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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
管理番号 1338395 
異議申立番号 異議2017-685020 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-07-13 
確定日 2018-01-09 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1284841号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1284841号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1284841号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,2015年4月19日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,2015年(平成27年)10月15日に国際商標登録出願,平成29年3月10日に登録査定,第18類「Backpacks;backpacks;backpacks compatible with personal hydration systems,sold empty;backpacks for pets;backpacks with rolling wheels;backpacks,book bags,sports bags,bum bags,wallets and handbags;bullet-proof backpacks to protect the contents of the backpack;document suitcases;duffel bags for travel;fitted protective covers for handbags,briefcases,valises,suitcases,and briefcase-like portfolios;garment bags for travel;garment bags for travel made of leather;leather bags,suitcases and wallets;luggage;luggage and trunks;insertion for packing[luggage accessories];luggage label holders;luggage tags;military duffle bags,garment bags for travel,tote bags,shoulder bags and backpacks;overnight suitcases;plastic luggage labels;pouches and bags sold empty for attachment to backpacks;protective fitted liners for backpacks and luggage;sack packs,namely,drawstring bags used as backpacks;schoolchildren’s backpacks;shoe bags for travel;small backpacks;small suitcases;suitcase handles;suitcases;travel bags;traveling bags;travelling bags;trunks and suitcases.」を指定商品として,同年5月12日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである(以下,まとめていうときは「引用商標」という。)。
1 登録第1552027号商標(以下「引用商標1」という。)は,「BARACUTA」の欧文字を横書きしてなり,昭和54年9月17日に登録出願,第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同57年11月26日に設定登録され,その後,平成16年2月4日に,第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」のほか,第3類,第6類,第8類,第10類,第14類,第21類,第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
2 登録第5169503号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成19年6月13日に登録出願,第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同20年9月26日に設定登録されたものである。
3 登録第5169504号商標(以下「引用商標3」という。)は,「BARACUTA」の欧文字を横書きしてなり,平成19年6月13日に登録出願,第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同20年9月26日に設定登録されたものである。
4 登録第5713420号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲3のとおりの構成からなり,平成26年5月2日に登録出願,第18類「トランク,旅行かばん,スーツケース,傘,肩掛けかばん,買物袋,ハンドバッグ,トートバッグ,ポシェット,スポーツバッグ,バックパック,リュックサック,化粧道具入れ,札入れ,財布,鍵入れ,かばん金具,がま口口金,蹄鉄,皮革製包装用容器,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」及び第25類「被服,外衣,ジャケット,雨着,運動用特殊衣服,ニット製被服,下着,水泳着,履物及び運動用特殊靴,帽子,ベルト,手袋,スカーフ,ネクタイ,メリヤス下着,メリヤス靴下,ズボンつり,バンド,仮装用衣服」を指定商品として,同年10月24日に設定登録されたものである。
