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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W28
審判 全部申立て  登録を維持 W28
審判 全部申立て  登録を維持 W28
審判 全部申立て  登録を維持 W28
管理番号 1353367 
異議申立番号 異議2018-900326 
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-11-09 
確定日 2019-06-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6073211号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6073211号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6073211号商標(以下「本件商標」という。)は、「Curve Trainer」の欧文字を横書きしてなり、平成29年12月6日に登録出願、第28類「ゴルフ用品」を指定商品として、同30年7月31日に登録査定、同年8月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は、次の(1)ないし(6)のとおりであり(以下、それらをまとめて「11号引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
また、申立人が、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、次の(1)ないし(10)の商標(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)であり、申立人が「会員制フィットネスクラブ事業」について使用し著名な商標であると主張するものである。
(1) 登録第5028807号商標(以下「引用商標1」という。)は、「CURVES」の文字を標準文字で表してなり、平成16年3月15日に登録出願された商願2004-23811号を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による分割出願として、同18年5月11日に登録出願、第25類「フィットネス用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を含む第25類及び第16類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同19年3月2日に設定登録され、その後、同29年3月7日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2) 登録第5028808号商標(以下「引用商標2」という。)は、「カーブス」の文字を標準文字で表してなり、平成16年8月3日に登録出願された商願2004-71524号を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による分割出願として、同18年5月11日に登録出願、第25類「フィットネス用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を含む第25類及び第16類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同19年3月2日に設定登録され、その後、同29年3月7日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(3) 登録第5028803号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成17年6月24日に登録出願された商願2005-57511号を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による分割出願として、同18年5月8日に登録出願、第25類「フィットネス用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を含む第25類及び第16類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同19年3月2日に設定登録され、その後、同29年3月7日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(4) 登録第5028804号商標(以下「引用商標4」という。)は、「カーブス フォー ウーマン」の文字を標準文字で表してなり、平成17年6月24日に登録出願された商願2005-57501号を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による分割出願として、同18年5月8日に登録出願、第25類「フィットネス用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を含む第25類及び第16類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同19年3月2日に設定登録され、その後、同29年3月7日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(5) 登録第5028805号商標(以下「引用商標5」という。)は、「カーブス フォー ウイメン」の文字を標準文字で表してなり、平成17年6月24日に登録出願された商願2005-57499号を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による分割出願として、同18年5月8日に登録出願、第25類「フィットネス用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を含む第25類及び第16類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同19年3月2日に設定登録され、その後、同29年3月7日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(6) 登録第5028806号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成17年6月24日に登録出願された商願2005-57497号を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による分割出願として、同18年5月8日に登録出願、第25類「フィットネス用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を含む第25類及び第16類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同19年3月2日に設定登録され、その後、同29年3月7日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(7) 登録第4986830号商標(以下「引用商標7」という。)