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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1342193 
異議申立番号 異議2018-900022 
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-01-19 
確定日 2018-07-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5991366号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5991366号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5991366号商標(以下「本件商標」という。)は、「Infinity Display」の欧文字を横書きしてなり、2017(平成29)年1月25日にベトナム社会主義共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、平成29年2月28日に登録出願、第9類「携帯電話機,デジタルカメラ,携帯型メディアプレーヤー,ポータブルコンピュータ,携帯電話機用の無線ヘッドセット,スマートフォン用の無線ヘッドセット,タブレット型コンピュータ用の無線ヘッドセット,再充電可能な電池,バッテリーチャージャー,携帯電話機用の革製ケース,スマートフォン用の革製ケース,タブレット型コンピュータ用の革製ケース,携帯電話機用のフリップカバー,スマートフォン用のフリップカバー,タブレット型コンピュータ用のフリップカバー,タブレット型コンピュータ,テレビジョン受信機,テレビ受信機,オーディオ用の電子式の構成部品,サラウンドサウンドシステム用オーディオコンポーネント,デジタル式セットトップボックス,DVDプレーヤー,発光ダイオードディスプレー,モニター,3D眼鏡,コンピュータ,コンピュータ用プリンター,半導体,コンピュータソフトウェア」を指定商品として、同年9月28日に登録査定、同年10月27日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第40号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当することについて
本件商標は、英語で「無限」を意味する「Infinity」と「画面」を意味する「Display」という単語を組み合わせたものである。
そして、「Infinity Display」の語は、パソコンのモニターやスマートフォン及びタブレット端末等(以下「タブレット端末等」という。)に用いられる場合には、タブレット端末等のディスプレイ部分に制限がないこと、すなわち、タブレット端末等のディスプレイにおけるベゼル部分(ディスプレイの表示部分を支持及び保護する機能を持つ部分)を小さくし、当該タブレット端末等のディスプレイが設置されている面について、そのほぼ一面全てが画面といえるような特徴を有したディスプレイ(以下「ベゼルレスディスプレイ」という。)を意味するものとして普通に使用されているという取引の実情があり(甲3?甲40)、タブレット端末等の取引者、需要者においては、ベゼルレスディスプレイを表すものとして理解され、本件商標は、その指定商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるので、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 本件商標が商標法第4条第1項第16号に該当することについて
本件商標が付された商品に接した需要者・取引者は、当該商品がベゼルレスディスプレイを備えている又はベゼルレスディスプレイと関連する機能を有していると普通に理解するから、本件商標が「ベゼルレスディスプレイを備えている商品」又は「ベゼルレスディスプレイに関連する商品」以外の商品に使用された場合には、あたかも当該商品が「ベゼルレスディスブレイを備えている商品」又は「ベゼルレスディスプレイに関連する商品」であるものと、その品質に誤認が生じる恐れがあることは明らかであるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「Infinity Display」の欧文字からなるところ、構成中の「Infinity」の文字部分は、「無限に、無数に、大いに」等の意味を、「Display」の文字部分は、「表示、展示、〔コンピューター〕ディスプレイ、表示装置」の意味を有する英語であり(いずれも「ベーシックジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店)、これを結合させた本件商標の構成文字全体からは「無限の表示装置」程の意味合いを想起するといえるものの、該意味合いが、その指定商品についての具体的な機能や性能を認識させるものとは認められない。
また、本件商標の構成文字より、申立人が主張する「タブレット端末等のディスプレイにおけるベゼル部分を小さくし、当該タブレット端末等のディスプレイが設置されている面について、そのほぼ一面全てが画面といえるような特徴を有したディスプレイ」の意味合いを、その構成文字のみをもって容易に認識し得るものとはいい難いものである。
そうすると、本件商標の構成文字が、特定の商品の品質を具体的に表示するものとして、直ちに理解されるものとはいえない。
