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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X21
審判 査定不服 外観類似 登録しない X21
審判 査定不服 観念類似 登録しない X21
審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない X21
管理番号 1365082 
審判番号 不服2019-13025 
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-30 
確定日 2020-07-30 
事件の表示 商願2017-69604拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第21類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成23年5月14日に登録出願された商願2011-32969を原登録出願として、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(以下「分割出願」という。)が9回なされた後、商願2015-129966を原登録出願とした分割出願として、同29年5月23日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同30年10月18日受付の手続補正書及び令和元年5月14日受付の手続補正書により、最終的に、第21類「プラスチック製清掃用バケツ」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
(1)原査定は、「本願商標は、次の(2)の登録第4013748号商標(以下『引用商標』という。)と類似の商標であって類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおりの構成からなり、平成4年12月4日に登録出願され、第21類「清掃用具及び洗濯用具」を指定商品として、同9年6月20日に設定登録され、その後、指定商品については、商標登録の取消し審判がなされた結果、第21類「掃除用スポンジ及び掃除用柄付きスポンジを除く、清掃用具及び洗濯用具」についての登録を取り消すべき旨の審決が確定し、同31年2月21日にその確定審決の登録がされ、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、円と左括弧(「)様の図形を組み合わせてなる図形(以下「本願図形部分」という。)を左側に配置し、右側に、「B」の文字をややデザイン化してなる「TONBO」の欧文字を、サンセリフの太字の書体で表してなる(以下「本願文字部分」という。)、文字と図形との結合商標である。
まず、本願商標の外観についてみるに、本願図形部分及び本願文字部分は、いずれも重なることなく配置されており、当該図形と文字とが視覚的に分離して看取され得るといえるものである。
次に称呼についてみるに、本願図形部分は、特定の文字又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、これより称呼は生じず、本願文字部分は、構成文字に相応して「トンボ」の称呼を生じるものである。
さらに、観念についてみるに、本願図形部分は、上記のとおり、特定の文字等を表すものと認識されないものであるから、本願図形部分からは特定の観念は生じないものである。他方、本願文字部分である、「TONBO」の文字は、「トンボ」又は「とんぼ」のローマ字表記といえるから、これからは、親しまれた語である「とんぼ(昆虫)」を想起するのが自然であり、「とんぼ(昆虫)」の観念を生じるものである。そして、その指定商品との関係において、本願図形部分と本願文字部分が結びついて特定の観念を生じるという事情は見いだせない。
そうすると、本願商標は、本願図形部分と本願文字部分とが、それぞれを分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているものということはできず、本願図形部分及び本願文字部分それぞれが独立して、自他商品の識別標識として機能し得るというのが相当である。
そして、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中、はっきりと明瞭に表され、称呼しやすい欧文字からなる「TONBO」の文字部分に着目し、これを記憶にとどめて取引にあたる場合も少なくないというのが相当である。
以上からすると、本願文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるから、本願商標は、当該「TONBO」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものである。
したがって、本願商標は、要部である「TONBO」の文字部分から「トンボ」の称呼が生じ、「とんぼ(昆虫)」の観念が生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、「TOMBO」の欧文字をサンセリフの書体で横書きした文字(以下「引用文字部分」という。)を左側に配置し、右側に、尖った部分を下にした直角三角形を二つつなげてなる図形(以下「引用図形部分」という。)を配置してなる、文字と図形との結合商標である。
まず、引用商標の外観についてみるに、引用文字部分及び引用図形部分は、いずれも重なることなく配置されており、当該文字と図形とが視覚的に分離して看取され得るといえるものである。
次に称呼についてみるに、引用図形部分は、特定の文字又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、これより称呼は生じず、引用文字部分は、構成文字に相応して「トンボ」の称呼を生じるものである。
さらに、観念についてみるに、引用図形部分は、上記のとおり、特定の文字等を表すものと認識されないものであるから、引用図形部分からは特定の観念は生じないものである。他方、引用文字部分である、「TOMBO」の文字は、前記(1)の「TONBO」と同様に、「トンボ」又は「とんぼ」をローマ字表記したものと理解できるから、「とんぼ(昆虫)」の観念を生じるものである。そして、その指定商品との関係において、引用図形部分と引用文字部分が結びついて特定の観念を生じるという事情は見いだせない。
