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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W03 審判 一部申立て 登録を維持 W03 審判 一部申立て 登録を維持 W03 審判 一部申立て 登録を維持 W03 |
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管理番号 | 1369156 |
異議申立番号 | 異議2020-900051 |
総通号数 | 253 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-01-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-02-21 |
確定日 | 2020-12-10 |
分離された異議申立 | 有 |
異議申立件数 | 2 |
事件の表示 | 登録第6202585号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6202585号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6202585号商標(以下「本件商標」という。)は、「Arianna」を標準文字で表してなり、平成31年1月7日に登録出願、第3類「洗浄剤(製造工程用及び医療用のものを除く。),化粧品,せっけん類」及び第10類「医療用機械器具」を指定商品として、令和元年11月15日に登録査定され、同月29日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり、現に有効に存続しているものである(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)。 1 国際登録第1260129号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 「ARIANA GRANDE」 指定商品 第3類「Perfume; eau de parfum; fragranced body care preparations, namely, body lotions, body scrubs.」 国際登録日 2015年6月10日 設定登録日 平成28年11月4日 本件登録の一部抹消 2017年6月9日 2 国際登録第1317261号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 別掲のとおり 指定商品 第3類「Perfume; eau de parfum; fragranced body care preparations, namely, body lotions, bath gels,shower gels, body souffles, and body mists; fragranced hair mist.」 国際登録日 2016年8月2日 優先権主張 2016年2月4日(United States of America) 設定登録日 平成29年11月2日 本件の登録の一部抹消 2018年9月28日 3 国際登録第1260242号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様 「ARI by ARIANA GRANDE」 指定商品 第3類「Perfume; eau de parfum; fragranced body care prepalations,namely,body lotions,body scrubs.」 国際登録日 2015年6月5日 設定登録日 平成28年10月7日 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標の指定商品と、引用商標の指定商品との対比 本件商標の指定商品中、第3類「洗浄剤(製造工程用及び医療用のものを除く。),化粧品,せっけん類」と、引用商標の指定商品とは、いずれも化粧品又はせっけん類に属する商品である。 したがって、本件商標の指定商品と、引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品である。 (2)本件商標と引用商標との対比 本件商標は、「Arianna」の標準文字からなり、通常の英語の知識を有する日本人であれば、英文の女性名(姓の前にある)であると認識出来る。称呼については、「アリアナ」、「アリアーナ」又は「アリアンナ」の称呼が生ずる可能性があるが、「アリアナ」が日本人にとっては最も自然に認識される称呼と考えられる。 これに対し、引用商標1は、米国の女性歌手であり、直ちに「アリアナグランデ」の称呼が生ずるが、日本において歌手のAriana Grandeは、「アリアナ」と略称・愛称されていること(甲5?甲13)、引用商標1が「ARIANA」と「GRANDE」との間にスペースを設けていることにより特に冒頭の「ARIANA」部分に顧客の注目度が集まり識別力を発揮することなどから、引用商標1を付した商品が、「ARIANA」の部分のみを認識又は呼称することによって、取引される可能性が高い。 また、引用商標2は、全体としてやや冗長な構成であるため、前半部の著名な歌手名を示す「ARIANA GRANDE」と後半部の「キャンディーのように甘い」と容易に理解できる日本人に親しまれた「SWEET LIKE CANDY」とは、分離して認識される可能性が高く、前半部については引用商標1と同様に、引用商標2を付した商品が、「ARIANA」の部分のみを認識又は呼称することによって、取引される可能性が高い。 さらに、引用商標3も、全体としてやや冗長な構成であるが、一見して「(著名な歌手である) ARIANA GRANDEによるARI」を認識できる。「ARI」は米国においてはARIANA GRANDEのよく知られた略称であるが、日本ではそれほど知られていないため、引用商標3全体の構成から、識別力を発揮するのは、「ARIANA GRANDE」の部分であり、引用商標1について述べたとおり、引用商標3を付した商品が、「ARIANA」の部分のみを認識又は呼称することによって、取引される可能性が高い。 そうすると、本件商標の称呼と引用商標から生ずる称呼とは同一又は極めて類似のものであり、また本件商標の綴り「Arianna」と引用商標中の「ARIANA」部分の綴りとの相違は、中間部分の「n」の有無にすぎず、外観上も極めて紛らわしい。 