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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W20 審判 一部申立て 登録を維持 W20 審判 一部申立て 登録を維持 W20 審判 一部申立て 登録を維持 W20 |
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管理番号 | 1368365 |
異議申立番号 | 異議2020-900155 |
総通号数 | 252 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-12-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-06-12 |
確定日 | 2020-10-31 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6238532号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6238532号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6238532号商標(以下「本件商標」という。)は、「PRORACING」の欧文字を標準文字で表してなり、令和元年12月16日に登録出願、第20類「理髪用椅子,たんす類,まくら,クッション,マットレス,椅子類,家具,机類,座布団,美容院用椅子,木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器」を指定商品として、同2年2月18日に登録査定され、同年3月23日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)。 (1)商願2019-126757(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 別掲1のとおり 指定商品 第20類「椅子・座椅子」 登録出願日 令和元年9月27日 (2)登録第6224647号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 別掲2のとおり (立体商標) 指定商品 第20類「座椅子」 登録出願日 平成31年4月5日 設定登録日 令和2年2月10日 (3)登録第6242969号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様 別掲3のとおり (立体商標) 指定商品 第20類「椅子」 登録出願日 平成31年4月5日 設定登録日 令和2年4月6日 なお、引用商標1に係る出願は現在審査に係属中であり、引用商標2及び3に係る商標権はいずれも現に有効に存続している。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標はその指定商品中、第20類「たんす類,椅子類,家具,机類」について、商標法第8条1項及び同法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。 (1)本件商標について ア 複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、最高裁判決(昭和37年(オ)第953号、平成3年(行ツ)第103号、平成19年(行ヒ)第223号)に沿って判断されるべきである。 イ 本件商標の構成部分「PRO」及び「RACING」は、普通に用いられる方法で横並びに表記されており、外観上不可分といえる程には結合していない。また、本件商標は商標全体として一つの意味が生じないため、観念的に一体的でもない。さらに、称呼上も「プロレーシング」は音数が少ないわけでもなく、むしろ「プロ」と「レーシング」とに分断されやや冗長である。したがって、「PRO」と「RACING」とは、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していない。 本件商標の一部「PRO」は、「プロフェッショナル」の略語「プロ」に通ずる語であり、「専門的。職業的。」等を意味する(甲5)。また、本件商品の分野において、オフィス用や店舗用等の業務用の商品が多数存在することは周知な事実である。このような商品又はこれと同程度の品質の商品について「PRO」や「プロ」の語が広く使用されている(甲6?甲10)。このため、「PRO」の語は、商品の用途や性能を表す語であり、自他商品識別力を有しない。したがって、本件商標の一部「RACING」を抽出し他人の商標と比較することは許される。 一方、「RACING」の部分は、本件商品の分野において、特段商品の特徴を表す語ではないため、自他商品識別力を有する。したがって、自他商品識別力を有しない「PRO」の語と比較すると、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える。この点からも、本件商標の一部「RACING」を抽出し他人の商標と比較することは許される。 以上により、本件商標からは「レーシング」の称呼が生じ、「競争」の観念が生じる。 (2)引用商標について 引用商標1は、「RACING」の文字であると無理なく理解できるため、「レーシング」の称呼及び「競争」の観念が生じる。 引用商標2及び3は、「RACING」の英単語であると無理なく理解できる文字及び椅子の立体的形状を組み合わせた商標であり、いずれもそれらの構成態様等から、その構成中の文字部分「RACING」を抽出し他人の商標と比較することが許されるものである。以上により、引用商標2及び3からも「レーシング」の称呼及び「競争」の観念が生じる。 (3)本件商標と引用商標との対比 本件商標と引用商標との類否を検討すると、両商標は「レーシング」の称呼及び「競争」の観念が生じるため、称呼及び観念が同一である。 また、外観について、「RACING」の部分については、その綴り及び大文字である点が共通している一方で、引用商標は文字の装飾化が一般的となった昨今では特徴的ではなく、普通の書体である本件商標と異なった印象をもたらすものでもない。このため、両商標は、外観上も近似した印象を与えるというべきである。 したがって、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念が共通し、外観も近似した印象を与えるため、全体として商品の出所の混同を生じさせる類似の商標である。 (4)本件商標と引用商標の指定商品について 本件商標の指定商品のうち、「椅子類,家具」は引用商標の指定商品と包含関係にあるため同一であり、「たんす類,机類」は引用商標の指定商品と類似群コード(20AO1)が共通しており、類似する。 (5)むすび 以上により、本件商標は、引用商標1との関係では商標法第8条第1項の規定に、引用商標2及び3との関係では同法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 4 当審の判断 (1)本件商標 ア 本件商標は、上記1のとおり、「PRORACING」の欧文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「プロレーシング」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 イ なお、申立人は、本件商標は外観上不可分といえる程には結合していない、商標全体として一つの意味が生じず観念的に一体的でない、称呼は「プロ」と「レーシング」とに分断されやや冗長である、構成中の「PRO」の語は商品の用途や性能を表す語であり、自他商品識別力を有しないなどとして、本件商標は、その一部「RACING」を抽出し他人の商標と比較することは許されるものであり、「レーシング」の称呼、「競争」の観念が生じる旨主張している。 しかしながら、申立人提出の証拠によれば、「椅子」の商品説明などに「Pro」、「プロ用」、「プロ仕様」の文字が用いられているものがある(甲6?甲10)ものの、本件商標を構成する「PRORACING」の文字は標準文字により同書同大同間隔でまとまりよく一体に表されているものであり、かつ、これから生じる「プロレーシング」の称呼は7音構成であって無理なく一連に称呼し得るものであることからすれば、本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、その構成中「PRO」の文字部分を商品の品質、用途等を表示したものとして認識させることなく、むしろ、「PRORACING」の構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。 また他に、本件商標はその構成中「RACING」の文字部分を分離抽出し他人の商標と比較することが許されるというべき事情は見いだせない。 そうすると、本件商標は、「プロレーシング」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じないものといわなければならない。 したがって、申立人のかかる主張は採用できない。 (2)引用商標 引用商標1は、「RACING」の欧文字を別掲1のとおりの態様で表してなり、該文字に相応し、「レーシング」の称呼を生じ、「競争」の意味合い(観念)を想起させるものである。 引用商標2及び3は、別掲2及び3のとおりの構成からなり、それらの構成態様から、いずれもその構成中、引用商標1と同様の態様で表された「RACING」の文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものであって、該文字に相応し「レーシング」の称呼を生じ、「競争」の意味合いを(観念)を想起させるものである。 (3)本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標の類否を検討すると、まず、本件商標と引用商標1を比較すれば、外観において、両者の構成文字「PRORACING」と「RACING」とは、文字の書体及び文字数に差異を有するばかりでなく、綴りの比較においても語頭における「PRO」の文字の有無という差異を有するから、これらの差異が両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。 次に、本件商標から生じる「プロレーシング」と引用商標1から生じる「レーシング」の称呼を比較すると、両者は称呼の識別上重要な要素である語頭において、「プロ」の音の有無という差異を有し、その差異が称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。 さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないものであり、引用商標1は「競争」の意味合い(観念)を想起させるものであるから、両者は相紛れるおそれのないものである。 そうすると、本件商標と引用商標1は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。 その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。 また、上記のとおり本件商標と引用商標1は非類似の商標というべきものであるから、本件商標は、引用商標2及び3とも非類似の商標といえる。 したがって、本件商標は引用商標のいずれとも非類似の商標である (4)商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号該当性 上記のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の登録異議の申立て係る指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号に該当するものといえない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標の登録異議の申立て係る指定商品についての登録は、商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第11号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(引用商標1) 別掲2(引用商標2) (他の図面又は写真は省略した。) 別掲3(引用商標3) (他の図面又は写真は省略した。) |
異議決定日 | 2020-10-22 |
出願番号 | 商願2019-157279(T2019-157279) |
審決分類 |
T
1
652・
263-
Y
(W20)
T 1 652・ 261- Y (W20) T 1 652・ 4- Y (W20) T 1 652・ 262- Y (W20) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 内田 直樹、加藤 桜子 |
特許庁審判長 |
中束 としえ |
特許庁審判官 |
木村 一弘 黒磯 裕子 |
登録日 | 2020-03-23 |
登録番号 | 商標登録第6238532号(T6238532) |
権利者 | 筋斗雲株式会社 |
商標の称呼 | プロレーシング、レーシング |