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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X01 |
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管理番号 | 1353299 |
審判番号 | 取消2017-300865 |
総通号数 | 236 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-08-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2017-11-28 |
確定日 | 2019-06-25 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5238581号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5238581号商標(以下「本件商標」という。)は、「SURECEL」の文字を標準文字で表してなり、2008年6月12日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成20年11月20日に登録出願、第1類「プラスチック用安定剤,プラスチック用改質剤,プラスチック用添加剤,建築材料の製造に使用される化学品,その他の化学品,原料プラスチック」を指定商品として、同21年6月12日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、平成29年12月12日である。 なお、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成26年12月12日ないし同29年12月11日である(以下「要証期間」という場合がある。)。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第1類「プラスチック用安定剤,プラスチック用改質剤,プラスチック用添加剤,建築材料の製造に使用される化学品,その他の化学品」(以下「本件請求商品」という場合がある。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 本件商標は、その指定商品中、本件請求商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきである。 なお、請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書に対して、何ら弁駁していない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。 1 本件商標の使用事実について (1)乙第1号証について 乙第1号証は、本件商標が使用されている商品の実物写真である。 なお、当該商品は、商品説明書(乙4の1、乙5の1)にあるとおり、多孔質ビニール、多孔質ポリ塩化ビニールを製造するための泡沫気泡促進剤である。 すなわち、ポリ塩化ビニール(PVC)等のビニールは、プラスチックの概念に属するものであり、当該商品は、プラスチックの一種であるPVC等のビニール原料に添加することにより泡沫気泡の生成を促進し、多孔質PVCを製造するものであるから、本件請求商品中「プラスチック用改質剤,プラスチック用添加剤,その他の化学品」に属する商品であることは明らかである。 また、乙第1号証に表れているように、当該商品の包装には商標「SURECEL」が付されており、これは、本件商標と同一(若しくは社会通念上同一)である。 (2)乙第2号証について 乙第2号証の1は、輸入者「ROHM&HAAS JAPAN KK(ローム・アンド・ハースジャパン株式会社)」(以下「ジャパン社」という場合がある。)が商品「SURECEL」(乙1)を日本国内に流通させる目的で輸入した際に、輸出者「ローム・アンド・ハース・ケミカルズ・エルエルシー」(以下「ケミカルズ・エルエルシー」という。)が発行したパッキングリスト(梱包明細書)であり、乙第2号証の2は、前記梱包明細書(乙2の1)に対応するインボイス(請求書)である。 また、乙第2号証の3は、ジャパン社が商品「SURECEL」(乙1)を日本国内に流通させる目的で輸入した際に、東京税関が発行した輸入許可通知書である。 すなわち、乙第2号証は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、輸入する行為」に該当する本件商標の使用事実を証明するものである。 また、梱包明細書、請求書(乙2の1、乙2の2)は、商標法第2条第3項第8号にいう「取引書類」に該当するものであり、かつ、いずれの書類にも本件商標と同一(若しくは社会通念上同一)の商標が付されていることから、乙第2号証は、同号にいう「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する本件商標の使用事実を証明するものでもある。 なお、本件商標について上述の商標法第2条第3項第2号該当の使用行為が行われた日は、輸入許可書(乙2の3)の発行日(許可日)である2015年4月28日であり、また、同項第8号該当の使用行為が行われた日は、それぞれの書類の発行日である2015年4月22日(乙2の1)、同月23日(乙2の2)であり、いずれも要証期間に行われたことが明らかである。 