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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 042
管理番号 1336289 
審判番号 取消2017-300301 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-05-02 
確定日 2017-12-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第3133101号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3133101号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張し、平成4年9月30日に登録出願、第42類「ステーキ・スープ・温野菜・サラダ料理その他の西洋料理を主とする飲食物の提供,コーヒー・紅茶・シャーベット及びアイスクリームその他のデザートの提供,アルコール飲料の提供」を指定役務として、同8年3月29日に設定登録され、その後、2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされたものであり、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成29年5月19日である。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである旨述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
なお、請求人は、後記3の被請求人の答弁に対し、弁駁していない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
(1)本件商標の使用について
本件商標は、次のとおり、通常使用権者である株式会社ヤマザキ(商標権者の100%子会社。同社のヤマザキプラザ市川事業部の所在地は、千葉県市川市市川一丁目9番2号。)により、本件商標の指定役務について、本件審判の請求の登録前3年以内に、国内で継続的に使用されていた事実がある。
ア 乙第1号証は、本件商標権者である被請求人に係る有価証券報告書(平成28年1月1日ないし平成28年12月31日)の抜粋であり、その7頁には、株式会社ヤマザキが被請求人の100%子会社である旨の記載があり、同じく、6頁には、同社の事業内容として「ヤマザキプラザ市川事業部」と記載されている。
イ 乙第2号証ないし乙第7号証は、本件商標が株式会社ヤマザキの管理運営に係る商業ビル「サンプラザ35」(市川市市川一丁目9番2号)内にある同社直営のレストランの店舗名として使用されていた事実を示す写真であり、いずれも平成25年10月26日(審決注:「2015年10月26日」の誤記と認める。)に撮影されたものである。
(ア)乙第2号証は、レストランの入口周辺の写真であり、本件商標が店舗看板に使用されている。
(イ)乙第3号証は、上記商業ビル内のレストラン近傍に設置された案内表示の写真であり、本件商標が使用されている。
(ウ)乙第4号証は、上記商業ビル内のエスカレーター乗り場付近に表示された店舗案内表示の写真であり、本件商標が使用されている。
(エ)乙第5号証は、上記商業ビル内の階段付近に表示された店舗案内表示の写真であり、本件商標が使用されている。
(オ)乙第6号証及び乙第7号証は、上記商業ビルの出入口付近の写真であり、店舗案内表示中に本件商標が使用されている。
ウ 乙第8号証ないし乙第13号証は、市川市内の新聞販売店を通じて主要な全国紙の折込み広告として地域住民に配布したチラシと、それらの新聞販売店への配布完了報告書である。
通常使用権者は、株式会社I&Nエージェントを広告代理店として、「サンプラザ35」内の店舗(商業施設名としては、ヤマザキプラザ市川)に関する販売促進、営業促進用の広告宣伝物の作成と配布を委託しており、同社は、株式会社ヤカに折込み広告チラシの印刷を、株式会社読売ISに該折込み広告チラシの新聞販売店への配布を委託している。
エ 乙第14号証は、市川地域ブランド協議会が平成27年に発行した市川の地域ブランド「市川のなし」に関するパンフレットであり、その5枚目左上にある店舗番号35が「いちりん」であり、同じく、その6枚目の「参加店一覧」には、「ステーキ&フランス料理/いちりん/JR市川駅北口徒歩1分、ヤマザキプラザ市川2階のレストランです。」の文言と所在地を示す略図、住所及び電話番号が掲載されている。
(2)結語
被請求人は、以上述べた乙各号証により、本件商標の通常使用権者による本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の指定役務についての日本国内での使用事実を立証した。

