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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20171293 審決 商標
不服20185572 審決 商標
不服20207643 審決 商標

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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W3541
審判 一部申立て  登録を維持 W3541
審判 一部申立て  登録を維持 W3541
審判 一部申立て  登録を維持 W3541
審判 一部申立て  登録を維持 W3541
審判 一部申立て  登録を維持 W3541
管理番号 1354366 
異議申立番号 異議2019-900112 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-04-09 
確定日 2019-08-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第6118624号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6118624号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6118624号商標(以下「本件商標」という。)は、「五輪」の文字を標準文字で表してなり、平成29年12月19日に登録出願、第1類、第3類、第9類、第11類、第12類、第14類、第16類、第18類、第21類、第24類、第25類、第28類、第30類、第32類、第35類、第36類、第38類、第39類、第41類ないし第43類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同30年12月25日に登録査定され、同31年2月1日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2021446号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 もなか五輪(縦書き)
指定商品 第30類「もなか」
登録出願日 昭和61年2月5日
設定登録日 昭和63年2月22日
(2)登録第3262947号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 「雪の」と「五輪」の文字を2行に縦書きしてなるもの
指定商品 第33類「清酒」
登録出願日 平成6年5月24日
設定登録日 平成9年2月24日
(3)登録第5832627号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 梅五輪(標準文字)
指定商品 第30類「菓子,パン」
登録出願日 平成27年9月14日
設定登録日 平成28年3月11日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定商品及び指定役務中第35類「全指定役務」及び第41類「全指定役務」(以下「申立役務」という。)について、商標法第4条第1項第6号、同項第7号及び同項第11号のいずれかに該当するものであり、また、同法第3条第1項柱書の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第6号について
「五輪」は本号の条文上「表示する標章」ではないところ、審査基準では、「五輪」を「表示する標章」に含めて拡大解釈する一方で、本号の適用除外事由である商標法第4条第2項を審査基準の対象条項から除外している。
してみれば、商標法第4条第2項については審査基準が存在しないので、条項どおり解釈されるべきであり、審査運用上拡大解釈して「表示する標章」に含めたにすぎない「五輪」を、そこに含めて解釈することは許されない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第6号に該当して登録を受けることができないと審査運用され、一方で商標法第4条第2項が適用されないのであるから、商標法第4条第1項第6号に該当する。(甲1?甲10、甲12?甲15)
(2)商標法第4条第1項第7号について
「五輪」は誰でも自由に使用できる公有の状態になっており、特定の者に独占させることが好ましくない標章である。
商標権者を非営利公益団体であると例示し、オリンピックを非営利公益事業であると例示し、「五輪」を「表示する標章」に含めているなど、商標法第4条第1項第6号に係る審査基準は誤っており不当で違法であるから、本件商標は違法な審査基準に基づき登録されたことになる。
商標権者、公益財団法人日本オリンピック委員会及び公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下「商標権者等」ということがある。)は、自己の商標法第4条第2項に該当する登録商標を他人に違法ライセンスをして巨額の協賛金を得ているなど、商標権者は我が国における商標制度の法令を遵守する意識が欠如しており、そのような商標権者による本件商標の登録は我が国の公序良俗を著しく害する。
以上のとおりであるから、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。(甲6、甲11?甲19)
(3)商標法第4条第1項第11号について
俗称「五輪」の絶大な著名性に鑑みれば、上記2のとおり、その構成中に文字「五輪」を含む引用商標は、いずれも本件商標「五輪」に概念的に類似し(両商標において文字「五輪」の部分は「オリンピック」を想起させる主要部であり、特に「雪の五輪」(引用商標2)は商標権者が行う競技大会である冬季オリンピックを想起させる。)、さらに、引用商標は称呼に「ゴリン」を含む。
