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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y33
審判 全部申立て  登録を維持 Y33
審判 全部申立て  登録を維持 Y33
審判 全部申立て  登録を維持 Y33
審判 全部申立て  登録を維持 Y33
管理番号 1345062 
異議申立番号 異議2017-685028 
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-09-11 
確定日 2018-06-25 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第809353号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第809353号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第809353号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2017年(平成29年)1月5日に国際商標登録出願(事後指定)、平成29年5月1日に登録査定、第33類「Wines of all kinds.」を指定商品として、同年6月30日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する国際登録第1183347号商標(以下「引用商標」という。)は、「ZAGO」の欧文字を書してなり、2013年(平成25年)9月19日に国際商標登録出願、第30類「Coffee,cocoa and artificial coffee;flour and preparations made from cereals;bread,pastry and confectionery;yeast;vinegar,sauces(condiments).」、第32類「Beers;mineral and aerated waters and other non-alcoholic beverages;fruit beverages and fruit juices;syrups and other preparations for making beverages.」及び第33類「Alcoholic beverages(except beers).」を指定商品として、平成27年4月3日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
1 引用商標の周知著名性について
申立人は、イタリア国ポルデノーネ地方を本拠とするワインメーカーであり、ポルデノーネ地方の気候の特徴を生かした「ZAGO」ブランドのProsecco(プロセッコ)DOCワイン(以下「申立人ワイン」という。)は、イタリアのみならず、世界中のワイン愛好家の間において周知著名な存在である。
申立人の創業者であるAngel Zagoは、19世紀中頃にワイン用のぶどう栽培を始め、その栽培技術は彼の子孫に代々引き継がれている。
申立人が製造するワインは、2014年に開催された「21st VINITALY INTERNATIONAL WINE COMPETITION」(第21回イタリアワイン国際コンペティション)をはじめ数々の国際的な賞を受賞しており、我が国でも、日本女性によるワイン審査会「”SAKURA”Japan Women’s Wine Awards(サクラアワード)」において、2016年にGold(金賞)2つ、2017年にSilver(銀賞)を1つ受賞している(甲3)。
申立人が製造するワインは、我が国でも輸入販売され(甲4)、我が国のワイン愛好家から幅広く支持されている。申立人は、我が国で毎年開催される国内唯一のワイン専門の国際総合見本市である「ワイン&グルメジャパン」にも継続して参加しており(甲5?甲7)、2015年に開催された上記見本市では「ワインラベルコンテスト」で第2位を獲得している(甲5、甲6)。また、申立人は、2017年4月に日本橋三越本店で開催された「三越イタリア展」にも出店し(甲8)、申立人ワインのみならず、申立人の独自製法によるクラフトビールも出品し(甲9)、イタリアの食文化の紹介に努めている。
このように、申立人の製造販売に係る申立人ワインは、イタリアのみならず、我が国のワイン愛好家の間でも広く知られた存在である。
2 本件商標の商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び/又は同項第15号該当性について
上記第1及び第2のとおり、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品に完全に含まれるから、両者が指定商品において抵触する関係にあることは明らかである。
次に、本件商標は、別掲1のとおり、ごく普通の活字体の欧文字により「VINA ZACO」(「N」の文字の上部には「チルダ」記号が付されている。以下同じ。)と構成され、その構成中の前半部分である「VINA」の文字は、「ぶどう、ぶどう畑」を意味するスペイン語の単語であるから、その指定商品との関係において、後半部の「ZACO」の文字部分が商標の要部として自他商品識別機能を発揮する。
そこで、本件商標の要部である「ZACO」の文字と引用商標を比較検討してみると、両者を構成する欧文字4文字のうち、3文字(「Z」「A」及び「O」)が共通し、さらに、相違する「C」と「G」も外観上極めて近い構成態様からなり、また、両者から生ずる自然な称呼である「ザコ」と「ザゴ」も、相違する点は2音目における清音と濁音の違いのみであるから、両者は称呼上も非常に近い関係にあるといい得る。
そうとすると、本件商標の要部である「ZACO」の文字と引用商標は、外観及び称呼における近似性の高さから、混同を生じさせるおそれがある程度に類似すると考えるのが妥当である。
よって、本件商標は、構成要素全体においても、引用商標と類似すると考えるのが妥当であるから、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するといわざるを得ない。
また、本件商標と引用商標が類似するとはいえない場合でも、商品「ワイン」との関連において、引用商標と外観及び称呼において極めて近い構成態様からなる「ZACO」の文字を要部とする本件商標に接する我が国の取引者、需要者は、本件商標に係る商品があたかも周知著名な申立人の「ZAGO」ブランドの商品であるかのごとく商品の出所について混同するおそれがあるか、あるいは申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認した結果、商品の出所について混同するおそれがあるといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び/又は同項第15号に違反して登録されたものである。
第4 当審の判断
1 引用商標及び使用商標の周知性について
申立人は、引用商標を使用した申立人ワインはイタリアのみならず、我が国のワイン愛好家の間でも広く知られた存在であり、引用商標は、周知著名である旨主張し、その証拠方法として、甲第3号証ないし甲第10号証を提出している。
しかしながら、申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人の業務に係る商品(ワイン)に使用されている標章は、別掲2のとおり、「Z」、「△」、及び「GO」の構成態様からなるもの(以下「使用商標」という。)であり、引用商標の使用は見いだせない。
加えて、申立人の提出に係る甲各号証からは、申立人ワインについて、我が国におけるその商品の売上高、市場シェアなどの事業規模、広告宣伝の程度などが明らかとはいえないことから、使用商標の周知性の程度を推し量ることができない。
そうすると、提出された証拠からは、引用商標及び使用商標が、申立人の業務に係る商品(ワイン)を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものということはできない。