は、「CURVES」の文字を標準文字で表してなり、平成16年3月15日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿記載の役務を指定役務として、同18年9月15日に設定登録され、その後、同28年8月16日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(8) 登録第4975079号商標(以下「引用商標8」という。)は、「カーブス」の文字を標準文字で表してなり、平成16年8月3日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿記載の役務を指定役務として、同18年8月4日に設定登録され、その後,同28年6月28日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(9) 登録第4986841号商標(以下「引用商標9」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成17年6月24日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿記載の役務を指定役務として、同18年9月15日に設定登録され、その後、同28年8月16日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(10) 登録第5173022号商標(以下「引用商標10」という。)は、「Curves Mentor」の文字を標準文字で表してなり、平成19年11月1日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿記載の役務を指定役務として、同20年10月10日に設定登録され、その後、同30年9月25日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証(なお、甲各号証の表記にあたっては、「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。
(1) 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、標準的な欧文字で「Curve Trainer」と書してなるところ、当該文字中の「e」と「T」がスペ-スで隔てられ、また、「C」と「T」が大文字で表記されていることから、「Curve」と「Trainer」とは互いに独立した語として需要者に認識され、前者は「カーブ」の称呼を生ずる日本語化した英単語の欧文字表記であり、後者は「トレーナー」の称呼を生ずる同様に日本語化した英単語の欧文字表記である。
前者からは「曲線、曲がる」程の観念が、後者からは「トレーナー、指導者、訓練する人、訓練用具、訓練用機械(装置)」程の観念が生ずるが(甲12)、両語は一義的に結び付けられるような関係にない。また、当該「Curve Trainer」は辞書等に記載されておらず(甲13)、インターネットで検索しても特定の意味で用いられている事実は発見できない(甲14)。
上記のとおり、本件商標は相対的に独立した「Curve」と「Trainer」の二語からなるが、「Curve」はより看者の目を引く語頭にあり、また、「Trainer」は運動用具の一種である本件指定商品「ゴルフ用品」との関係においてその内容を表示するものとして識別力が弱いため、本件商標でより強い識別力を発揮する要部は「Curve」である。
引用商標1ないし同6は、いずれも「Curves」又は「カーブス」からなるか、当該部分を要部とする商標である。
本件商標の要部「Curve」と引用商標3ないし同6の(要部)「Curves」「カーブス」との相違は語尾の「s」の有無のみであり、これが当該名詞の複数を表す記号に過ぎず、同一の単語であることは需要者にとって常識の部類に属するから、両商標は観念において実質同一であるか、少なくとも類似するものである。また、本件商標と11号引用商標は、称呼においても類似する。
また、商品については、本件商標の指定商品「ゴルフ用品」と実質同一の「ゴルフ用具」と、11号引用商標の指定商品「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」とは類似し、生産部門や販売部門、用途や需要者の範囲が完全に一致するものが含まれるから、両商標の指定商品はお互いに類似する。
したがって、本件商標は、11号引用商標とは類似の商標であって、その指定商品は類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2) 商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知性
申立人は、1992年にアメリカ合衆国で設立された会社であり、1999年にフィットネス施設のフランチャイズチェーンシステムを確立後、米国に加え、欧州、オセアニア、アジア地域を中心に計80力国以上で事業を展開している(甲18)。日本では,2005年に株式会社コシダカホールディングスの子会社として株式会社カーブスジャパン(以下「使用権者」という。)が設立され、その店舗数は2014年には1,500を突破し、2018年には会員数が85万人を突破した(甲19)。2017年8月末の店舗数は1,900以上となり(甲20)、日本国内の全ての都道府県に広がっている(甲21)。
使用権者の親会社である主要株主であるコシダカホールディングスの算定によれば、2017年9月1日から2018年2月28日の引用商標に関連する事業の売上高は137億円、利益額は24億円を超える(甲23)。
利用者の年齢層は、70代以上が23%,60代が40%、50代が24%、40代が9%の順であり、40代以上の女性が全体の96%を占めている(甲25)。使用権者が2007年3月から年4回発行している「カーブスマガジン」と題する会員誌の発行部数は75万部にも及び、その配布方法は店舗スタッフによる手渡しである(甲26)。使用権者は健康を増進する商品を提供する他社とも提携して会員に奉仕すると同時に、事業を広範に展開している(甲27)。
申立人及び使用権者は引用商標を第41類の当該役務にとどまらず、それと密接に関連する第25類のフィットネス用の衣服や靴に使用しており、それらの商品は一般需要者の間でも売買されているものであり、引用商標の周知著名性の範囲は、広く一般の需要者に拡大している。
イ 出所混同のおそれ
引用商標「CURVES(Curves)」中の最初の6文字と完全に同じ文字からなる本件商標を、申立人とは無関係である本件商標権者がそのフィットネス用の衣服や靴に類似する指定商品「ゴルフ用品」に使用すれば、需要者は当該商品がたとえ申立人の業務に係る商品であると認識しなくても、それに関連する会社の業務に係る商品であると誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがある。
