• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W35
管理番号 1339246 
審判番号 取消2016-300687 
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-10-03 
確定日 2018-03-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第5597767号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5597767号商標(以下「本件商標」という。)は、「シャイン」及び「SHINE」の文字を2段に横書きしてなるものであり、平成24年9月18に登録出願、「測定機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同25年7月12日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成28年10月19日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同25年10月19日ないし同28年10月18日(以下「要証期間」という場合がある。)である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第35類「測定機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書及び審判事件弁駁書において要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第35類「測定機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「取消請求役務」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、上記役務について、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)カタログギフト業について
ア 一般的な通信販売業は、商品カタログを顧客に無償で配布し、顧客はそのカタログに掲載されている商品の中から欲しい商品を選択して対価を払いその商品を購入するものであり、この場合、当該通信販売業者はその商品の小売業務を営んでいると解される。
これに対して、被請求人が営むカタログギフト業は、ギフト用カタログを顧客に販売することによって対価を得ているのであって、当該カタログに掲載されている商品を販売することによって対価を得ているものではないから、被請求人は、当該カタログに掲載されている商品の小売業務を行っているのではなく、「ギフト用カタログ(商品と交換可能な商品券付きカタログ)(26A01)」の販売を行っているか(甲2)、あるいは、「商品又は役務と交換可能な商品券(カタログギフト券)の発行(36A02)」役務(以下、これらをまとめて「カタログ販売・商品券発行役務」という場合がある。)を行っていると考えるのが相当である(甲3)。
したがって、何れにしても、被請求人がギフト用カタログに掲載されている商品の小売業務を行っていることにはならない。
イ 被請求人は、ギフト用カタログ(商品と交換可能な商品券付きカタログ)の「受取り手」(乙2)を顧客と捉えているが、顧客とは、一般に、自社の商品・サービスを販売する対象のことをいい、商標法第2条第2項に規定する「顧客」もこの意味合いで使用されているものと解される。
そうであれば、被請求人が営むカタログギフト業における顧客とは、「ギフト用カタログ」を購入して対価を支払う「ギフト購入者」(乙2)である。
そして、被請求人は、ギフト用カタログの「受取り手」(乙2)に対しては、当該カタログに掲載された商品の販売業務を行っているのではなく、ギフト用カタログに添付された商品券(カタログギフト券)と商品との交換業務を行っているにすぎない。
したがって、ギフト用カタログの「受取り手」(乙2)を顧客と捉えるのは、顧客の概念を逸脱している。
ウ 被請求人が「測定機械器具」の小売業務を行っているというためには、被請求人が顧客に「測定機械器具」を販売し、それによって対価を得ている必要があるが、被請求人が行っているのは、カタログ販売・商品券発行役務であるから、被請求人は「測定機械器具」の小売業務を行っているのではない。
