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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
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管理番号 | 1330317 |
異議申立番号 | 異議2017-900020 |
総通号数 | 212 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-08-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-01-26 |
確定日 | 2017-07-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5896119号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5896119号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5896119号商標(以下「本件商標」という。)は,「VR SHINECON」の文字を標準文字で表してなり,平成28年3月24日に登録出願され,第9類「眼鏡,ヘッドマウントディスプレイ,スマートフォン・携帯電話・携帯情報端末機器又はコンピュータを装着して使用されるヘッドマウントディスプレイ,ヘッドマウントディスプレイの部品及び附属品,ヘッドセット及び画像表示装置,スマートフォン・携帯電話・携帯情報端末機器又はコンピュータの部品又は附属品,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,ヘッドマウントディスプレイ用コンピュータプログラム」を指定商品として,同年10月21日に登録査定,同年11月11日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,申立の理由の要旨を以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証から甲第17号証を提出した。 1 引用商標 申立人が引用する商標(以下「引用商標」という。)は,「VR SHINECON」の文字を横書きしてなり,商品「ヘッドマウントディスプレイ」について使用をするものである(甲2)。 2 引用商標の著名性 (1)申立人は,中華人民共和国広東省深セン市を拠点とするヘッドマウントディスプレイの製造メーカーである。 (2)引用商標は,本件商標の登録出願日(2016年(平成28年)3月24日)よりも前の,2015年(平成27年)7月22日から2016年(平成28年)2月2日までの間に,英語,スペイン語及び日本語で,インターネット動画共有サイト(YOU TUBE)にて,複数のユーザーによって当該商標を付した商品が公開され,2017年(平成29年)1月28日時点での視聴回数は,英語で58,881回?205,295回,スペイン語で23,936回,日本語で8,819回であることから,外国及び日本のエンドユーザーに広く知られている状況にあったといえる。なお,上記動画以外にも数多くの動画が存在することは,当該サイトが全世界で広く視聴されていることからすれば,容易に想定される。 (3)申立人の持株会社の傘下企業により,「VRSHINECON」を付した商品が,2015年(平成27年)10月13日?16日に香港で開催された「2015年第35回香港秋季電子商品展示会」(甲9,甲10)及び2016年(平成28年)3月14日?18日にドイツで開催された「2016CeBIT国際情報通信技術見本市」(甲11,甲12)に出展された。 (4)2017年(平成29年)2月23日時点での中国でのインターネット販売(タオバオ)の画面キャプチャによれば,「VRSHINECON」を付した商品の総販売数は226625台(22万台以上),評価93796件と表示され(甲13),「VRSHINECON」を付した別商品の総販売数は202524台(20万台以上)と表示されている(甲14)ことから,約4ヶ月前の本件商標の登録査定時(2016年(平成28年)10月25日)であっても,少なくとも中国において,取引者及び需要者(エンドユーザー)において広く知られ,著名性を獲得していたといえる。 (5)以上から,引用商標は,商品「ヘッドマウントディスプレイ」について,本件商標の登録出願時及び登録査定時のいずれにおいても,需要者の間に広く認識されている周知・著名な商標であったといえる。 3 商標法第4条第1項第10号について 本件商標は「VR SHINECON」のアルファベットから構成され,その指定商品に「ヘッドマウントディスプレイ」を含むものであり,引用商標は「VR SHINECON」のアルファベットから構成され,「ヘッドマウントディスプレイ」について使用されている。 そうすると,両商標は同一のアルファベットから構成され,字体や色について相違するものの,同一の範囲であり,少なくとも類似の範囲からは外れず,商品「ヘッドマウントディスプレイ」は共通する。 そして,上記2のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間に広く認識されているという周知著名性を獲得している。 以上から,本件商標は,「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって,その商品について使用をするもの」であることから,商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであり,取り消されるべきである。 4 商標法第4条第1項第15号について 上記2のとおり,引用商標は,日本及び外国において周知著名性を獲得している。 したがって,上記3のとおり,両商標が互いに同一である状況において,少なくとも,需要者が共通する「ヘッドマウントディスプレイ」について本件商標が使用される場合には,その取引者及び需要者において,本件商標と引用商標を付した商品の出所につき,何らかの経済的あるいは組織的な関連があると認識させる広義の混同を生ずるおそれがあるといえる。また,「ヘッドマウントディスプレイ」以外の商品についても,出所の混同を生ずるおそれがあることは同様である。 