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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W25
審判 一部申立て  登録を維持 W25
審判 一部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1330320 
異議申立番号 異議2017-900122 
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-14 
確定日 2017-06-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第5913819号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5913819号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5913819号商標(以下「本件商標」という。)は、「Nクール」の文字を標準文字で表してなり、平成28年6月20日に登録出願され、第25類「ベスト,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,ティーシャツ」及び第11類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同年12月5日に登録査定、同29年1月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、その指定商品中、第25類「全指定商品」について、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)引用する商標
申立人が、本件登録異議の申立てに引用する商標は、以下のとおりである。
ア 「Nクール」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)であり、商品「Tシャツ」に使用している(甲2)。
イ 登録第5532292号商標(以下「登録済引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなるものであり、平成24年4月27日に登録出願、第24類「敷布,布団,布団側,肌布団,布団カバー,まくらカバー,タオルケット,クッションカバー,ベッド及び敷布団の上に敷くパッド,ベッド用シーツ,抱き枕カバー,ピローパッド」、第25類「履物,ストール」及び第27類「敷物」を指定商品として、同年11月2日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標と引用商標は、共に「Nクール」の文字からなる商標である。
そして、本件商標は、保冷剤及び保冷剤を装着するベストである商品に使用される商標であり、主に業務用作業着として販売されているのに対し、申立人が引用商標を使用した商品(甲2、甲3(審決注:甲第3号証は、登録済引用商標を示すものであって、引用商標を示すものではない。))は、接触冷感生地を使用した商品(以下「申立人商品」という。)として不特定多数の需要者に対し生活用品を販売する申立人の店舗及びインターネットサイトにおいて販売され、平成24年から販売を開始して以来、Nクールシリーズとして取扱品種を年々拡大し、日本全国にある申立人の全店舗(本件商標出願時点で393店舗)での販売と、ネット、テレビ、雑誌などを通じた販促効果により売上を伸ばし続けている申立人の人気商品シリーズの商標である(甲4)。本件商標(甲1)が出願される以前の平成28年4月の時点では既に、全18品種(敷パッド、ラグ、座椅子カバー、羽毛布団、マット、スリッパ、肌掛布団、長座布団カバー、ソファカバー、タオルケット、座布団カバー、キッズシーゾナル、シーゾナルカバリング、ビーズクッションカバー、シーゾナルトイ、抱き枕、補助枕、シートクッション、ルームウェア、Tシャツ、ステテコ等)の商品ラインナップがあり、引用商標を使用した「Tシャツ」などの商品についても、平成28年4月時点において申立人の全店舗388店中182店舗で既に販売されており(甲2)、引用商標は、本件商標が出願された時点では既に、自他商品識別力を有する状態で需要者の間で広く認識された周知性の高い商標であったといえる。
したがって、本件商標は、周知商標である引用商標と同一の商標であって、同一又は類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号ついて
引用商標は、申立人の商標として全国的に需要者に広く認識されており、これと同一又は類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。
(4)商標法第4条第1項第19号ついて
引用商標は、申立人商品のシリーズ商品に係る商標であり、その対象となる品種は拡大し続け、本件商標が出願される以前の平成28年4月4日時点において引用商標を使用した申立人商品のラインナップには、既に本件商標に係る指定商品と同一又は類似する商品である引用商標を使用した「Tシャツ」なども含まれていた。引用商標を使用した「Tシャツ」の取扱い店舗数は、全国で182店であり、うち本件商標権者所在地の近隣県である愛知県及び岐阜県のみでも13店舗で販売をおこなっていた(甲2)。このことから本件商標権者が認識した上で、引用商標の信用を利用するために本件商標に係る指定商品を含め出願したものであり、本件商標は不正の目的をもって登録を得たものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反してなされたものである。
(5)結び