したがって、被請求人が販売しているギフト用カタログは、取消請求役務に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(商標法第2条第3項第3号及び同4号)に該当するものではないので、本件商標の商標登録が取り消されるべきであることは明らかである。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、「被請求人の営むカタログギフト業に係るフローチャート」であるが、被請求人は、フロー(1)及び(2)(審決注:乙2号証の数字は○の中に数字が表示されているところ、これを(1)?(5)として表示する。)において、カタログ販売・商品券発行役務を行っているのであり、カタログに掲載された商品の小売業務を行っているのではない。
フロー(1)及び(2)は、被請求人が、カタログ販売・商品券発行役務を行い、これに対して対価を得て、納品している過程を示したものであり、フロー(3)は、「商品と交換可能な商品券付きカタログ」又は「商品又は役務と交換可能な商品券」の購入者(顧客)が当該カタログ又は商品券(カタログギフト券)を第三者に贈呈する過程を示したものである。
フロー(4)及び(5)は、被請求人がカタログに掲載された商品を「受取り手」に販売しているのではなく、商品券(カタログギフト券)と商品との交換業務を行っている過程を示したものであるが、当該フロー(4)及び(5)の業務が、商品の販売業務ではなく交換業務であることは、被請求人自身も認めているところである。
すなわち、被請求人は、自己のホームページ上の「よくあるご質問」(甲4)のページにおいて、「カタログギフト券に有効期限はありますか?」という質問に対して、「・・・カタログギフト券には有効期限がございます。期限を過ぎた商品の交換はお受けできません。予めご了承の程お願いいたします。」と記載している。
このように、被請求人自身も、フロー(4)及び(5)は、商品券(カタログギフト券)と商品との交換業務であると認めているのであるから、フロー(4)及び(5)が、カタログに掲載された商品の小売業務に該当するものでないことは明らかである。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、ギフト用カタログの写真であるが、被請求人は、このギフト用カタログ(26A01)を販売して対価を得ているのであり、「測定機械器具」を販売して対価を得ているのではない。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、ギフト用カタログの抜粋の写しであるが、このカタログは、「測定機械器具」を販売するためのカタログではない。
すなわち、このカタログは、「ギフト用カタログ(商品と交換可能な商品券付きカタログ)(26A01)」(甲2)であり、又は「商品又は役務と交換可能な商品券の発行(36A02)」(甲3)役務の提供を受ける者の利用に供する物に該当するものである。
したがって、乙第4号証のカタログは、取消請求役務に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(商標法第2条第3項第3号及び同4号)に該当するものではないから、当該カタログに「Shine」「シャイン」の文字が記載されていても、本件商標の使用には該当しない。
また、本件商標は「Blancuore」というタイトルのギフト用カタログのコース名として使用され、その表示方法は「Blancuore」の文字と比較して極めて小さい文字で記載されており、その表示方法は、いわゆる「品番」としての使用態様に近いものであって、視認性が悪く、需要者に識別標識であることをアピールするような使用態様ではない。
したがって、本件商標の使用態様は、自他商品・役務識別標識としての使用には該当しないと考えるのが相当であるから、この観点からも、本件商標は、「測定機械器具」の小売役務に関する識別標識としての使用には当たらない。
(5)乙第5号証ないし乙第22号証について
ア 乙第5号証、乙第10号証、乙第11号証、乙第19号証及び乙第20号証は、ギフト用カタログの発注書の写しであって、「測定機械器具」の発注書の写しではないため、「測定機械器具」の小売役務について本件商標が使用されていたことは証明されていない。
イ 乙第6号証、乙第12号証及び乙第21号証は、ギフト用カタログの請求書の写しであって、「測定機械器具」の請求書の写しではないため、「測定機械器具」の小売役務について本件商標が使用されていたことは証明されていない。
ウ 乙第7号証、乙第8号証、乙第13号証及び乙第22号証は、カタログギフト券の写しであるが、「測定機械器具」の小売役務との関連性が見当たらないため、「測定機械器具」の小売役務について本件商標が使用されていたことは証明されていない。
エ 乙第9号証は、ギフト用カタログの抜粋の写しであるが、このカタログは、乙第5号証と同様に、「測定機械器具」を販売するためのカタログではないため、取消請求役務に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(商標法第2条第3項第3号及び同4号)には該当しない。したがって、当該カタログに「Shine」の文字が記載されていても、本件商標の使用には該当しない。
