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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
管理番号 1366329 
異議申立番号 異議2017-685012 
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-10-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-27 
確定日 2020-07-10 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1308693号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1308693号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1308693号商標(以下「本件商標」という。)は、「Motion Sharp」の欧文字を横書きしてなり、2016年(平成28年)5月16日に国際商標登録出願、第9類「Monitoring apparatus,electric;camcorders;cameras[photography];cordless telephones;speed measuring apparatus[photography];optical lenses;baby monitors;video baby monitors;mobile telephones / cell phones / cellular phones.」(参考和訳:モニター付監視装置,ビデオカメラ,カメラ(写真用のもの),コードレス電話機,被写体速度測定装置(ストロボ写真用のもの),光学レンズ,ベビーモニター,ビデオベビーモニター,移動電話機/携帯電話機/セルラー式電話機)を指定商品として、同年12月16日に登録査定、同29年2月17日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第1111387号商標
商標の態様 別掲のとおり
指定商品 第7類ないし第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 昭和46年10月20日
設定登録日 昭和50年3月17日
2 登録第1911145号商標
商標の態様 別掲のとおり
指定商品 第7類ないし第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 昭和59年7月20日
設定登録日 昭和61年11月27日
3 登録第2119886号商標
商標の態様 別掲のとおり
指定商品 第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 昭和59年8月23日
設定登録日 平成1年3月27日
4 登録第2275406号商標
商標の態様 別掲のとおり
指定商品 第1類及び第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 昭和63年5月20日
設定登録日 平成2年10月31日
5 登録第3256105号商標
商標の態様 別掲のとおり
指定商品 第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 平成6年1月27日
設定登録日 平成9年2月24日
6 登録第4687389号商標
商標の態様 別掲のとおり
指定商品 第9類及び第11類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 平成14年12月6日
設定登録日 平成15年6月27日
なお、以下、これらをまとめて「引用商標」という。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、本件商標は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第36号証を提出した。
1 第4条第1項第11号について
本件商標は英文字で表記した「Motion」と「Sharp」の語を組み合わせたものであり、各語の間のスペース、各語の語頭のみ大文字で表記していることから、外観上、明らかに両語が分離される表記となっている。「Motion」の語は、英語で「動き」を意味し(甲8)、写真機械や光学機器及び画像を扱う電子機器類の分野においては、被写体や動画の「動き」について使用されている語であることから識別力が弱い語である(甲9?甲16)。
これより、本件商標からは「シャープ」の称呼が生じ、引用商標からも同一の「シャープ」の称呼が生じ、かつ、本件商標と引用商標の指定商品は同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第10号及び第15号について
申立人は、1912年(大正元年)9月15日に創業し、1925年に生産を開始した鉱石ラジオに「シャープ」の銘を打って以来、ラジオ、テレビ、電卓等の電機製品について「シャープ」、「Sharp」及び「SHARP」の商標を使用してきており、1970年に社名を「シャープ株式会社」に変更してからは、引用商標は、より広く一般に知られることとなった。
本件商標は、著名な引用商標の指定商品に同一又は類似する商品について使用するものと認められる。
また、これまでの申立人の商品の販売実績や市場占有率の高さから、本件商標の指定商品の分野の需要者は、「Sharp」の語を含む本件商標が、その指定商品について使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第19号について
申立人は、1926年に中国、インド、東南アジア、南米などにラジオの輸出を初めており、1931年には香港に代理店を設置、1934年には上海に初の海外出張所を開設し、その後、継続的に海外展開に取り組み、本件商標の出願日以前には、出願人の本店所在地である中国に10拠点、中国を含む世界25ヶ国に連結子会社を有している(甲29)。
また、申立人は、中国において本件商標の出願日以前に「SHARP」商標を17件出願しており、本件商標と同一又は類似する商品を含む「SHARP」商標の登録も保有している(甲30?甲33)。