(2)「Infinity Display」の文字の使用の実情について
申立人提出の証拠及び主張によれば、以下のとおりである。
ア IT用語辞典バイナリのウェブサイトにおいて、「インフィニティディスプレイ【英】Infinty Display」の見出しに、「インフィニティディスプレイとは、いわゆる狭額縁設計のディスプレイの呼び方のひとつである。極限までベゼルを狭めた、ほぼ一面すべてが画面といえるディスプレイ、といった意味合いをこめて用いられている。インフィニティディスプレイという呼称はいくつかの企業が用いている。LG電子はデスクトップPC向けモニター『24MP88』に対して、DellはモバイルノートPC『XPS13』に対してインフィニティディスプレイの呼称を用いていた。サムスン電子はスマートフォン『GalaxyS8』に対してインフィニティディスプレイの呼称を用いている。」と記載されている(甲2)ものの、その記載内容は曖昧であり、いくつかの企業においての用例があることを示すにすぎない。
イ 外国における用法及び用例について
申立人が、外国における用法及び用例として提出した証拠(甲3?甲22)には、例えば、Dell、LG Electronics、philips、Lenovo等の事業者のモニター、パソコン及びスマートフォンを紹介するインターネット記事に、「infinity display」の語が、該商品の説明中に「borderless Infinity display(ボーダーレスのInfinity Display)」(甲4)、「2.5mm bezel Infinity Display(2.5ミリのベゼルを有するInfinity Display)」(甲8)、「13.3" Full HD(1920×1810)IPS Infinity Edge Display(13.3インチのフルHD(画素数1920×1810)IPS式Infinity Edge Display)」(甲12)、「Maximizing the viewing area requires eliminating most of the hardware that is now located on the front of the smartphone. The result is a so-called “infinity display”that eliminates the bezels on the sides, and has only minimal bezels on the top and bottom.(画面部分の最大化には、現在スマートフォンのフロント部分に置かれているハードウェアの削除が要求される。この結果が、側面のベゼルをなくし、上部及び下部の最小限のベゼルを残した、いわゆる『infinity display』である。)」(甲15)、「Huawei calls an “infinity edge" 4.7-inch screen with a slendar bezel.(Huaweiが『infinity edge』と呼ぶ、狭いベゼルを有する4.7インチのスクリーンが挙げられる)」(甲17)等の記載がある。
しかしながら、申立人が提出した甲第3号証ないし甲第22号証は、全て外国で発行され、外国語によるインターネット情報の記事であって、これが直ちに我が国における実情とはいい難い。
さらに、甲第6号証、甲第7号証、甲第9号証ないし甲第11号証、甲第13号証、甲第14号証、甲第16号証、甲第18号証及び甲第22号証については、記事の掲載日が明かでないもの、本件商標の登録査定後のものである。
そして、これらの証拠のうち、本件商標の登録査定日前に発行又は情報が提供されたと認められる証拠(甲3?甲5、甲8、甲12、甲15、甲17、甲19)についても、一部事業者のインターネット記事において、「infinity display」の語が使用されていることは見受けられるものの、商品等について説明する用語として、「Infinity Display」の文字が記述的に使用されているにすぎないものであって、「Infinity Display」の文字のみをもって商品の品質等を具体的に表すものと認識させるような内容とまではいえないものである。
そうとすると、上記の甲各号証によっては、本件商標が、その登録査定時に、我が国において、その指定商品の具体的な品質などを表示するものとして広く使用され、認識されているということはできない。
ウ 商標権者による「infinity display」の出願に関して、米国特許庁では拒絶すべき理由を述べるアクションが出され、応答が無かった事から、平成30年1月12日放棄されたこと、また、同「INFINITY DISPLAY」の商標に関して、欧州連合知的財産庁では、申立人が求めた無効審判に対して、商標権者は、平成30年1月19日に該商標の放棄したこと、が記載されている(甲23、甲24)。
しかしながら、その様な事情があるとしても、商標の識別性は、国によって異なるものであるから、上記官庁が当該国における商標の識別性を拒絶する決定等があったとしても、それをもって直ちに、「Infinity Display」の文字が我が国においてまでも、識別性が否定されることにはならない。
エ 日本における用法及び用例について