4 当審の判断
(1)被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 本件商標権者は、第69期事業年度(平成28年1月1日?同年12月31日)において、国内外での食品事業などとして、製品の販売やサービスの提供を行うべく、多数の連結子会社その他の関連会社との関係を構築しているところ、本件商標の通常使用権者とされる「株式会社ヤマザキ」は、本件商標権者の連結子会社の一つであり(乙1)、その事業内容は、「ヤマザキプラザ市川事業部」(所在地:千葉県市川市市川一丁目9番2号)とされている。
イ 株式会社ヤマザキは、広告代理店を通じて、ヤマザキプラザ市川事業部の所在地にある「サンプラザ35」と称するビル内の店舗に関する広告宣伝物の作成及び配布を委託しているとされるところ、乙第8号証ないし乙第10号証に係る各チラシ及び乙第11号証ないし乙第13号証に係る各配布完了報告書の内容に徴すれば、2015年(平成27年)4月22日並びに2016年(平成28年)の1月20日及び2月24日に、ヤマザキプラザ市川の名称に係る広告(各日20,000部)が、市川市内の新聞販売店を通じて、主要な全国紙の折込み広告として配布されたことが推認される。そして、それらの折込み広告(チラシ)には、「サンプラザ35」内の1店舗として、「ステーキ&ワインレストラン ICHIRIN いちりん」の表示とともに、同レストランが紹介されている。
ウ 「サンプラザ35」のビルには、2015年(平成27年)年10月26日時点で、その入口に「Yamazaki Plaza ICHIKAWA」の看板が掲げられている(乙7)。そして、同ビルの地下には生鮮食品を取り扱う「スーパーマーケット ヤマザキ」、同ビルの1階には「フレッシュベーカリー 和洋菓子 Yamazaki Plaza ICHIKAWA」があるほか、2階にはレストランフロアが併設されており、そのレストランの一つとして、「ICHIRIN(いちりん)」がある(乙4、乙5、乙8?乙10)。
ICHIRIN(いちりん)の入口には、大きく表された「ICHIRIN」の文字と小さく表された「いちりん」の文字とが併記されている標章の看板が掲げられており(乙2)、また、ICHIRIN(いちりん)があるビル(サンプラザ35)のエスカレーター乗り場や階段付近には、「ICHIRIN」の文字を横長長方形状の枠線で囲ってなる標章の看板が掲げられている(乙4、乙5)。
(2)上記(1)において認定した事実によれば、株式会社ヤマザキは、本件商標の通常使用権者といえ、また、同社の事業に係るヤマザキプラザ市川事業部は、少なくとも2015年(平成27年)4月から2016年(平成28年)2月までの間、自己の所在地にある「サンプラザ35」において、ベーカリーやスーパーマーケットのほか、ステーキやワイン等を提供するレストラン「ICHIRIN(いちりん)」を設置していたといえる。
そして、上記レストラン「ICHIRIN(いちりん)」は、その入口に大きく表された「ICHIRIN」の文字と小さく表された「いちりん」の文字とが併記されている標章の看板を掲げ、かつ、店舗のあるビル内に「ICHIRIN」の文字を枠線で囲ってなる標章の看板を掲げていたところ、本件商標は、別掲に示すとおり、横長長方形状の枠線内に大書された「ICHIRIN」の文字を配してなるものであるから、上記看板の標章のうち、入口に掲げられていたものは、本件商標との比較において、枠線及び「いちりん」の文字の有無という差異があるものの、「ICHIRIN」の文字を共通にする上、「イチリン」の称呼をも同じくするものであることからすれば、該標章は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
また、上記看板の標章のうち、店舗ビル内に掲げられていたものは、本件商標との比較において、略同一といえるものであるから、該標章は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
さらに、株式会社ヤマザキは、2015年(平成27年)4月22日並びに2016年(平成28年)の1月20日及び2月24日に、「ステーキ&ワインレストラン ICHIRIN いちりん」の表示の下、同レストランを紹介する内容を含む広告(チラシ)を主要な全国紙の折込み広告として配布したところ、該広告に係る「ICHIRIN いちりん」の表示は、本件商標との比較において、枠線の有無と文字の配置及び態様を異にするものの、その文字の構成及び称呼を同じくするものであることからすれば、該表示は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
してみれば、本件商標の通常使用権者である株式会社ヤマザキは、本件審判の請求の登録前3年以内において、その請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用(商標法第2条第3項第8号)をしたものと認められる。
(3)以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標の通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
本件商標(登録第3133101号商標)


審理終結日 2017-10-23 
結審通知日 2017-10-26 
審決日 2017-11-08 
出願番号 商願平4-272352 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (042)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 田中 敬規
松浦 裕紀子
登録日 1996-03-29 
登録番号 商標登録第3133101号(T3133101) 
商標の称呼 イチリン 
代理人 永井 道雄 
代理人 岡村 信一 
代理人 小林 十四雄 

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