申立人の「SHARP」商標は、中国における異議申立事件において、2009年に著名性を認められ、「馳名商標」(中国語で「著名商標」の意味)として商標局から発表されている(甲34)。そして、申立人が2000年に発売した空気清浄機は2017年2月末までに世界累計販売台数が700万台を突破しており(甲35)、ギネス世界記録にも認定されている(甲36)。
これらの事実より、「SHARP」商標は本件商標の出願人の本店所在地のある中国を含む海外においても申立人の商標として広く認識されていると考えられるため、引用商標に類似する本件商標について出願を行っている出願人には、不正の目的があるものと類推される。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
第4 取消理由の通知
審判長は、本件商標権者に対して、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認められるから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて取り消すべきものである旨の取消理由を平成30年2月8日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
第5 本件商標権者の意見
本件商標権者は、前記第4の取消理由の通知に対し、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。
第6 当審の判断
1 引用商標の著名性について
申立人は、1912年(大正元年)9月15日に創業し、1925年に生産を開始したラジオに「シャープ」の商標を使用して以来、ラジオ、テレビ、電卓等の電機製品について「シャープ」、「Sharp」の文字からなる商標及び上記第2のとおり「SHARP」の欧文字からなる引用商標を継続して使用している。
そして、1970年に申立人の社名を「シャープ株式会社」に変更、1998年には、日本国際知的財産保護協会(AIPPI JAPAN)が発行した「日本有名商標集」にも掲載されるなど(甲17)、引用商標は本件商標の出願前より、申立人の業務に係る商品、いわゆる電機製品を表すものとして我が国において著名となっていたといえる。
また、申立人は、本件商標の指定商品と同一又は類似するコードレス電話機及び携帯電話機を日本国内において販売している(甲18、甲19)。モバイル系の調査会社MM総研の調査によれば、申立人は、日本国内の携帯電話及びスマートフォン市場において、2015年度から2010年まで6年連続でトップシェアを有しており(甲20)、最新の2016年度の統計においても第3位(10%)のシェアがある(甲21)。
申立人は2016年に、蚊取機能を有する空気清浄機(甲22、甲23)やモバイル型ロボット電話(甲24、甲25)等の商品を発売し、この2商品は、月刊時報誌「日経トレンディ」の「2016年ヒット商品ベスト30」にもランクインしている(甲26)。
また、2016年10月に出展した「CEATEC JAPAN」では、「高度広帯域衛星デジタル放送受信機」が総務大臣賞を受賞した(甲27)ほか、申立人の公式ツイッターの「中の人」が、関西を基盤に活躍したクリエイターに贈られる「佐治敬三賞」を受賞する(甲28)等、引用商標の著名性は本件商標の出願時及び登録査定においても継続していたものと認められる。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)出所の混同について
本件商標は、上記1のとおり、「Motion Sharp」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、構成全体をもって我が国において親しまれた観念を生じさせるものとは認め難いところである。
そして、本件商標中の「Sharp」の文字部分は、上記1認定のとおり、申立人の業務に係る電機製品を表すものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国において需要者の間に広く認識されていた引用商標と同一の綴り文字よりなるものである。
してみると、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「Sharp」の文字部分に強く印象付けられ、これを記憶するとみるのが相当である。
また、本件商標の指定商品と、申立人の業務に係るコードレス電話機及び携帯電話機を含む電機製品とは、共に一般の需要者が家電量販店等の場において目にし、購入する商品である。
したがって、本件商標の指定商品と引用商標が使用される商品との間には高い関連性があるといえる。
以上を総合勘案すると、本件商標をその指定商品に使用した場合は、これに接する取引者、需要者は、直ちに申立人の著名な引用商標を想起又は連想し、該商品が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれが高いというべきである。
(2)小括
以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標というべきものであるから、その登録は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認められるから、他の申立の理由について判断するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】

異議決定日 2018-10-15 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (W09)
最終処分 取消  
前審関与審査官 黒磯 裕子 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 大森 友子
田中 幸一
登録日 2016-05-16 
権利者 BOLY MEDIA COMMUNICATIONS (SHENZHEN) CO., LTD.
商標の称呼 モーションシャープ、モーション、シャープ 
代理人 堅田 裕之 

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