• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y03
管理番号 1342162 
審判番号 取消2017-300320 
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-05-12 
確定日 2018-07-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第4736551号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4736551号商標(以下「本件商標」という。)は、「B.L.C」の欧文字(「B」と「L」の後にピリオドがある。)と「ビー・エル・シー」の片仮名(「ビー」と「エル」の後に中点がある。)を二段に横書きしてなり、平成15年5月23日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年12月26日に設定登録されたものである。
その後、本件商標の指定商品中、第3類「つけづめ,つけまつ毛」について、商標権一部取消し審判の請求がされ(商標法50条第1項、請求の登録日:平成29年8月18日)、当該商品についての登録を取り消すとの商標権一部取消し審判の確定審決の登録が平成30年1月12日にされたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成29年5月29日である。
なお、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成26年5月29日ないし同29年5月28日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第3類「化粧品,つけづめ,つけまつ毛」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件商標は、本件審判の請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが使用した事実はない旨述べ、その証拠方法として、甲第1号証を提出した。
なお、請求人は、後記第3の被請求人の答弁に対し何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、審判事件答弁書及び回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第24号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、枝番号の全てをいうときは、以下、枝番号を省略して記載することがある。
1 審判事件答弁書
(1)被請求人
被請求人は、乙第1号証のウェブページ抜粋に示すとおり、日本全国に50店舗以上を展開するエステティックサロン「エルセーヌ」(以下「エルセーヌ」という場合がある。)を経営する株式会社エル(以下「エル社」という。)を中心とする企業グループ「エルセーヌグループ」の一員である。エルセーヌでは、エステティック施術はもちろんのこと、化粧品や健康食品といったサロン独自の商品の販売も行われるものであるところ、当該エルセーヌグループでは、エル社がエステティック施術や商品販売を担い、被請求人はこれら化粧品、健康食品の開発及び企画を担うというように、グループ内の各企業がそれぞれの役割を分担しつつ、グループ全体が一体となって事業を運営している。
(2)本件商標が使用されている商品
ア 乙第2号証は、エルセーヌグループが販売している商品リーフレット(カタログ)及びその部分拡大コピーである。このリーフレットには、マッサージ用クリーム(商品名「NO.6DFC」)、マッサージ用ジェル(商品名「ミラクルオンファイヤージェル」及び「Bレッグジェル」)及び保湿用ローション(商品名「ビューティースムース アクアローション」)といった商品が掲載されており、これらは、いずれも第3類「化粧品」の範ちゅうに属する商品である。
イ 乙第3号証は、乙第2号証に掲載されている商品中、商品名「NO.6DFC」及び「ミラクルオンファイヤージェル」の容器の写真であり、乙第4号証は、乙第2号証に掲載されている商品中、商品名「ビューティースムース アクアローション」、「ミラクルオンファイヤージェル」及び「Bレッグジェル」の包装箱の写真であり、乙第5号証は、乙第2号証に掲載されている商品中、商品名「ミラクルオンファイヤージェル」の包装箱を展開した状態のコピーであり、乙第6号証は、乙第2号証に掲載されている商品中、商品名「Bレッグジェル」の包装箱を展開した状態のコピーであり、乙第7号証は、乙第2号証に掲載されている商品中、商品名「ビューティースムース アクアローション」の包装箱を展開した状態のコピーである。乙第3号証ないし乙第7号証の写真及びコピーに示されているこれら4点の化粧品の容器及び包装箱には、いずれも商標「ビー・エル・シー」(以下「本件使用商標」という。)が付されている。
ウ 上記4点の化粧品は、主に全国のエルセーヌ店舗において販売されているため、その宣伝広告は主として乙第2号証のリーフレットの頒布並びにエルセーヌ店舗における店員又はエステティシャンによる商品説明により行われている。これらの化粧品は、乙第2号証中の商品説明、例えば、「NO.6DFC」の「ホームケアマッサージ用クリーム。」や「ミラクルオンファイヤージェル」の「お肌を引き締め、ホームケアマッサージをサポート。」といった説明にみられるように、「ホームケア」用化粧品として位置付けられている。ここにいう「ホームケア」とは、乙第2号証の表面冒頭部の推奨文「ホームケアは週に1回1時間頑張るよりも、15分でも毎日の方が効果的、特に半身浴とマッサージは毎日欠かさず行ないましょう。マッサージの時間がないという場合は、ジェルだけでも塗る事を習慣にし、無理のない形で毎日の生活に取り入れましょう。」から明らかなように、顧客が自宅(ホーム)で自ら行うケアを意味している。よって、これらの化粧品は、店舗で顧客が受けるエステティック施術に用いられるものとは別に、顧客自身が自宅等で使用するために購入する化粧品である。
(3)本件商標が使用されている商品の製造状況
