおり,被請求人は本件商標の使用の時期について明確な主張をせず,また提出された乙各号証によってもその事実が立証されていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のとおり述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。
1 auオンラインショップにおける使用
被請求人は,自身が運営するauオンラインショップにおいて,現在も購入可能な携帯電話機の部品である「電池フタ」について商標「HACCA」を使用している(乙1,乙2)。
かかる「電池フタ」は携帯電話機の背面側全面を覆うカバーであり,その大きさ及び使用方法から,電池の部品というよりも,むしろ携帯電話機の部品であることは明らかである(乙3,乙4)。
すなわち,被請求人が販売する「電池フタ」は,第9類の商品「携帯電話機の背面カバー」に該当すると考えられる。実際に,商品「携帯電話機の背面カバー」を指定する登録商標が存在する(乙5)。
そして,J-PlatPatの商品・役務名検索において,商品「携帯電話機のカバー及び附属品」には類似群コード「11B01」が付されている(乙6)。
また,類似商品・役務審査基準[国際分類第11-2019版対応]の一般的注釈において,『(d)他の商品の一部となることを目的として作られた商品は,同様の商品を通常は他の用途に使用することができない場合にのみ,原則として,当該他の商品と同じ類に分類する。』との記載もある(乙7)。
以上を総合すれば,乙第3号証の指定商品「携帯電話機の背面カバー」は,商品「携帯電話機のカバー及び附属品」と同様,「11B01」の類似群コードが付与されているものと推認される。
したがって,被請求人が販売する「電池フタ」も類似群コード「11B01」に係る商品であり,本件商標の指定商品「電気通信機械器具」に含まれる商品「電気通信機械器具の部品及び附属品」(乙8)に該当する。このことは,本件商標の登録出願時に適用されていた類似商品・役務審査基準[国際分類9第版対応]でも変わることはない(乙9)。
また,auオンラインショップにおける本件商標の使用は,「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
2 「auケータイ図鑑」の動画における使用
被詰求人は,自身のウェブサイト「auケータイ図鑑」において,本件商標の指定商品「携帯電話機」に関する紹介動画を提供している(乙10)。
そして,動画再生中のページにおいて,携帯電話機の右側に商標「HACCA」が使用されている(乙11)。
かかる製品紹介動画は,被請求人の製品を広く知らしめ,需要者の購買意欲を高めるものといえるため,一種の広告に該当する。
よって,「auケータイ図鑑」の動画における本件商標の使用は,「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
3 書籍「ケータイの形態学」における使用
被請求人は,自身が2017年に発行した書籍「ケータイの形態学」の第127頁において,本件商標の指定商品「携帯電話機」について商標「HACCA」を使用している(乙12)。
なお,書籍「ケータイの形態学」は現在も購入可能である(乙13)。
かかる書籍は,被請求人の製品を広く知らしめ,需要者の購買意欲を高めるものといえるため,一種の広告に該当する。
よって,書藉「ケータイの形態学」における本件商標の使用は,「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
4 ウェブサイトにおける使用
被請求人は,自身のウェブサイト「Original Product Archives」及び「TIME&SPACE」において,本件商標の指定商品「携帯電話機」について商標「HACCA」を使用している(乙14,乙15)。
かかるウェブサイトは,被請求人の製品を広く知らしめ,需要者の購買意欲を高めるものといえるため,一種の広告に該当する。
よって,ウェブサイト「Original Product Archives」及び「TIME&SPACE」における本件商標の使用は,「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
5 以上のことから,本件商標は,その指定商品中,第9類「電気通信機械器具」について,審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者によって使用されている事実が認められるため,登録を取り消されるべきものではない。
なお,上記1ないし4において商標「HACCA」が使用されている商品は「スマートフォン」又は「スマートフォンの部品及び附属品」(類似群コード:11B01,11C01)にも該当し得るものの,これらの商品は本件商標の登録出願時には存在しなかったものであるため(乙9),本件商標の指定商品「電気通信機械器具」あるいは「携帯電話機」に含まれると考えるのが妥当である。

第4 被請求人に対する審尋及び被請求人による審尋への回答
1 審尋の要旨
審判長は,被請求人に対し,令和2年7月22日付けで,被請求人による主張及び提出された証拠によっては,被請求人が商標法第50条第2項に規定する証明をしたものと認めることはできない旨の合議体による暫定的見解を示した審尋を送付し,相当の期間を指定して,当該審尋への回答をする機会を与えた。
2 被請求人の回答
上記1の審尋に対して,被請求人は,何ら応答していない。

