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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201815721 審決 商標
不服20187529 審決 商標
不服201815972 審決 商標
不服201713410 審決 商標
不服201515350 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 登録しない W09
管理番号 1348813 
審判番号 不服2018-6450 
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-10 
確定日 2019-01-17 
事件の表示 商願2016-137104拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類「眼鏡,運動用ゴーグル,コンタクトレンズ,サングラス,水中マスク,水中眼鏡,鼻眼鏡,普通眼鏡,防じん眼鏡,眼鏡の部品及び附属品,コンタクトレンズ用容器,眼鏡のつる,鼻眼鏡のマウント,鼻眼鏡用鎖,鼻眼鏡用ひも,眼鏡ケース,眼鏡ふき,眼鏡用レンズ枠,眼鏡チェーン」を指定商品として、平成28年11月21日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『YUICHI TOYAMA』の文字を含んでなるところ、その文字は、『外山雄一』、『外山裕一』、『外山勇一』等の氏名を表すローマ字表記と認められるところ、インターネットの情報により、『外山雄一』、『外山裕一』、『外山勇一』なる者の存在を知ることができることから、本願商標は、他人の氏名を含むものと認められ、また、それらの者の承諾を得ていないものである。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号について
商標法第4条第1項第8号の趣旨及びその適用については、以下のアないしウのとおり判示されている。
ア 商標法第4条第1項第8号が、他人の肖像又は他人の氏名、名称、著名な略称等を含む商標は、その他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができないと規定した趣旨は、人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち、人は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである(最高裁平成16年(行ヒ)343号、平成17年7月22日判決)。
イ 他人の名称を含む商標については、他人の承諾を得ているものを除いては、商標登録を受けることができないというべきであって、出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか、いずれが著名あるいは周知であるといったことは、考慮する必要がないというべきである(知的財産高等裁判所平成20年(行ケ)10309号、平成21年2月26日判決)。
ウ 同号(商標法第4条第1項第8号)は、出願人と他人との間での商品又は役務の出所の混同のおそれの有無、いずれかが周知著名であるということなどは考慮せず、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称」を含む商標をもって商標登録を受けることは、そのこと自体によって、その氏名、名称等を有する他人の人格的利益の保護を害するおそれがあるものとみなし、その他人の承諾を得ている場合を除き、商標登録を受けることができないとする趣旨に解されるべきものなのである(知的財産高等裁判所平成21年(行ケ)10005号、平成21年5月26日判決)。
(2)商標法第4条第1項第8号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、長方形の枠内に「YUICHI」及び「TOYAMA.」の欧文字並びにピリオドを、上下2段に横書きしてなるものである。
ところで、欧文字表記の名刺の氏名の記載や、クレジットカードに表示されている氏名の欄には、「名」及び「氏」の順に本人の氏名の読みがローマ字表記されているように、氏名をローマ字表記することが社会全般において広く行われている。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中の文字を全体として把握し、氏名を「YUICHI TOYAMA」とローマ字表記したものと、容易に認識するというのが相当である。
そして、別掲2のとおり、原審において開示した者に加え、別掲3のとおり、当審による職権調査により確認できる「YUICHI TOYAMA」のローマ字表記に相当する氏名を有する者、「外山雄一」、「外山裕一」、「外山有一」らが現存することが認められる。
そうすると、本願商標は、その構成中に他人の氏名を含む商標といわなければならず、かつ請求人「株式会社アトリエサンク」の代表取締役である、外山雄一氏以外の他人の承諾を得ていることを確認できる書面等の提出はない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。