ア 乙第8号証は、被請求人が、化粧品の製造を委託している株式会社ミック・ケミストリーに対し、2017年3月16日付けで上記4点の化粧品を発注(製造依頼)したことを示す発注書である。この発注書において、「ウィ アピシアEX-S(Miracle On Fire Gel) 250g」と記載された商品が、乙第2号証ないし乙第5号証に示す商品名「ミラクルオンファイヤージェル」のことであり、「NO.6DFC 250g」と記載された商品が、乙第2号証及び乙第3号証に示す商品名「NO.6DFC」のことであり、「ビューティスムース アクアローション200ml」と記載された商品が、乙第2号証、乙第4号証及び乙第7号証に示す商品名「ビューティースムース アクアローション」のことであり、「Bレッグジェル(エブリジェル) 100g」と記載された商品が、乙第2号証、乙第4号証及び乙第6号証に示す商品名「Bレッグジェル」のことである。そして、この乙第8号証によれば、上記の「ミラクルオンファイヤージェル」、「NO.6DFC」及び「ビューティースムース アクアローション」の3商品は2017年4月10日までを納入日として、また、「Bレッグジェル」については同年4月20日までを納入日として、それぞれ発注されていることがわかる。
イ 乙第9号証は、乙第8号証の「発注書<製造依頼>」に対する株式会社ミック・ケミストリー発行に係る被請求人宛ての納品書である。このうち、2017年4月7日付けの納品書中、品名「ウィ アピシア EX-S 250g」と手書きされた商品は、乙第8号証に記載の「ウィ アピシアEX-S(Miracle On Fire Gel) 250g」に対応するものであり、乙第2号証ないし乙第5号証に示す商品名「ミラクルオンファイヤージェル」のことを指している。2017年4月20日付けの納品書に品名「ウィ アピシア No6 DFC 250g」と手書きされた商品は、乙第8号証に記載の「No.6DFC 250g」に対応するものであり、乙第2号証及び乙第3号証に示す「NO.6DFC」のことを指している。2017年4月24日付けの納品書中、品名「ウィアピシアエブリジェル 100g」と手書きされた商品は、乙第8号証に記載の「Bレッグジェル(エブリジェル) 100g」に対応するものであり、乙第2号証、乙第4号証及び乙第6号証に示す「Bレッグジェル」のことを指している。なお、乙第8号証の「Bレッグジェル(エブリジェル)」の記載から明らかなように、「エブリジェル」は「Bレッグジェル」の別名である。また、この2017年4月24日付けの納品書中、品名「ウィ アピシア ビューティスムースアクアローション 200ml」と手書きされた商品は、乙第8号証に記載の「ビューティ スムース アクアローション 200ml」に対応するものであり、乙第2号証、乙第4号証及び乙第7号証に示す「ビューティースムース アクアローション」のことを指している。
このように、本件使用商標が付された上記4点の化粧品は、2017年3月16日付けの被請求人の発注により製造委託され、同年4月7日から4月24日までの間に納品が完了している。これによれば、本件審判請求の登録日前には、被請求人の製造委託により、化粧品容器及びその包装に本件商標が付され、更に、全国のエルセーヌ店舗においてこれらの化粧品が販売されていたことは明白である。
ウ 上述のとおり、被請求人は、本件商標の指定商品である化粧品について、その容器や包装箱に本件使用商標を付している。かかる本件使用商標は、業として商品を生産し、譲渡する被請求人がその商品について使用をするものであるから、商標法第2条第1項第1号に規定する商標に該当するものである。なお、上記各化粧品には本件使用商標の他に「Oui Apsia SDB」や「NO.6DFC」等の商標も付されているが、「Oui Apsia SDB」は被請求人の化粧品の統一ブランド名を示す商標(いわゆるファミリーネーム)であり、「NO.6DFC」等は個別の商品名を示す商標(いわゆるペットマーク)として使用されている。一方、本件使用商標は、被請求人の社名商標であるから、営業の同一性を表す営業標識、すなわち、いわゆるハウスマークとしてこれら化粧品に使用されているものであり、前述の各商標とは独立して商標としての機能を発揮している。かかる本件使用商標を上記化粧品の容器や包装箱に付する行為は、商標法第2条第3項第1号に規定する「商品の包装に標章を付する行為」に他ならないため、商標法に定める商標の使用に該当するものである。
(4)本件商標が使用されている商品のリーフレット
ア 乙第2号証として提出のA4サイズ両面印刷の商品一覧リーフレットには、本件使用商標が付された上記4点の化粧品の容器の写真が掲載されている。当該リーフレットは、前述のとおり、その掲載商品がエルセーヌ各店舗の店頭で販売されるものであることから、エルセーヌ各店舗で頒布されている。具体的には、来店した顧客が自由に持ち帰りできるように店舗備え付けのラックに置き、あるいは、店員又はエステティシャンによる商品説明等とともに顧客に手渡しするといった方法により顧客に頒布されている。このようなリーフレット頒布による被請求人の商品の宣伝広告は、15年以上前から行われているものである。
イ 乙第10号証は、エル社・販売部から印刷業者(株式会社プリントパック(以下「プリントパック社」という。))に宛てたインターネット注文画面の写しである。乙第10号証によれば、エル社・販売部が商品名「A4商品一覧5000枚」を2017年5月8日の納期でエル社・商品部に納品するよう注文している。ここにいう「A4商品一覧」とは、以下に述べるとおり、乙第2号証のリーフレットのことを指している。
ウ 乙第11号証は、乙第10号証の注文に対してプリントパック社が2017年5月1日付けで発行したエル社宛の見積書とリーフレットの仕様書である。乙第11号証中の品名「A4商品一覧5000枚」やご注文番号「PAC13076461」といった記載は、乙第10号証の商品名「A4商品一覧5000枚」やご注文番号(お問い合せ番号)「PAC13076461」と一致しており、このことから乙第11号証が乙第10号証の注文に対する見積書であることがわかる。また、当該見積書にはリーフレットの仕上がり状態を示した仕様書が添付されているところ、ここで作成を依頼されているのが乙第2号証のリーフレットであることが示されている。これらの内容より、乙第10号証で発注された「A4商品一覧」が乙第2号証のリーフレットであることは明らかである。
