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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W28
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W28
管理番号 1369154 
異議申立番号 異議2019-900097 
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-03-22 
確定日 2020-11-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第6108522号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6108522号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第6108522号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成30年3月15日に登録出願、第28類「ジグソーパズル,おもちゃ,積み木(おもちゃ),ゲーム用カウンター,愛玩動物用おもちゃ,組立おもちゃ,おもちゃの模型,電子式ゲームおもちゃ(テレビジョン受信機専用のものを除く。),室内ゲーム用具,こま(おもちゃ),おもちゃの乗物」を指定商品として、同年12月4日に登録査定、同月21日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において、引用する商標は、別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標」という。)である。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであり、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を商標登録異議申立書及び回答書において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第75号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
1 引用商標について
申立人の使用に係る引用商標は、申立人の法定代表者であるA氏が2014年に創立した広州淦源智能科技有限公司(甲3)のキューブ型の立体パズルおもちゃを主事業とするブランドであり、法定代表者の名前の英語表記において中国語で使用される頻度の少ない漢字である「淦」の中国語読み「GAN」を、キューブ型の立体パズルおもちゃの形状である立方体のように特徴的に配列して誕生したものである。
申立人は、引用商標のシリーズ商品として、数多くの種類のキューブ型の立体パズルおもちゃ商品を開発し、その全ての商品に、引用商標が商品出所識別標識として使用されてきた(甲6ないし甲14)。
また、A氏は、2016年2月17日に、欧州において商標出願を行い、登録を取得し(甲15)、同年6月28日に米国において商標出願を行い、登録を取得し(甲16)、同年2月28日に、申立人の名義で中国において商標出願を行い、登録を取得している(甲2、甲62及び甲63)。
さらに、申立人は、2014年から世界キューブアソシエーション(以下「WCA」という。)で組織したイベントや競技活動のスポンサー提供をしてきた。具体的に、本件商標の出願日以前、ひいては出願人が設立前のイベントである、2015年GANカップWCA中国チャンピオンシップ(甲17)、2016年GANカップCross-Strait Cubing Exchange(WCA)(甲18)、2017年ルービックキューブPARIS(甲19)、2017年WCA Vancouver Open Winter(甲20)、2017年CUBING USA(甲21)、2017年WCA中国十周年オープン(甲22)、2018年レッドブルルービックキューブ世界選手権大会(甲23)、2018年WCAの中国ウェイハイ(威海)オープン(甲24)、2018年中国広州キューブトーナメント(甲25)、2018年Shri Ram Cubing Challenge(甲26)等の世界中の各種のキューブ型の立体パズルおもちゃ大会や競技活動のスポンサーとして支援した。これらのイベントでの広告物及び販売促進物には、全て「GAN」を立方体のように配列した引用商標を独立の商品出所識別標識として認識される様態で使用されてきた(甲17ないし甲26)。
また、上記のようなマーケティング活動が役に立ち、申立人の商品は、2014年から現在までに、米国、オーストラリア、韓国、イギリス、ドイツ、スペイン、ハンガリー、カナダ等の国に輸出されている(甲27)。特に、国内市場においては、2016年から輸出を初め、現在までに多数の日本の商社に商品を提供している(甲28)。
2 本件商標について
本件商標の出願人のマネージャーであるX氏は、2018年7月6日に、自分が深▲せん▼羽▲ちょん▼科技有限公司の所属であり、キューブ型の立体パズルおもちゃを卸売したいと、申立人の職員であるB氏に提案したのが、両会社の最初の接触であった。B氏は、申立人の商品の値段表をX氏に送り、出願人と申立人の取引が始まった(甲29及び甲30)。
申立人は、実質的に出願人と同じ会社である深▲せん▼羽括科技有限公司と、2019年の3月まで取引を継続していた(甲35)。
2019年の3月に、申立人は、日本への商標出願を検討していたところ、本件商標が出願され、出願人は、まさかの代理販売店として販売をしていた本件商標の出願人であった。申立人は、自身が創立したブランドが、代理販売店によって出願されていることに驚き、出願人に商標権の譲渡を求めた。