申立役務中、例えば第35類「酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(類似群コード「28A01」)及び「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(類似群コード「30A01」)は、引用商標の指定商品に類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。(甲10)
(4)商標法第3条第1項柱書について
ア 本件商標は第35類及び第41類を含む22区分のおびただしい数の商品・役務を指定しているため、商標権者が出願に係る商標をそれらの指定商品・指定役務の全てについて使用しているか又は近い将来使用をすることについて疑義があるといわざるを得ない。例えば、第35類「米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等、及び第41類「動物の調教」等について、国際的に著名なスポーツ興行団体たる商標権者自らが、「五輪」を商標として我が国において営む意思が本当にあるのか疑義があるといわざるを得ない。
しかし、審査過程においても、出願人がそれらの指定商品(指定役務)に係る業務を近い将来行う予定があることを明確にしていないため、本件商標は、使用意思を具備するとはいえず、商標法第3条第1項柱書の要件を満たしていない。
イ 本件商標の指定役務中、例えば第35類「自動販売機の貸与」等及び第41類「小型自動車競走の企画・運営又は開催」等は、社会通念上、営利業務と考えられ、このような役務について商標権者が使用意思を有するということに疑義があるといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、その指定商品及び指定役務中の営利業務に係る指定商品・指定役務について、使用意思を具備するとはいえず、商標法第3条第1項柱書の要件を満たしていない。(甲1)

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第6号について
ア 本件商標は、上記1のとおり「五輪」の文字からなるものである。
そして、「五輪」の文字(語)は我が国において「オリンピック」の俗称(広辞苑 第7版)として広く一般に親しまれたものである。
また、「オリンピック」は、「国際オリンピック委員会が四年ごとに開催する国際的スポーツ競技大会」(前掲書)であって、スポーツを通した人間育成と世界平和を究極の目的とするものであるから、社会一般の利益に資するものと判断するのが相当である。
そうすると、「五輪」の文字からなる本件商標は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと判断するのが合理的である。
また、かかる状況は、本件商標の登録査定時(平成30年12月25日)においても同様であったといえる。
したがって、本件商標は、その登録査定時において、商標法第4条第1項第6号に該当するものである。
イ しかしながら、本件商標に係る出願は、「オリンピック」を開催している者(商標権者)がしたものであるから、商標法第4条第2項の規定により、商標法第4条第1項第6号は適用されない。
ウ 申立人は、審査基準では、「五輪」を「表示する標章」に含めて拡大解釈する一方で、本号の適用除外事由である商標法第4条第2項を審査基準の対象条項から除外しているから、本件商標は、商標法第4条第2項が適用されないのであり、商標法第4条第1項第6号に該当する旨主張している。
しかしながら、商標法第4条第2項に関する審査基準がないからといって、商標法第4条第1項第6号に該当する商標と同条第2項における「前項第6号の商標」との解釈を異にしなければならない理由はなく、また、申立人提出の証拠からも、そのように解釈しなければならない事情は見いだせない。
また、本件商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するものであるが、同条第2項の規定により、同条第1項第6号は適用されないこと上記ア及びイのとおりである。
したがって、この点についての申立人の主張は理由がない。
(2)商標法第4条第1項第7号について
申立人は、「五輪」は誰でも自由に使用できる公有の状態になっており特定の者に独占させることが好ましくない標章である、及び商標権者等は自己の商標法第4条第2項に該当する登録商標を違法ライセンスしているなど商標制度の法令を遵守する意識が欠如し、そのような商標権者による本件商標の登録は我が国の公序良俗を著しく害するなどとして、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する旨主張している。
しかしながら、我が国における商標権者等の活動やマスコミにおける報道の状況などを考慮すれば、「オリンピック」は社会一般において商標権者等が開催しているものと広く認識されているものといえ、かつ、「五輪」の文字は「オリンピック」の俗称として広く一般に親しまれたものであることからすれば、「五輪」の文字からなる本件商標は、看者をして商標権者等の事業(業務)に係る商品及び役務を表示するものと認識されるものと判断するのが相当である。
また、本件商標は上記(1)のとおり商標法第4条第1項第6号に該当し、同条第2項が適用されるものであるが、本件商標について専用使用権が設定され、又は通常使用権が許諾されていると認め得る証左は見いだせず、かつ、他に本件商標がその出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものというべき事情も見いだせない。
そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり「五輪」の文字からなり、該文字に相応し「ゴリン」の称呼、「オリンピック」の観念を生じるものである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、上記2(1)のとおり「もなか五輪」の文字を縦書きしてなり、その構成文字はほぼ同書同大同間隔でまとまりよく一体的に表され、これから生じる「モナカゴリン」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、引用商標1は、例えその構成中に指定商品名と同じ「もなか」の文字を有するとしても、かかる構成及び称呼においては、該文字は指定商品の普通名称、品質などを表示したものとして直ちに認識されることなく、むしろ、「もなか五輪」の構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