エ 乙第12号証は、プリントパック社が2017年5月1日付けでエル社宛てに発行した請求書である。当該請求書にも上記の注文番号「PAC13076461」の記載があること、品名や金額等の記載が一致していることから、これが乙第2号証のリーフレット5,000枚分の代金の請求書であることに相違ない。
オ 乙第13号証は、2017年5月3日付けのエル社からプリントパック社への支払依頼書である(審決注:エル社の社員がプリントパック社へ立替えて支払った金額を同社員がエル社に請求した書面と認められる。)。当該支払依頼書の日付、件名「A4商品一覧ペラ 5000部」や金額「¥8,400」といった記載から、当該支払いが乙第12号証の請求書に対するものであることは明らかである。
カ 乙第14号証は、プリントパック社からエル社の支払担当者に宛てた電子メールの写しである。乙第14号証の文面にも上記注文番号「PAC13076461」及び品名「A4商品一覧5000枚」と明記されていることから、プリントパック社からエル社・商品部宛てに2017年5月6日付けで発送されたのが乙第2号証のリーフレットに他ならないことがわかる。そして、乙第14号証によれば、当該リーフレットは佐川急便株式会社により、荷物お問い合せNo「518474304670」のもと配送されている。
キ 乙第15号証は、佐川急便株式会社ホームページの荷物問い合わせサービス検索結果画面の写しと当該荷物の荷札の写真である。乙第15号証の検索結果画面中の「お問い合せ送り状NO」及び荷札写真中の「お問い合せNo」は、乙第14号証中の「荷物お問い合せNo」と一致していることから、2017年5月8日付けでエル社・商品部に到着した荷物が2017年5月1日に発注された乙第2号証のリーフレット5,000枚であることは明らかである。2017年5月8日にエル社・商品部に納品された乙第2号証のリーフレット5,000枚は、本件審判請求の登録日前には全国のエルセーヌ店舗において配布されていたことは明白である。
ク 以上に述べたリーフレットの頒布は、被請求人と同一の企業グループ「エルセーヌグループ」に属するエル社によって行われているものであるが、エルセーヌは当該グループに属する全社が一体となって運営しているものであることに鑑みれば、実質的には被請求人による行為と同一視できるものである。そして、当該リーフレットの頒布は、本件商標の指定商品である化粧品に関する宣伝広告に本件使用商標を付して頒布する行為であるから、商標法第2条第3項第8号に規定する「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に他ならず、商標法に定める商標の使用に該当するものということができる。
(5)本件商標が使用された被請求人商品の販売の態様及び事実
ア 本件使用商標を付した化粧品の購入を希望する顧客は、エルセーヌ各店舗において、エル社との間で契約を締結する。乙第16号証は、かかる契約書の写しである。当該契約書は、エステティック施術コースの契約と商品の売買契約の双方に用いられる契約書であり、顧客が商品を購入する場合は、当該契約書中の「関連商品」の欄に所望の商品名やその数量等の所定の事項を記入する。当該「関連商品」とは、エステティック施術において用いられる商品のことではなく、顧客が自宅で自ら使用するため(上述の「ホームケア」用)のものであるため、施術の有無またはコース内容に関わりなく顧客の任意で購入することができる。商品の売買契約を結んだ顧客は、原則として来店の都度、購入を契約した商品の引渡しを受ける。その際に、顧客は商品の引渡しを確かに受けたことの証明として商品引渡票(レシート)に署名し、これを受領する。乙第17号証は、かかる商品引渡票の店舗用控えである。そして、乙第18号証は、各店舗が日ごとに作成する引渡済み商品のリストである「本日商品引渡一覧」である。各店舗では、これら商品引渡票や本日商品引渡一覧によって売買を契約した各商品の引渡済数や引渡残数(引渡しがいまだ済んでいない商品の数量)を把握し、商品管理を行っている。
イ 乙第16号証の契約書の内容について
(ア)契約日が2016年12月28日及び2017年1月4日の各契約書では、いずれもエルセーヌ大宮店において、「NO6DFC」の売買契約が締結されている。これは、乙第2号証のリーフレットに掲載の商品名「NO.6DFC」のことであり、当該商品の容器には、乙第2号証及び乙第3号証に示すように、本件使用商標が使用されている。
(イ)契約日が2017年3月30日の契約書では、エルセーヌ上野総本店において、「ミラクルオンファイヤー」の売買契約が締結されている。これは、乙第2号証のリーフレットに掲載の商品名「ミラクルオンファイヤージェル」のことであり、当該商品の容器及び包装には、乙第2号証ないし乙第5号証に示すように、本件使用商標が使用されている。
(ウ)契約日が2017年4月19日の契約書では、エルセーヌ上野店(上野総本店のこと)において、「アクアローション」の売買契約が締結されている。これは、乙第2号証のリーフレットに掲載の商品名「ビューティースムース アクアローション」のことであり、当該商品の容器及び包装には、乙第2号証、乙第4号証及び乙第7号証に示すように、本件使用商標が使用されている。なお、この契約書では、エステティック施術の契約はなく、商品の売買契約のみが結ばれている。
(エ)契約日が2017年4月24日の契約書は2件あるところ(いずれもエルセーヌ上野総本店にて契約)、うち1件の商品の売買契約のみの契約書においては、購入商品中に「アクアローション」がある。これは、乙第2号証のリーフレットに掲載の商品名「ビューティースムース アクアローション」のことであり、当該商品の容器及び包装には、乙第2号証、乙第4号証及び乙第7号証に示すように、本件使用商標が使用されている。他の1件では、「ミラクルオンファイヤージェル」の売買契約が締結されている。これは、乙第2号証のリーフレットに掲載の商品名「ミラクルオンファイヤージェル」であり、当該商品の容器及び包装には、乙第2号証ないし乙第5号証に示すように、本件使用商標が使用されている。