加えて、本件商標の構成態様と、申立人が実際に使用する引用商標の態様とは、「C」が大文字、全体が斜字(イタリック)体である点で共通していること、フィットネス事業とゴルフ事業とはお互いに運動関連であるという抽象的な意味以上に、実際に両事業に同時に携わっている事業者が多くいること、引用商標が申立人の世界的に著名なハウスマークであり、また、我が国の使用権者のハウスマークであって、創作性の高い商標であることから、出所の混同のおそれは増幅される。
これらを総合的に判断すれば、本件商標を「ゴルフ用品」に使用するとき、その需要者は当該商品の出所について混同するおそれがあり、仮に、当該商品が申立人又はその使用権者を直接の出所とするものと認識しない場合でも、異議申立人等と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品等の需要者が商品等の出所について混同するおそれのあることが明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1) 引用商標の周知著名性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア) 申立人は、1992年に設立されたアメリカ合衆国に本社を置くフィットネスクラブのフランチャイズチェーンであり、欧米、オセアニア、アジア地域等約80力国で事業を展開している(甲18)。
日本では、2005年に株式会社コシダカホールディングスの子会社として設立された株式会社カーブスジャパンが同フランチャイズチェーンの経営を行っており、その店舗数は2014年には1,500店舗を突破し、2018年には会員数が85万人を突破した(甲19)。2017年8月末の店舗数は1,900店舗を展開し(甲20)、その店舗は日本国内の全ての都道府県に広がっている(甲18?甲21)。
なお、本件商標の登録査定日(平成30年7月31日)後の印字ではあるが、使用権者のウェブサイトにおける「カーブスジャパン」の店舗案内において、「カーブス」の片仮名及び特徴的な字体の「Curves」の欧文字が用いられているところ(甲21、甲22)、引用商標1、3ないし7、9及び10と同一の商標は確認できない。(以下、「カーブス」、「Curves」又は「CURVES」の文字のみからなる商標を、「申立人使用商標」という。)
(イ) 使用権者の主要株主(実質持ち株比率90%)である株式会社コシダカホールディングスの「2018年8月期 中間 INTERIM BUSINESS REPORT」の事業セグメント別状況によれば、2017年9月1日から2018年2月28日の「カーブス事業」(引用商標に係るフィトネス事業と推認される。)の売上高は、約137億円、利益額は約24億円を超えた(甲23)。
(ウ) 使用権者の行うフィットネスクラブ事業は、「女性専用だけの30分の健康体操教室」と称されている(甲24)。利用者(会員)の年齢層は、70代が20.1%、60代が40.0%、50代が23.6%、40代が8.9%であり、40代以上の女性が全体の96%を占めている(甲25)。
(エ) 使用権者が2007年6月20日の創刊から年4回発行している「Curves MAGAZINE(カーブスマガジン)」と題する会員向け雑誌の発行部数は、75万部にも及び、全国カーブス店舗、地域パートナー店にて手渡しでプレゼントとして配布されている。会誌には、効果的な運動方法、元気であり続けるための健康法、運動の効果、健康レシピなどを掲載している(甲26)。
(オ) 使用権者は、その店舗施設を利用して、過程(審決註:「家庭」の誤りと認める。)にある常温で保存可能な食料品を募り、地域にある自動(審決註:「児童」の誤りと認める。)養護施設や母子生活支援施設等に寄付をする「カーブス フードドライブ」の活動を行っている(甲28)。
イ 判断
前記アを総合勘案すれば、使用権者は、申立人使用商標を、「会員制フィットネスクラブ事業」に使用していることがうかがえ、申立人に関係する法人の運営する事業の売上高及び会員数や全国の店舗数などを考慮すると、申立人使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時においては、申立人の業務に係る役務「エクササイズ及びフィジカルフィットネストレーニングの教授,エアロビクス及び筋力強化トレーニングの教授,アスレチックジムにおける運動方法の教授」(以下「申立人役務」という。)を表示する商標として、我が国のフィットネスの愛好者等の需要者の間では、ある程度認識されているものであることがうかがえる。
しかしながら、引用商標に係るわが国における当該事業の市場占有率(販売シェア等)は不明であり、売上高、引用商標の使用開始時期及び使用期間、使用地域、宣伝広告の事実については、それを裏付ける具体的な資料の提出もなく、顧客の数、カタログ作成数、宣伝広告の範囲と回数等についても、主張のみであって、使用の事実を量的に把握することができる資料は提出されておらず、わが国における販売数量等の量的規模(市場シェア等)を客観的な使用事実に基づいて引用商標の使用状況を把握する証左は見いだせないから、引用商標の周知著名性の程度を推し量ることができない。
そうすると、申立人が提出した証拠をもってしては、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国において、引用商標が申立人の業務に係るものを表すものとして、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。
(2) 商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、「Curve Trainer」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、同書、同大、等間隔で、まとまりよく一体に表され、これより生じる「カーブトレーナー」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標構成中の「Curve」の文字と「Trainer」の文字との間に半文字程度の間隙を有し、各単語の冒頭の「C」と「T」が大文字で表されているとしても、二語を連結した全体として具体的な意味合いを認識させるものとはいい難く、かつ、いずれかの文字部分が独立して、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるともいい難いものであることから、これに接する需要者等は、本件商標の構成文字全体をもって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと理解するとみるのが相当である。
また、本件商標の構成中の「Trainer」の語が「指導者、訓練用具」等の意味を有する英単語であるからといって、その指定商品との関係において、自他商品の識別力が弱いとすべき具体的な証拠もなく、かつ、「Trainer」の文字が商品の品質等の表示であるともいえない。
そうすると、本件商標からは、その構成文字に相応して「カーブトレーナー」の称呼のみが生ずるものであって、特定の観念は生じないものである。