そうすると、引用商標1は、その構成文字全体をもって、「モナカゴリン」の称呼を生じ、特定の観念を生じない一体不可分のものとして認識、把握されるものといわなければならない。
(イ)引用商標2は、上記2(2)のとおり「雪の」と「五輪」の文字を2行に縦書きしてなり、その構成文字は同書同大でまとまりよく一体的に表され、これから生じる「ユキノゴリン」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、引用商標2は、かかる構成及び称呼においては、その構成中のいずれかの文字部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える、又は、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認めるに足る事情は見いだせない。
そうすると、引用商標2は、その構成文字全体をもって、「ユキノゴリン」の称呼を生じ、特定の観念を生じない一体不可分のものとして認識、把握されるものといわなければならない。
(ウ)引用商標3は、上記2(3)のとおり「梅五輪」の文字を標準文字で表してなり、その構成文字は同書同大同間隔でまとまりよく一体的に表され、これから生じる「ウメゴリン」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、引用商標3は、上記(イ)と同様の理由により、その構成文字全体をもって、「ウメゴリン」の称呼を生じ、特定の観念を生じない一体不可分のものとして認識、把握されるものといわなければならない。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較すると、両者は、それらの上記のとおりの外観及び称呼において構成態様及び語調語感が明らかに異なり相紛れるおそれはなく、また観念においても、本件商標が「オリンピック」の観念を生じるのに対し、引用商標はいずれも特定の観念を生じないから相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
他に、本件商標が、引用商標との関係において、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおりであるから、本件商標は、申立役務中に引用商標の指定商品と類似の指定役務を含むとしても、引用商標と非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(4)商標法第3条第1項柱書について
本件商標は上記1のとおり22の区分に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務とするものであるが、上記(2)のとおり「五輪」の文字は「オリンピック」の俗称として広く一般に親しまれたものであること、「オリンピック」は商標権者等が開催しているものと広く認識されていること、及び「オリンピック」に係る標章が多種多様な商品及び役務について使用されている実情を併せ考慮すれば、商標権者が申立役務について、本件商標の使用をする意思を有しているとみるのが自然である。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものといえない。
(5)申立人の主張について
申立人は、本件商標は違法な審査基準に基づき登録されたものである、及び審査基準の違法性、過去の審決との整合性などを述べ、本件商標の登録は取り消されるべきである旨主張しているが、登録異議の申立てにおける判断は、審査基準及び過去の審決に拘束されるものではなく、出願時及び査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、指定商品、指定役務の取引者・需要者の認識を基準に個別具体的に判断されるべきものであるから、申立人のかかる主張はその前提において理由がない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品及び指定役務中、登録異議の申立てに係る指定役務についての登録は、商標法第3条第1項柱書、同法第4条第1項第6号、同項第7号及び同項第11号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-08-13 
出願番号 商願2017-166105(T2017-166105) 
審決分類 T 1 652・ 262- Y (W3541)
T 1 652・ 263- Y (W3541)
T 1 652・ 21- Y (W3541)
T 1 652・ 18- Y (W3541)
T 1 652・ 22- Y (W3541)
T 1 652・ 261- Y (W3541)
最終処分 維持  
前審関与審査官 豊田 純一 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 板谷 玲子
山田 啓之
登録日 2019-02-01 
登録番号 商標登録第6118624号(T6118624) 
権利者 コミテ アンテルナショナル オリンピック
商標の称呼 ゴリン 
代理人 尾首 智子 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 辻居 幸一 
代理人 松尾 和子 
代理人 中村 稔 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 佐竹 勝一 
代理人 藤倉 大作 

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