5 登録第5810371号商標(以下「引用商標5」という。)は,「BARACUTA」の欧文字を標準文字で表してなり,平成27年5月8日に登録出願,第18類「トランク,旅行かばん,スーツケース,肩掛けかばん,買物袋,ハンドバッグ,トートバッグ,ポシェット,スポーツバッグ,運動用バッグ,バックパック,リュックサック,札入れ,財布,袋物,鍵入れ,キーケース,かばん類」及び第35類「被服・被服用アクセサリー・履物・かばんの小売又は卸売において行われる顧客に対する便益の提供,百貨店における被服・被服用アクセサリー・履物・かばん類の小売又は卸売において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のほか,第18類,第25類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同年12月4日に設定登録されたものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第10号,同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第146号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は,正方形状の図形と横書きの欧文字「BARRACUDA」を配した構成からなり,当該欧文字に相応して「バラクーダ」の称呼を生じ,第18類の「Backpacks」をはじめとするかばん類を指定商品とするものである。
(2)引用商標について
引用商標は,その構成に欧文字「BARACUTA」もしくは片仮名「バラクータ」を有することから,引用商標より「バラクータ」の称呼が生じることは明らかである。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の全体の外観は一見して相違する。
次に,本件商標は魚の名前であるものの,当該商品分野の需要者に馴染みのあるものではなく,また,引用商標は何ら特定の意味を有しない造語であることから,両商標は観念上対比することができない。
しかしながら,その称呼においてみると,本件商標は「バラクータ」の称呼を生ずるものであり,他方,引用商標からは「バラクーダ」の称呼が生じ,これら称呼上の相違は,語尾の「タ」と「ダ」のみであって,清音か濁音かという微差にすぎない。加えて,これら唯一の差異音の前音が長音「ー」であり,両商標は「バラクーダ」,「バラクータ」といずれも第3音の「ク」が強く発音され,それぞれを称呼すると,全体の語調語感が近似し彼此相紛れるおそれが高い。
よって,本件商標と引用商標とは,互いに類似する商標であり,その指定商品又は指定役務においても相抵触するものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
(1)引用商標が広く知れ渡っている事実
引用商標は,ファッション業界において取引者・需要者に広く知られた商標である。
「BARACUTA(バラクータ)」は,1937年にジョン・ミラー兄弟によって設立されたファッションブランドであり,世界初のハリントンジャケットであるG9ジャケットが有名になったことを契機に,世界中で広く知られる有名ブランドに成長した。日本でも本物志向のカジュアルウェアブランドとして今日まで親しまれており,引用商標は,取引者・需要者において広く浸透するに至っている(甲8?甲12)。
ここ10数年では,平成16年から丸紅株式会社が「BARACUTA(バラクータ)」ブランドの日本市場における独占輸入販売契約及びライセンス契約を締結し,大手百貨店や専門店を中心に広く販売を手掛け(甲13),平成24年以降は,多数の有名ブランドの輸入販売を事業とする八木通商株式会社及びその関連会社であるスープリームスインコーポレーテッド株式会社が輸入・販売を行っている(甲14)。
「BARACUTA(バラクータ)」ブランドは,有名百貨店の実店舗及びオンラインストアで扱われているだけでなく(甲15?甲19),その品質の高さが同業者に評価され,日本の有名アパレルメーカーである株式会社ワールドや,幅広い層に親しまれているセレクトショップSHIPSとのコラボ商品も人気を博しており,アメリカの高級百貨店チェーンからの要望で製作された限定商品が話題を呼ぶなど,その名声は確固たるものといえる(甲20?甲23)。
また,新聞・雑誌でも「BARACUTA(バラクータ)」ブランドの特集が組まれたり,大きく商品が取り上げられることもしばしばで,メンズカジュアルブランドの老舗として現在もなおその地位を維持していることは明らかである(甲8,甲10?甲12)。
雑誌としては,「UOMO」,「Safari」,「Tarzan」,「サライ」,「LEON」,「Men’s NONNO」,「THE NIKKEI MAGAZINE STYLE」,「BRUTUS」,「AERA」など,相当の発行部数を誇る多数の雑誌で「BARACUTA(バラクータ)」ブランドが取り上げられ,商品が掲載されており,一般需要者は,店舗やオンラインショップだけでなく,人気ブランドとして頻繁に「BARACUTA(バラクータ)」を目にしている(甲10?甲12,甲24?甲124)。なお,甲第24号証ないし甲第124号証は,わずか2年程の間に「BARACUTA(バラクータ)」ブランド及びその商品が掲載された雑誌の一部であり,露出度の高さがうかがえる。
また,ファッションブランドの場合,被服のみならず,ファッション小物といわれるバッグや傘,財布などをブランドの一アイテムとして品揃えすることが一般的に行われるところ(甲125?甲129),「BARACUTA(バラクータ)」ブランドもカバンを取り扱ってきた(甲130?甲132)。
以上より,引用商標が被服を含むファッション商品について広く知られるに至っていることは明らかである。
なお,引用商標を含む多数の「BARACUTA(バラクータ)」商標が,日本において1979年から38年もの間,ファッション関連商品分野について出願・登録・維持されている(甲133?甲146)。すなわち,「BARACUTA(バラクータ)」は,幅広いファッション商品を扱うトータルファッションブランドであり,長期にわたる使用により,現在も市場において確固たる地位を維持しており,引用商標は,取引者・需要者において広く浸透するに至っている。