ウ 乙第17号証の商品引渡票(いずれもエルセーヌ・イオン長岡店のもの)について
(ア)2017年4月26日16時03分の顧客の来店を示す商品引渡票には、商品名の欄に「ミラクルonファイアー250g(EX-S)」の記載があり、本日引渡数の欄には「1個」と記載されている、これは、2017年4月26日付けで「ミラクルonファイアー250g(EX-S)」1個が顧客に引き渡されたことを示すものである。そして、当該「ミラクルonファイアー250g(EX-S)」は、乙第2号証のリーフレットに掲載の商品名「ミラクルオンファイヤージェル」のことであり、当該商品の容器及び包装には、乙第2号証ないし乙第5号証に示すように、本件使用商標が使用されている。
(イ)2017年4月26日21時19分の顧客の来店を示す商品引渡票には、商品名の欄に「ビューティースムース アクアローション(200ml)」の記載があり、本日引渡数の欄には「1個」と記載されている。これは、2017年4月26日付けで「ビューティースムース アクアローション(200ml)」1個が顧客に引き渡されたことを示すものである。そして、当該「ビューティースムース アクアローション(200ml)」は、乙第2号証のリーフレットに掲載の商品名「ビューティースムース アクアローション」のことであり、当該商品の容器及び包装には、乙第2号証、乙第4号証及び乙第7号証に示すとおり、本件使用商標が使用されている。
(ウ)2017年4月30日13時26分の顧客の来店を示す商品引渡票には、商品名の欄に「ミラクルonファイアー250g(EX-S)」の記載があり、本日引渡数の欄には「1個」と記載されている。これは、2017年4月30日付けで「ミラクルonファイアー250g(EX-S)」1個が顧客に引き渡されたことを示すものである、そして、当該「ミラクルonファイアー250g(EX-S)」は、乙第2号証のリーフレットに掲載の商品名「ミラクルオンファイヤージェル」のことであり、当該商品の容器及び包装には、乙第2号証ないし乙第5号証に示すように、本件使用商標が使用されている。
エ 乙第18号証の「本日商品引渡一覧」(いずれもエルセーヌ上野総本店のもの)の内容について
(ア)引渡日付の欄に「17/04/07」と記載のある本日商品引渡一覧をみると、5種類の商品が列記されており、引渡数の欄にはそれぞれ「1」と記載されている。これは、2017年4月7日付けで当該5種の商品を各々1個ずつ顧客に引き渡したことを示している。当該引渡し商品5種類のうち、「ビューティースムース アクアローション(200ml)」とあるのが乙第2号証のリーフレットに掲載の商品名「ビューティースムース アクアローション」のことであり、当該商品の容器及び包装には、乙第2号証、乙第4号証及び乙第7号証に示すとおり、本件使用商標が使用されている。
(イ)引渡日付の欄に「17/05/14」と記載のある本日商品引渡一覧をみると、6種類の商品が列記されており、引渡数の欄にはそれぞれ「1」と記載されている。これは、2017年5月14日付けで当該6種の商品を各々1個ずつ顧客に引き渡したことを示している。当該引渡し商品6種類のうち、「ミラクルonファイアー250g(EX-S)」とあるのが乙第2号証のリーフレットに掲載の商品名「ミラクルオンファイヤージェル」のことであり、当該商品の容器及び包装には、乙第2号証ないし乙第5号証に示すとおり、本件使用商標が使用されている。
オ 以上に示した証拠によれば、2016年12月28日から2017年5月14日の間において、本件使用商標を使用した上記の各化粧品が顧客に販売され、また、当該商品が顧客に引き渡された事実は明らかである。当該販売行為は、被請求人と同一の企業グループ「エルセーヌグループ」に属するエル社によって行われているものであり、エルセーヌは当該グループに属する全社が一体となって運営しているものであるから、実質的には被請求人による行為と同一視されるべきものである。そして、上述の販売及び引渡しは、本件商標の指定商品である化粧品の包装に本件使用商標を付したものを譲渡し、引き渡す行為であるから、商標法第2条第3項第2号に規定する「商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡す行為」であって、商標法に定める商標の使用に該当するものである。
(6)本件商標の使用の事実を示すその他の証拠資料
ア 乙第19号証は、「ウィ アピシア 紫外線対策キャンペーン」と銘打たれた2017年5月4日付けの全店通達である。当該通達は、右下に「販売部・ビー・エル・シー」と記載されているとおり、エル社の販売部と被請求人の連名でエルセーヌ全店舗に宛てたものであり、「アクアローション」を顧客に積極的に紹介することを推奨するものである。当該通達中の商品写真によれば、この「アクアローション」が乙第2号証のリーフレット掲載の商品名「ビューティースムース アクアローション」と同一の商品であること、当該商品の容器に本件使用商標が使用されていることは明らかである。
イ 乙第20号証は、「田村総店長がイチオシ! アクアローション」と大書された2017年5月4日付けの社内研修資料である。当該資料は、右下の「ビー・エル・シー」の表示からわかるとおり、被請求人がエルセーヌ従業員向けに作成したものであり、エルセーヌ上野総本店の田村総店長が自ら「アクアローション」を使用した感想を交えて、効能、簡便さ、費用対効果の高さといった当該商品の優れた点を挙げつつ、そのより積極的な販売促進を奨励する内容となっている。当該資料中の商品写真には、この「アクアローション」が乙第2号証のリーフレット掲載の商品名「ビューティースムース アクアローション」と同一の商品であること、当該商品の容器に本件使用商標が使用されていることが明示されている。そして、乙第20号証中の「今まで脱毛の方ぐらいにしかご紹介していなかったので、存在すら知らないお客様が沢山いらっしゃると思います。」との記述は、本件使用商標を使用した当該商品が2017年5月4日前から販売されている事実を端的に示している。