また、ケミカルズ・エルエルシー及びジャパン社は、被請求人が許諾した本件商標の通常使用権者である(乙6の1?4)。 なお、乙第6号証の3における被請求人との契約当事者は、「東京有機化学工業株式会社」であるが、当該法人は、ジャパン社に合併され、その後、乙第6号証の3の契約はジャパン社が契約当事者となっている(乙6の4)。 (3)乙第3号証について 乙第3号証は、ジャパン社が、商品「SURECEL」(乙1)を、A社に納品した際に発行した納品書である。 当該納品書は、商標法第2条第3項第8号にいう「取引書類」に該当するものであり、かつ、いずれの書類にも本件商標と同一(若しくは社会通念上同一)の商標が付されていることから、乙第2号証は、同号にいう「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する本件商標の使用事実を証明するものである。 また、当該納品書により、商品「SURECEL」(乙1)が、ジャパン社からA社に納品された事実が明示されていることから、乙第3号証は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡しする行為」に該当する本件商標の使用事実を証明するものでもある。 なお、上述の本件商標の使用行為が行われた日は、納品日である2016年5月24日であり、当該使用行為が要証期間に行われたことが明らかである。 また、上述のとおり、ジャパン社は、被請求人が許諾した本件商標の通常使用権者である(乙6)。 (4)乙第4号証について 乙第4号証の1は、商品「SURECEL」(乙1)の商品説明書1であり、商標法第2条第3項第8号にいう「取引書類」に該当するものである。なお、本件商標と同一(若しくは社会通念上同一)の商標は、当該商品説明書1の第1頁、第2頁に付されている。 また、乙第4号証の2は、前記商品説明書1(乙4の1)が、ダウ・ケミカル日本株式会社から顧客であるB社にメール送信により頒布されている事実を証明するものである。 すなわち、乙第4号証は、同号にいう「商品に関する取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する本件商標の使用事実を証明するものである。 なお、上述の本件商標の使用行為が行われた日は、電子メール送信日である2016年11月10日であり、当該使用行為が要証期間に行われたことが明らかである。 また、ダウ・ケミカル日本株式会社(旧社名:ジャパン社(乙6の4))は、被請求人が許諾した本件商標の通常使用権者(乙6)である。 (5)乙第5号証について 乙第5号証の1は、商品「SURECEL」(乙1)に関する商品説明書2であり、商標法第2条第3項第8号にいう「取引書類」に該当するものである。なお、本件商標と同一(若しくは社会通念上同一)の商標は、当該商品説明書2の第2頁、第4頁の他、第5頁ないし第7頁等に付されている。 また、乙第5号証の2は、ダウ・ケミカル日本株式会社と顧客であるC社との間で取り交わされた電子メールであり、商品説明書2(乙5の1)が、顧客であるC社に頒布された事実を証明するものである。 すなわち、乙第5号証は、同号にいう「商品に関する取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する本件商標の使用事実を証明するものである。 なお、上述の本件商標の使用行為が行われた日は、電子メール通信文書にあるところの面談日2017年12月5日であり、当該使用行為が要証期間に行われたことが明らかである。 2 以上、被請求人が提出した証拠書類により証明されるとおり、本件商標は、指定商品「プラスチック用改質剤,プラスチック用添加剤,その他の化学品」に対して、要証期間に、日本国内において商標権者(通常使用権者を含む。)により使用されており、商標法第50条第1項の規定には該当しない。 第4 当審の判断 1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。 (1)乙第1号証は、本件商標が使用されている商品の実物写真であり、その撮影日は2018年3月20日である。「ROHM AND HAAS」の文字が表示された袋には、「品名:SURECEL 467」「LOT:A001F2D008」の記載がある。 (2)乙第2号証の1は、依頼主を「Rohm and Haas Chemicals LLC(ローム・アンド・ハース・ケミカルズ・エルエルシー)」とし、販売先を「ROHM&HAAS JAPAN KK(ローム・アンド・ハースジャパン株式会社)」とする2015年4月22日付け「PACKING LIST(梱包明細書)」であるところ、当該梱包明細書によれば、「Shipment Number(積荷番号)」が「0025058328」、「Delivery Number(配送番号)」が「0804987211」の積荷を2015年4月23日に出荷したものであり、その積荷は、「Order Number(注文番号)」が「103147068」、「Batch Number(バッチ番号)」が「A001F2D008」であって、「SURECEL(TM)467」という商品「PROCESSING AID POWDER(加工助剤粉)」である。 