(2)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とは,類似することは明らかである。
よって,本件商標は,申立人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって,その商品若しくは役務又はこれに類似する商品若しくは役務について使用するものであるから,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)出所の混同
本件商標がその指定商品について使用された場合には,それがあたかも申立人に係る商品であると,もしくは,申立人と経済的・組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると,取引者・需要者において,誤認混同を生じる蓋然性が非常に高いものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,黒塗りの正方形内に,正方形状の枠線と幾何図形とを白抜きで表した図形を表し,その右側に,「BARRACUDA」の欧文字を横書きした構成からなるものである。
そして,本件商標の構成中,図形部分と欧文字部分とは,視覚上,分離して把握されるものであって,図形部分からは,特定の称呼及び観念を生じないものであり,また,「BARRACUDA」の欧文字部分は,魚の「カマス」を意味する英語(株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典第二版)であるが,我が国のかばん類等の需要者の間において,広く一般に用いられている語であるとはいい難いことから,特定の意味合いを想起させない一種の造語として理解されるといえるものである。
したがって,本件商標は,その構成中の「BARRACUDA」の欧文字部分から「バラクーダ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
ア 引用商標1,3及び5について
前記第2のとおり,引用商標1及び3は,「BARACUTA」の欧文字を横書きしてなり,引用商標5は,当該欧文字を標準文字で表してなるところ,当該欧文字は,辞書類に載録されている既成の語ではないから,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるといえるものである。
したがって,引用商標1,3及び5は,その構成文字に相応して「バラクータ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2及び4について
引用商標2は,別掲2のとおり,デザイン化された正方形の枠内に,王冠とデザイン化した「B」の欧文字及びライオンとおぼしき動物の絵柄を組み合わせた図形を配し,当該図形の下に,蛇腹に折れ曲がった帯状の図形と,その内部には「BARACUTA」の欧文字を,帯状図形は交互に白色と黒色で表し,欧文字は交互に縁取りと白抜きにして表してなるものであり,引用商標4は,別掲3のとおり,引用商標2から正方形枠を取り除いた構成からなるものと認められるところ,引用商標2及び4は,それぞれ,構成中に表された「BARACUTA」の欧文字部分より,「バラクータ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
ウ なお,申立人は,登録第5905983号商標も,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用しているが,当該商標の登録出願日は平成28年7月7日であって,本件商標の国際登録出願の優先権主張日は2015年(平成27年)4月19日であるから,当該商標は,本件商標の後願であること明らかである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 外観について
本件商標及び引用商標は,上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ,本件商標と引用商標1,3,5とは,図形の有無において判然と区別し得るものであり,また,本件商標と引用商標2及び4とは,それぞれの図形部分において顕著な差異を有するから,本件商標と引用商標とは,全体の構成において,外観上,明らかに相違する。
また,本件商標の「BARRACUDA」の文字部分と,引用商標1,3及び5,並びに引用商標2及び4の「BARACUTA」の文字部分とを比較しても,4文字目の「R」の文字の有無及び末尾から2番目において「D」と「T」の文字という差異を有するものであるから,全体の印象が異なり,十分に区別し得るものと認められる。
したがって,本件商標と引用商標とは,外観上,相紛れるおそれはない。
イ 称呼について
本件商標は,上記(1)のとおり,「バラクーダ」の称呼を生じ,引用商標は,上記(2)のとおり,「バラクータ」の称呼を生じる。
本件商標と引用商標の称呼を比較するに,両者は語尾において「タ」と「ダ」の差異を有するのみで,他の音を共通にするものであり,該差異音にしても,比較的聴取し難い末尾に位置することに加え,清音と濁音という微差を有するにすぎないから,語調,語感が近似し,称呼上,相紛れるおそれがあるものと認められる。
ウ 観念について
本件商標と引用商標とは,上記(1)及び(2)のとおり,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。
エ 小括
上記アないしウによれば,本件商標と引用商標とは,外観において顕著な差異を有するものであって,観念において類似するものということはできないから,称呼において類似するとしても,これらを総合すれば,両商標は,商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない非類似の商標というべきである。
(4)まとめ