第5 当審の判断
1 被請求人は,本件商標権者が本件商標を携帯電話機の部品である「電池フタ」及び「携帯電話機」について使用している旨主張し,その証拠として乙第1号証ないし乙第15号証を提出しているので,以下検討する。
(1)乙第1号証は,本件商標権者のウェブサイト「au Online Shop」を2019年(令和元年)6月19日に印刷した書面であり,「電池フタ HACCA 通販|auオンラインショップ|スマホ・携帯電話向けオプション品」の見出しの下,「電池フタ HACCA」の文字とともに電池カバーの画像があり,さらに「商品コード SHX11TWA」及び「対応機種 INFOBAR A01」の記載がある。
(2)乙第2号証は,本件商標権者のウェブサイト「au Online Shop」を2019年(令和元年)6月19日に印刷した書面であり,「カート|au Online Shop(エーユーオンラインショップ)」の見出しの下,「ゲストさまのショッピングカート」の文字とともに「商品コード SHX11TWA」「商品名 電池フタ HACCA」の記載がある。
(3)乙第3号証は,「ケータイWatch」のウェブサイトを2019年(令和元年)6月19日に印刷した書面であり,「iida『INFOBAR A01』,スマートフォンで独自UI搭載(4/70)」の見出しの下,携帯電話機(スマートフォン)の画像とともに「HACCA」の記載があり,「関連記事」として「au,『INFOBAR A02』を発表 2013年1月24日」の記載がある。
(4)乙第4号証は,「Buyee」のウェブサイトを2019年(令和元年)6月19日に印刷した書面であり,「新品INFOBARインフォバーA01携帯電話auスマートフォンKDDIハッカHACCA緑グリーン・・・」の見出しの下,携帯電話機(スマートフォン)の画像があり,当該画像は乙第1号証の画像と酷似している。
(5)乙第10号証は,本件商標権者のウェブサイト「auケータイ図鑑」を2019年(令和元年)6月19日に印刷した書面であり,「auケータイ図鑑|おもいでタイムライン」の見出しの下,「INFOBAR A01 2011年6月発売」の文字とともに携帯電話の画像があり,さらに「起動画面・製品紹介の動画」の記載がある。
また,乙第11号証は,被請求人によれば,上記乙第10号証の製品紹介の動画を再生した画面を印刷した書面であり,携帯電話機の画像とともに「au INFOBAR A01」及び「HACCA」の文字が表示されている。
(6)乙第12号証は,2017年(平成29年)9月30日発行の本件商標権者発行の「ケータイの形態学」と題する書籍の表紙,奥付及び商品の掲載ページを印刷した書面であり,3葉目の商品の掲載ページには,「INFOBAR A01 2011年5月(6月発売)」の見出しの下,携帯電話機の画像とともに「HACCA」の記載がある。
(7)乙第14号証は,本件商標権者のウェブサイト「ORIGINAL PRODUCT ARCHIVES」を2019年(令和元年)6月19日に印刷した書面であり,「INFOBAR A01」の見出しの下,3葉目の「カラーバリエーション」の項に「清涼感あふれるHACCA。」の記載がある。
(8)乙第15号証は,本件商標権者のウェブサイト「TIME&SPACE」を2019年(令和元年)6月19日に印刷した書面であり,「【INFOBAR復活!?】初代から最新まで,歴代NISHIKIGOIモデルの系譜をたどる」の見出しの下,4葉目の「INFOBAR A01/2011年発売」の項に携帯電話機の画像とともに「HACCA」の記載がある。
2 上記1によれば,当審の判断は,以下のとおりである。
(1)「電池フタ(携帯電話機の部品)」についての使用
乙第1号証及び乙第2号証に掲載された商品は,携帯電話機(スマートフォン)の部品である「電池フタ」であって,2019年(令和元年)6月19日に本件商標権者のオンラインショップで販売されていたことが認められるが,これは要証期間外の日付である。
また,上記本件商標権者のオンラインショップで販売された商品については「電池フタ HACCA」と記載されているが,かかる記載は,当該商品が「(携帯電話機)HACCA用の電池フタ」であることを表したものとみるのが自然であって,「電池フタ」についての商標として「HACCA」の文字を使用しているものとは認められない。
(2)「携帯電話機」についての使用
乙第10号証ないし乙第15号証から,商標「HACCA」が使用された携帯電話機が2011年(平成23年)6月に発売されたことは推認し得るものの,要証期間内に,同携帯電話機の販売,広告などがされたこと,及び携帯電話機に商標「HACCA」が付されたことなどは確認できない。
(3)小活
上記(1)及び(2)のとおり,被請求人が提出した証拠によっては,本件審判の請求に係る指定商品中の「電池フタ(携帯電話機の部品)」及び「携帯電話機」について,要証期間に,本件商標権者が本件商標の使用をしていることを被請求人が証明したとはいえない。
その他,被請求人が提出した全証拠によっては,要証期間に,本件商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件審判の請求に係る指定商品についての本件商標の使用をしていることを証明し得る事実を見いだせない。
3 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者,通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが,その請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていることを証明したということはできない。
また,被請求人は,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2020-09-30 
結審通知日 2020-10-05 
審決日 2020-10-27 
出願番号 商願2011-18976(T2011-18976) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉田 聡一冨澤 美加 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 小松 里美
小俣 克巳
登録日 2011-10-28 
登録番号 商標登録第5447070号(T5447070) 
商標の称呼 ハッカ 
代理人 久我 貴洋 
代理人 稲木 次之 
代理人 田▲崎▼ 聡 

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