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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W30
管理番号 1353341 
審判番号 不服2018-7281 
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-29 
確定日 2019-07-01 
事件の表示 商願2016-78840拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「白桃アールグレイ」の文字を普通に用いられる方法で書してなり、第30類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成28年7月22日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における同30年5月29日付け手続補正書により、第30類「紅茶」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
「本願商標は、『白桃アールグレイ』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、その構成中『白桃』の文字は『水蜜桃の一品種』の意味を有し、『アールグレイ』の文字は『ベルガモットで風味をつけた紅茶』の意味を有することから、全体として『白桃の風味、香りを有するアールグレイ』程度の意味合いを理解させる。そして、指定商品を取り扱う業界において、アールグレイに白桃をはじめ果物の風味をつけた商品が販売されている実情が認められることを併せ考慮すれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、『白桃の風味、香りを有するアールグレイの紅茶』であること、つまり、単に商品の品質を表示したものと理解するものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、『白桃の風味、香りを有するアールグレイの紅茶』以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
審判長は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に掲げる事実を発見したので、平成30年10月30日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、上記証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。
4 職権証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、前記3の通知に対して、要旨以下のとおり意見を述べた。
(1)「白桃アールグレイ」の表記は、請求人が約15年前に初めて表記して使用したものであり、現在まで継続して使用している。
(2)桃の香りの紅茶は、桃の香り、或いはピーチの香りと表現するのが一般的であり、ことさらに「白桃」と表現することは、従来、ほとんど行われていない。
(3)通知で掲げる事例は、「白桃アールグレイ」の文字が一般的な表現であることの根拠にならない。
(4)いくつかの事例は、請求人の商品が好評なのをヒントにして、「桃」の香りを「白桃」と表現したものである。
5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「白桃アールグレイ」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、「白桃」の文字は「水蜜桃の一品種」の意味を有し、「アールグレイ」の文字は「ベルガモットで風味をつけた紅茶」の意味を有する語である(「広辞苑 第6版」岩波書店発行)。
そして、指定商品「紅茶」を取り扱う業界において、別掲のとおり、果物の香りをつけたアールグレイには、例えば「ピーチアールグレイ」及び「オレンジアールグレイ」のように果物の文字を冠して「○○アールグレイ」のように表示され、また、白桃の香りをつけた紅茶には、「白桃」の文字が使用され「白桃紅茶」のように「白桃」(果物)の文字を冠して「○○紅茶」のように表示され、さらに、白桃の香りをつけたアールグレイについては、上記「○○アールグレイ」と同様に、「白桃」(果物)の文字を冠して「白桃アールグレイ」と表示して取引されている実情がある。
以上の実情を踏まえれば、紅茶の一品種である「アールグレイ」に、果物の名称である「白桃」の文字を冠した構成からなる本願商標「白桃アールグレイ」を、その指定商品「紅茶」に使用しても、これに接する需要者、取引者は、「白桃の香りを有するアールグレイ」程度の意味合いを容易に認識するというべきであるから、本願商標は、商品の品質を表したものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、その指定商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「白桃アールグレイ」の表記は、請求人が約15年前に初めて表記して使用したものであり、現在まで継続して使用している旨主張する。
しかしながら、審決時において「白桃アールグレイ」の文字が商標法第3条第1項第3号に該当することは、前記(1)のとおりであるから、請求人が初めて当該文字を表記したことや、現在まで継続して使用していることをもって、これを否定することにはならない。
イ 請求人は、桃の香りの紅茶は、桃の香り、或いはピーチの香りと表現するのが一般的であり、ことさらに白桃と表現することは、従来、ほとんど行われていない旨主張する。
しかしながら、白桃の香りをつけた紅茶を広告、宣伝、取引する際に、その香りを表すのに、「白桃」の文字が広く一般に使用されていることは、別掲2及び3のとおりである。
