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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W07
審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 取り消して登録 W07
管理番号 1343145 
審判番号 不服2018-4976 
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-11 
確定日 2018-08-14 
事件の表示 商願2016-47417拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第4類、第7類、第9類及び第37類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成28年4月26日に登録出願されたものである。
その後、指定商品及び指定役務については、原審における平成29年3月6日付け及び当審における同30年4月11日付け手続補正書により、最終的に、第7類「モーターコア」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『KURODA』の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、該文字は我が国において多数の者が使用するありふれた氏『黒田』をローマ字で表記したものと理解されるから、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。また、出願人が提出した証拠によっては、本願商標がその指定商品全般において、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとはいえないため、同法第3条第2項の要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第4号該当性について
本願商標は、別掲のとおり、「KURODA」の欧文字を青色の太字で横書きしてなるところ、その構成態様は、文字同士の間隔がやや狭く配置されているものの、「KURODA」の文字を表したものと無理なく看取できるものであるから、本願商標は、普通に用いられる方法で表された標章といえるものである。
また、日常の商取引において姓氏を表す場合には、必ずしも漢字のみに限らず、欧文字で表示する場合も決して少なくないことからすれば、「KURODA」の文字は、姓氏の「黒田」の文字を欧文字で表記したものと理解されるというのが相当である。
そして、「黒田」の語は、姓氏の一つとして広辞苑(株式会社岩波書店)に掲載されているものであって、例えば、「姓名分布&ランキング」のウェブサイト(http://www2.nipponsoft.co.jp/bldoko/index.asp)によれば、「黒田」は全国で約23,790件存在し、162番目に多い姓と掲載されていることからしても、ありふれた氏の一つと認められる。
してみれば、本願商標は、ありふれた氏の一つである「黒田」の文字を欧文字で表したものというべきであるから、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
したがって、本願商標は、商標法3条1項4号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、前記1のとおり、当審において指定商品を「モーターコア」と補正したうえで、本願商標が、商標法第3条第1項第4号に該当するものであっても、同法第3条第2項に規定する、使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品であると認識することができる旨を主張し、証拠方法として、第1号証ないし第30号証(枝番号を含む。括弧内における証拠番号は、以下「1号」のように省略して記載する。)を提出しているので、以下、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものであるかについて検討する。
ア 請求人の主張、請求人が提出した証拠及び職権による調査によれば、以下のことが認められる。
(ア)請求人が1995年3月31日に発行した「黒田精工70年史」の165頁の記載によれば、請求人は、自社のハウスマークとして、本願商標と同一性を有する「KURODA」の文字からなる商標を、創立40周年にあたる1965年の社名変更と同時期に採用した。
(イ)請求人は、隔年で開催されるアジア最大級の工作機械見本市である日本国際工作機械見本市「JIMTOF」(主催:社団法人日本工作機械工業会)に、2004年から2016年の間、7回にわたり請求人の業務に係る「モーターコア」等を出展し、本願商標を自社の出展ブースの看板に使用した(16号の2)。
(ウ)請求人は、電気自動車の主要部品であるモータ等を扱う企業が集うオートモーティブ ワールド「EV・HEV 駆動システム技術展」(主催:リード エグジビション ジャパン株式会社)に、2012年から2017年の間、6回にわたり請求人の業務に係る「モーターコア」等を出展し、本願商標を自社の出展ブースの看板に使用した(13号)。
(エ)請求人は、製造業の設計・開発部門等に携わる者が多数来場する「日本ものづくりワールド」(主催:リード エグジビション ジャパン株式会社)に、2014年から2016年の間、3回にわたり請求人の業務に係る「モーターコア」等を出展し、本願商標を自社の出展ブースの看板に使用した(18号の3)。