4 請求人の主張について
(1)請求人は、審査官が拒絶査定において「他人の氏名」の例として引用したインターネット情報に関して、いずれの情報も人格権保護を考慮すべき本願の査定登録時に存命中であるか否か、「とやまゆういち」の姓名の読みを生じる戸籍名を現在もなお有するか否か、それらの事項が具体的な証拠により裏付けられていない以上、保護すべき人格的利益が存在するか否か不明瞭な状態であるため、本願について商標法第4条第1項第8号を適用するための前提を欠く旨を主張している。
しかしながら、別掲2の原審で開示した情報は、本件審決時においても確認できる。
また、当審の職権調査においても、別掲3(2)、(4)、(5)及び(6)のとおり、「YUICHI TOYAMA」のローマ字表記に相当する「外山雄一」、「外山裕一」及び「外山有一」なる者が存在し、当該インターネットや新聞記事情報に表された「平成30年12月4日」、「2018年10月4日」、「2018年4月現在」、「平成30年度」の時点において存在していたことが確認できる。
以上のことから、別掲2及び別掲3で示した情報が現在でも存在し、その中には、記事の掲載日等が明記されており、かつ、それらの日付が近年のものも含まれていることからすると、本件審決時においても、「YUICHI TOYAMA」のローマ字表記に相当する者が現存するものと推認される。
(2)請求人は、本願商標は、「YUICHI」及び「TOYAMA.」の二段書きの文字を長方形の枠線で囲み、一体感ある態様にて表示したものであり、そもそも「他人の氏名」を表したと認識できる態様ではない旨を主張している。
しかしながら、本願商標中の長方形はありふれた輪郭として普通に使用されている図形であり、また、ピリオド「.」についても、横書きの文の末尾に付する終止符として普通に使用されているものであって、これらの輪郭や終止符部分から、殊更、称呼及び観念は生じず、本願商標の構成において強く支配的な印象を与える部分は、「YUICHI」及び「TOYAMA」の文字部分であって、これが、終止符等の有無によって、氏名を表したものとは認識できないとする理由はない。
そして、該文字部分は、氏名を表したものと容易に認識し得ることは上記3(2)のとおりである。
(3)請求人は、請求人会社の代表取締役である外山雄一氏は、眼鏡のデザインの分野において国内外で広く知られたデザイナーであるため、本願の指定商品との関連において、「YUICHI TOYAMA.」の文字を含む本願商標が用いられた場合には、眼鏡で広く知られたデザイナーの「外山雄一」氏を需要者が想起することがあったとしても、眼鏡とは全く関係のない業務等に携わる「外山裕一」氏等を想起することはありえない旨を主張している。
しかしながら、商標法第4条第1項第8号の趣旨は、上記3(1)の判示のとおり、他人の氏名を含む商標について商標登録を受けることは、そのこと自体が、その氏名を有する他人の人格的利益の保護を害するおそれがあるものと考えられるのであり、この場合、請求人と他人との間で事業内容が競合するかとか、いずれが著名あるいは周知であるといったことは、考慮する必要がないものである。
(4)請求人は、出願に係る商標が、その指定商品との関連において「広く知られている」こと、並びにその指定商品が「他人の名称」に係る業務とは全く異なること等が考慮され、商標法第4条第1項第8号の「他人の名称」に該当しないと判断した審決例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨を主張している。
しかしながら、請求人が挙げる例は、その構成及び態様等が異なり、事案を異にするものであり、かつ、具体的事案の判断においては、過去の氏名を含む商標の登録例に拘束されることなく判断されるべきである。そして、本願商標が商標法第4条第1項第8号に該当することは上記3(2)のとおりである。
よって、請求人の上記(1)ないし(4)の主張は、いずれも採用できない。

5 むすび
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標

別掲2 「YUICHI TOYAMA」に相当する氏名が使用されている例(平成30年3月14日付けの拒絶査定により通知した事例)
(1)「不動産・住宅情報サイト ライフルホームズ」のウェブサイト
「未来エステート株式会社」の見出しのもと「店舗スタッフ情報 外山裕一(トヤマユウイチ)の紹介」の記載がある。
(https://www.homes.co.jp/realtor/mid-133067heRrwNYNyFfE/staff/sid-133067.37191.0/)
上記会社「未来エステート株式会社」のウェブサイト
「スタッフ紹介」の項目のもと、上記の「外山裕一の紹介ページ」がある。
(https://www.mirai-estate.co.jp/stafflist_me/staff_me39671/)
(2)一般財団法人とちぎメディカルセンター 機関紙「TMC通信 2017.6 VOL.5」(平成29年6月1日)
「新企画連載『TMCの顔』」の見出しのもと、「外山 雄一(とやま ゆういち)初期臨床研修医2年目」の記載がある。
(https://www.tochigi-medicalcenter.or.jp/news/wp-content/uploads/2017/12/9b8a83778ae4a1b7450876f99153ac58.pdf)
(3)「上越&周辺エリアの求人情報・地域情報 adva あどば 電子版」のウェブサイト
「これが私の生きる道」の見出しのもと、「『未病』を改善、真の健康を目指すカイロプラクターを育てたい 2017年1月31日(た)」及び「外山雄一(とやま ゆういち)さん 上越市木田在住 カイロプラクティックセンター上越ふじまき店代表」の記載がある。
(https://www.adva.me/info/korewata/4325)
(4)「HOT PEPPER Beauty」のウェブサイト
「Agu hair tart 青葉通り店【アグヘアータルト】」の見出しのもと、「タルト 静岡青葉通り店 副店長 外山 裕一 トヤマ ユウイチ」の記載がある。
(https://beauty.hotpepper.jp/slnH000372979/stylist/T000428348/)