ウ 上記の乙第19号証及び乙第20号証はいずれもエルセーヌグルーブ企業内の内部資料であり、外部に公表されるものではないが、これらの日付や記載内容は、本件審判請求の登録の日前である2017年5月4日の時点において、エルセーヌ各店舗において、本件使用商標を使用した化粧品「ビューティースムース アクアローション」が宣伝広告及び販売されていた事実を証明している。
(7)小括
以上の立証のとおり、要証期間において、被請求人は、本件商標の指定商品である「化粧品」の包装に本件使用商標を付し、かかる化粧品を、エルセーヌグループに属する全社が一体となって運営するエステティックサロン「エルセーヌ」の事業を通して宣伝広告し、販売している。かかる行為が商標法上の使用に該当するものであることは明らかである。
なお、本件商標は欧文字「B.L.C」と片仮名「ビー・エル・シー」を二段に併記してなるものであるところ、片仮名「ビー・エル・シー」は欧文字「B.L.C」の自然な称呼に相当するものであり、かかる「ビー・エル・シー」の文字からは欧文字「B.L.C」以外の観念は想起し得ない。そして、上記(2)ないし(6)においてその使用が立証された本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められるべき商標であることは明白であり、「化粧品」についての本件使用商標の使用行為は、上述のとおり、被請求人による本件商標の指定商品についての本件商標の使用と同一視されるべきものである。
したがって、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品中、「化粧品」について、本件商標を要証期間に使用していたことは明白である。
2 回答書
(1)リーフレットの頒布について
ア 乙第10号証ないし乙第15号証で証明されたとおり、エル社がプリントパック社に発注した乙第2号証の1のリーフレット5,000枚は、エル社八潮商品センター(「エル社・商品部」)へ平成29年5月8日付けで納品されている。このエル社・商品部はエルセーヌが販売する商品や当該リーフレットなどの宣伝広告物を管理する部門であり、上記の印刷業者(プリントパック社)からエル社・商品部に一括納品されたリーフレットは、日本各地のエルセーヌ店舗からの個別の発注に基づいて、直ちに同部から日本各地のエルセーヌ店舗に発送されている。
日本各地のエルセーヌ店舗が、上記のリーフレットをエル社・商品部に発注した事実を示す証拠として、乙第21号証を提出する。これらは、エルセーヌ三店舗(東京・立川店、福岡・博多店及び宮城・仙台店)からエル社・商品部にファクシミリ送信された当該リーフレットの発注書(配布物発注書)である。この配布物発注書は、業務効率化のため全店共通の書式を用い、各配布物の呼び名も「商品名」欄にあらかじめ印刷されている。この「商品名」欄に「エルセーヌ オリジナル商品カタログ(ピンク)」とあるのが、当該リーフレットのことである。この商品名は、当該リーフレットがピンク色を基調とすることに由来している。エルセーヌ各店舗では、かかる発注書に店番、店名、発注日及び「発注数」欄に所望の数量を記入して、発注書記載のエル社・商品部ファクシミリ番号「商品部FAX:048-9●●-●●●●」に送信することによって発注を行う。
イ 乙第21号証の1によれば、エルセーヌ立川店は、平成29年5月12日付けで、エル社・商品部に対し、「エルセーヌ オリジナル商品カタログ(ピンク)」、すなわち、平成29年5月8日にエル社・商品部に納品されたリーフレットを50部発注している。本発注書の「発注日」欄には年の記載がないが、右上に「2017/5/12作成」とあるとおり、この書式が平成29年5月12日に作成(書式改訂)され、同日以降使用を開始したものであることに照らせば、「発注日 5月12日(金)」とあるのは、平成29年5月12日のことに他ならない。
ウ 乙第21号証の2によれば、エルセーヌ博多店は、平成29年5月19日付けで、エル社・商品部に対し、「エルセーヌ オリジナル商品カタログ(ピンク)」、すなわち、平成29年5月8日にエル社・商品部に納品されたリーフレットを50部発注している。なお、上記発注日が平成29年5月19日であることは、本発注書上部の送信日時の記録「2017年5月19日(金)19:10」に示されている。
エ 乙第21号証の3によれば、エルセーヌ仙台店は、平成29年5月19日付けで、エル社・商品部に対し、「エルセーヌ オリジナル商品カタログ(ピンク)」、すなわち、平成29年5月8日にエル社・商品部に納品されたリーフレットを30部発注している。なお、本発注書が上記の年月日にエル社・商品部に送信されたものであることは、本発注書上部の送信記録「2017-05-19 20:27 FROM 022263●●●● To ショウヒンブ」から明白である。
オ このようにしてエルセーヌ各店舗からの個別の発注を受けたエル社・商品部は、各発注に応じて速やかにエルセーヌ各店舗に当該リーフレットを発送している。そして、当該リーフレットを受け取った各店舗は、当該リーフレットが到着し次第、速やかに顧客への配布を開始している。そもそも、当該リーフレットを発注した各店舗は、当該リーフレットを店舗での宣伝広告に用いることを目的として発注したのであるから、受領した当該リーフレットをそのまま店舗内に放置するようなことはあり得ず、当該リーフレットを受け取り次第、直ちに顧客への配布や、配布するための展示を開始するのが自然である。
カ 乙第22号証は、上記エルセーヌ立川店の担当者、同博多店の店長及び同仙台店の副店長の三者がそれぞれ記名捺印して作成した宣誓供述書である。これらの宣誓供述書には、以下に詳述するとおり、平成29年5月8日付けでエル社・商品部に納品され、乙第21号証によってエル社・商品部に発注されたリーフレットが、上記各店舗において、商品説明とあわせて顧客に手渡しする、店舗内のラックに置いて顧客が自由に持ち帰ることができる状態にする、といった方法により、要証期間に顧客に配布された事実が宣誓供述されている。
キ 乙第22号証の1によれば、乙第21号証の1の平成29年5月12日付け発注によりエル社・商品部からエルセーヌ立川店に送付された当該リーフレット50部は、平成29年5月17日より同店の店舗内で顧客への配布が開始され、同日から平成29年5月25日までに15部が顧客に配布された。
