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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 |
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管理番号 | 1363295 |
異議申立番号 | 異議2020-900010 |
総通号数 | 247 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-07-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-01-17 |
確定日 | 2020-06-01 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6191300号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6191300号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6191300号商標(以下「本件商標」という。)は、「COIN PARKING DELIVERY」の欧文字及び「コインパーキングデリバリー」の片仮名を上下二段に表してなり、平成30年12月19日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、令和元年9月5日に登録査定、同年10月25日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、引用する商標(以下「引用商標」という。)は、「COIN PARKING DELIVERY」の欧文字を表してなるものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同項第10号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。 1 商標法第4条第1項第8号について (1)引用商標について 引用商標は、本件商標の出願前の平成30年3月28日より、申立人が主に「ロゴ・ファッション・空間デザイン」のアーティスト活動に際して、雅号又は芸名として、使用しているものである。 申立人が、インタビュー記事において答えているように、「COIN PARKING DELIVERY」は造語、すなわち、申立人が自ら創作したものである(甲2)。 実際に、申立人は、東京都渋谷区にある街頭ビジョンに引用商標を付したデザインを映し出し(甲3)、「インスタグラム」(本申立て時点でフォロワー数4206人)を始めとするSNS等や雑誌に取り上げられるなどして、引用商標を使用し、アーティスト活動をしていた(甲4及び甲5)。申立人は、引用商標を付したTシャツやパーカー等(被服)をデザインし、販売していた(甲6及び甲7)。 さらに、本件商標の出願日直後である平成31年2月16日からは、イギリス企業であるデリーゴビジョンが運営するブランドである「POLICE」とコラボレーションして、本件商標の英語部分を明示した企画展の実施及びコラボレーション商品を販売した。企画自体は、本件商標の出願日直後である平成31年1月11日から進んでいたのであり(甲8)、「POLICE」としては、本件商標の出願以前より、申立人及び引用商標を認識していた。 このように、引用商標は、申立人の雅号又は芸名であり、活動状況からしても「著名な」ものであるといえる。 (2)本件商標と引用商標について 本件商標は、本件商標の英語部分と本件商標の片仮名部分からなるところ、本件商標の片仮名部分は、本件商標の英語部分の発音を片仮名表記したにすぎないものである。 そうすると、本件商標は、申立人の雅号又は芸名である引用商標を含む商標である。 2 商標法第4条第1項第10号について (1)引用商標について 引用商標である「COIN PARKING DELIVERY」は、「ロゴ・ファッション・空間デザイン」に使用されている(甲1)。 申立人は、引用商標を使用し、2018年9月24日にはファッション販売サイトを開設した(甲9)。また、引用商標に関し、主にインターネットサイトや「インスタグラム」、「ツイッター」等のSNSに使用されていた。 (2)「他人の業務に係る商品・・・を表示」するもの 申立人は、本件商標の出願前から、本件商標の英語部分と同一である引用商標を、アーティスト名として使用したり、Tシャツやパーカー等の被服類に使用をして販売したりしていた(甲6)。かかる申立人の業務は、「インスタグラム」や「ツイッター」等のSNSにより周知されていて、また、全国紙の雑誌やインターネット記事等でも周知されていた(甲5等)から、他人である申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものである。 (3)「需要者の間に広く認識されている商標」 申立人による引用商標の使用状況は、平成30年3月28日に引用商標を使用して活動を開始、同年9月8日から15日に渋谷駅前街頭ビジョンにスクリーニング企画の実施(甲3)、同月24日にインターネットに販売サイトを開設(甲9)、同月17日から23日に東京都渋谷区で個展を開催、活動内容に「ファッション」と表記(甲1)、同年10月21日に「NYLON JAPAN」12月号に紹介記事が掲載、同年12月1日に本件商標を出願、平成31年2月16日に「POLICE」との店舗コラボレーションを企画した。 この間に、本件商標の英語部分と同一である引用商標を付したパーカー、Tシャツ等の被服を販売していた(甲6)。 このような経緯からすれば、引用商標については、需要者の間に広く認識されている商標であることは明らかである。 (4)「その商品…について使用するもの」 本件商標は、引用商標と同一である商品(第25類「被服」)に使用するものである。 3 商標法第4条第1項第15号について (1)引用商標について 引用商標は、「COIN PARKING DELIVERY」の表記からなり、本件商標の英語部分と同一である。 申立人は、平成30年3月28日から、引用商標を使用しアーティスト活動等を開始(甲1)しており、その活動の一環として、平成30年頃より、引用商標を付したTシャツ、パーカー(被服)の製造販売の業務をしていた(甲1、甲6及び甲9等)。 かかる被服は、インターネットを始め、イベント等でも販売されており、全国紙の雑誌等でも広告されているなどして、広く周知されていた。 引用商標は、本件商標の出願時においても、ファッション業界において、広く周知されていたものであるといえる。 (2)本件商標と引用商標について 本件商標の片仮名部分は、本件商標の英語部分の発音を片仮名表記したにすぎないものであり、本件商標の英語部分と引用商標とは称呼、観念、外観において全く同一であるから、本件商標が、その指定商品について使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生じるおそれがあることは明らかである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知著名性について (1)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。 