そうすると、引用商標は、引用文字部分と引用図形部分とが、それぞれを分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているものということはできず、引用文字部分及び引用図形部分それぞれが独立して、自他商品の識別標識として機能し得るというのが相当である。
そして、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、引用商標に接する取引者、需要者は、その構成中、はっきりと明瞭に表され、称呼しやすい欧文字からなる「TOMBO」の文字部分に着目し、これを記憶にとどめて取引にあたる場合も少なくないというのが相当である。
以上からすると、引用文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるから、引用商標は、当該「TOMBO」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものである。
したがって、引用商標は、要部である「TOMBO」の文字部分から「トンボ」の称呼が生じ、「とんぼ(昆虫)」の観念が生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標の要部と引用商標の要部との外観を比較すると、中間に位置する「N」と「M」の文字の差異を有するものの、それ以外の文字つづりの全てを共通にするものであって、異なる「N」と「M」についても、「ん」の文字を欧文字で表す際には「N」又は「M」と一般的に表記されることに鑑みれば、該差異が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。なお、本願商標構成中の「B」の文字の態様についても、様々なレタリング手法が広く用いられている状況にあっては、決して特殊な書体とはいえないものであり、引用商標の要部との比較において、これをもって明らかに区別できるものということはできない。
そして、本願商標の要部と引用商標の要部とは、「トンボ」の称呼及び「とんぼ(昆虫)」の観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標の要部と引用商標の要部は、「トンボ」の称呼及び「とんぼ(昆虫)」の観念を共通にし、外観における差異が称呼及び観念の同一性をしのぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものであるから、これらの外観、称呼、及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合勘案すれば、これらは相紛れるおそれがあるものといえる。
したがって、本願商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある類似する商標というのが相当である。
(4)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本願商標の指定商品「プラスチック製清掃用バケツ」(以下「本願商品」という。)と、引用商標の指定商品である「掃除用スポンジ及び掃除用柄付きスポンジ」(以下「引用商品」という。)との類否について検討する。
商標法第4条第1項第11号における商品の類否判断は、取引の実情、すなわち、ア)生産部門が一致するかどうか、イ)販売部門が一致するかどうか、ウ)原材料及び品質が一致するかどうか、エ)用途が一致するかどうか、オ)需要者の範囲が一致するかどうか、カ)完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して判断をすべきものであり、その類否は、2つの商品に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断すべきものであるから、以下、上記の点について、検討する。
ア 生産部門について
別掲3(1)のとおり、プラスチック製の掃除用バケツと、掃除用スポンジ(柄付を含む。)とが、清掃用品等の製造販売を行う企業において、製造販売されている事実がある。
イ 販売部門について
本願商品と引用商品とが、スーパー等店頭販売において日用雑貨・掃除用品等の同一エリアで取り扱われ、別掲3(2)のとおり、プラスチック製の掃除用バケツと、掃除用スポンジ(柄付を含む。)とが、オンラインショッピング等のネット販売において清掃用品・掃除用品等の同一カテゴリー内で販売されている事実がある。
ウ 原材料及び品質について
本願商品と引用商品は、いずれの商品においても、プラスチック(合成樹脂)を主たる原材料とする商品が相当数存在している。
エ 用途について
本願商品は、「プラスチック製清掃用バケツ」であり、汚れた雑巾を洗うため等に水を入れる器である。引用商品は、「掃除用スポンジ及び掃除用柄付きスポンジ」であり、汚れを落として室内等をきれいに保つために使用するスポンジからなる掃除用具である。
このように、本願商品と引用商品とは、いずれも汚れを落とし室内等をきれいに保つために使用する道具であるから、両者は、清掃用の簡易な道具といえるものである。
オ 需要者について
本願商品と引用商品とは、いずれも家庭内でも使用される日用品であるから、その主たる需要者は、いずれも一般の消費者である。
カ 小括
以上からすると、本願商品と引用商品とは、生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者を共通にするものであるから、両者について、同一又は類似する商標が使用された場合には、これに接する取引者、需要者は、その商品の製造及び販売が、同一の者によるものであると誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがあるというべきであるから、両者は互いに類似する商品である。
(5)請求人の主張について
請求人は、最高裁判決(昭和33年(オ)第1104号同36年6月27日第三小法廷)等を挙げて、本願商品と、引用商品とは、同一メーカーで製造することがないから、本件と判例とは事案を異にし、類似する商品には該当しない旨、主張している。
しかしながら、前記(4)のとおり、本願商品と引用商品とは、生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者のいずれも共通にし、同一メーカーで製造販売されることがあることからすると、本願商品と、引用商品とは、同一営業主の販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められるから、請求人の主張は採用できない。