ク 乙第22号証の2によれば、乙第21号証の2の平成29年5月19日付け発注によりエル社・商品部からエルセーヌ博多店に送付された当該リーフレット50部は、平成29年5月24日より同店の店舗内で顧客への配布が開始され、同日から平成29年5月25日までに5部が顧客に配布された。
ケ 乙第22号証の3によれば、乙第21号証の3の平成29年5月19日付け発注によりエル社・商品部からエルセーヌ仙台店に送付された当該リーフレット30部は、平成29年5月24日より同店の店舗内で顧客への配布が開始され、同日から平成29年5月25日までに4部が顧客に配布された。
コ 以上に述べた次第で、乙第21号証及び乙第22号証により、乙第10号証ないし乙第15号証によって証明済みの、エル社が印刷業者であるプリントパック社に発注し、平成29年5月8日付けでエル社・商品部に納品された乙第2号証の1のリーフレットが、その後、上記エルセーヌ各店舗からの発注に基づいてこれら店舗に発送され、これら店舗において、要証期間に顧客に頒布された事実が明らかになった。
(2)商標権者とエル社との関係について
ア 被請求人がエル社を中心とするエルセーヌグループ会社の一員であり、エル社の行為は実質的に被請求人による行為と同一視できるものであるとの主張を裏付けるため、被請求人とエル社との関係を証明する書面として、乙第23号証の被請求人の履歴事項全部証明書及び乙第24号証のエル社の履歴事項全部証明書を提出する。なお、審判事件答弁書で提出した各書証において、エル社の住所は「東京都港区南麻布3-6-3」とされているが、乙第24号証によれば、同社は、その後、平成29年10月1日付けで上記住所から「東京都港区南青山二丁目27番27号」に本店を移転し、同月2日付けで当該移転登記を完了している。
イ 乙第23号証及び乙第24号証によれば、被請求人の代表取締役であるA氏は、エル社の代表取締役を兼務し、両社で代表取締役会長を務めている。また、被請求人のもう一人の代表取締役(社長)であるB氏は、A氏の子息であり、エル社の取締役を兼務する。さらに、被請求人の取締役であるC氏は、エル社の代表取締役(社長)を兼務している。このように、被請求人の取締役4名中の3名でエル社の取締役が占められており、両社はほぼ同じ経営主体により経営されている。
さらに、平成29年6月1日の本店移転前の被請求人の本店住所は、「東京都港区南麻布三丁目6番3号」であるところ、この本店住所は、平成29年10月1日の本店移転前のエル社の本店住所と同一である。すなわち、両社は、平成29年5月31日までは同じ場所に所在して共同して事業を営んでいたことは明らかである。
両社のかかる役員構成及び旧本店所在地に鑑みれば、乙第1号証の1と乙第1号証の2により主張したとおり、被請求人とエル社とが企業グループ「エルセーヌグループ」のグループ会社同士であることが紛れもない事実であって、両社が人的にも経営的にも極めて密接な関係を有することは明らかである。
ウ 乙第19号証は、2017年5月4日付けのエルセーヌ全店舗宛ての通達であるところ、右下に「販売部・ビー・エル・シー」と記載があるとおり、エル社の販売部と被請求人が共同で作成し、両社の連名で配布したものである。このような社内通達は、通常であればエルセーヌ店舗を運営するエル社が独自に作成、配布すべき内部資料であるが、被請求人はエル社の社内通達の作成、配布にまで関与しており、エルセーヌの事業が被請求人とエル社の両社一体の協業によって運営されていることがわかる。
エ 乙第20号証の2017年5月4日付け社内研修資料は、エルセーヌの従業員、すなわち、エル社の社員を対象とする社内研修に用いられた資料であるところ、右下の「ビー・エル・シー」の記載から明らかなとおり、被請求人の作成に係るものである。被請求人は、こうした商品情報の提供の形で、エル社の人材育成においても重要な役割を担っているのである。また、乙第20号証では、エル社の社員であるエルセーヌ上野総本店の総店長による被請求人の化粧品(商品名「ビューティースムース アクアローション」)の体験談が述べられているが、両社の緊密な協業なくしては、かかる内容の資料は作成し得ない。
オ このように、経営陣を同じくする被請求人とエル社は、企業グループ「エルセーヌグループ」のグループ会社として協業し、両社が一体となってエステティックサロン「エルセーヌ」の事業を運営しているのである。かかる事実に鑑みれば、エル社が本件使用商標が付された化粧品を宣伝広告し、販売する行為、すなわち、本件商標を使用する行為は、被請求人がエル社のエルセーヌ各店舗を介して、顧客に化粧品を宣伝広告し販売したものと同一視すべきである。また、仮に両社が一体とみなされない場合でも、両社の事業上の密接な関係に鑑みれば、被請求人からエル社への本件商標の黙示の使用許諾、ないしは、両社の黙示の合意が存在するとみるのが合理的である。
カ 以上より、エル社による本件商標の使用行為は、被請求人による本件商標の使用行為と実質的に同一視されるべきものであり、したがって、被請求人が要証期間において本件審判請求に係る指定商品中の「化粧品」に本件商標を使用していたことは明白である。
(3)乙第8号証の2017年3月16日付け発注書に記載された商標権者の住所が商標登録原簿に記載の住所及び乙第1号証の1に記載の商標権者の住所と異なることについて
被請求人は、東京都内に数箇所の営業拠点を持ち、乙第8号証記載の「東京都渋谷区恵比寿南1-16-7」は、そのうちのひとつである。乙第23号証によれば、被請求人は、登記上の本店住所を「東京都港区南麻布三丁目6番3号」としていたが、平成29年6月1日付けで「東京都渋谷区恵比寿南一丁目16番7号」に移転し、同月12日付けで移転登記を完了している(乙23)。
しかしながら、本件の商標登録原簿上の住所変更を行っていなかったため、被請求人は、本書と同日付けで登録名義人の表示変更登録申請書を提出した。また、乙第1号証の1には被請求人の旧住所が掲載されているが、上記本店住所を掲載すべく、ウェブページの改訂を予定している。
以上の手続及び説明により、乙第8号証記載の発注者が被請求人(本件商標権者)本人であることが明確になった。
(4)結び