ア 2018年(平成30年)9月14日付けのインターネット上の記事において、申立人は、「携帯で絵を描く独特のスタイルで『COIN PARKING DELIVERY』という名で活動し、アートだけでなく、服のデザインなども幅広く手がける若手のアーティスト」として紹介されている(甲2)。 イ 申立人は、2018年(平成30年)9月17日から同月23日までの間、東京都渋谷区において自身の個展を開催し、当該個展のチラシには、引用商標が表示されている(甲1及び甲2)。 ウ 2018年(平成30年)9月8日から同月15日までの間、東京都渋谷区の街頭ビジョンにおいて、申立人のデザインとともに引用商標が表示された(甲3及び申立人の主張)。 エ 申立人は、引用商標を付したTシャツやパーカー等をデザインし、販売を行っており、2018年(平成30年)11月4日にその商品11着が販売された(甲6、甲7、甲9及び申立人の主張)。 (2)前記(1)で認定した事実によれば、申立人は、引用商標を自身の雅号又は芸名として使用し、そのことがインターネット上の記事で紹介されるとともに、自身の作品を個展や街頭ビジョンにおいて引用商標とともに展示しており、また、引用商標を付したTシャツやパーカー等をデザインし、販売していることが認められる。 しかしながら、引用商標が申立人の雅号又は芸名として紹介されたインターネット上の記事は1回だけであり、引用商標とともに展示された申立人の作品の個展や街頭ビジョンについても、その参加人数や規模等の詳細は不明であり、また、その期間は数日のみであり、場所も東京都渋谷区のみであることからすると、引用商標が申立人の雅号又は芸名として著名なものとなっているとは認めることができない。 また、申立人がデザインし販売している引用商標を付したTシャツやパーカー等についても、販売数が多いとはいえず、そのため、引用商標は、申立人の業務に係るTシャツ及びパーカー等の商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。 (3)申立人の主張について ア 申立人は、「インスタグラム」を始めとするSNS等や雑誌に取り上げられている旨主張している。 しかしながら、「インスタグラム」の画像(甲4)及び雑誌「NYRON JAPAN」(甲5)には、引用商標が表示されていることは認められるものの、これらの証拠は、その掲載日又は発行日が不明であるから、これらの証拠によって、本件商標の登録出願時及び登録査定時における引用商標の周知著名性を推し量ることはできない。 仮に、これらの掲載日又は発行日が、本件商標の登録出願時又は登録査定時の前であったとしても、「インスタグラム」のフォロワー数(4,206人)は多いとはいえず、また、雑誌への掲載が1回だけであることからすると、前記(2)の判断を左右するものではない。 イ 申立人は、イギリス企業が運営するブランドである「POLICE」とコラボレーションして、引用商標を明示した企画展の実施及びコラボレーション商品を販売した旨主張し、企画書(甲8)を提出している。 しかしながら、当該企画書の表紙に引用商標が記載されていることは認められるものの、当該企画書には、企画展及びコラボレーション商品において、引用商標が明示されていることを示す記載は一切なく、そのため、当該企画展及びコラボレーション商品において、引用商標が使用されていることを認めることはできない。 したがって、当該企画書によって、前記(2)の判断は左右されない。 2 商標法第4条第1項第8号該当性について 前記1(2)のとおり、引用商標は、申立人の雅号又は芸名として著名なものとなっているとは認めることができない。 そうすると、本件商標は、その構成中に、引用商標と同一の構成文字である「COIN PARKING DELIVERY」の文字を有するとしても、他人の著名な雅号又は芸名を含む商標ということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について 前記1(2)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係るTシャツ及びパーカー等の商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。 そうすると、たとえ、本件商標が引用商標に類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品に使用をするものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 また、たとえ、本件商標と引用商標との類似性の程度及び引用商標の独創性の程度が高く、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性があり、その需要者を共通にするとしても、前記1(2)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係るTシャツ及びパーカー等の商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認めることはできず、周知著名性の程度が低いことからすると、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはないといわなければならない。 そうすると、本件商標の商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合に、取引者、需要者をして、その商品が、申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 また、他に、本件商標と引用商標とが取引者、需要者において出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同項第10号及び同項第15号に該当するものではなく、その登録は同項の規定に違反してされたものではない。 他に、本件商標の登録が、商標法第43条の2各号のいずれかに該当するというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2020-05-19 |
出願番号 | 商願2018-165143(T2018-165143) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W25)
T 1 651・ 23- Y (W25) T 1 651・ 255- Y (W25) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 内田 直樹、小林 大祐 |
特許庁審判長 |
中束 としえ |
特許庁審判官 |
山田 啓之 木村 一弘 |
登録日 | 2019-10-25 |
登録番号 | 商標登録第6191300号(T6191300) |
権利者 | 井出 康昭 鈴木 慎一朗 |
商標の称呼 | コインパーキングデリバリー |
代理人 | 北村 二朗 |