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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1361758 
異議申立番号 異議2019-900219 
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-08-09 
確定日 2020-03-24 
異議申立件数
事件の表示 登録第6144348号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6144348号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6144348号商標(以下「本件商標」という。)は、「丸隆」の漢字を横書きしてなり、平成30年5月24日に登録出願、「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同31年3月20日に登録査定され、令和元年5月17日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれも申立人が、商品「マッサージ器」等について使用し、同人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると主張するものである。
(1)「MARUTAKA」の欧文字からなる商標(以下「引用商標1」という。)
(2)「マルタカ」の片仮名からなる商標(以下「引用商標2」という。)

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定役務中、第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「申立役務」という。)について、商標法第4条第1項第10号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第83号証(枝番号を含む。)を提出した(なお、甲第83号証は、登録異議申立書の補正のできる期間経過後に提出されたものである。)。
(1)商標の類似性について
ア 本件商標
本件商標は、「丸隆」の漢字をゴシック調の文字で普通に用いられる方法で横書きしてなるものであり、「マルタカ」の称呼が生じ、該「丸隆」の語は国語辞典に掲載されていない(甲74)造語であることから、特定の観念を生じない。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、その使用態様は異なるが、いずれも「MARUTAKA」の欧文字を一連に書してなるものであり(甲2?甲66)、「マルタカ」の称呼が生じる。
(イ)引用商標2は、「マルタカ」の片仮名を一連に書してなるものであり(甲2?甲66)、「マルタカ」の称呼が生じる。
ウ 本件商標と引用商標の比較
本件商標と引用商標を比較すると、いずれからも「マルタカ」の称呼のみが生じ、両商標の称呼は同一である。両商標の外観は異なるが、両商標とも特定の観念が生じないことを考え合わせれば、外観の相違は、称呼の同一性を凌駕するほどのものとはいえず、両商標が同一又は類似する商品又は役務に使用された場合には、その商品又は役務の出所について混同を生じるおそれがあるといえるから、両商標は相互に類似する。
(2)商品、役務の類似性について
本件商標の申立役務は、「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であり、申立人が引用商標を使用する商品は、マッサージ器、電位治療器、電子治療器などであって(甲2?甲66)、本件商標の申立役務は、引用商標が使用される商品「マッサージ器」等と類似する。
(3)引用商標の周知性について
ア 申立人
申立人は、昭和39年に設立された「丸高興業株式会社」を前身とし、株式会社マルタカテクノ及び株式会社マルタカ・パルスなどのグループ会社(甲75?甲78)を通じて、遅くとも昭和58年以降、継続して引用商標を付したマッサージ器等を製造、販売している(甲2?甲66)。
イ 引用商標を付した商品の販売実績
引用商標を付した商品の販売実績は、平成16年ないし同30年(各年)が販売数量23万個ないし95.7万個、売上金額3.0億円ないし42.3億円、平成31年(7月30日まで)が販売数量3.5万個、売上金額6.9億円であり、平成16年ないし同31年の累計は販売数量654.4万個、売上金額478.9億円であった(甲67)。
また、パンフレットのデータが残存する範囲に限定すると、引用商標を付した商品の販売実績は、平成16年ないし同30年(各年)が販売数量2,528個ないし47,015個、売上金額1.3億円ないし17.7億円、平成31年(7月30日まで)が販売数量3,270個、売上金額2.4億円であり、平成16年ないし同31年の累計は販売数量37.8万個、売上金額195.1億円であった(甲68)。
ウ 体験サロンの提供及びサロンでの販売実績
申立人は、平成27年から引用商標1を用いて、申立人の商品(マッサージチェア)の体験サロンを、北海道から鹿児島まで全国22都道府県で実施しており、ここでは、顧客は、家電量販店の店頭にて申立人の商品の使用を体験することができ、かつ、購入することもできる(甲69、甲70)。
体験サロンにおける集客人数及び売上金額は、平成27年が6.7万人で8.2億円、平成28年が10.3万人で10.6億円、平成29年が15万人で13.9億円、平成30年が11.7万人で10.9億円であり、その累計は43.7万人で43.6億円であった(甲69)。
