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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1362558 
異議申立番号 異議2019-900127 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-04-19 
確定日 2020-05-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第6121826号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6121826号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6121826号商標(以下「本件商標」という。)は,「WOSPORTS」の文字を標準文字で表してなり,平成30年11月5日に登録出願,第9類「ゴルフ用の距離計」を指定商品として,同年12月26日に登録査定,同31年2月15日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において,本件商標が商標法第3条第1項柱書,同法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,「CLASS 9:Eyeglasses; Hunting binoculars; Pedometers; Periscopes; Spectacles;Speedometers for vehicles; Transmitters of electronic etc.」(参考訳:眼鏡,狩猟用双眼鏡,歩数計,乗物用の速度計 など)を指定商品とする米国商標登録第5544561号商標及び「第9類 測距儀,ゴルフ用の距離計,トレイルカメラ,水中カメラ」を指定商品とする商願2019-16066号商標である。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第3条第1項柱書,同法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第31号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項柱書について
本件商標権者による本件商標の登録出願行為は,申立人の使用する商標について出願し,登録された商標を収集しているにすぎない行為であって,本件商標は,これまで本件商標権者により自己の業務に係る商品又は役務について使用されていない上,本件商標権者には,将来自己の業務に係る商品又は役務について使用する意思も認められないから,本件商標は商標法第3条第1項柱書に違反する。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標権者による本件商標の登録出願行為は,申立人に対して本件商標を買い取らせる目的又は申立人の事業活動を阻害する目的(不正な目的)をもって剽窃的に出願したものである。
したがって,本件商標権者による当該出願は,健全な法感情に照らし条理上許されず,商標法の目的(商標法第1条)にも反し,公正な商標秩序を乱すものであるから,本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は,その登録出願前から,申立人が「ゴルフ用の距離計」に使用して,需要者の間で広く知られた引用商標と社会通念上同一であり,かつ,指定商品「ゴルフ用の距離計」は申立人が使用する前記商品と同一又は類似であるから,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は,その登録出願前から,申立人が「ゴルフ用の距離計」について使用して,需要者の間で広く知られた引用商標と社会通念上同一であり,その指定商品「ゴルフ用の距離計」に使用された場合には,商品の出所について混同を生じるおそれがあるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は,その登録出願前から,申立人が「ゴルフ用の距離計」に使用して,日本及び米国における需要者の間で広く知られた引用商標と社会通念上同一であるところ,本件商標権者による本件商標の登録出願行為は,申立人が商標登録出願を行っていないことに乗じて,申立人に対して本件商標を買い取らせる目的又は申立人の事業活動を阻害する目的(不正な目的)をもって使用するものと認められるから,商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項柱書該当性について
商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは,少なくとも登録査定時において,現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標,あるいは,将来,自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される(平成24年5月31日 知財高裁 平成24(行ケ)第10019号)。
そうすると,本件商標権者が,本件商標の登録査定時において,本件商標を自己の業務に係る指定商品について現に使用をしていなくとも,将来においてその使用をする意思があれば,本件商標は,商標法第3条第1項柱書の要件を具備するといえるところ,申立人が提出する全証拠によっても,本件商標権者が,本件商標の登録査定時において,将来,自己の業務に係る指定商品に本件商標を使用する意思を有していたことを否定するに足りる事実は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものとはいえない。
(2)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば,以下のとおりである。
(ア)申立人は,2006年(平成18年,審決注:甲5によれば「2004年」(平成16年)である。)4月6日に創業された中国法人(有限責任公司)であって,「ゴルフ用の距離計」の商品に「WOSPORTS」というブランドを展開している(甲5,甲6)。
また,引用商標は,米国において2017年(平成29年)12月に登録出願,翌年8月に登録され,また,我が国において2019年(平成31年)1月に登録出願された(甲2,甲3)。
(イ)我が国において,「Amazon」上のオンラインストアである「wopet-jp」において,「WOPET」ブランドの商品(ペット用自動給餌器など)とともに,「WOSPORTS」ブランドの商品を販売し,「WOSPORTS」ブランドの「ゴルフ用の距離計」は,日本のAmazonでは2018年(平成30年)8月から販売(取扱)が開始された旨主張しているが,これを立証する甲第7号証の1及び2は,その掲載日が不明であり,甲第7号証の3は,引用商標を確認することができず,甲第7号証の4は,引用商標及び申立人のゴルフ用の距離計の表示がなく,かつ,その掲載日も不明であり,甲第7号証の5もその掲載日が不明である。
(ウ)Amazonのウェブサイトの「ゴルフスコープ・距離計」の商品カテゴリーで,申立人のゴルフ用の距離計が紹介され(甲8),「このレーザ距離計は5?600mまでの距離や角度を測定したり対象物の移動速度など測れるAmazonでベストセラー1位となっている商品です。」と記載されている(甲9)旨主張しているが,その記載内容は客観性及び信ぴょう性が低いものである。
また,楽天市場の「BIYOUKAN」において,申立人のゴルフ用の距離計が販売(転売)されている(甲10)旨主張しているが,1件のみの証拠をもって人気が高いということはできない。