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品又は指定役務が同一又は類似するとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
(1)引用商標の著名性について
ア 申立人の提出した証拠によれば,以下のとおりである。
(ア)申立人の「BARACUTA」ブランドは,1937年に英国において,ジョン・ミラー兄弟によって設立されたファッションブランドであり,「G9」(ジーナイン)と呼ばれる男性用ジャケットが代表的な商品である(甲8,甲9,甲11?甲13)。
(イ)我が国においては,2004年に,丸紅株式会社が,「BARACUTA」ブランドの独占輸入販売契約及びライセンス契約を締結した(甲13)。
2017年10月現在は,八木通商株式会社が「BARACUTA」ブランドを取り扱っている(甲14)。
(ウ)大手デパートのウェブサイトにおいて,2017年10月現在,取扱いブランドとして「BARACUTA」又は「Baracuta」(バラクータ)の記載がある(甲15,甲16)。
また,通信販売ウェブサイトにおいて,2014年,2015年及び2017年に,「BARACUTA」,「Baracuta」又は「バラクータ」の表示とともに,セレクトショップ等とのコラボレートによる商品を含む,男性用又は女性用のジャケットが紹介又は販売された(甲17?甲23)。
(エ)2013年から2014年にかけて,男性ファッション誌を中心とする多数の雑誌において,「BARACUTA」(引用商標1,3,5)又は「バラクータ」の表示とともに,主に男性用ジャケットが紹介されている(甲10?甲12,甲24?甲123)。
また,引用商標2及び4と同様の構成からなる表示を付した男性用ジャケットも見受けられる(甲38,甲39,甲49,甲58,甲59,甲88,甲91等)。
なお,「BARACUTA」及び「バラクータ」の表示とともに,傘やコート等が掲載されている例も見受けられるが,その数はわずかである(甲43,甲76,甲78,甲102,甲103,甲118,甲121,甲122等)。
(オ)中古品の通販ウェブサイトにおいて,2017年10月現在,「BARACUTA」及び「バラクータ」の表示とともに,かばん類が販売のために紹介されている(甲130?甲132)。
イ 上記アによれば,我が国において,2004年に丸紅株式会社が,申立人と「BARACUTA」ブランドについてライセンス契約等を締結したこと,2013年から2014年にかけては,男性ファッション誌を中心とする雑誌において,主に男性用のジャケットが,引用商標の表示とともに掲載されたこと,2014年から2017年にかけて,通信販売ウェブサイトに,男性用及び女性用のジャケットが,引用商標の表示とともに紹介されたこと,2017年現在においては,八木通商株式会社が輸入・販売を行い,「BARACUTA」ブランドの商品が,大手デパート等で取り扱われていることが認められる。
しかしながら,申立人の提出に係る証拠によれば,「BARACUTA」ブランドが大手デパート等のウェブサイトに掲載されたとしても,それらのデパート等で取り扱われている,数あるブランドのうちの一つであることが示されているにすぎない。
また,申立人は,2013年及び2014年のわずか2年間に,「BARACUTA」ブランド及びその商品が多数の雑誌に掲載されたことが,当該ブランドの露出度の高さを示すものである旨主張しているが,この2年間には,主に男性向けのファッション誌に相当程度掲載されたことがうかがえるとしても,引用商標を付した商品について,長年継続して広告を行った事実は見あたらず,他に,引用商標について,申立人が広く宣伝活動を行ったものと認め得る証左は示されていない。
そして,提出された証拠からは,我が国における引用商標を使用した商品の販売数量,売上高等が明らかでなく,引用商標の著名性の認定にあたって必要な,市場シェアや取引の実情等を把握することができない。
さらに,「BARACUTA」「Baracuta」又は「バラクータ」の文字が使用されている商品は,男性用ジャケットであり,傘やコートが雑誌に掲載されたものの,その数はわずかであって,かばん類も,中古品がウェブサイトにおいて数点紹介されたにすぎない。
そうすると,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,日本国内において広く認識されていたということはできない。
(2)出所の混同のおそれについて
本件商標と引用商標とは,上記1(3)のとおり,相紛れるおそれがない非類似の商標であって別異のものと認められる。
そして,引用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されているものとは認めることができない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
また,本件商標は,本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれはなかったものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 【別記】



異議決定日 2017-12-28 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W18)
T 1 651・ 25- Y (W18)
T 1 651・ 262- Y (W18)
T 1 651・ 261- Y (W18)
T 1 651・ 263- Y (W18)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 雅也 
特許庁審判長 田中 亨子
特許庁審判官 平澤 芳行
小林 裕子
登録日 2015-10-15 
権利者 BARRACUDA, INC.
商標の称呼 バラクーダ、バッラクーダ 
代理人 田島 壽 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
代理人 青木 篤 

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