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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2013890044 審決 商標
不服201910771 審決 商標
不服201615639 審決 商標
無効2018890072 審決 商標
不服20187002 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W09
審判 査定不服 観念類似 登録しない W09
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W09
審判 査定不服 商品と役務の類否 登録しない W09
管理番号 1336239 
審判番号 不服2017-9616 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-30 
確定日 2017-12-04 
事件の表示 商願2016-34582拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「グーのスマホ」の文字を標準文字で表してなり,第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成28年3月28日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同年10月7日付け手続補正書により,第9類「スマートフォン,スマートフォン用ケース,スマートフォン用イヤフォンジャック,スマートフォン用イヤフォン,スマートフォン用イヤフォンジャック防護具,スマートフォン用ストラップ,スマートフォン用充電器,スマートフォン用置き台,スマートフォン用ホルダー,スマートフォン用充電コード,スマートフォン用画面クリーナー,スマートフォンの部品並びに附属品,スマートフォン用液晶保護シート,ダウンロード可能なスマートフォン用の電子計算機用プログラム,スマートフォン用カメラレンズ,スマートフォン用モバイルバッテリー,スマートフォン用電気コード」に補正されたたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第5385787号商標(以下「引用商標」という。)は,「Goo」の文字を標準文字で表してなり,平成22年7月1日登録出願,第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む同類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定役務として,同23年1月21日に設定登録され,現に有効に存続している。

3 当審の判断
(1)商標の類否判断について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。
この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号,最高裁平成3年(行ツ)第103号,最高裁平成19年(行ヒ)第223号参照)。
上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。
(2)本願商標
本願商標は,前記1のとおり,「グーのスマホ」の文字を標準文字で表してなるところ,その文字種の相違から,「グー」,「の」及び「スマホ」の各文字を結合させてなるものと容易に認識されるものである。そして,その構成中,「グー」の文字部分は,直ちに特定の意味合いを想起させるものとはいえない一方,「の」の文字部分は,「前の語句の内容を後の体言に付け加え,その体言の内容を限定」し所有者や所属を示す働きをする助詞(広辞苑第六版参照)であり,また,「スマホ」の文字部分は,「スマートフォン」の略語(新明解国語辞典第七版参照)である。そうすると,「の」の文字部分はその前後の語の関係性を示すにすぎず,また,「スマホ」の文字部分は,本願商標の指定商品との関係では,商品の普通名称及び用途を表すものであるから,これら文字部分は,商品の出所識別標識としての称呼及び観念が生じないものといえる。
してみれば,本願商標の構成中の「グー」の文字部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきであるから,本願商標は,その構成中の「グー」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することができるものである。
したがって,本願商標からは,構成全体から生じる「グーノスマホ」の称呼のほか,要部である「グー」の文字部分から「グー」の称呼が生じ,特定の観念は生じないというのが相当である。
(3)引用商標
引用商標は,前記2のとおり,「Goo」の文字を標準文字で表してなるものであり,当該文字は,「べたつく物,ねばつく物」等(第5号証)の意味を有する語として英語の辞書に掲載されているものの,かかる意味合いにおいて,我が国で一般的に知られている語とはいい難いことから,特定の語義を想起しない一種の造語として認識され,これより,引用商標からは特定の観念は生じないと判断するのが相当である。
また,一般的には,特定の意味合い又は特定の読みを想起しない欧文字からなる場合,これに接する取引者,需要者は,我が国において広く親しまれている英語読みに倣って称呼されるとみるのが自然であるから,「Goo」の各文字の表音である「ジーオーオー」の称呼のほか,「goo」の綴りを語頭に有する英単語,例えば「goose」(ガチョウ)が「グース」(初級クラウン英和和英辞典第11版参照)又は著名なインターネット検索サイト「Google」が「グーグル」と発音されること,さらに,取引において引用商標が「グー」と称されている事実(第17号証及び第19号証)を踏まえると,引用商標からは「グー」の称呼も生じるというべきである。
したがって,引用商標からは「ジーオーオー」又は「グー」の称呼が生じ,特定の観念は生じないというのが相当である。
(4)本願商標と引用商標の類否
本願商標の要部と引用商標とを対比すると,外観においては,片仮名及び欧文字という文字種を異にするところがあるものの,両者は共に態様上の特徴が認められない標準文字で表されていることに加え,商標の使用においては,商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したり,デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば,両者における文字種の相違が,看者に対し,出所識別標識としての外観上の顕著な差違として強い印象を与えるとはいえない。
そして,称呼においては,両者は,「グー」の称呼を共通にする場合がある。
また,観念においては,両者は共に特定の観念を生じないものであるから,観念によって区別することはできない。
そうすると,本願商標の要部と引用商標は,「グー」の称呼を共通にする場合がある一方,その外観において,称呼の共通性を凌駕するほどの顕著な差異があるとはいえず,また,観念によって区別できるものではないことから,これらの外観,称呼及び観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合勘案すれば,両者は,相紛れるおそれのある類似するものであるというべきである。したがって,本願商標と引用商標は,類似する商標であるというのが相当である。
(5)本願商標の指定商品と引用商標の指定役務の類否