ウ 請求人は、職権証拠調べ通知で掲げる事例は、「白桃アールグレイ」との一連一体の表現が一般的表現であることの根拠とはならない旨主張する。
しかしながら、職権証拠調べ通知において掲げた事例(別掲1(1)及び(2))は、果物の香りをつけたアールグレイを、果物の名称を冠して「○○アールグレイ」と表示するものであって、同じような果物の一つである「白桃」について、これらと異なる方法で表示されるべき特別の事情はない。
また、職権証拠調べ通知で掲げる事例(別掲2(1)ないし(5))では、白桃の香りをつけた紅茶を、「白桃紅茶」のように「白桃」(果物)の文字を冠して「○○紅茶」のように表示されている事例である。
そして、職権証拠調べ通知で掲げる事例(別掲3(1))では、「白桃アールグレイ」の文字と「Peach EarlGrey」の欧文字が並記されているものの、「白桃」の香りをつけたアールグレイが、「白桃アールグレイ」と表示されている。
これらの事例からすれば、「白桃アールグレイ」の文字は、白桃の香りを有するアールグレイと、一般に認識される表現(表示)であるというべきである。
エ 請求人は、いくつかの事例は、請求人の商品をヒントにして、「桃」の香りを「白桃」と表現したものである旨主張する。
しかしながら、職権証拠調べ通知で示した事実が請求人の商品をヒントとしたのか否か把握し得ないとしても、一般に、アールグレイを含む紅茶が、白桃の香りを特徴とする際に「白桃」の文字が多用され、市場において取引されていることは、別掲2及び3のとおり、明らかである。
オ 上記アないしエのとおり、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲(平成30年10月30日付け証拠調べ通知書で示した事実)
1 果物の香りをつけたアールグレイに係る広告において、その香りを表すために果物の名称を表示している事実
(1)「株式会社チャーリー」のウェブサイトにおいて「ピーチアールグレイ」に「イギリスのグレイ伯爵が愛したベルガモットの香りにピーチフレーバーをブレンド。」の記載がある。
(http://charley-zzz.com/product/jp/2016/10/post-326.html)
(2)「片岡物産」のウェブサイトにおいて「オレンジアールグレイ」に「アールグレイにオレンジの香りを調和させた、リラックスに最適なアロマティック ティー。」の記載がある。
(https://www.twinings-tea.jp/products/orange-earlgrey.html)
2 白桃の香りをつけた紅茶に係る広告において、「白桃の香り」を表すために、「白桃」の文字を表示している事実
(1)「LOHACO」のウェブサイトにおいて「ルピシア 紅茶 白桃 1缶(50g)」に「紅茶にみずみずしい白桃の香りをつけました。」の記載がある。
(https://lohaco.jp/product/8991520/)
(2)「amazon」のウェブサイトにおいて、「紅茶ティーバッグ 白桃紅茶 10ヶ入り」の「商品の説明」に「ピーチのフレーバーティーは多くの方が好き嫌いなく飲めるかなり飲みやすいブレンドです。はじめてのお客さまにもきっとよろこんでいただけるかとおもいます。甘くまろやかな白桃の香りが紅茶の香りと混じりスイーティーな空間を演出します。」の記載がある。
(https://www.amazon.co.jp/%E3%81%AF%E3%81%90%E3%82%89%E8%8C%B6%E5%B1%8B-%E7%B4%85%E8%8C%B6%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%B0-%E7%99%BD%E6%A1%83%E7%B4%85%E8%8C%B6-10%E3%83%B6%E5%85%A5%E3%82%8A/dp/B00300685I)
(3)「お茶.美容.健康.ハーブ 彩香本店」のウェブサイトにおいて「白桃紅茶」に「アイスもホットもOK!優しい白桃の香りがお部屋中に広がります」の記載がある。
(http://www.chinesetea.jp/fs/saika/t19-011-050-y)
(4)「TEABAG-BAZAAR」のウェブサイトにおいて「白桃ハイビスカス紅茶/紅茶(ティーバッグ)」の「商品説明」に「みずみずしい白桃の甘い香りとハイビスカス(&ローズヒップ)の酸味がおいしい。」の記載がある。
(https://www.teabag-bazaar.com/products/kocha/k_12peach.html)
(5)「VILLAGE/VANGUARD ONLINE STORE」のウェブサイトにおいて、「長野県産白桃チップ入り 白桃紅茶」の「商品説明」に「長野県産白桃を乾燥させチップ状にしてセイロン紅茶とブレンド。国産白桃ならではの甘い香りは女性がお好みのピーチティーに仕上がりました。」の記載がある。
(https://vvstore.jp/i/vv_000000000136780/)
3 白桃の香りをつけたアールグレイに係る広告において、「白桃の香り」を表すために、「白桃」の文字を表示している事実
(1)「紅茶専門店シルバーポット」のウェブサイトにおいて「白桃アールグレイ」に、「厳選ニルギリ紅茶中心のベースに華やかなベルガモットの香りを添え、憧れフルーツ『白桃』の香りをプラス。」の記載がある。
(https://silverpot.net/SHOP/earlgrey-peach.html)
審理終結日 2019-04-25 
結審通知日 2019-05-07 
審決日 2019-05-21 
出願番号 商願2016-78840(T2016-78840) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大島 康浩 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 林 圭輔
岩崎 安子
商標の称呼 ハクトーアールグレイ 
代理人 福島 三雄 

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