オ 乙第14号証?乙第18号証は、ギフト用カタログの抜粋の写しであるが、本件商標は記載されていないため、「測定機械器具」の小売役務について本件商標が使用されていたことは証明されていない。
(6)小括
上述したとおり、被請求人が営むカタログギフト業は、ギフト用カタログに掲載された商品の小売業務ではなく、「ギフト用カタログ(商品と交換可能な商品券付きカタログ)(26A01)」の販売、又は「商品又は役務と交換可能な商品券(カタログギフト券)の発行(36A02)」に該当するものであるから、当該カタログに「Shine」「シャイン」の文字を記載しても、本件商標を取消請求役務について使用したことにはならない。
また、本件商標は「Blancuore」というタイトルのギフト用カタログのコース名であり、その表示方法は、いわゆる「品番」としての使用態様に近いものであって、視認性が悪く、需要者に識別標識であることをアピールするような使用態様ではないから、本件商標の使用態様は自他商品・役務識別標識としての使用には該当しない。
(7)まとめ
以上を総合的に判断するならば、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標を要証期間内に、日本国内において取消請求役務について使用していたという事実を確認することはできないため、当該商標登録が取り消されるべきであることは明らかである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし第23号証を提出した。
1 総論
被請求人は、我が国において、冠婚葬祭の際の贈答品等をカタログに掲載し、当該カタログの受取り手が好みの品物を選べる形式で商品を販売する事業であるカタログギフト業を営み、当該カタログ名称あるいはカタログコース名称に使用する商標について、取扱商品にかかる小売等役務を指定役務とする商標登録を行い、カタログギフト業に係る被請求人の信用の維持を図っている。
本件商標「シャイン/SHINE」は、その代表的な商標の一つであり、ギフト用カタログ「Blancuore」シリーズのコース名称「Shine/シャイン」として使用され、「測定機械器具」を含む、結婚式等の引き出物の選択に供されている。このコース名称「Shine/シャイン」のギフト用カタログ「Blancuore」(以下、「本件カタログ」という場合がある。)には、本件商標と社会通念上同一とされる「Shine/シャイン」、「シャイン」が付されており、他のコース用カタログ共々、各暦年毎に発行され、その何れにおいても、贈答用商品として「測定機械器具」に属する商品が取扱われている。
したがって、取消請求役務を受ける者の利用に供されるカタログに、本件商標と社会通念上同一の商標が付されており、また、かかるカタログを用いて被請求人が小売等役務を提供しているのであるから、商標法第2条第3項第3号及び同第4号に規定された「使用」がなされている。
そして、その「使用」は、平成24年から現在に至るまで各暦年毎に発行される本件カタログを利用に供することにより行われており、要証期間内においても、その「使用」が継続している。
2 被請求人の営むカタログギフト業
「被請求人の営むカタログギフト業に係るフローチャート」(乙2)は、シャディ株式会社(以下「シャディ」という。:被請求人)、代理店、カタログギフト購入者(結婚式等の催物主催者等)、受取り手(催物参加者等)の4者間でのカタログギフト(ギフト用のカタログとカタログ掲載商品のギフト券を一体とした進物品)(乙3)の流れを表したものである。
フロー(1)は、「受取り手」の性質や人数に従って、「ギフト購入者」が、カタログを選んだ上で、カタログギフトを「代理店」に発注し、「シャディ」がこれを受注する流れを示している。
フロー(2)は、「シャディ」が受注に係るカタログギフトを「代理店」を介して「ギフト購入者」に納品する流れを示している。
フロー(3)は、催物に際し、あるいは、その後に、「ギフト購入者」が「受取り手」にカタログギフトを贈答又は配布する流れを示している。
フロー(4)は、「受取り手」が、ギフト用カタログに掲載された商品を選んで、カタログギフト中のギフト券により「シャディ」に注文する流れを示している。
フロー(5)は、「シャディ」が、注文を受けた商品を「受取り手」に送付する流れを示しており、当該送付により、一連の業務が完了する。
このように、被請求人は、「小売の業務において行われる顧客に対する便益」を提供する役務を営むものであるが、かかる役務にあって、ギフト用カタログは、その提供を受ける「受取り手」が、商品を選択して注文するに際して、必須の存在であり、本件役務の提供を受ける者の利用に供する物に該当することが明らかである。