(エ)申立人のゴルフ用の距離計は,米国の「GOLF RANGEFINDER.COM」のウェブサイトにおいて,本件商標の出願前である2018年(平成30年)6月の時点で「WOSPORTS」ブランドの「ゴルフ用の距離計」が「”Wosports”ゴルフ距離計”は可能な限り万能で多機能です。」と評価されている(甲11)旨主張しているが,1件のみのレビュー記事をもって米国での評価が高いということはできない。
また,Youtubeには,「WOSPORTS」ブランドの「ゴルフ用の距離計」のレビュー動画が多く投稿され,同投稿動画も,「2018/01/02に公開された動画が1万8078回」,「2018/07/24に公開された動画が8011回」,「2018/10/04に公開された動画が6361回」,「2018/10/06に公開された動画が163回」の視聴がされている(甲12?甲16)旨主張しているが,視聴回数の時期が不明であり,かつ,全世界的に視聴可能な状況において,これらの視聴回数をもって人気や評価が高いということはできない。
(オ)Google及びYAHOO!JAPANのインターネット検索エンジンで「WOSPORTS」をキーワードとして検索すると,申立人の「ゴルフ用の距離計」が上位に表示される(甲17,甲18)旨主張しているが,インターネット検索の検索結果の表示位置は関心の高さを表しているとしても,それが周知性の判断において考慮されるものではない。
(カ)申立人は,上記(ア)ないし(オ)によれば,引用商標は,本件商標の出願時において,申立人の商標として需要者の間に広く知られていたと推認される旨主張しているが,上記のとおり,申立人が提出した証拠からは,申立人の主張を裏付ける客観的な事実を確認することはできない。
イ 上記ア(ア)によれば,申立人は2004年(平成16年)創業の会社であって,「ゴルフ用の距離計」の商品販売を主たる業務としつつ,ペット用自動給餌器等の販売を展開し,米国を中心に遅くとも2018年(平成30年)1月から,また,我が国においては同年8月から販売していることが認められる。
しかしながら,上記ア(カ)によれば,引用商標が本件商標の出願時において,申立人の商標として需要者の間に広く知られていたと推認されるとの申立人の主張は,申立人が提出した証拠からはその主張を裏付けるものがないため,採用することができない。
また,引用商標についての使用開始時期及び使用地域等,引用商標が使用をされた商品についての売上高,市場シェアなどの販売実績,並びに引用商標に係る広告宣伝の費用,方法,回数及び期間などについては,その事実を量的に把握することができる証拠は何ら提出されていない。
そうすると,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標及び引用商標は,前記1及び2のとおり,いずれも「WOSPORTS」の欧文字からなるものであるから,同一又は類似する商標と認められる。
しかしながら,引用商標は,上記(2)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
そうすると,本件商標に係る指定商品と引用商標に係る商品が同一又は類似するものであるとしても,本件商標は,他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標とはいえない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は,上記(2)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
そして,本件商標と引用商標との類似性の程度が高く,本件商標に係る指定商品と引用商標に係る商品に共通性があり,需要者を共通にする場合があったとしても,本件商標をその指定商品について使用したときに,取引者,需要者をして,これを申立人又は申立人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じるおそれがある商標とはいえない。
また,その他に,本件商標と引用商標とが取引者,需要者において出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は,上記(3)のとおり,本件商標と同一又は類似する商標であるとしても,上記(2)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであるから,商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(6)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は,前記1のとおり,「WOSPORTS」の欧文字からなるものであり,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。
また,本件商標は,これをその指定商品に使用することが社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものではなく,さらに,その使用が他の法律によって禁止されているもの,外国の権威や尊厳を損なうおそれがあって,国際信義に反するものでものでもない。
加えて,申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても,本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足る具体的事実も見いだせない。
なお,申立人は,本件商標権者による本件商標の登録出願行為は,申立人に対して本件商標を買い取らせる目的又は申立人の事業活動を阻害する目的(不正な目的)をもって剽窃的に出願したものである旨主張し,これを立証するために甲第29号証を提出している。
しかしながら,当該証拠には,本件商標権の譲渡交渉における価格交渉の過程が記録されているところ,その通信内容からは本件商標権者が申立人に損害を与えたり,その信用や名声を傷つけたりする意図は明らかでなく,他に,本件商標が不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる事実は見いだせないことから,申立人の主張を採用することはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(7)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものではなく,同法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,その登録は,同法第3条及び同法第4条第1項の規定に違反してされたものではない。
その他,本件商標の登録について,取り消すべき理由は見いだせない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲 別掲1(引用商標)


異議決定日 2020-04-22 
出願番号 商願2018-137648(T2018-137648) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W09)
T 1 651・ 25- Y (W09)
T 1 651・ 22- Y (W09)
T 1 651・ 271- Y (W09)
T 1 651・ 18- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小林 裕子 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 小俣 克巳
半田 正人
登録日 2019-02-15 
登録番号 商標登録第6121826号(T6121826) 
権利者 WES株式会社
商標の称呼 ウオスポーツ、ダブリュウオオスポーツ 
代理人 林 雅仁 
代理人 磯田 一真 

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