以上のとおり、要証期間における当該リーフレットの頒布の事実、被請求人とエル社の関係が明白になった。なお、既提出の乙第16号証ないし乙第18号証によっても、要証期間に本件商標が付された商品が販売された事実は明白である。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠の内容
(1)乙第1号証の1及び2は、ウェブページの出力書面であり、欄外にURL及び「2017/07/05」の記載がある。そして、乙第1号証の1については、「会社概要」の表題の下、「社名 株式会社ビー・エル・シー(エルセーヌグループ)」「所在地 (本社)東京都港区南麻布3-6-3 エルセーヌ広尾ビル」「設立 平成13年7月10日」「事業内容 化粧品・健康食品の企画・製造及び販売」の記載があり、また、乙第1号証の2については、「会社概要」の表題の下、「社名 株式会社エル」「本社 東京都港区南麻布3-6-3 エルセーヌ広尾ビル」「設立 1983年11月30日」「事業内容 エステティックサロン全国店舗『エルセーヌ』の経営」「エルセーヌグループ会社 ・・・株式会社ビー・エル・シー」の記載がある。
(2)乙第2号証の1は、「オリジナル サプリメント&ジェル」と題する印刷物(以下「本件リーフレット」という。)であり、表題面には右上部に「エルセーヌ」の記載があり、12種類の商品が掲載されている。
乙第2号証の1の「NO.6DFC」の項には、「ホームケアマッサージ用クリーム」の記載とともに「Oui Apsia SDB」「NO.6DFC」「ビー・エル・シー」の文字が付された商品の画像があり、「ビューティスムース アクアローション」の項には、「身体の肌荒れ・保湿・・・保湿ローション。」の記載とともに「Oui Apsia SDB」「Beauty Smooth Aqua Lotion」「ビー・エル・シー」の文字が付された商品の画像がある。
(3)乙第10号証は、表形式の書面の写しであり、上部に、「ご注文番号 PAC13076461」「納期 2017年05月08日」「商品名 A4商品一覧5000枚」「価格 8,400」の記載があり、その下に「お問い合わせ番号 PAC13076461 A4商品一覧5000枚」「商品カテゴリー 大部数チラシ」「納期 7営業日」「部数 5,000」「商品価格 8,400円」「お届け先 (株)エル八潮商品センター 商品部 次長 ●●様」「荷主 (株)エル 販売部 課長 ●●様」「サイズ A4」「本文色数 両面4色」「本文用紙 コート73」「加工1 トンボ仕上がり断裁(ご注文サイズでお納め)」の記載がある。
(4)乙第11号証の1は、「見積書」と題する書面の写しであり、右上部に「2017年05月01日」の記載、その下に「株式会社プリントパック」の記載、左上部には「株式会社エル 御中」の記載がある。中央の表には「ご注文番号」の欄に「PAC13076461」、「内容」の欄に「品名:A4商品一覧5000枚 A4/両面4色/コート73/5,000部/加工1:トンボ仕上がり断裁(ご注文サイズでお納め)」、「数量」の欄に「1」、「単価」の欄に「8,400」、「金額」の欄に「8,400」の記載がある。
(5)乙第11号証の2は、「ご注文番号 PAC13076461 A4商品一覧5000枚」と題する印刷物の写しであり、縮小された本件リーフレットの表題面及び裏面が並んで印刷されている。
(6)乙第12号証は、「請求書」と題する書面の写しであり、その内容は、乙第11号証の1の記載と同様である。
(7)乙第13号証は、「支払依頼書」と題する書面の写しであり、上部に「会社名 EL エル」「申請日 2017年05月03日」の記載、その下に「件名 A4商品一覧ペラ 5,000部」「支払先 (株)プリントパック」の記載、「決裁金額 ¥8400」の記載がある。
(8)乙第14号証は、件名を「PAC13076461 発送完了のお知らせ:プリントパック」とする2017年5月6日付けのメールの出力書面である。本文には、「株式会社プリントパックでございます。・・・下記お申込分につきまして、発送を完了いたしました。ご注文番号:PAC13076461 品名:A4商品一覧5000枚」の記載、「・配送先」の項には、「配送先名:商品部次長●●様」「配送先住所:(株)エル八潮商品センター」「荷物お問い合わせNo:518474304670」「出荷人名:販売部課長●●様」「出荷住所:東京都文京区湯島・・・(株)エル」の記載がある。
(9)乙第15号証の1は、「お荷物問い合わせサービス」と題するウェブページの出力書面であり、「お問い合わせ送り状No」の欄に「518474304670」、「最新荷物状況」の欄に「配達完了」の記載、「配達完了日」の欄に「05月08日 10時03分」の記載がある。
乙第15号証の2は、荷物に貼られた「荷札」の画像の出力書面である。「お届先」の欄に「(株)エル八潮商品センター 商品部 次長 ●●様」、「ご依頼主」の欄に「東京都文京区湯島・・・(株)エル 販売部 課長 ●●様」の記載、「お問い合わせNo:5184-7430-4670」「お客様管理No:13076461」の記載がある。
(10)乙第21号証の1ないし3は、「配布物発注書」と題する書面の写しであり、いずれも右上部に「2017/5/12作成」、最下部に「商品部FAX:048-9●●-●●●●」の記載があり、「店番」「店名」「発注日」の欄、「商品名 エルセーヌ オリジナル商品カタログ(ピンク)」の「発注数」の欄に手書きで記入されている。乙第21号証の1は、「店番 65」「店名 立川」「発注日 5月12日(金)」「発注数 50」の記載がある。乙第21号証の2は、「店番 108」「店名 博多」「発注日 5月19日(金)」「発注数 50」の記載がある。乙第21号証の3は、「店番 39」「店名 仙台」「発注日 5月19日(金)」「発注数 30」の記載がある。
また、乙第21号証の3の上部には、「2017-05-19 20:27 FROM 0222639613 TO ショウヒンブ P.01」の記載がある。
(11)乙第22号証の1ないし3の1葉目は、平成29年10月30日に作成されたエル社のエルセーヌ立川店、同博多店、同仙台店の担当者、店長、副店長の「宣誓供述書」であり、それぞれ要旨以下の供述がされている。