3 本件カタログ2016年版による証明
(1)乙第4号証は、「Blancuore」「Shine/シャイン」コース用のカタログ2016年版であり、その表紙には「Blancuore」と共に「Shine/シャイン」商標が付され、裏表紙には「DO/シャインコース」の表示が付されている
また、カタログギフトの受け取り手が選べる商品として当該カタログ内に、「活動量計」(K03頁)、ヘルスメータ(154頁)、歩数計(154頁)等の「測定機械器具」に属する商品が掲載されている。
そして、奥付に「お問い合わせは/シャディ株式会社お客様センター」とあるように、このカタログが被請求人の発行に係るものであることが示されている。
さらに、裏表紙の下方にバーコードと共に「16-8013-143」の記載があり、冒頭の「16」の部分が西暦2016年の「16」を表示し、2016年用のカタログであり、当該カタログが2016年の1年間有効であることを示している。この場合、冒頭の「16」を除く「8013-143」の部分は、被請求人に係る社内管理番号で、当該カタログの有効期間等を表示するものではない。
(2)乙第5号証は、本件役務中のフロー(1)のプロセスにおいて、「代理店」から「シャディ」にカタログギフトの発注がなされた実際の取引書類「申込書」の写しである。
乙第5号証では、「ジョージ邸」における平成28年(2016年)2月27日の挙式に対応して「代理店」「アロケートウェディング・メセナ大宮館」から「シャディ」(ブライダル業務課)に対して、納品日を平成28年2月24日と指定して、カタログコース「シャイン」のカタログギフトの発注があり、「シャディ」が2016年2月9日に申込書を受け取ったことを示している。
(3)乙第6号証は、本件役務におけるフロー(2)のプロセス完了後、「シャディ」から、カタログギフトの発注者「代理店」に対する請求書の写しである。
乙第6号証は、「シャディ」の「代理店」(乙6)への請求書で、2016年9月4日の結婚式用に8月31日に納品したカタログギフト「16BLCシャインDO」について、締日付を2016年9月30日として請求したことを示している。カタログギフト名は、商品欄に「16BLCシャインDO」で示されているが、これは、乙第4号証の表紙に表示されたカタログ名「Blancuore」を略した「BLC」と、シャインコースを示す「シャイン」と、裏表紙の「DO/シャインコース」から取った「DO」を連ね、さらに「16-8013-143」で表示された2016年版であることを示すために冒頭に「16」を付した略称であるから、乙第4号証に係る2016年版の「Blancuore」シリーズ、コース名「Shine/シャイン」カタログギフトを指すものに相違ない。
したがって、乙第4号証に係るカタログギフトが、少なくとも2016年8月31日には流通に供されていたことが明らかである。
(4)乙第7号証は、本件役務中のフロー(5)のプロセスにおいて、受取り手から「シャディ」に対して、商品注文のあった事例を示すものである。
本件役務において、「受取り手」からの商品注文はギフト券により行われるものであるが、乙第7号証は、2016年10月15日に発行されたギフト券によって、カタログコース「シャインDO」(乙4)から選ばれた申込み番号「8265-290」の商品「レノマ紳士ベルト」を「受取り手」が注文したことを示している。
(5)乙第8号証は、乙第7号証と同様に、本件役務中のフロー(5)のプロセスにおいて、「受取り手」から「シャディ」に商品注文のあった事例で、乙第4号証のカタログより選ばれた商品に係るものであることを示している。
すなわち、2016年10月19日に発行されたカタログギフト券によって、シャインDOコースに使用される乙第4号証カタログの申込番号「8263-450」の商品「パナソニック ヘアードライヤーイオニティ」が注文されたことが示されている。
(6)ギフト券は、本件役務のフロー(2)のプロセスにあって、「シャディ」からカタログギフトが納品される時に発行され、(あるいは受取り手の受け取り日が考慮される場合もある)、以後1年間の申込有効期限が設けられている。したがって、ギフト券に同封されるギフト用のカタログは、ギフト券発行日の年度のものが用いられるので、例えば2016年の末日に発行されたギフト券には2016年版のギフト用のカタログが同封され、2017年末日までの有効期限が定められることとなり、2016年版のカタログは実質2016年と2017年の2年にわたって、当該役務の提供を受ける者の利用に供されるのである。
一方、ギフト用のカタログと、当該カタログに掲載される商品は、流行や消費者の好みの変化に応じて選択され、その年度毎に、申込番号が付与されている。