2019年4月4日に、出願人の日本側の責任者であるY氏は、作成した譲渡条件をA氏に送ったが、譲渡金60万人民元(約1000万円)、日本の独占販売代理店の契約等の一方的な条件であったことから、A氏は、その譲渡条件を拒否し、出願人と申立人との交渉が決裂した(甲36及び甲37)。
3 申立人の使用に係る引用商標の著名性について
(1)外国における著名性
申立人は、ホームページ及びSNSでも広告宣伝をしていた(甲40)。
各国のキューブ型の立体パズルおもちゃ等のウェブサイトに、申立人の商品が掲載されている(甲41ないし甲50、甲60及び甲61)。
さらに、申立人の引用商標が表示されているキューブ型の立体パズルおもちゃは、本件商標の出願前に、中国、米国、オーストラリア、韓国、イギリス等の国で販売されていた(甲27、甲49及び甲51)。中国における販売実績を示す(甲64ないし甲69)。
したがって、申立人の引用商標が全世界的に著名性を有することは明らかである。少なくとも、キューブ型の立体パズルおもちゃの需要者の間では、広く知られていたといえる。
(2)日本国内における著名性
国内立体パズル分野において、利用者が最も多い株式会社トライボックスのTriboxのトップページに、申立人の商品が掲載される(甲52)など、いくつものウェブサイトにおいて申立人の商品が紹介又は掲載されている(甲54ないし甲57)。
さらに、申立人は、日本国内市場で多数の販売店に申立人の商品を提供し、販売実績を積み重ねてきた(甲28、甲58及び甲59)。
上述したように、申立人の引用商標は、外国だけではなく、国内の需要者の間でも広く知られている。
4 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する理由
出願人は、元々申立人の代理販売店の代理店、つまり、復代理販売をしていた会社であった。申立人の商品の販売量が増え、その後、申立人との直接的な取引を提案する出願人に、申立人は、復代理販売をしていた出願人に商品を提供していた。その後、申立人が日本で商標登録出願を検討して調べたところ、出願人より商標登録出願がなされたことが分かった。出願人に、1000万円の譲渡金と、日本の独占代理販売権等の一方的な譲渡条件を提示された(甲36及び甲37)。
本件商標の登録は、申立人が当該使用について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず、申立人に経済的及び精神的な損害を与える。
したがって、本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神及び国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがあるといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
5 本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当する理由
申立人の引用商標が表示されているキューブ型の立体パズルおもちゃは、2014年から日本を含む多数の国に輸出され、日本国内においても複数の販売先に商品を提供してきた。申立人が製作した多くの商品は、本件商標の登録出願前から開発され日本国内に輸出されたものであり、取引者と需要者に広く知られ、周知商標であるといえる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
6 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由
本件商標は、「GAN」を立方体のような形状に配列した特徴が、出所識別標識として需要者に与えるものである。本件商標の登録出願時及び査定時に、引用商標は、申立人の業務に係る他の商品と区別するための標識が表示されているものとして、取引者、需要者の間で広く認識されていた。
これらの事情から明らかなように、本件商標が登録されて出願人が商標権を持っている場合、商標が表示されている商品に接した取引者、需要者は、申立人からの商品であると誤信し、その出所について混同を生じるといえる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

7 本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当する理由
本件商標において、出願人は、外国で著名な申立人の引用商標が日本で登録されていないことを知り、高額な商標権の譲渡金を提示し、日本の独占代理販売店契約の締結を強要する等の不正目的をもって出願したといえる。
さらに、申立人の引用商標は、本件商標の登録出願時及び査定時に、需要者の間に広く知られており(甲17ないし甲28及び甲38ないし甲50)、引用商標は、造語よりなり、「GAN」を立方体の形状に配列して構成的に特徴を有し、申立人は、2016年から日本で複数の販売店を通じて販売され(甲28)、出願人より、商標の買い取り、代理店契約締結等の要求を受け(甲36及び甲37)、本件商標が登録になった場合に、申立人の引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあるといえる。
したがって、不正目的をもって出願した本件商標出願は、正当な商標所有者又はこれと関連の者が日本に参入しようとする場合には、本件商標との出所の混同のおそれが生じ、ひいては日本への参入が阻止されるという事態を招来するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 当審における取消理由
当審において、商標権者に対して、「本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当し、その登録は、同項の規定に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号に該当する。」旨の取消理由を令和2年2月27日付けで通知した。