申立人が、日本における用法及び用例として提出した証拠(甲25?甲40)には、例えば、Dell、LGエレクトロニクス・ジャパン株式会社及び一部の事業者のパソコン、タブレット、モニター及びスマートフォンを紹介するインターネット記事に、「infinity display」の語が、該商品の説明中に、「ベゼルは5.2mmと極めて薄い『Infinity Display』を搭載。」(甲26)、「4辺全てが超狭額ベゼル『24MP88』・・・・インフィニティディスプレイ搭載モデル」(甲32)、「【中華スマホBluboo S8】画面比18:9のインフィニティディスプレイ登場!」(甲35)、「テレビ、ノートパソコン需要が好調な上、スマートフォンは画面アスペクト比18対9の狭額縁設計インフィニティディスプレイの採用率が来年50%まで上昇すると予想され、従来より面積が広がる分、パネル需要を押し上げる見込みだ。」(甲36)等の記載がある。
しかしながら、申立人が、日本における用法及び用例として提出した証拠のうち、甲第25号証、甲第34号証及び甲第37号証ないし甲第40号証については、本件商標の登録査定後のものであり、これらは本件商標の登録査定の時の事情を示すものとはいえない。
そして、これらの証拠のうち、本件商標の登録査定日前に発行又は情報が提供されたと認められる証拠(甲26?甲33、甲35、甲36)についても、一部事業者のインターネット記事において、「Infinity Display」及び「インフィニティディスプレイ」の語が使用されていることを認めることができるものの、商品の紹介、ブログ等の記載に、「Infinity Display」及び「インフィニティディスプレイ」の用語が記述的に使用されているにすぎないものであって、「Infinity Display」及び「インフィニティディスプレイ」の語のみをもって本件商標の指定商品の具体的な品質等を具体的に表すものと認識させるような内容とまではいえないものである。
オ さらに、職権をもって調査するも、「Infinity Display(インフィニティディスプレイ)」の語が、本件商標の登録査定時に、我が国において、本件商標の指定商品の具体的な品質を表すものとして広く使用されているものとなっているとすべき事情を見出すこともできない。
(3)本件商標の識別性について
以上によれば、申立人の提出した証拠によっては、本件商標が、その登録査定時において、その指定商品の品質等を表示するためのものとして、当業界において普通に使用され、一般に認識されていたものとは認めることができない。
また、本件商標は、その構成文字が、申立人の主張するような意味を有するものとして理解され、その指定商品について具体的な品質等を表示するものとして認識するとすべき実情は認められない。
してみれば、本件商標は、その指定商品に使用した場合、商品の品質等を具体的に表示したものとはいえず、自他商品の識別標識として機能し得るものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第16号該当性について
商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標については、公益に反するとの趣旨から、商標登録を受けることができない旨規定されている。
そして、同趣旨に照らすならば、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標とは、指定商品に係る取引の実情の下で、取引者又は需要者において、当該商標が表示していると通常理解される品質と指定商品が有する品質とが異なるため、商標を付した商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある商標を指すものというべきである。
そうすると、申立人は、本件商標が商品の品質等を意味する語であることを前提として、前記以外の品質を有する商品に使用するときは商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある旨主張しているが、本件商標は、上記のとおり、商品の品質等として認識し得ないものであるから、申立人の前記主張は、その前提を欠くものであって、同商標を付した商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないというべきである。
してみれば、本件商標は、その指定商品との関係において、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものではなく、商標法第3条第1項及び同法第4条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2018-06-28 
出願番号 商願2017-25393(T2017-25393) 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (W09)
T 1 651・ 272- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 久木田 俊有水 玲子 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 田中 幸一
榎本 政実
登録日 2017-10-27 
登録番号 商標登録第5991366号(T5991366) 
権利者 三星電子株式会社
商標の称呼 インフィニティーディスプレー、インフィニティー 
代理人 工藤 莞司 
復代理人 小菅 直人 
代理人 魚路 将央 
代理人 黒川 朋也 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 高橋 美智留 
代理人 川島 麻衣 

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