例えば、乙第7号証に注文商品として掲げられた「レノマ紳士ベルト」は、ギフト券の発行日2016年10月15日に対応して利用される2016年版の乙第4号証カタログの掲載商品で、申込番号「8265-290」が付されているが、同じ「レノマ紳士ベルト」は、その前年の2015年版(乙9)に掲げられているが、2016年版とは異なる申込番号「8261-845」が付されており、また、乙第8号証に注文商品とされた「パナソニック ヘアードライアー イオニティ」についても、2016年版には、申込番号「8263-450」が付されているが、乙第9号証の2015年版では「8270-585」の申込番号で掲げられている。
このことから、乙第7号証の2016年10月15日発行のギフト券で注文された申込番号「8265-290」の「レノマ紳士ベルト」や、乙第8号証の2016年10月19日発行のギフト券で注文された申込番号「8263-450」の「パナソニック ヘアードライアー イオニティ」は、乙第4号証の本件カタログ掲載の商品から選ばれたものであることが証明される。
したがって、前年度と同じ商品が掲載されていても申込番号は相違していることから、本件カタログが2016年に発行され、本件役務の提供を受ける者の利用に供されていたことが明らかである。
4 本件カタログ2015年版による証明
(1)乙第9号証は、「Blancuore」「Shine/シャイン」コース用のカタログ2015年版であり、2016年版(乙4)と同様に、その表紙には「Blancuore」と共に「Shine/シャイン」商標が付され、裏表紙には「DO/シャイン」の表示が付されている。
また、当該カタログ内には、ヘルスメータ、活動量計等の「測定機械器具」に属する商品が掲載されている。
そして、奥付に「お問い合わせは/シャディ株式会社お客様センター」とあるように、このカタログが被請求人の発行に係るものであることが示されている。
さらに、裏表紙の下方の「DO/シャインコース」表示の下方に「15-8013-159」の記載があり、冒頭の「15」の部分が西暦2015年の「15」を表示し、2015年版カタログであることを示している。
(2)乙第10号証及び乙第11号証は本件役務中のフロー(1)のプロセスにおける取引書類で、「代理店」から「シャディ」宛てにカタログギフトの発注があったことを示している。
乙第10号証は、「代理店」「小さな結婚式 福岡店」から「シャディ」宛にカタログギフト「シャイン」コースが発注されたもので、発注日が平成27年(2015年)9月12日、「シャディ」の受け取り日が2015年9月14日、挙式日が平成27年9月22日であることが示されており、乙第11号証は、挙式日平成27年(2015年)2月15日に備えて「代理店」「ホテル東日本」から「シャディ」にコース「シャイン」のカタログギフトの発注があり、2015年2月6日に「シャディ」がこれを受け取ったことが示されている。
(3)乙第12号証は、「シャディ」から「代理店」への、締日付を2015年6月30日とする請求書で、挙式日2015年6月14日に備えて6月10日に納品したカタログギフトに係り、当該カタログギフトが「BLANCUORE/シャインカタログ2015年版」であることを示す「15BLCシャインDO」の記載が商品名欄にある。
(4)乙第13号証は、本件役務のフロー(5)プロセスにおいて使用されたギフト券の実例で、2015年9月17日に発行され、2016年9月16日まで有効なもので、乙第9号証の「BLANCUORE/シャインカタログ2015年版」に掲載された商品から、お申込番号「8271-310」に係る商品「ツインバード 空気清浄機ファンディタイニー(4.5畳)」が選択され注文されている。このように、乙第9号証の本件カタログ2015年版が2015年に発行され、本件役務の提供を受ける者の利用に供されていたことが明らかである。
5 その他の補強証明
(1)乙第14号証は、「Blancuore」の「Noble/ノーブル」商標を配し、裏表紙に「AOO/ノーブルコース」の表示があり、当該ギフト用のカタログの発行年度を示す「16-8013-160」の記号を付している。
乙第15号証は、「Velvet/ベルベット」コースに係るもので、表紙及び裏表紙の「Blancuore」の下方の「Velvet/ベルベット」がコースを表し、さらに裏表紙にコース名を明示すべく「EO/ベルベットコース」の表示が付されている。そして、2016年版を表示する「16-8013-151」の記号も付されている。
乙第16号証ないし乙第18号証も各々「Blancuore」カタログギフトにおける「Urban/アーバン」コース、「Fine/ファイン」コース、「Tender/テンダー」コースのギフト用のカタログの表紙、裏表紙の抜粋写しであり、いずれも乙第9号証、乙第14号証、乙第15号証と同様の形式で作成されており、各々「CE/アーバンコース」「CO/ファインコース」「BE/テンダーコース」の表示が施されている。