したがって、本件商標と引用商標とは、両商標が同一又は類似の指定商品に使用された場合に、商品の出所に誤認混同を生じるおそれが大きいことから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号について (1)ARIANA GRANDEについて ARIANA GRANDEは、1993年6月26日生まれで、アメリカ合衆国フロリダ州出身であり、ずば抜けた歌唱力を有している。 2011年12月にシングルで歌手デビューし、2013年9月にリリースのデビューアルバムが全米アルバムチャート初登場1位を記録し、セカンドアルバムでも全米1位を獲得し、グラミー賞にノミネートされるなど、世界に知られるトップシンガーとなった。2016年5月にリリースのサードアルバムは、日本においてオリコン年間洋楽チャートで最も売れたアルバムとなり、2017年には日本限定のベストアルバムがリリースされている。2018年8月にリリースした4番目のアルバムは全米、全英アルバムチャートで1位を獲得し、2019年2月にリリースの5番目のアルバムも再び全米、全英アルバムチャートで1位を獲得している。また、各アルバム等からシングルカットされたシンブルの売上げも度々チャート1位を獲得するなど、様々な記録を打ち立てている。 ARIANA GRANDEは、2014年、2015年、2017年に来日公演を行っている(甲5、甲6)。 なお、申立人は、ARIANA GRANDEの商標、著作権等の管理等を行う会社である。 (2)ARIANA GRANDがプロデュースする製品について ARIANA GRANDEは、本件商標の出願前からいくつもの香水をプロデュースしている。2015年に最初の香水「ARI by ARIANA GRANDE」が発売され、その後、2018年まで毎年新製品が発売されている(甲7?甲10)。 これらのARIANA GRANDEがプロデュースする香水は、いずれもARIANA GRANDEが表示され、これらの製品の広告文や説明文中で、ARIANA GRANDEはごく当然のように「アリアナ」と略称されている(甲7?甲13)。また、ARIANA GRANDE自身の紹介文中でも、「アリアナ」と略称されている(甲5?甲6)。 (3)混同を生ずるおそれについて 本件商標は、本件商標の登録出願日より前に日本において著名であった歌手であるAriana Grandeの愛称・略称である「アリアナ」と称呼が同一であり、「Ariana」と外観が類似する商標である。さらに、Ariana Grandeがプロデュースし、「ARIANA GRANDE」又は「ARIANA GRANDE」を含む商標が使用された香水が2015年11月より日本で販売開始され、日本においてよく知られている。 したがって、本件商標を第3類の指定商品に使用すると、Ariana Grandeがプロデュースした製品と混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 「ARIANA GRANDE」及び「アリアナ(Ariana)」の周知性について (1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。 ア 「ARIANA GRANDE」は米国フロリダ州出身で2011年にデビューした女性歌手である。2013年のデビューアルバム「Yours Truly」が全米アルバムチャートで1位を、2014年のセカンドアルバムも全米1位をそれぞれ記録し、その後、2019年までに毎年リリースしたアルバムや、それらからシングルカットされた楽曲も、全米におけるヒットチャートで高い順位に位置するとともに、グラミー賞を受賞するなど、「ARIANA GRANDE」は米国で高い人気を博していることがうかがえる(甲5、甲6)。 イ 我が国においては、「ARIANA GRANDE」が、2016年に販売したサードアルバムは、日本においてオリコン年間洋楽チャートで最も売れたアルバムとなり、2017年には日本限定のベストアルバムが販売されている(甲5、甲6)。また、申立人は「ARIANA GRANDE」が、2014年、2015年、2017年に来日公演を行ったと述べている。 ウ 「ARIANA GRANDE」がプロデュースした香水は、2015年頃から我が国においてインターネット通販において販売されていて、香水の名称中には「ARIANA GRANDE(Ariana Grande)」の文字が使用されている(甲7?甲10)。 エ 「ARIANA GRANDE」に関する紹介文や、彼女がプロデュースした香水の広告文や説明文中で単に「アリアナ」と紹介されている場合がある(甲5?甲8、甲10?甲13)。 (2)上記アないしエからすれば、米国の女性歌手「ARIANA GRANDE」は、彼女の楽曲の人気の高さから米国はもとより我が国においても広く知られていることがうかがえる。 しかしながら、申立人が「ARIANA GRANDE」の略称として著名であると主張する「アリアナ」の文字は、商品「香水」(以下「申立人の業務に係る商品」という。)の広告文等において、歌手名である「ARIANA GRANDE(アリアナ・グランデ)」の文字と共に表示、紹介されていることは散見されるとしても、「アリアナ」の文字のみによって、「ARIANA GRANDE(アリアナ・グランデ)」の略称を表す語として使用されている実情は見当たらない。 そうすると、「アリアナ」の文字は、「ARIANA GRANDE(アリアナ・グランデ)」の一連の文字と共に表示等されている場合に限って、その略称として認識されることはあるとしても、当該文字が単独で表示等されている場合に、「ARIANA GRANDE(アリアナ・グランデ)」の略称として理解されるとはいい難い。 また、「Ariana」の文字が、「ARIANA GRANDE(アリアナ・グランデ)」の略称として理解されると認めるに足る証拠はない。 加えて、申立人の業務に係る商品に係る広告の方法及びエリアなどの広告実績並びに販売個数及び販売額などの販売実績を客観的に裏付ける証拠は何ら提出されていない。 以上からすると、我が国において「ARIANA GRANDE」が米国の女性歌手として広く知られているとしても、その略称として「アリアナ(Ariana)」の文字が広く知られているとまではいえないことに加え、申立人の業務に係る商品の周知性を裏付ける証拠は何ら提出されていないことから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「アリアナ(Ariana)」の文字が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、「Arianna」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書等に採録がないうえに、本件指定商品との関係において直ちに何らかの意味合いを理解させるものでもないから、一般に親しまれたローマ字の読み方に倣い、その構成文字に相応して「アリアンナ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 (2)引用商標について ア 引用商標1 引用商標1は、第2のとおり「ARIANA GRANDE」の文字を横書きしてなるところ、これは、広く知られている米国の女性歌手と同じ綴りからなるものであるから、これより「アリアナグランデ」の称呼を生じ、「米国の女性歌手のアリアナグランデ」の観念を生じる。 