(オ)請求人の業務に係る「モーターコア」は、2009年第3回「内閣総理大臣表彰ものづくり日本大賞」における優秀賞及び日刊工業新聞社主催「2009年超モノづくり部品大賞」における自動車部品賞を受賞した(7号の12及び13)。
(カ)「オートトレーディングルフトジャパン株式会社」のウェブサイトにおいて、「三井ハイテック・黒田精工『HV心臓部』急拡大追う増産[ハイブリッドカー]」の見出しの下、「6月9日8時17分配信フジサンケイ ビジネスアイ」の項において、「自動車メーカーによるハイブリッド車(HV)の投入が相次ぐ中で、HV用電動モーターの回転部である『モーターコア』と呼ばれる部品を製造する三井ハイテックと黒田精工の2社が相次ぎ増産体制に入った。モーターコアを製造するのは現在のところ、国内ではこの2社だけで、HVに続いて電気自動車(EV)向け需要の拡大も見込んでいる。」の記載及び「《2強支える2強》」の項において、「・・・ホンダの『インサイト』には黒田精工がそれぞれ100%納入している。」の記載がある(5号の13)。
(キ)2010年11月25日付け「日経産業新聞」において、「携帯用小型モーター部品の世界大手、黒田精工、積層金型で強み?業績改善狙う。」の見出しの下、「ポケットから着信を知らせる携帯電話のバイブレーターには直径2?3ミリメートルの小さなモーターが使われている。このモーターの金型で世界的に名をはせるのが工作機械メーカーでもある黒田精工。欧州の携帯電話大手を中心にピーク時には月間2500万?3000万個のモーター部品を生産、出荷し、世界シェア(同社推定)が25%に達していたこともある。」の記載がある。
(ク)2011年8月30日付け「日経産業新聞」において、「モーター部材も技術競う?黒田精工、日立電線、新ピラミッドに参入(新産業連関図)」の見出しの下、「エコカーの駆動用モーターの骨格となるモーターコア。『インサイト』『フィットハイブリッド』などホンダのハイブリッド車(HV)に使うモーターコアの回転子で、100%のシェアを握るのが黒田精工だ。」の記載がある。
(ケ)「会社四季報ONLINE」のウェブサイトにおいて、「黒田精工がストップ高、モーターコアが最先端エコカーに採用 2016/11/30 12:02」の見出しの下、「・・・金型内接着積層工法を用いて製造した当社独自のモーターコアが、最先端エコカーに相次いで採用されたと発表し、・・・燃料電池自動車の駆動用モーター向けに採用され製造販売が始まったほか、米国の電気自動車のメインモーター用に採用されることが決まったとしている。接着積層モーターコアが電機部品向けに積んできた量産の実績と優れた特性が評価されたとしている。」の記載がある。
(https://shikiho.jp/tk/news/articles/0/147450)
イ 判断
上記アによれば、請求人は、1965年から本願商標と同一性を有する商標を自社のハウスマークとして使用し、本願の指定商品である「モーターコア」については、2004年から現在に至るまで、継続的に本願商標を使用しているものである。
そして、請求人の業務に係る「モーターコア」は、2009年第3回「内閣総理大臣表彰ものづくり日本大賞」における優秀賞及び日刊工業新聞社主催「2009年超モノづくり部品大賞」における自動車部品賞を受賞したほどの商品であり、また、新聞記事等において、ホンダのハイブリッド車に使う「モーターコア」で100%のシェアを有すること、過去には携帯用小型モーター部品で世界シェアが推定で25%に達していたこと、国内外の最先端エコカー等に相次いで採用されること等が紹介されていることから、請求人は、「モーターコア」の分野において、広く知られたメーカーであることが認められる。
また、本願商標を使用した「モーターコア」に関する宣伝広告も、2004年以降、業界向けの展示会へ多数出展し、新聞等にも記事が載るなど、継続的な活動がなされてきたものである。
そうすると、本願商標は、「モーターコア」を使用する商品を製造、販売する取引者、需要者において広く知られているに至っているものと認めることができる。
また、職権調査においては、請求人及び同人の関連会社以外の者が「KURODA」の文字を「モーターコア」について使用している事実は発見できなかった。
してみれば、本願商標は、その指定商品である「モーターコア」について、出願人によって、長年にわたり、継続的に使用をされた結果、需要者が、出願人の業務に係る商品であることを認識するに至ったものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものの、同法第3条第2項の要件を具備するものであり、商標登録を受けることができるものであるから、原査定は取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標(色彩については、原本参照。)


審決日 2018-08-01 
出願番号 商願2016-47417(T2016-47417) 
審決分類 T 1 8・ 17- WY (W07)
T 1 8・ 14- WY (W07)
最終処分 成立  
前審関与審査官 矢澤 一幸森山 啓 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 渡邉 あおい
榎本 政実
商標の称呼 クロダ 
代理人 特許業務法人 大島特許事務所 

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