このことから、本件カタログの「Shine/シャイン」は、他のカタログギフトコースと同様に「Blancuore」のカタログギフトコースを表わすものであることが、より明らかになる。
(2)乙第19号証は、2014年11月18日に、「代理店」「セント・ラファエルチャペル湘南迎賓館」から「シャディ」宛に「シャイン」コースカタログギフトが発注され、同日に「シャディ」が受け取ったことを示し、乙第20号証は、「代理店」「小さな結婚式 表参道サロン」からの発注を受け、2014年10月8日及び2014年10月15日の両日に「シャディ」が受け取った発注書で、「シャインコース」カタログギフトが商品名として挙げられている。
また、乙第21号証は、「シャディ」から「代理店」宛の請求書の写しで、2014年4月16日に納品されたカタログギフト「14BLCシャインDO婚礼-宅配」について請求するものである。
さらに、乙第22号証は、2014年5月31日に発行され商品注文に供されたギフト券の実例を示すもので、「シャインDO」のコース記号によって、2014年に発行された「Blancuore」の「シャインコース」カタログが商品の選択に利用されていたことが判る。
このように、乙第19号証ないし乙第22号証によって、2014年版「Blancuore”Shine/シャイン”」コース用カタログが存在し、本件役務の提供を受ける者の利用に供されていたことは明らかとなるのであり、このことからも乙第4号証、乙第9号証のギフト用カタログが各々2016年、2015年に発行されたものであることが明確になる。
6 まとめ
被請求人の営むカタログギフト業の各プロセスで実際に使用された取引書類を参酌しても明らかなように、乙第4号証、乙第9号証は各々2016年版、2015年版のギフト用カタログである。そして、いずれもに「Shine/シャイン」「シャイン」コースの商標が付され、当該カタログ中に「測定機械器具」に属する商品が掲載されているので、「『測定機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供』役務の提供を受ける受取り手(顧客)の利用に供するギフト用カタログに「Shine/シャイン」を付する行為」が行われていたに相違はなく、また、「Shine/シャイン」の表示は、本件商標と社会通念上同一のものであるから、本件商標に関し、商標法第2条第3項第3号及び同4号に規定する「使用」行為が行われていたことが明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証及びその主張によれば、以下のとおりである。
(1)乙第2号証は、「被請求人の営むカタログギフト業に係るフローチャート」であるところ、被請求人の主張及び該乙号証によれば、被請求人の業務は、結婚式等の催物主催者等(以下「催物主催者」という。)が、被請求人の代理店に、ギフト用のカタログと該カタログ掲載商品の「ギフト券による進物品」(以下「カタログギフト」という。)の購入を申し込むと、代理店が被請求人にカタログギフトを発注し、被請求人から代理店を通じ、カタログギフトが催物主催者、すなわち、カタログギフトの購入者に送付され、その後、カタログギフトは、贈答品を受け取る者(以下「受取手」という。)に渡され、受取手は、ギフト用カタログに掲載された商品から商品を選択し、ギフト券を使用して被請求人に商品を注文すると、被請求人は受取手に商品を配送する内容を業務とする、というものである。
(2)乙第9号証は、被請求人発行の2015年版ギフト用カタログの抜粋の写しとされるものであるところ、その表紙の上部には、「Blancuore」の文字が大きく表示され、下部には、「Shine」及び「シャイン」の文字が2段に横書きで表示されている。
そして、そのカタログの152頁には、「デジタルヘルスメーター」及び「活動量計」の写真並びにそれらの申込番号、商品説明が記載されている。
また、162頁には、空気清浄機の写真の下部に「4 ツインバード 空気清浄機/ファンティタイニー(4.5畳)/お申込み番号 8271-310」の表示がある。
さらに、奥付には、問い合わせ先として「シャディ株式会社 お客様センター」の表示があり、その電話番号が記載されており、また、裏表紙には、「DO/シャインコース」の表示の下、「15-8013-159」の表示がある。
(3)乙第10号証は、発注日を平成27年9月12日とする、被請求人の代理店である「(株)レック 小さな結婚式/福岡店」がシャディに宛てた「発注書」の写しであるところ、「No.」、「品番」、「商品名」、「数量」、「単価」の項目があり、その1行目には、「商品名」欄に「カタログギフト シャインコース」、「数量」欄に「12」、及びその単価の記載がある。
また、「出荷日」欄には、「9/19」の記載、及び楕円の枠内に「ありがとうございました/’15.9.14/シャディ(株)」の記載がある。