イ 引用商標2 引用商標2は、別掲のとおり「ARIANA GRANDE SWEET LIKE」及び「CANDY」の各文字を2段に表してなるところ、全体の称呼が冗長であるうえに、全体として特定の観念も生じないことから、その構成中、上段の前半部に位置し、米国の歌手名として広く知られた「ARIANA GRANDE」の文字部分を捉えて取引に資する場合もあるといえ、これより、「アリアナグランデ」の称呼を生じ、「米国の女性歌手のアリアナグランデ」との観念を生じる。 ウ 引用商標3 引用商標3は、「ARI by ARIANA GRANDE」と横書きしてなるところ、その構成中、引用商標2の場合と同様に「ARIANA GRANDE」の文字部分より、「アリアナグランデ」の称呼を生じ、「米国の女性歌手のアリアナグランデ」との観念を生じる。 (3)本件商標と引用商標との類否 本件商標は上記(1)のとおりの構成からなるのに対し、引用商標は上記(2)のとおりの構成からなるところ、両者は明らかに構成文字及び態様が異なるものであるから、外観において相紛れるおそれのないものである。 本件商標は上記(1)のとおり「アリアンナ」の称呼が生じるのに対し、引用商標は上記(2)のとおり「アリアナグランデ」の称呼が生じるところ、両者をそれぞれ一連に称呼しても明瞭に聴別することができ、称呼において聞き誤るおそれのないものである。 本件商標は上記(1)のとおり特定の観念は生じないのに対し、引用商標からは上記(2)のとおり「米国の女性歌手のアリアナグランデ」との観念が生じるものであるから、観念において相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1) 「アリアナ(Ariana)」の文字の周知性 上記1のとおり、「アリアナ(Ariana)」の文字は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 (2)本件商標と「アリアナ(Ariana)」の文字の類似性の程度 ア 本件商標 本件商標は、上記2(1)のとおり、「アリアンナ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。 イ 「アリアナ(Ariana)」の文字 「アリアナ」及び「Ariana」の各文字は、その構成文字に相応して「アリアナ」の称呼を生ずるものの、上記(1)のとおり、周知性は認められないこと、辞書等に採録されている語でもないことなどから、特定の観念は生じない。 ウ 本件商標と「アリアナ(Ariana)」の類似性の程度 本件商標と「アリアナ」の文字とは、観念において比較できないとしても、両者は外観において文字種の相違から判然と区別することができ、さらに、称呼においては、4音又は5音と比較的短い音構成における「ン」の音の有無が称呼全体に及ぼす影響は決して小さくはないから、称呼において明瞭に聴別することができる。 次に、本件商標と「Ariana」の文字とは、上記「アリアナ」の場合と同様に、観念において比較できず、称呼において明瞭に聴別することができ、外観においては欧文字「n」の有無の差異にとどまるところ、これが称呼における聴別を凌駕するほど、看者に似通った印象付けるほどのものとはいえない。 そうすると、本件商標と「アリアナ(Ariana)」とは、外観、称呼及び観念を総合的に勘案して判断すれば、相紛れるおそれがない非類似の商標であって、その類似性の程度は低いというべきものである。 (3)出所混同のおそれ 上記(1)のとおり、「アリアナ(Ariana)」は申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないことに加え、上記(2)のとおり、本件商標と「アリアナ(Ariana)」とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、類似性の程度も低いというべきものであることからすれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして「アリアナ(Ariana)」を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 また、本件商標は、「アリアナ(Ariana)」との関係において、出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 (4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 申立人の主張について 申立人は、引用商標の構成中「ARIANA」部分に顧客の注目度が集まり識別力を発揮することなどから、引用商標より、「ARIANA」の文字部分を抽出して、これと本件商標を比較するべき旨主張している。 しかしながら、上記1のとおり「ARIANA」の文字部分が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないことからすれば、当該文字部分よりはむしろ、米国の女性歌手名として広く知られている「ARIANA GRANDE」の文字部分に顧客の注目が集まり、引用商標は、当該文字部分をもって取引に資されるとみるのが相当である。 したがって、申立人の主張は採用できない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(引用商標2) |
異議決定日 | 2020-12-01 |
出願番号 | 商願2019-339(T2019-339) |
審決分類 |
T
1
652・
271-
Y
(W03)
T 1 652・ 262- Y (W03) T 1 652・ 261- Y (W03) T 1 652・ 263- Y (W03) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 清川 恵子 |
特許庁審判長 |
佐藤 松江 |
特許庁審判官 |
岩崎 安子 大森 友子 |
登録日 | 2019-11-29 |
登録番号 | 商標登録第6202585号(T6202585) |
権利者 | アリアーナ株式会社 |
商標の称呼 | アリアンナ、アリアナ |
代理人 | 北村 周彦 |
代理人 | 佐藤 明子 |