エ 展示会への出展実績
申立人は、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)において、平成29年2月15日から27日まで開催された第35回健康博覧会2017及び平成31年1月23日から25日まで開催された第37回健康博覧会2019に、引用商標を用いて、マッサージ機器等を展示した(甲71?甲73)。
オ 小括
これらの事実から明らかなように、申立人は、遅くとも昭和58年以降、現在まで、長期間にわたり継続して、日本全国において、広告及び販売を続け、引用商標を使用してきた。
その結果、引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願日までには、申立人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標となっており、これは、本件商標の登録査定時においても同様であった。
(4)まとめ
してみれば、本件商標は、その出願の時及び登録査定の時において、申立人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。
(ア)申立人は、株式会社マルタカテクノ及び株式会社マルタカ・パルスなどのグループ会社(以下「申立人等」という。)とともに、マッサージ器、マッサージチェアなどの商品(以下「申立人等商品」という。)を製造販売していることが認められる(甲2?甲66、甲75?甲77)。
(イ)申立人は、引用商標1を付したマッサージ器等を、遅くとも昭和58年以降、継続して製造、販売し、引用商標2を付したマッサージ器を、遅くとも平成16年以降、継続して製造、販売している(甲2?甲65)。
(ウ)申立人等は、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)において、平成29年2月に開催された健康博覧会2017及び同じく平成31年1月に開催された健康博覧会2019に出展し、申立人等の出展ブースには申立人等商品が展示され、引用商標が表示されていたことがうかがえる(甲71?甲73)。
(エ)申立人等は、平成27年頃から現在まで継続して、北海道から鹿児島までの22都道府県でマッサージチェアの体験サロン(体験コーナー)を設置し、同体験サロンには引用商標1が表示されていたことがうかがえるものの(甲69、甲70)、当該サロンにおける申立人等商品の販売実績を示す証左は見いだせない。
(オ)引用商標が、申立人等商品のパンフレットに表示されていることは多数確認できるものの(甲2?甲66)、商品又はその包装に付されていると確認できるものはマッサージチェア1種のみであり(甲43)、当該パンフレットの頒布の事実及び頒布部数、時期、場所、対象者など頒布の実情、当該マッサージチェアの販売実績は確認できない。
イ 上記アのとおり、引用商標は、遅くとも平成16年頃から申立人等商品について使用されていることが認められるものの、その使用のほとんどが、商品パンフレットの表紙に表示されているものであって、当該商品パンフレットの頒布の事実が確認できないこと、引用商標が付された商品はマッサージチェア1種のみであって当該商品の販売実績が確認できないこと、マッサージチェアの体験サロンに引用商標1が表示されていたことがうかがえるものの、当該サロンにおける申立人等商品の販売実績を示す証左が見いだせないことからすれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないと判断するのが相当である。
ウ なお、申立人は、引用商標を付した商品及びパンフレットのデータが現存する範囲の引用商標を付した商品の販売実績を示し、その証拠(甲67、甲68)を提出し、さらにその証拠を裏付ける帳簿等を提出する用意がある旨述べているが、パンフレットに係る商品のうち、引用商標を付した商品と確認できるはマッサージチェア1種のみであって、申立人の主張と一致するとはいえないこと、及び、仮に申立人の主張する販売実績が事実であるとしても、かかる数量及び金額が、マッサージ器等の1ブランドの販売実績としてその周知性を基礎付ける水準に達している数値であると認めるに足りる実情(例えば業界シェア、売上ランキングなど)は把握できないから、帳簿等の提出は求めないこととした。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとは認められないものであるから、本件商標と引用商標、及び本件商標の申立役務と申立人等商品が類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定役務中、本件申立役務について、商標法第4条第1項第10号に該当するものではなく、同条第1項の規定に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

異議決定日 2020-03-13 
出願番号 商願2018-68781(T2018-68781) 
審決分類 T 1 652・ 25- Y (W35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 鈴木 雅也
山田 正樹
登録日 2019-05-17 
登録番号 商標登録第6144348号(T6144348) 
権利者 株式会社丸隆
商標の称呼 マルタカ 
代理人 工藤 貴宏 
代理人 涌井 謙一 
代理人 越場 洋 
代理人 鈴木 一永 
代理人 山本 典弘 
代理人 越場 隆 
代理人 三井 直人 

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