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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W32
審判 査定不服 外観類似 登録しない W32
審判 査定不服 観念類似 登録しない W32
管理番号 1359736 
審判番号 不服2019-7252 
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-06-03 
確定日 2020-02-06 
事件の表示 商願2018-50219拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「りょくけん青汁」の文字を標準文字で表してなり、第29類及び第32類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品とし、平成27年10月20日に登録出願された商願2015-107579に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同30年4月4日に登録出願されたものである。
その後、本願の指定商品については、原審における平成30年7月13日付け手続補正書をもって、第32類「飲料用青汁,飲料用青汁のもと」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録第5780762号商標(以下「引用商標」という。)は、「RYOKUKEN」の文字を標準文字で表してなり、平成27年3月27日に登録出願、第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として、同年7月24日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、前記1のとおり、「りょくけん青汁」の文字を標準文字で表してなり、第32類「飲料用青汁,飲料用青汁のもと」を指定商品とするものであるところ、当該文字は、「りょくけん」の文字と「青汁」の文字とを組み合わせてなるものと看取、把握されるものであり、また、その構成中、「りょくけん」の文字は、辞書類に載録された既成の語ではなく、かつ、特定の意味合いを想起させる語として一般に知られているものではない一方、「青汁」の文字は、「緑色の汁。緑色の生野菜をしぼった汁。」(「広辞苑第六版」、株式会社岩波書店発行)を意味する語であって、本願の指定商品との関係においては、商品自体又は商品の原材料を表したものといえる。
そうすると、本願商標は、同じ書体及び大きさをもって、等間隔に「りょくけん青汁」の文字を表したものであるとしても、その構成全体をもって、まとまりある一体的な意味合いを生じるものではなく、むしろ、その構成中の「りょくけん」の文字部分が、看者に対し、強く支配的な印象を与えるとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その構成中の「りょくけん」の文字部分を要部として抽出し、これと他の商標とを比較して、商標の類否の判断をすることができるというべきである。
したがって、本願商標は、その構成中の要部である「りょくけん」の文字部分に相応する「リョクケン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「RYOKUKEN」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書類に載録された既成の語ではなく、かつ、特定の意味合いを想起させる語として一般に知られているものではない。
したがって、引用商標は、その構成文字に相応する「リョクケン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標とは、それぞれ、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、本願商標の要部である「りょくけん」の文字と引用商標とは、文字種について、平仮名とローマ字という差異はあるものの、いずれも特徴のないありふれた書体をもって表されている上、一般的に商取引の場においては、商品名の表示などする際に、異なる文字種間で相互に置き換えるなどといったことがしばしば見受けられることを鑑みれば、両者における外観上の差異は、これに接する取引者、需要者に対し、強く印象付けられるものではないとみるのが相当である。
また、本願商標の要部である「りょくけん」の文字と引用商標とは、いずれも「リョクケン」という同一の称呼を生じるものである。
さらに、本願商標の要部である「りょくけん」の文字と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、両商標を比較することはできない。
そうすると、本願商標の要部である「りょくけん」の文字と引用商標とは、称呼において同一のものであり、外観において差異はあるものの、その差異は強く印象付けられるものではなく、観念においては比較することのできないものであるから、これらを総合勘案すれば、両者は、互いに紛れるおそれのあるものというべきである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、互いに紛れるおそれのある類似の商標である。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本願の指定商品である第32類「飲料用青汁,飲料用青汁のもと」と引用商標の指定商品である第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」とは、その販売部門、用途、需要者の範囲などといった取引の実情を鑑みれば、これに同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者は、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるとみるのが相当である。
したがって、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と類似する商品である。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標について、その構成文字が軽重の差なく、まとまりよく一体的に表されていることから、外観上、その構成中の「りょくけん」の文字部分が、取引者、需要者に対し、強く支配的な印象を与えるといった事情は特にないこと、また、当該「りょくけん」の文字は、請求人が所有する登録商標「緑健青汁」及び「緑健」との関係により、「緑の野菜で健康」ほどの意味合いを有し、商品の品質を暗示させることから、自他商品識別機能はそれほど高くなく、本願商標の構成全体からも「緑の野菜で元気で健康な体にする緑色の汁」といった一つのまとまった意味合いを想起させることからすれば、本願商標は、その構成全体をもって一体不可分のものと認識され、取引に資されるものであり、その構成中の「りょくけん」以外の部分についても、出所識別標識としての称呼、観念が生じるとみるべきである旨主張する。
しかしながら、本願商標は、その構成態様から「りょくけん」の文字と「青汁」の文字とを組み合わせてなるものと看取、把握されるものであること、請求人が登録商標「緑健青汁」及び「緑健」を所有しているとしても、「りょくけん」の文字から直ちに「緑健」の文字に通じるとは認められず、「りょくけん」の文字が既成の語でなく、かつ、特定の意味合いを想起させる語として一般に知られているものではないこと、本願商標の構成中の「青汁」の文字については、本願の指定商品が「飲料用青汁,飲料用青汁のもと」であることに照らせば、取引者、需要者をして、商品自体又は商品の原材料を表したと認識されるものといえることを総合勘案すれば、本願商標は、その構成全体をもって、まとまりある一体的な意味合いを生じるものではなく、むしろ、その構成中の「りょくけん」の文字部分が、看者に対し、強く支配的な印象を与えるとみるのが相当であること、上記(1)のとおりである。
したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。
イ 請求人は、本願の指定商品に係る取引の実情として、「青汁」は健康食品の一つであるところ、健康食品を購入する需要者は、商品の効能や機能に着目し、現物を手にとって慎重に選ぶのが通常であることから、商品選択の際に、商品名から商品の内容を容易に理解でき、他の商品と区別できるよう、商品名に商品の原材料や内容を表す文字を一部に使用することが広く行われており、これらの商品の取引においては、構成文字全体で認識され、取引されているのが実情であり、「青汁」についても、他の文字に「青汁」の文字を結合させた「○○○青汁」という商品が多く、その商品は、商品選択の際、商品の効能が重視されるという商品の特性から、他の文字を含めた全体で「○○○青汁」と一体的に認識され、取引されている旨主張する。
しかしながら、「○○○」という文字と「青汁」の文字とを組み合わせてなる「○○○青汁」の標章が、例えば、本願の指定商品である「飲料用青汁,飲料用青汁のもと」に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、当該標章の構成中、「青汁」の文字部分をもって、その商品が健康食品の一つである「青汁」であることを認識する一方、「○○○」の文字部分をもって、「青汁」という商品についての出所の識別をしているというべきである。
したがって、請求人による上記主張は、採用することができない。
ウ 請求人は、自己の主張の正当性を立証すべく、特許庁における併存登録例や審判決例を挙げて、本願商標についても登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人の挙げる併存登録例や審判決例は、いずれも商標の構成態様を本願商標と異にするものであって、本願とは事案を異にするというべきものであるばかりでなく、商標の類否の判断は、登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるものであるところ、本願商標と引用商標とは、上記(3)のとおり、類似の商標であるから、請求人の挙げた例があるからといって、それらが上記判断を左右するものではない。
(6)まとめ
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、引用商標の指定商品と類似する商品に使用をするものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2019-11-29 
結審通知日 2019-12-03 
審決日 2019-12-16 
出願番号 商願2018-50219(T2018-50219) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W32)
T 1 8・ 263- Z (W32)
T 1 8・ 261- Z (W32)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 正和堀内 真一上山 達也 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 田中 敬規
小田 昌子
商標の称呼 リョクケンアオジル、リョクケン 
代理人 新井 悟 
代理人 特許業務法人RIN IP Partners 

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