イ 11号引用商標
引用商標1は、「CURVES」の文字を標準文字で表してなるところ、これが英語「CURVE」の複数形と認識される「CURVES」の欧文字を表したものであるとしても、該欧文字からは、直ちに特定の意味合いを認識、看取させるものとはいえないものであるから、その構成文字に相応して「カーブズ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
引用商標2は、「カーブス」の文字を標準文字で表してなるところ、当該語は、辞書等に掲載のない、特定の意味を有しない造語と理解できるため、その構成文字に相応して「カーブス」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
引用商標3は、「Curves」の文字を筆記体風に大きく配し、その下に「FOR WOMEN」の欧文字を小さく配した構成よりなり、引用商標4は、「カーブス フォー ウーマン」の文字を標準文字で表してなり、引用商標5は、「カーブス フォー ウイメン」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「FOR WOMEN」、「フォー ウーマン」及び「フォー ウイメン」の文字部分は、「女性向けの、女性のための」等の意味合いを有し、それが「女性向けの商品である」といった商品の品質等を表示したものと認識されるものであって、その指定商品との関係において、自他商品の識別力が無いか極めて弱いものといえるから、これを捨象した「Curves」又は「カーブス」の文字部分が看者に対して強い印象を与えるとみるのが相当である。
そうすると、引用商標3ないし同5は、その構成中の「Curves」又は「カーブス」の文字部分が、出所識別に際しての要部たり得るといえるから、引用商標3については、「カーブス」及び「カーブズ」の称呼を生じ、引用4及び5については「カーブス」の称呼を生じる。そして、引用商標3ないし5は、特定の観念は生じない。
引用商標6は、別掲2のとおり、右方向に躍動する女性の姿を抽象的に描いた図形部分と、その右に「Curves」の文字を筆記体風で大きく配し、その「urves」の文字の真下に「FOR WOMEN」の欧文字を小さく配した構成よりなるところ、その構成上、図形部分と文字部分とは、それぞれが視覚的に分離して看取されるものであって、かつ、観念上のつながりもないことから、その構成中の図形部分と文字部分とが常に不可分一体のものとしてのみ認識されるものとはいい難いものである。
そして、その構成中「FOR WOMEN」の文字部分は、「女性向けの、女性のための」等の意味合いを有し、それが「女性向けの商品である」といった商品の品質等を表示したものと認識されるものであって、その指定商品との関係において、自他商品の識別力が無いか極めて弱いものといえるから、これを捨象した「Curves」の文字部分が看者に対して強い印象を与えるとみるのが相当である。
そうすると、引用商標6においては、図形部分及び筆記体風に表された「Curves」の欧文字部分(以下「要部」という場合がある。)が、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
したがって、引用商標6は、「Curves」の欧文字に相応して、「カーブス」及び「カーブズ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
ウ 本件商標と11号引用商標との類否
本件商標及び11号引用商標(ただし、引用商標3ないし6についてはその要部を指す。)を対比すると、本件商標と引用商標1、3、及び6は、上記ア及びイのとおり、その外観は、構成文字において、「CURVE(Curve)」の文字を共通にし、そのつづりを同じくするが、それ以外の構成文字及び図形の有無の差異から、全体の印象が異なり、両者は明瞭に区別でき、外観上明らかに相違するものである。
また、本件商標と引用商標2、4及び5は、上記ア及びイのとおり、構成文字が異なり、両者は明瞭に区別でき、外観上明らかに相違するものである。
次に、本件商標と11号引用商標の称呼を比較すると、本件商標からは「カーブトレーナー」の称呼が生じるものであり、11号引用商標からは「カーブス」又は「カーブズ」の称呼が生じるものであるから、両商標は、「カーブ」の音を同じくするとしても、「トレーナー」、「ス」及び「ズ」の音の有無に明らかな差異があり、その音構成が相違するものであるから、それぞれ明瞭に聴別し得るものである。
そして、本件商標及び11号引用商標は、共に特定の観念を生じないから、両者を比較することができない。
したがって、本件商標と11号引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼においても相紛れるおそれのないものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は非類似の商標というべきである。
エ 本件商標の指定商品と11号引用商標に係る商品
本件商標の指定商品は、第28類「ゴルフ用品」であり、11号引用商標の指定商品は、第25類「フィットネス用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を含むものであるから、両者は類似する商品である。
オ 小括
以上によれば、本件商標と11号引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、たとえ、本件商標の指定商品と11号引用商標の指定商品とが類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3) 商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標は、「Curve Trainer」の文字からなり、引用商標1?6との類否は上記(2)ウのとおりであるから、両者の類似性の程度は高いということはできない。
次に引用商標7は、「CURVES」の文字を標準文字で表してなるところ、引用商標1と同様に、「カーブス」及び「カーブズ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
引用商標8は、「カーブス」の文字を標準文字で表してなるところ、引用商標2と同様に、「カーブス」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
引用商標9は、別掲2のとおり、引用商標6と同様に,図形部分及び筆記体風に表された「Curves」の文字部分が、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであるから、「カーブス」及び「カーブズ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
引用商標10は、「Curves Mentor」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「Mentor」の文字部分は、「助言者、指導者、師」の意味合いを有し、「その役務の指導者(助言者)」といった役務の質等を表示したものと認識されるものであって、その指定役務との関係において、自他役務の識別力が無いか極めて弱いものといえるから、これを捨象した「Curves」の文字部分が看者に対して強い印象を与えるとみるのが相当である。そうすると該「Curves」の欧文字に相応して、「カーブス」及び「カーブズ」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
そこで、本件商標と引用商標(ただし、引用商標3ないし6、9及び10についてはその要部を指す。)を比較すると、本件商標と引用商標とは、外観上明らかに相違するものである。
次に、称呼を比較すると、両商標は、「カーブ」の音を同じくするとしても、他の音の有無に明らかな差異があり、その音構成が相違するものであるから、それぞれ明瞭に聴別し得るものである。また、両商標は、共に特定の観念を生じないから、比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、その類似性の程度は高いとはいえない。
イ 出所の混同
引用商標は、上記(1)のとおり申立人又は申立人の業務を表示するものとして、本件商標の登録出願日前より、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認められないものであり、また、上記アのとおり、本件商標と引用商標とは類似性の程度は高いとはいえないものである。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用した場合に、引用商標の独創性の程度などについて判断するまでもなく、本件商標は、これに接する取引者、需要者が引用商標又は申立人等を連想又は想起するものということはできない
オ 小活
以上のことから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標又は申立人等を連想、想起させることはなく、その商品が他人(申立人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4) まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。