前記の具体的理由から、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当し、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
ア 申立人の提出に係る甲第2号証によれば、申立人が商品「Tシャツ,ステテコ」の販売開始を紹介する平成28年(2016年)4月4日付けのニュースリリース記事において、「Nクール」の文字からなる商標(引用商標)、並びに「ニトリの接触冷感」の青文字の下部に青塗り四角形内に図案化された「N」の欧文字及び「COOL」の欧文字を白抜きで表してなる商標(以下「申立人商標」という。)が表示され、これまでに、申立人が開発した接触冷感生地を使用した敷パッド、羽毛布団、肌掛布団、タオルケット、枕、ラグ、マット、座布団カバー、ビーズクッションカバー、クッション、座椅子カバー、スリッパ、ソファカバー、ルームウェア等の全18品目を「Nクールシリーズ」と称して同日時点において愛知県及び岐阜県内の13店舗を含む全国182店舗で販売してきており、平成27年には約500万枚売れた大ヒット商品で、これらの品目に加えて、同月8日から引用商標を表示した「Tシャツ,ステテコ」も上記店舗で発売する旨が記載されていることが認められる。
イ 申立人の主張及び甲第4号証によれば、申立人は、平成24年から申立人商品の販売を開始し、同人の株主へ向けた事業年度第42期中間期(平成25年2月21日?同年8月20日)における事業の概況報告において、「Nクールシリーズ」と称する申立人商品が売上を大幅に伸ばした旨が記載されていることが認められる。
ウ 以上の事実からすれば、申立人は、平成24年頃から、引用商標を表示した何らかの申立人商品の販売を開始しており、同28年4月8日には、それまでに販売していた商品「敷パッド,羽毛布団,肌掛布団,タオルケット.枕,ラグ,マット,座布団カバー,ビーズクッションカバー,クッション,座椅子カバー,スリッパ,ソファカバー,ルームウェア」等の全18品目に加えて、商品「Tシャツ,ステテコ」についても、引用商標を表示して、愛知県及び岐阜県内の13店舗を含む全国の申立人店舗において販売を開始することを決定したことを認めることができる。
しかしながら、上記の認定事実から、申立人が引用商標を、平成28年4月頃には商品「敷パッド,羽毛布団,肌掛布団,タオルケット.枕,ラグ,マット,座布団カバー,ビーズクッションカバー,クッション,座椅子カバー,スリッパ,ソファカバー,ルームウェア」等に、また、同月8日以降に商品「Tシャツ,ステテコ」に使用して全国で販売したことが推認されるとしても、平成24年頃に販売された申立人商品及び平成27年に500万枚売れたとされる申立人商品の各商品に使用された引用商標の態様、並びにその使用に係る具体的な商品が不明確であることに加えて、引用商標を使用した具体的な各申立人商品に係る使用期間、販売数量、売上、広告宣伝の規模等の事実を示す証左はないものであるから、申立人の提出に係る上記証拠をもってしては、引用商標が申立人商品を表示するものとして需要者に広く認識されている商標とはいえないものである。
また、引用商標及び申立人商標は、甲第2号証において表示されていることが認められるものの、登録済引用商標は、申立人の提出に係る証拠において、その表示すら確認することができない。
そうすると、申立人の主張及び提出された証拠を総合してみても、引用商標及び登録済引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人商品を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号所定の他の要件を判断するまでもなく、同号に該当しない。
また、商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と引用商標とは、同一又は類似するものであるとしても、上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認められないものであるから、引用商標が需要者の間に広く認識されていた商標であることを前提に、本件商標は不正の利益を得る目的をもって使用されるとする申立人の主張は、その前提を欠くものである。
また、本件商標が引用商標の顧客吸引力にただ乗りしたり、不当に利用したりするなど、不正の目的をもって使用するものであることを具体的に示す証拠は見当たらず、申立人が、本件商標権者住所の近隣県である愛知県及び岐阜県の13店舗で引用商標を表示した「Tシャツ,ステテコ」の販売を開始することを決定したことのみをもって、不正の目的をもって使用するものであると認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するとは認められないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり、決定する。
別掲 別掲(登録済引用商標(色彩については、原本参照のこと。))



異議決定日 2017-06-22 
出願番号 商願2016-66584(T2016-66584) 
審決分類 T 1 652・ 222- Y (W25)
T 1 652・ 25- Y (W25)
T 1 652・ 271- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 太野垣 卓高橋 幸志 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
藤田 和美
登録日 2017-01-13 
登録番号 商標登録第5913819号(T5913819) 
権利者 株式会社エヌ・エス・ピー
商標の称呼 エヌクール 
代理人 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 

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