また、乙第2号証の2は、2015年4月23日付け「Invoice(請求書)」であり、乙第2号証の1の依頼主、販売先、出荷日、積荷番号、配送番号、注文番号及び商品の記載などが一致する。 さらに、乙第2号証の3は、2015年4月28日付けの東京税関による「輸入許可通知書」であり、これに記載された内容は、乙第2号証の1及び2の記載内容に対応するものであるから、同日付で乙第2号証の1及び2の積荷の輸入が許可されたものと認められる。 (3)乙第3号証は、ジャパン社による「納品書」であり、「荷受主」であるA社(東京都大田区所在)に対し、ロットを「A001F2D008」とする製品名「SURECEL 467」を2016年5月23日に出荷し、翌24日に納品したことが認められる。 (4)乙第4号証の1及び乙第5号証の1は、被請求人の主張によれば、「SURECEL 467」の商品説明書である。乙第4号証の1には「SURECEL 467/多孔質ビニール用全アクリル泡沫気泡促進剤」、乙第5号証の1には「SURECEL 泡沫気泡促進剤/一連の製品は、貴方の多孔質ポリ塩化ビニール形成のニーズを全て満たすように作られています。」との記載がある。 (5)乙第6号証の1は、ケミカルズ・エルエルシーとローム アンド ハース カンパニー(本件商標権者)との間で交わされた2005年12月19日付け知的財産権ライセンス契約書であり、これは、本件商標権者の所有する化学品事業に関連する知的財産権に関する契約であり、「2005年12月31日午前11時59分(東部標準時)から有効である。」との記載がある。 また、乙第6号証の2は、乙第6号証の1の契約を2018年12月31日まで延長する旨の2015年11月10日付け同意書である。 乙第6号証の3は、東京有機化学工業株式会社と本件商標権者との間で交わされた1994年1月3日から有効とする旨の使用許諾契約書である。 乙第6号証の4は、ジャパン社と本件商標権者との間で交わされた1996年7月8日付け同意書である。1995年12月1日に東京有機化学工業株式会社はジャパン社と合併したことにより、乙第6号証の3の使用許諾契約を東京有機化学工業株式会社からジャパン社が引き継ぐことに同意する旨の記載がある。 2 判断 (1)使用商標について 本件商標は、上記第1のとおり「SURECEL」の文字を標準文字で表してなるものである。 また、上記1(1)のとおり、商品の実物写真(乙1)には、「SURECEL 467」(以下「本件使用商標」という。)の記載がある。 そこで、本件商標と本件使用商標とを比較すると、本件使用商標中の「467」の文字は、品番、型番等を示す数字にすぎないから、本件使用商標の要部は「SURECEL」の文字部分であり、両商標は、欧文字のつづりを同一とするものであるから、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一のものと認められる。 (2)使用商品について 上記1(4)のとおり、本件使用商標を使用する商品(以下「本件使用商品」という。)は、「多孔質ビニール・多孔質ポリ塩化ビニールを製造するときに用いる泡沫気泡促進剤」であり、これは、本件請求商品中の「プラスチック用改質剤,プラスチック用添加剤,その他の化学品」の範ちゅうに属する商品である。 (3)使用時期及び使用行為について 上記1(2)及び(3)のとおり、本件使用商品は、ケミカルズ・エルエルシーからジャパン社により2015年4月に輸入され、その後、ジャパン社は本件使用商品を要証期間の2016年5月24日にA社(東京都大田区所在)に引き渡した(商標法第2条第3項第2号)。 (4)使用者について 上記1(5)のとおり、本件商標権者は、ケミカルズ・エルエルシー及びジャパン社とそれぞれの間で知的財産の使用許諾契約を交わしていることから、ジャパン社は本件商標の通常使用権者である。 (5)小括 上記(1)ないし(4)からすれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品中「プラスチック用改質剤,プラスチック用添加剤,その他の化学品」の範ちゅうに属する商品に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して引き渡した(商標法第2条第3項第2号に該当。)というのが相当である。 3 まとめ 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標の通常使用権者が本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。 したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2019-01-29 |
結審通知日 | 2019-01-31 |
審決日 | 2019-02-15 |
出願番号 | 商願2008-94036(T2008-94036) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(X01)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
大森 健司 |
特許庁審判官 |
小松 里美 金子 尚人 |
登録日 | 2009-06-12 |
登録番号 | 商標登録第5238581号(T5238581) |
商標の称呼 | シュアセル、スレセル |
代理人 | 特許業務法人センダ国際特許事務所 |
代理人 | 柳田 征史 |