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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2018890072 審決 商標
不服20187002 審決 商標
異議2018900240 審決 商標
不服201810016 審決 商標
不服201615639 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W35
審判 査定不服 外観類似 登録しない W35
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W35
管理番号 1352424 
審判番号 不服2018-10383 
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-31 
確定日 2019-05-23 
事件の表示 商願2017- 10661拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,平成29年2月3日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりである。
(1)登録第4825370号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:平成16年4月30日
設定登録日:平成16年12月10日
更新登録日:平成26年7月22日
指定商品:第30類「菓子及びパン」
(2)登録第5170160号商標
商標の態様:「フルーツジュエリー」(標準文字)
登録出願日:平成20年3月10日
設定登録日:平成20年10月3日
指定商品:第29類「冷凍果実,加工果実」
(3)登録第5170161号商標
商標の態様:「フルーツジュエリー」(標準文字)
登録出願日:平成20年3月11日
設定登録日:平成20年10月3日
指定商品:第32類「果実飲料」

3 当審の判断
(1)商標の類否判断について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。
この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号,最高裁平成3年(行ツ)第103号,最高裁平成19年(行ヒ)第223号参照)。
上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。
(2)本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,黄色の長方形を背景として,最上段にパイナップルの上部を表したと思しき図形(以下「本願図形部分」という。)を配し,その下に,「Fruit」及び「Jewelry」の欧文字を,「i」と「l」の文字とを上下結合させ,筆記体風の書体で二段に大きく表し,その下に前記文字より小さく「FACTORY」の欧文字,さらにその下に,より小さく「ISHIGAKI ISLAND」の欧文字を,ゴシック体で下方に向かって緩やかにカーブする曲線状に表した構成からなり,本願図形部分及び文字部分は青色で表されているものである。
そして,本願商標構成中,下方に配された「FACTORY」の文字は,「工場」を意味する英語(「プログレッシブ英和中辞典第4版」株式会社小学館)であって,指定役務である小売等役務の取扱商品の生産場所を認識させるといえるものであるから,自他役務の識別標識としての機能を有しないか,極めて弱いといえるものである。
さらに,その下段の「ISHIGAKI ISLAND」の文字は,「ISLAND」が「島」を意味する語(同参照)であることからすれば,「ISHIGAKI ISLAND」の文字は,沖縄県南西部の「石垣島」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)を認識させるものであり,同取扱商品の産地,販売地又は役務の提供場所を認識させるものであるから,自他役務の識別標識としての機能を有しないというべきものである。
一方,本願図形部分は,パイナップルの上部を表したと思しき図形からなるものの,これよりは直ちに特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。
また,その下の「Fruit」及び「Jewelry」の文字についてみるに,本願商標構成中,中央に大きな文字で「i」と「l」の文字を上下結合させて,同じ書体で表されていることから,一体として「Fruit Jewelry」の語を表したものと看取されるところ,「Fruit」の文字は,「果物」を意味する我が国において親しまれた英語であって,外来語「フルーツ」に通じるものであり,「Jewelry」の文字は,「宝石類」を意味する親しまれた英語(「プログレッシブ英和中辞典第4版」株式会社小学館)であるから,「Fruit Jewelry」の文字部分からは,「フルーツジュエリー」の称呼及び「果物の宝石」の観念を生じるというべきである。
そして,本願図形部分及び「Fruit Jewelry」の文字部分は,ともに指定役務の質等を表示するものではなく,役務の出所識別標識として機能し得るものであるところ,これらは一体となって特定の称呼及び観念を生じるものとはいえず,称呼上及び観念上,相互に密接な関連性を有するともいえないものであるから,本願図形部分と「Fruit Jewelry」の文字部分は,それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものということはできない。
そうすると,簡易迅速を尊ぶ取引の実際において,本願商標に接する取引者,需要者は,その構成中,中央部分にひときわ大きく,横幅を広く取って顕著に表され,その意味合いも容易に認識しやすい親しまれた英語からなる「Fruit Jewelry」の文字部分に着目し,そこから生じる称呼及び観念を記憶にとどめ,これを持って取引にあたる場合も少なくないといえる。
してみれば,当該文字部分は,取引者,需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分といえるものである。