別掲1(引用商標3)





別掲2(引用商標6及び引用商標9)






引用商標の指定商品及び指定役務
(1)引用商標1
第16類「紙類,印刷物,文房具類,印刷用インテル,活字,マーキング用孔開型板,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,紙製のぼり,紙製旗,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。)」
第25類「被服,履物,フィットネス用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」

(2)引用商標2
第16類「紙類,印刷物,文房具類,印刷用インテル,活字,マーキング用孔開型板,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,紙製のぼり,紙製旗,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。)」
第25類「被服,履物,フィットネス用衣服,その他の運動用特殊衣服,運動用特殊靴,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」

(3)引用商標3ないし引用商標6
第16類「紙類,印刷物,文房具類,封ろう,印刷用インテル,活字,マーキング用孔開型板,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),写真,写真立て」
第25類「被服,履物,フィットネス用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服」

(4)引用商標7ないし引用商標9
第41類「エクササイズ及びフィジカルフィットネストレーニングの教授,エアロビクス及び筋力強化トレーニングの教授,アスレチックジムにおける運動方法の教授,その他技芸・スポーツ又は知識の教授,ヘルスクラブの提供,ボディビルディングに関するジム・ウエイトトレーニングに関するジム・その他の運動用ジムの提供,その他の運動施設の提供,運動用具の貸与,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,娯楽施設の提供,当せん金付証票の発売,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」

(5)引用商標10
第41類「会員への商品無償配布を伴うフィットネスクラブ又はヘルスクラブの提供,その他フィットネスクラブ又はヘルスクラブの提供,その他運動施設の提供,娯楽施設の提供,運動施設・娯楽施設に関する情報の提供(オンラインによる運動施設・娯楽施設に関する情報の提供を含む),フィットネスの教授又は指導,インストラクターの養成教育,スポーツ用ビデオ・DVDの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」
異議決定日 2019-06-11 
出願番号 商願2017-160364(T2017-160364) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W28)
T 1 651・ 271- Y (W28)
T 1 651・ 261- Y (W28)
T 1 651・ 262- Y (W28)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小林 大祐内田 直樹 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 小出 浩子
豊田 純一
登録日 2018-08-17 
登録番号 商標登録第6073211号(T6073211) 
権利者 株式会社ジャパーナ
商標の称呼 カーブトレーナー、カーブ 
代理人 特許業務法人 有古特許事務所 

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