第5 商標権者の意見
前記第4の取消理由の通知に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。

第6 当審の判断
1 引用商標が外国(中国)における需要者の間に広く認識されていることについて
(1)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、中国において、「おもちゃ」等を指定商品とし、2016年(平成28年)2月28日に商標登録された引用商標の商標権者である(甲2、甲62及び甲63)。
イ 申立人は、引用商標を「キューブ型の立体パズルおもちゃ」に付して使用をしている(甲6ないし甲14)。
ウ 引用商標が付された「キューブ型の立体パズルおもちゃ」(以下「申立人商品」という。)は、例えば「GAN356 Air SM」のように「GAN○○○」という商品名で販売されている(甲6ないし甲14)。
エ 申立人は、2015年(平成27年)から、中国において、深▲せん▼市泛客思科技有限公司に対し申立人商品を納品している(甲51)。
オ 申立人は、世界キューブアソシエーション(WCA)が中国その他の国で組織した「2015年GANカップWCA中国チャンピオンシップ」(甲17)、「2016年GANカップCross-Strait Cubing Exchange(WCA)」(甲18)、「2017年ルービックキューブPARIS」(甲19)、「2017年WCA Vancouver Open Winter」(甲20)、「2017年CUBING USA」(甲21)、「2017年WCA中国十周年オープン」(甲22)、「2018年レッドブルルービックキューブ世界選手権大会」(甲23)、「2018年WCA中国ウェイハイ(威海)オープン」(甲24)、「2018年中国広州キューブトーナメント」(甲25)及び「2018年Shri Ram Cubing Challenge」(甲26)といった各種の「キューブ型の立体パズルおもちゃ」に関するイベントのスポンサー提供をしている(申立人の主張)。
これらのイベントでは、イベント会場等において、引用商標が表示されている(甲17ないし甲20及び甲22ないし甲26)。
カ 申立人商品は、中国において、オンライン販売プラットフォーム「京東商城」にて2017年(平成29年)12月から2018年(平成30年)12月までに29,750個、オンライン販売プラットフォーム「TAOBAO」における「GANルービックキューブ店」にて2017年(平成29年)11月から2018年(平成30年)12月までに37,037個、同「GANオフィシャルストア」にて2018年(平成30年)1月から同年10月までに17,459個販売され、また、中国国内の顧客に対して2017年(平成29年)8月から2018年(平成30年)3月までに9,914個納品された(甲64ないし甲69)。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、申立人は、中国において、「おもちゃ」等を指定商品として、2016年(平成28年)2月28日に引用商標を商標登録するとともに、遅くとも2015年(平成27年)から引用商標を「キューブ型の立体パズルおもちゃ」に付して中国において使用をしており、また、申立人は、世界キューブアソシエーション(WCA)が2015年(平成27年)から2018年(平成30年)までに中国その他の国で組織した各種の「キューブ型の立体パズルおもちゃ」に関するイベントのスポンサー提供をしており、そのイベントでは、イベント会場等において引用商標が表示されており、さらに、申立人商品は、2017年(平成29年)から2018年(平成30年)までの間、中国において相当程度の販売実績があることが認められる。
そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「キューブ型の立体パズルおもちゃ」を表示するものとして、中国における需要者の間に広く認識されていたものと判断するのが相当である。
2 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、別掲1のとおり、「G」、「A」及び「N」の文字を立方体のように配置したような構成の図形からなるものであり、引用商標は、別掲2のとおり、本件商標と同様の構成の図形からなるものである。
そうすると、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標といえる。
3 不正の目的について
(1)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 本件商標の商標権者(以下、単に「商標権者」という。)は、奇楽、三木、有模有様といった販売店から申立人商品を仕入れていたが、販売量が増えたため、直接申立人と取引したく、2018年(平成30年)7月6日に申立人に対して申立人商品の提供を申し出た(甲29及び甲30)。
イ 前記アの申出を受けて、申立人は、2018年(平成30年)9月5日から2019年(平成31年)3月20日までの間、商標権者の関連会社である深▲せん▼羽括科技有限公司(甲31、甲32及び甲70ないし甲73)との間で申立人商品の取引をした(甲35)。
ウ 申立人は、2019年(平成31年)3月に、引用商標について日本への商標登録出願を検討していたところ、本件商標の存在を知った(申立人の主張)。
エ 申立人は、2019年(平成31年)3月22日から、商標権者との間で、本件商標を含む2件の商標権の譲渡を求め交渉を開始したが、譲渡金60万人民元や日本市場における独占代理販売権契約などの商標権者から提示された譲渡条件に合意できず、交渉は決裂した(甲36及び甲37)。