そうすると,本願商標は,その構成中の「Fruit Jewelry」の文字部分を要部として抽出し,これをもって他人の商標と比較し,商標そのものの類否を判断することも許されるといえるから,本願商標からは,当該文字部分に相応して「フルーツジュエリー」の称呼を生じ,「果物の宝石」の観念を生じるものである。
(3)引用商標1について
引用商標1は,別掲2のとおり,「fruits jewelry」の欧文字と「フルーツジュエリー」の片仮名を上下二段に表してなるところ,下段の片仮名は,上段の欧文字の読みを一連に表したものと無理なく理解されるものである。
そして,上段の「fruits jewelry」は,横一連にまとまりよく表されており,その構成中の「fruits」は「果物」,「jewelry」は「宝石類」をそれぞれ意味する我が国において親しまれた英語(「プログレッシブ英和中辞典第4版」株式会社小学館)であるから,引用商標1は,その構成文字に相応して,「フルーツジュエリー」の称呼及び「果物の宝石」の観念を生じるものである。
(4)本願商標と引用商標1の類否について
本願商標と引用商標1の類否について検討すると,両商標は,構成全体の外観においては相違するものの,本願商標構成中の「Fruit Jewelry」の文字部分と引用商標1の構成中の「fruits jewelry」の文字部分とは,中間の「s」の文字の有無に差異を有するものの,その他の文字は,いずれも同じつづりの欧文字からなるものであるから,両者は外観上類似するというのが相当である。
そして,両商標は,「フルーツジュエリー」の称呼及び「果物の宝石」の観念を共通にするものである。
そうすると,本願商標と引用商標1とは,外観上類似するものであって,その称呼及び観念を共通にするものであるから,外観,称呼,観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,全体的に考察すれば,両者は互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(5)本願商標の指定役務と引用商標1の指定商品の類否について
本願商標の指定役務である第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の取扱商品には,「菓子及びパン」が含まれるものであって,本願商標の指定役務と引用商標1の指定商品とは,「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」という役務と,その取扱商品という関係にあり,これらは一般的に,同一の事業者に係るものが多く,その役務の提供場所と商品の販売場所,及び取引者,需要者の範囲を共通にするものであるから,本願商標の指定役務と,引用商標1の指定商品とは,類似するというのが相当である。
(6)小括
以上によれば,本願商標は,引用商標1と類似する商標であって,かつ,引用商標1の指定商品と類似する役務について使用をするものであるから,その他の商標との類否について言及するまでもなく,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(7)請求人の主張について
請求人は,「本願商標は,全体としてまとまりの良いロゴ様に統一感をもってデザインされており,図形要素及び文字要素が一体となって,一つのロゴとして機能するよう表されているから,全体として外観上の結びつきが強いものといえ,本願商標においては,『Fruit』及び『Jewelry』の文字部分が要部という理由は見あたらない。よって,本願商標は,各引用商標とは外観が明らかに異なっており,観念においては,構成中の文字部分から『石垣島の宝石のような果物の工場』,『石垣島の果物のような宝石の工場』程度の観念,又は『宝石のような果物の工場』,『果物のような宝石の工場』程度の観念を暗示させるものであり,称呼においては,『フルーツジュエリーファクトリーイシガキ』又は『フルーツジュエリーファクトリー』の称呼が生じる。」旨を主張している。
しかしながら,本願商標構成中の下方に配された「FACTORY」及び「ISHIGAKI ISLAND」の文字は,前記(2)のとおり,役務の識別標識としての機能を有しないか,極めて弱い部分であるというのが相当であり,簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては,本願商標に接する取引者,需要者は,当該部分を捨象して,出所識別標識としてより強い印象を与える部分に着目して取引にあたる場合も少なくないといえる。
してみれば,前記(2)のとおり,本願商標の構成においては,「Fruit Jewelry」の文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分といえるものであるから,当該文字部分を要部として抽出することは許されるというのが相当である。
したがって,請求人の上記主張を,採用することはできない。
(8)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標:色彩については、原本参照。)


別掲2(引用商標1)


審理終結日 2019-03-14 
結審通知日 2019-03-19 
審決日 2019-04-05 
出願番号 商願2017-10661(T2017-10661) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W35)
T 1 8・ 262- Z (W35)
T 1 8・ 263- Z (W35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 松江大島 康浩 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 鈴木 雅也
真鍋 恵美
商標の称呼 フルーツジュエリーファクトリーイシガキアイランド、フルーツジュエリーファクトリー、フルーツジュエリー、ジュエリーファクトリー、ジュエリー、ファクトリー、イシガキフルーツ 
代理人 三井 直人 
代理人 涌井 謙一 
代理人 工藤 貴宏 
代理人 山本 典弘 
代理人 鈴木 一永 

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