各店舗は、本件リーフレットを平成29年5月12日又は19日に株式会社エル・商品部に発注した。そして、各店舗においては、本件リーフレットを同月17日又は24日から、エステ施術を行う際に商品説明とあわせて顧客に手渡しする、及び、店舗内のラックに置いて顧客が自由に持ち帰ることができる状態にした。これらの方法により、立川店では同月17日から25日までに15部、博多店では同月24日及び25日に5部、仙台店では同月24日及び25日に4部、本件リーフレットを顧客へ配布した。
(12)乙第23号証は、「東京都渋谷区恵比寿南一丁目16番7号 株式会社ビー・エル・シー」の「履歴事項全部証明書」であり、「会社設立の年月日 平成13年7月10日」「目的 1.エステティックサロンの経営及び経営指導・・・」「役員に関する事項 取締役 A 取締役 B」「登記記録に関する事項 平成29年6月1日東京都港区南麻布三丁目6番3号から本店移転」の記載がある。
(13)乙第24号証は、「東京都港区南青山二丁目27番27号 株式会社エル」の「履歴事項全部証明書」であり、「会社設立の年月日 昭和58年11月30日」「目的 1.美容院、エステティックサロン、ホテル、アスレチッククラブの経営並びにその付属施設の管理運営・・・」「役員に関する事項 取締役 A 取締役 B」の記載がある。
2 認定事実
(1)被請求人は、本件使用商標を付した商品「化粧品」が掲載された本件リーフレットを、要証期間に顧客に頒布したとして、これをもって本件商標の使用と主張する。
(2)本件商標権者は、平成13年7月10日に設立された、エステティックサロンの経営及び経営指導等を目的とする法人であり、エステティックサロン「エルセーヌ」を経営するエル社と取締役を共通にするグループ会社である(乙1、乙23、乙24)。
(3)乙第2号証の1は、被請求人によれば、エルセーヌ商品一覧リーフレットであるところ、本件リーフレットには、エルセーヌの取扱いに係る商品として、「NO.6DFC」と称する「マッサージ用クリーム」及び「ビューティスムースアクアローション」と称する「保湿ローション」が掲載されており、これらの商品には、本件使用商標が付されている。
(4)エル社は、プリントパック社に本件リーフレット5,000部(枚)を発注し、プリントパック社は、平成29年5月6日に上記商品をエル社・販売部を荷主としてエル社・商品部へ発送し、同月8日に納品したと認められる(乙10?乙15)。
(5)平成29年5月12日にエルセーヌ立川店が、また、同月19日にエルセーヌ博多店及び仙台店が、それぞれエル社・商品部へ本件リーフレットを50部、又は、30部発注し、各店舗において、平成29年5月17日、又は、同月24日から同月25日まで頒布したと推認できる(乙21、乙22)。
3 判断
(1)使用者について
本件商標権者とエル社は、グループ会社であり、両者には密接な業務上のつながりが認められるものであるから、エル社は、本件商標の使用について本件商標権者より黙示の許諾を受けていた通常使用権者とみて差し支えない。
(2)使用商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「B.L.C」と「ビー・エル・シー」の文字を二段に書してなり、本件使用商標は、「ビー・エル・シー」の文字からなるところ、本件使用商標は、本件商標の構成中の「B.L.C」の文字部分がない商標である。
そして、本件商標の「B.L.C」の欧文字部分と「ビー・エル・シー」の片仮名部分とは、欧文字と片仮名に相互に変換できる同一性を失わない文字の関係にあるといえるものであって、本件使用商標は、本件商標の片仮名部分とその構成文字を同じくするものである。
そうすると、本件商標と本件使用商標とは、社会通念上同一の商標と認められる。
(3)使用商品について
本件リーフレットに掲載された本件使用商標が表示された商品は、「マッサージ用クリーム」及び「保湿ローション」であることから、本件使用商品は、本件商標の指定商品中の「化粧品」の範ちゅうに属する商品と認められる。
(4)使用時期について
本件リーフレットは、要証期間に含まれる平成29年5月8日に、印刷業社であるプリントパック社より本件商標の通常使用権者であるエル社に納品され、同月17日、又は、同月24日から同月25日まで通常使用権者の経営するエステティックサロン(エルセーヌ)において顧客に頒布されたものと推認できる。
(5)上記(1)ないし(4)によれば、本件商標の通常使用権者であるエル社は、平成29年5月17日ないし同月25日に、本件審判の請求に係る指定商品中の「化粧品」に含まれる「マッサージ用クリーム」又は「保湿ローション」に関する本件リーフレットに、本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布したということができ、当該行為は、商品に関する広告に、標章を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)に該当するものと認められる。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、本件商標の通常使用権者が、その請求に係る指定商品中の「化粧品」について、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)の使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-04-23 
結審通知日 2018-04-26 
審決日 2018-05-25 
出願番号 商願2003-42419(T2003-42419) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松浦 裕紀子渡邉 健司 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 松浦 裕紀子
小松 里美
登録日 2003-12-26 
登録番号 商標登録第4736551号(T4736551) 
商標の称呼 ビーエルシー、ビイエルシイ 
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