別掲3 「YUICHI TOYAMA」に相当する氏名が使用されている例(当審において追加した事例)
(1)日本公認会計士協会の「公認会計士等検索システム」のウェブサイト
「氏名(かな)」の欄に「とやまゆういち」を入力して検索した結果、以下の2名の存在が認められる。
・「区分:公認会計士」、「登録番号:5012」、「氏名:外山雄一」、「氏名(かな):とやまゆういち」「事務所名:外山雄一公認会計士事務所」
・「区分:公認会計士」、「登録番号:22507」、「氏名:外山雄一」、「氏名(かな):とやまゆういち」、「事務所名:有限責任あずさ監査法人名古屋事務所」
(https://www.jicpa.or.jp/cpa_search/ms_search.php?page=1&name_100=&kana_100=%E3%81%A8%E3%82%84%E3%81%BE%E3%82%86%E3%81%86%E3%81%84%E3%81%A1&pref=&sort_key=kana&search=%E6%A4%9C%E7%B4%A2)
(2)厚生労働省の「医師等資格確認検索」のウェブサイト
「氏名」の欄に「外山 雄一」を入力して検索した結果、以下の2名の存在が認められる。検索結果と共に、「掲載している医師等の情報は、平成30年12月4日現在のものです。」の記載がある。
・「職種:医師」、「氏名:外山雄一」、「登録年:平成28年」
・「職種:歯科医師」、「氏名:外山雄一」、「登録年:平成25年」
(https://licenseif.mhlw.go.jp/search_isei/)
(3)太洋歯科クリニック(神奈川県横浜市)のウェブサイト
「スタッフ紹介」の項目に、以下の歯科医師が紹介されており、当該医師により、出張講演会が行われている事実がうかがえる。
「Doctor(歯科医師) 外山雄一」
(紹介:http://www.taiyo-dc.com/2012/05/post-129.html)
(講演会:http://www.taiyo-dc.com/staff_kouen_businesstrip.html)
(4)東京新聞(2018年10月4日夕刊)
「北海道地震 厚真が好き 創作再び 35年前移住の木工作家 作業場半壊…でも前へ」の見出しのもと、「・・・静岡市出身で、最も多くの犠牲者を出した厚真(あつま)町に住む木工作家、外山雄一さん(66)は自宅や作業場が被害に遭い、一時は引退も考えた。」の記載がある。
(5)翔設計グループ(SHO-SEKKEI group)のウェブサイト
「会社概要・沿革」の見出しのもと、「グループ会社」の項目において、「商号:株式会社翔設計神奈川」、「代表者:代表取締役 外山裕一」及び「社員数:11名(2018年4月現在)」の記載がある。
(http://www.sho-sekkei.co.jp/company/)
(6)「花と緑のまち豊田」のウェブサイト
西山公園の「平成30年度 花とみどりの講座」のパンフレットにおいて、「平成30年度講座予定表」及び「花とみどりの講座」の見出しのもと、「講師」の項目において、「緑の相談員/樹木医 外山有一」の記載がある。
(http://toyota-hana-midori.net/wp-content/uploads/2015/01/324b72cf823e8fbc5f025a217e6c85cc.pdf)
(7)「株式会社 えすと」のウェブサイト
「COMPANY 会社案内」の見出しのもと、「監査役:外山雄一」の記載がある。
(http://www.est-est.co.jp/company/)

審理終結日 2018-11-15 
結審通知日 2018-11-20 
審決日 2018-12-05 
出願番号 商願2016-137104(T2016-137104) 
審決分類 T 1 8・ 23- Z (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内藤 順子谷村 浩幸齋藤 健太 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 浜岸 愛
榎本 政実
商標の称呼 ユーイチトヤマ、ユイチトヤマ、ユーイチ、ユイチ 
代理人 江森 健二 

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