(6)まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、その指定商品に類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1(本願商標)


別掲2(引用商標)


別掲3(本願商品と引用商品との類否に関する内容)(合議体注:下線は当審の合議体が付したものである。以下、引用箇所において同じ。)
(1)本願商品と引用商品の生産部門について
本願商品と引用商品は、以下アないしエのとおり、同一のメーカーにおいて生産されている事実がある。
ア 「通販モノタロウ」のウェブサイトにおいて、メーカー名「TRUSCO」の下、掃除用具として「PPバケツ」、「吸水スポンジ」等が、販売されている。
https://www.monotaro.com/g/01002944/?t.q=%83o%83P%83c
https://www.monotaro.com/g/01239057/?t.q=%83X%83%7C%83%93%83W
イ 「通販モノタロウ」のウェブサイトにおいて、メーカー名「ラバーメイド」の下、掃除用具として「BRUTE バケツ」、「スポンジモップ」等が、販売されている。
https://www.monotaro.com/g/02383264/?t.q=%83o%83P%83c
https://www.monotaro.com/g/03485800/?t.q=%83X%83%7C%83%93%83W
ウ 「通販-ASKUL(公式)」のウェブサイトにおいて、メーカー名「テラモト」の下、掃除道具/洗濯用品として「仕切付きバケツII」、「スポンジモップ」等が、販売されている。
https://www.askul.co.jp/p/P686894/
https://www.askul.co.jp/p/P212580/
エ 「通販-ASKUL(公式)」のウェブサイトにおいて、メーカー名「山崎産業」の下、掃除道具/洗濯用品として「小物入れバケツ」、「PVAスポンジワイパー」等が、販売されている。
https://www.askul.co.jp/p/K766829/
https://www.askul.co.jp/p/8200330/
(2)本願商品と引用商品の販売部門について
本願商品と引用商品は、以下アないしエのとおり、同一の商品カテゴリーにて販売されている事実がある。
ア 「Yahoo!ショッピング」のウェブサイトにおいて、「キッチン、日用品、文具」内の「掃除用具」のカテゴリーにおいて、「バケツ、ポリバケツ」、「浴室用スポンジ」、「台所用スポンジ」等が、販売されている。
https://shopping.yahoo.co.jp/category/2508/3968/3975/list?sc_i=shp_pc_catelist_nrwcgt
https://shopping.yahoo.co.jp/category/2508/3968/49586/list?sc_i=shp_pc_catelist_nrwcgt
https://shopping.yahoo.co.jp/category/2508/3968/49585/list?sc_i=shp_pc_catelist_nrwcgt
イ 「Amazon」のウェブサイトにおいて、「ホーム&キッチン」内の「掃除用品」のカテゴリーにおいて、「バケツ」、「キッチンスポンジ」、「浴室掃除用スポンジ」等が、販売されている。
https://www.amazon.co.jp/b/?node=13945141&ref_=Oct_s9_apbd_odnav_hd_bw_bG43z_10&pf_rd_r=Y5M0F4YJRE93X37NY95B&pf_rd_p=76f2084e-1c2c-57ea-97aa-61b1cb133e9c&pf_rd_s=merchandised-search-12&pf_rd_t=BROWSE&pf_rd_i=3828871
ウ 「通販|無印良品」のウェブサイトにおいて、「掃除用品」のカテゴリーにおいて、「バケツ・手ほうき」として、「ポリプロピレンバケツ」等が、「消耗品・詰替え品」として、「ウレタンフォーム三層バススポンジ」等が、「隙間掃除シリーズ」として、「隙間掃除シリーズ・スポンジ」等が、販売されている。
https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/section/S107030604
https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/section/S107030603
https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/section/S107030602
エ 「ホームセンター通販のカインズ」のウェブサイトにおいて、「清掃用品・掃除用品」のカテゴリーにおいて、「バケツ」、「スポンジ」、「キッチンスポンジ」等が、販売されている。
https://www.cainz.com/shop/c/c26/
オ 「楽天市場」のウェブサイトにおいて、「日用品雑貨・文房具・手芸」内の「掃除用品」のカテゴリーにおいて、「バケツ」、「スポンジ」等が、販売されている。
https://www.rakuten.co.jp/category/100658/
https://www.rakuten.co.jp/category/568229/


審理終結日 2020-05-26 
結審通知日 2020-05-27 
審決日 2020-06-15 
出願番号 商願2017-69604(T2017-69604) 
審決分類 T 1 8・ 264- Z (X21)
T 1 8・ 263- Z (X21)
T 1 8・ 261- Z (X21)
T 1 8・ 262- Z (X21)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 啓之和田 恵美 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 黒磯 裕子
板谷 玲子
商標の称呼 トンボ 
代理人 神保 欣正 

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