以上のとおり、引用商標及び使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る商品(ワイン)を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 本件商標と引用商標及び使用商標との類否について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、「VINA ZACO」の文字からなるところ、中間部に1文字分の間隙があるものの、同じ書体及び大きさをもって、一連に横書きされているものであり、その構成全体から生じる「ヴィーナザコ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標を構成する「VINA ZACO」の文字は、特定の意味合いを想起させないものであるから、本件商標は、特定の観念を生じないものである。
そうすると、本件商標は、その構成態様及び称呼からすれば、その構成全体をもって、一連一体のものとして看取、把握されるものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成全体に相応して、「ヴィーナザコ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、前記第2のとおり、「ZAGO」の文字からなるところ、その構成文字に相応して、「ザゴ」の称呼を生じるものであり、「ZAGO」の文字は、一般の辞書等に掲載のないものであるから、引用商標は、特定の観念を生じないものである。
(3)使用商標について
使用商標は、別掲2のとおり、「Z」、「△」及び「GO」の構成態様からなるものであるところ、申立人の提出に係る証拠によれば、申立人ワインは、取引書類等において「ZAGO」と表示されていることからすれば、使用商標の2文字目の「△」が「A」の文字をデザイン化したと理解される場合もあるものといえる。
そうすると、使用商標からは、「ザゴ」の称呼を生じ得るものであり、「ZAGO」の文字は、一般の辞書等に掲載のないものであるから、使用商標は、特定の観念を生じないものである。
(4)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、両商標の外観及び称呼は、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりであり、外観における文字構成及び称呼における音構成が明らかに異なるから、外観上及び称呼上、相紛れるおそれはない。
また、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両商標は、観念上、比較できない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念上比較できないものの、外観及び称呼上相紛れるおそれのないものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、非類似の商標というのが相当である。
そして、仮に、本件商標の構成中の「ZACO」の文字部分が、要部として分離抽出される場合があるとしても、当該文字部分と引用商標とは、いずれも4文字という短い文字構成であり、かかる構成にあっては、「C」の文字と「G」の文字の差異が、視覚上、両商標全体に及ぼす影響は、小さいものとはいえず、通常の注意力をもってすれば、外観上、相紛れるおそれはない。
また、本件商標の構成中の「ZACO」の文字から生じる「ザコ」と引用商標から生じる「ザゴ」の称呼とは、第2音において差異を有するものの、全体の称呼がわずか2音という短い音構成からなることからすると、該差異音が両称呼に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときには、その語感、語調が相違し、称呼上、相紛れるおそれはない。
さらに、引用商標からは、特定の観念が生じないものであるから、両商標は、観念上、比較できない。
そうすると、本件商標の構成中の「ZACO」の文字と引用商標とは、観念上比較できないものの、外観及び称呼上相紛れるおそれのないものであるから、両者が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、非類似の商標というのが相当である
(5)本件商標と使用商標との類否について
本件商標と使用商標とを比較すると、両商標の外観及び称呼は、それぞれ上記(1)及び(3)のとおりであり、外観における文字構成及び称呼における音構成が明らかに異なるから、外観上及び称呼上、相紛れるおそれはない。
また、本件商標と使用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、本件商標と使用商標とは、観念上、比較できない。
そうすると、本件商標と使用商標とは、観念上比較できないものの、外観及び称呼上相紛れるおそれのないものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、非類似の商標というのが相当である。
そして、仮に、本件商標の構成中の「ZACO」の文字部分が、要部として分離抽出される場合があるとしても、上記(4)の判断と同様に、非類似の商標というのが相当である
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標及び使用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品(ワイン)を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認められないものである。
そして、上記2のとおり、本件商標と引用商標及び使用商標とは、非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標と引用商標とは、上記2のとおり、非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標及び使用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品(ワイン)を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認められないものである。
そして、上記2のとおり、本件商標と引用商標及び使用商標とは、非類似の商標である。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、これから引用商標又は使用商標を連想、想起することはなく、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
6 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにもに違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】


異議決定日 2018-06-19 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (Y33)
T 1 651・ 271- Y (Y33)
T 1 651・ 261- Y (Y33)
T 1 651・ 263- Y (Y33)
T 1 651・ 262- Y (Y33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 内藤 隆仁 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 中束 としえ
松浦 裕紀子
登録日 2017-01-05 
権利者 BODEGAS BILBAINAS, S.A.
商標の称呼 ビーニャザコ、ザコ 
代理人 大橋 啓輔 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 

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