(4)乙第12号証は、被請求人がカタログギフトを販売する代理店に宛てた「請求書」の写しであるところ、上部には、「締日付」欄に「2015/6/30」の記載があり、また、「商品CD」、「商品名/備考」、「日付」、「伝票No.」、「区分」、「数量」、「単価」、「御買上金額」の項目があり、6種類の商品について記載されており、その4つ目には、「商品名/備考」欄に「15BLCシャインDO」、「日付」欄に「06/10」、「数量」欄に「6」の記載がそれぞれあり、その単価、金額、合計金額等の記載がある。
(5)乙第13号証は、カタログギフトの受取手が、被請求人へ送付された商品注文用ギフト券(以下「カタログギフト券」という。)の写しであるところ、「発行日」欄には、「2015年09月17日」、「お申込み有効期限」欄には「2016年09月16日まで」の記載がある。
また、該カタログギフト券の下部の「コース名/コース記号」欄には「シャイン DO」の記載、「ご希望商品の申込番号」欄には「8271-310」の記載、及び「商品名」欄には「ツインバード 空気清浄機/ファンティタイニー(4.5畳)」の記載がある。
2 判断
(1)使用者
ギフト用カタログ(乙9)の奥付に、問い合わせ先として「シャディ株式会社 お客様センター」の表示が記載されていることからすれば、当該カタログの作成者は、商標権者(被請求人)である。
(2)使用商標
ギフト用カタログ(乙9)の表紙には、「Shine」の欧文字及び「シャイン」の片仮名が2段に横書きで記載されているところ、本件商標は、「シャイン」の片仮名及び「SHINE」の欧文字を2段に横書きしてなるものであって、欧文字部分において、小文字と大文字の差異があるとしても、その構成文字を同じくするものであるから、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
(3)使用時期
2015年(平成27年)9月17日を発行日とする「カタログギフト券」(乙13)に記載の商品名及び申込番号とギフト用カタログ(乙9)の162頁に掲載されている商品の商品名及び申込番号が一致していることからすれば、受取手は、平成27年9月17日以降、申込有効期限の2016年(平成28年)9月16日の間に、当該「カタログギフト券」を使用して、商品の申込みをしたものといえ、該商品の申込番号、商品名及びカタログギフト券の下部に記載のコース名からして、該商品が掲載されたギフト用カタログは、同一の商品の申込み番号、商品名、コース名が掲載され、年度も合致する乙第9号証のギフト用カタログであると認められる。
そうすると本件商標と社会通念上同一の商標が表示された該カタログは、要証期間内である上記期間内に受取手に渡っていたといえるものである。
(4)使用役務
ギフト用カタログ(乙9)には、「デジタルヘルスメーター」及び「活動量計」の写真並びにそれらの申込番号、商品説明が記載されているところ、これら商品は、いずれも「測定機械器具」の範ちゅうの商品である。
また、上記(3)のとおり、ギフト用カタログ(乙9)に掲載された商品について、受取手から被請求人へ商品の申込みがされていることからすれば、当該商品は、被請求人から受取手である需要者へ送付、すなわち、譲渡、引き渡しをされたものといえ、同様に、「デジタルヘルスメーター」及び「活動量計」も被請求人から需要者へ譲渡、引き渡しをする商品としてギフト用カタログに掲載されていたものというのが相当である。
そして、被請求人が事業として行っていると主張する「カタログギフト業」の内容とは、各種商品をカタログに掲載し、該カタログの受取手が好みの商品を選べる形式で商品を販売する事業であって、カタログギフトの受取手、すなわち需要者は、各種の商品が取りそろえられ、掲載されたギフト用カタログを見るだけで商品の選択及び注文ができるようになっているものである。
そうすると、被請求人は、需要者に対して商品の選択の便宜のために販売する商品が掲載されたカタログによって各種商品の提供を行っているということができるものであり、これは、小売業者が顧客に対して行う便益の提供に該当するといえるものである。