本願商標の指定商品は,引用商標の指定役務に含まれる「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「電気機械器具類」に含まれるものである。そして,商品の販売と,その商品を取り扱う小売等役務の提供とが同一の者によって行われることは,商取引上,しばしば見受けられるものであり,そのような場合,該商品の販売場所や需要者の範囲が,該役務の提供場所や需要者の範囲と一致することも,少なからずあるとみるのが相当であるから,本願商標の指定商品及び引用商標の上記指定役務は,それらに同一又は類似する商標が使用された場合,その出所について混同を生ずるおそれのある,互いに類似するものというべきである。
(6)小括
以上によれば,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標であり,また,本願商標の指定商品と引用商標の指定役務も類似するものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(7)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標の指定商品の需要者が主として流行及びブランドに敏感な若い層が中心である一方,引用商標の指定役務の需要者は幅広い一般需要者層であって,両者は異なることからすれば,本願商標の指定商品の需要者は,商品に付された商標に十分注意を払い,小売店等で使用される商標との相違も十分識別可能である旨,並びに,商品に直接付された本願商標と店舗看板等に使用される引用商標とは,その表示場所及び業態も大きく異にし,特に,引用商標の商標権者は情報誌等(第17?19号証)による商品の小売であるのに対し,請求人の商品は他者の実店舗において販売(第20号証)され,また,請求人と引用商標の商標権者の販売ウェブサイトは全く異なり,販売場所,流通経路,購入ウェブサイトを異にするから,需要者間で誤認混同を生じることはない旨主張する。
しかしながら,本願商標の指定商品は,引用商標の指定役務に含まれる「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「電気機械器具類」に含まれるものである。そして,商品の販売と,その商品を取り扱う小売等役務の提供とが同一の者によって行われることは,商取引上,しばしば見受けられるものであり,そのような場合,該商品の販売場所や需要者の範囲が,該役務の提供場所や需要者の範囲と一致することも,少なからずあるとみるのが相当であるから,本願商標の指定商品及び引用商標の上記指定役務は,それらに同一又は類似する商標が使用された場合,その出所について混同を生ずるおそれのある,互いに類似するものというべきであることは,上記(5)で述べたとおりである。そして,請求人の主張のうち,本願商標の指定商品の需要者層については,主張のみでそれを裏付ける証拠の提出がなく,独自の見解といわざるを得ないばかりか,本願商標の指定商品が引用商標の上記指定役務における取扱商品である関係では,そもそも需要者は一般的に共通するといえるものである。また,販売場所等の相違については,両商標が現在使用されている態様を挙げるのみであり,これらが商品及び役務の類否の判断において参酌される一般的・恒常的な取引の実情に該当するということはできない。
イ 請求人は,本願商標の構成中の「スマホ」が「スマートフォン」及び「スマートフォン関連の商品」を暗示することがあるとしても,殊更に格助詞を伴う「のスマホ」を省略し,「グー」の文字部分のみをもって取引に当たるとはいえず,「グー」の意味合いも必ずしも明瞭ではないから,本願商標全体として特に意味を有しない一体不可分の造語として認識され,「グーノスマホ」のみの称呼が生じる一方,引用商標からは「べたつく物,ねばつく物等」(第5号証)の観念及び「ジーオーオー」,「グー」等の称呼が生じるから,両商標は,外観,称呼,観念上非類似である旨主張する。
しかしながら,「スマホ」の文字は,一般的・日常的に「スマートフォン」の略語(新明解国語辞典第七版参照)と認識されているものであって,本願商標の指定商品との関係では,商品の普通名称及び用途を表すものであるから,暗示にとどまるものではない。また,本願商標の構成中の「グー」の文字部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきであり,本願商標の要部である当該文字部分から「グー」の称呼が生じることは,上記(2)で述べたとおりである。そして,引用商標から特定の観念は生じないというのが相当であることは,上記(3)で述べたとおりである。以上から,請求人の上記主張は,その前提において妥当とはいえない。
ウ 請求人は,仮に本願商標から「グー」の称呼が生ずる場合があるとしても,本願商標と引用商標の外観は著しく異なり,観念も異にするので,出所の混同は生じないと述べ,外観,称呼及び観念を総合的に観察した結果,称呼が共通しても,外観において顕著な差異を有する場合,出所について誤認混同を生じるおそれはないとしたとする事例を挙げ(第21号証?第29号証),本願商標についても同様に判断すべき旨主張する。
しかしながら,そもそも商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは,査定時又は審決時における個別具体的な事情に基づき判断されるものであるから,請求人の挙げた例があるからといって,本願商標も登録すべきであるということにはならない。そして,本願商標と引用商標とが互いに相紛れるおそれのある類似する商標というべきであることは,上記(4)で述べたとおりである。
エ 請求人は,仮に本願商標から称呼の要部抽出をしたとしても,「グーノスマホ」の称呼も生じる以上,非類似の商標というべきである旨主張する。
しかしながら,上記(1)で述べたとおり,一つの商標から二つ以上の称呼,観念が生じることはあり得るのであり,その場合,一つの称呼,観念が他人の商標の称呼,観念と同一又は類似であるといえないとしても,他の称呼,観念が他人の商標のそれと類似するときは,両商標は類似するものと解するのが相当である。そして,本願商標の構成中の「グー」の文字部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきであり,本願商標の要部である「グー」の文字部分と引用商標は類似し,よって,本願商標と引用商標が類似する商標といえることは,上記(4)で述べたとおりである。
オ したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。
(8)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するから,登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-09-28 
結審通知日 2017-10-05 
審決日 2017-10-17 
出願番号 商願2016-34582(T2016-34582) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W09)
T 1 8・ 261- Z (W09)
T 1 8・ 263- Z (W09)
T 1 8・ 265- Z (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今田 尊恵 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 冨澤 武志
大森 友子
商標の称呼 グーノスマホ、グーノ、グー 
代理人 三好 秀和 

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