(2)前記1(2)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願前である2016年(平成28年)2月28日に中国において申立人を商標権者として商標登録され、また、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「キューブ型の立体パズルおもちゃ」を表示するものとして、中国における需要者の間に広く認識されていたものである。
そして、前記(1)アのとおり、商標権者は、2018年(平成30年)7月6日に申立人に対して申立人商品の提供を申し出る前から、奇楽、三木、有模有様といった販売店から申立人商品を仕入れていたのであるから、本件商標の登録出願時には、商標権者は、引用商標が中国において申立人を商標権者として商標登録され、かつ、引用商標が申立人の業務に係る「キューブ型の立体パズルおもちゃ」を表示するものとして、中国における需要者の間に広く認識されていたものであることを当然に知っていたものと推認できる。
加えて、前記(1)エのとおり、商標権者は、申立人からの本件商標に係る商標権の譲渡の求めに対して、高額の譲渡金や日本市場における独占代理販売権契約などの譲渡条件を提示したことからすると、商標権者は、引用商標が我が国において登録されていないことを奇貨として、本件商標を先取り的に出願し、不正の利益を得る目的をもって登録を得たものと推認せざるを得ない。
そうすると、本件商標は、不正の利益を得る目的、すなわち不正の目的をもって使用をするものといわなければならない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
前記1ないし3のとおり、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「キューブ型の立体パズルおもちゃ」を表示するものとして、外国(中国)における需要者の間に広く認識されていた引用商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
5 商標法第4条第1項第7号該当性について
前記3(1)の事実を踏まえれば、商標権者は、申立人の業務並びに申立人商品及びこれに係る引用商標の使用状況について知悉していながら、引用商標が我が国において登録されていないことを奇貨として、本件商標を先取り的に出願し、不正の利益を得る目的をもって登録を得たものといわざるを得ない。
このような本件商標の出願及び登録の経緯には、社会的相当性を欠くものがあるというべきであり、その登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべきであるから、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
6 商標法第4条第1項第10号該当性について
申立人の提出に係る証拠及び職権による調査によっては、引用商標は、申立人の業務に係る「キューブ型の立体パズルおもちゃ」を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものとは認めることができない。
したがって、本件商標は、たとえ引用商標と同一又は類似する商標であって、申立人の業務に係る商品又はこれに類似する商品に使用をするものであるとしても、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
7 商標法第4条第1項第15号該当性について
前記6のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る「キューブ型の立体パズルおもちゃ」を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものとは認めることができない。
そうすると、たとえ本件商標と引用商標との類似性の程度が高く、引用商標の独創性の程度が高く、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性があり、その需要者を共通にするとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはないといわなければならない。
してみると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用をしても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
8 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号には該当しないものの、同項第7号及び同項第19号に該当し、その登録は、同項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1 本件商標



別掲2 引用商標





異議決定日 2020-07-01 
出願番号 商願2018-30553(T2018-30553) 
審決分類 T 1 651・ 22- Z (W28)
T 1 651・ 222- Z (W28)
最終処分 取消  
前審関与審査官 豊田 純一 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 板谷 玲子
山田 啓之
登録日 2018-12-21 
登録番号 商標登録第6108522号(T6108522) 
権利者 深▲せん▼羽▲ちょん▼科技有限公司
商標の称呼 ジイエイエヌ、ギャン、ガン 
代理人 SK特許業務法人 
代理人 奥野 彰彦 
代理人 伊藤 寛之 
代理人 尾崎 隆弘 

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