してみれば、被請求人は、「測定機械器具」の範ちゅうの「デジタルヘルスメーター」及び「活動量計」についての小売等役務を提供したものといえるから、被請求人の提供する上記小売等役務に使用される当該ギフト用カタログは、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」というのが相当である。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、本件商標の商標権者は、要証期間内にその請求に係る指定役務の範ちゅうに含まれる「デジタルヘルスメーター及び活動量計の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、その役務を提供するためのギフト用カタログ(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物)に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものと認められ、また、これを用いて役務を提供したものと認めることができ、これは商標法第2条第3項第3号の「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為」及び同第4号の「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為」に該当するものである。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、「被請求人が営むカタログギフト業は、ギフト用カタログに掲載された商品の小売業務ではなく、『ギフト用カタログ(商品と交換可能な商品券付きカタログ)(26A01)』の販売、又は『商品又は役務と交換可能な商品券(カタログギフト券)の発行(36A02)』に該当するものであるから、当該カタログに『Shine』『シャイン』の文字を記載しても、本件商標を取消請求役務について使用したことにはならない。」旨を主張している。
しかしながら、「シャディ」の業務をフローチャート(乙2)全体で捉えてみれば、「ギフト購入者」が商品代金を含んだギフト用カタログを「シャディ」から購入し、「受取り手」が該カタログから商品を選び、「シャディ」に申込みをし、「シャディ」から商品を受け取るという内容のものであり、「ギフト購入者」と商品の受取手が異なり、商品の受取り前に「ギフト購入者」が商品代金を支払っているとしても、全体としてみれば、顧客は、「シャディ」が作成したギフト用カタログから商品を選び「シャディ」から商品を購入しているといえるものであって、「シャディ」は商品を販売している。
すなわち、「シャディ」は、小売業を営んでいるといえるものであり、その際に、顧客による商品の選択の便宜を図るため、「シャディ」は、商品が掲載されたカタログを作成し、顧客に提供しているとみるのが相当である。 してみれば、「シャディ」は、商品の小売り業務において、顧客による商品選択の便宜を図るために、各種商品が掲載されたカタログを提供しているとみるべきであって、これを、「ギフト用カタログ」の譲渡のみを捉え、「ギフト用カタログ(商品と交換可能な商品券付きカタログ)の販売」、又は「商品又は役務と交換可能な商品券(カタログギフト券)の発行」とみるのは妥当ではない。
(2)請求人は、「本件商標は、『Blancuore』というタイトルのギフト用カタログのコース名であり、その表示方法は、いわゆる『品番』としての使用態様に近いものであって、視認性が悪く、需要者に識別標識であることをアピールするような使用態様ではないから、本件商標の使用態様は自他商品・役務識別標識としての使用には該当しない。」旨主張する。
しかしながら、ギフト用カタログ(乙9)の表紙の下部に表示された「Shine」及び「シャイン」の文字部分は、一般的に品番等に使用されるローマ字の1字又は2字からなるものや数字とローマ字の1字又は2字を組み合わせたもの等ではなく、それ自体が、自他商品役務の識別標識としての機能を十分に果たし得るものとみるのが相当である。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定役務の範ちゅうに含まれる役務「デジタルヘルスメーター及び活動量計の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について本件商標の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-09-29 
結審通知日 2017-10-05 
審決日 2017-11-02 
出願番号 商願2012-75166(T2012-75166) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小俣 克巳小出 浩子 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 榎本 政実
中束 としえ
登録日 2013-07-12 
登録番号 商標登録第5597767号(T5597767) 
商標の称呼 シャイン 
代理人 川瀬 幹夫 
代理人 小谷 昌崇 
代理人 並川 鉄也 
代理人 河内 幸雄 
代理人 水谷 安男 
代理人 貴答 信介 
代理人 島田 義勝 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