以上から,本件商標をその指定商品(特に「ヘッドマウントディスプレイ」)について使用された場合には,申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれが大きいから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当し,取り消されるべきである。 5 商標法第4条第1項第19号について (1)周知著名性について 上記2のとおり,引用商標は,日本及び外国において周知著名性を獲得している。 (2)不正の目的について 本件商標権者の氏名を検索キーワードとして,平成29年1月30日にJ-PlatPatで検索した結果画面(甲15)に表示される商標は,中国で使用されている商標を多く含むものであり,そのうち,商標「safebet」(第5845142号),商標「VRCASE」(商願2016-032747)については,それぞれ中国企業により中国本土で使用されていることが明らかである(甲16,甲17)。 以上からすれば,本件商標権者は,中国で著名,あるいは,著名になる可能性が高い商標が日本で登録されていない事実を利用して,不正の目的で先取り的に商標登録出願をしている可能性が極めて高い。また,本件異議申立てに係る第9類に限らず,多岐にわたって区分を指定していることから,広範囲にわたり先取り的に登録を図ろうとしており,極めて悪質性が高いといえる。 (3)まとめ 以上のとおり,本件商標は,日本及び外国で周知著名性を有する商標について不正の目的で登録されたものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当し,取り消されるべきである。 6 むすび 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから,その登録は取り消されるべきである。 第3 当審の判断 1 引用商標の周知性について (1)申立人の提出する証拠及びその主張によれば,以下の事実が認められる。 ア 申立人は,中華人民共和国広東省深セン市を拠点とするヘッドマウントディスプレイの製造メーカーである。 イ 申立人の持株会社の傘下企業により,引用商標を付した商品が,2015年(平成27年)10月13日?16日に香港で開催された展示会(甲9,甲10)及び2016年(平成28年)3月14日?18日にドイツで開催された見本市(甲11,甲12)に出展された。 ウ 2017年(平成29年)2月23日時点での中国でのインターネット販売(タオバオ)の画面キャプチャによれば,引用商標を付した商品の総販売数は226625台(22万台以上)である(甲13)。 エ 引用商標を付した商品は,2015年(平成27年)7月22日から2016年(平成28年)2月2日までの間に,英語,スペイン語及び日本語で,インターネット動画共有サイト(YOU TUBE)において,第三者により6動画が公開され,2017年(平成29年)1月28日時点での視聴回数は,英語で58,881回?205,295回,スペイン語で23,936回,日本語で8,819回であった(甲3?甲8)。 (2)以上からすれば,本件商標の登録出願時(平成28年3月24日)以前に,申立人は,その持株会社の傘下企業を通じて,引用商標を付した商品を,上記(1)イの展示会及び見本市に出展したこと,並びに,引用商標を付した商品について,2015年(平成27年)7月22日から2016年(平成28年)2月2日までの間に,英語,スペイン語及び日本語で,インターネット動画共有サイト(YOU TUBE)において,第三者により6動画が公開されたことが認められる。 しかしながら,展示会等への出展については,両展示会を合わせてもその期間は9日にすぎず,さらに,来場者中,申立人の持株会社の傘下企業による展示ブースに立ち寄った者の数も不明である。 次に,申立人の主張する引用商標を付した商品の総販売数についても,本件商標の登録出願時より9ヶ月以上後の証拠であるばかりでなく,本件商標の登録出願時における引用商標を付した商品の販売台数,各国における売上げ,シェア,広告宣伝の方法・回数・内容・範囲等を確認できる資料の提出はない。 また,「YOU TUBE」における第三者による紹介も,わずか6動画にすぎず,該動画の公開は本件商標の出願前であるとしても,動画の視聴回数として挙げられた数字は,本件商標の登録出願時より9ヶ月以上後のものである。 そうすると,申立人が提出した証拠によっては,引用商標が,申立人の業務に係る商品「ヘッドマウントディスプレイ」について,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,外国及び我が国において周知性を獲得していたものと認めることはできない。 2 本件商標と引用商標の類似について 本件商標登録と引用商標は,上記第1及び第2の1のとおり,共に「VR SHINECON」の文字よりなるものであり,本件商標の指定商品中には,引用商標を使用した商品「ヘッドマウントディスプレイ」を含むものであるから,両商標は同一又は類似の商標といわざるを得ない。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について 上記1のとおり,引用商標は,我が国において本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたものと認めることはできないから,上記2のとおり,本件商標と引用商標とが同一又は類似の商標であり,本件商標の指定商品と引用商標の使用商品が類似するとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1のとおり,引用商標は,我が国において本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたものと認めることはできないから,上記2のとおり,本件商標と引用商標とが同一又は類似の商標であるとしても,本件商標をその指定商品に使用しても,引用商標を使用する者の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあるものとは認められない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第19号該当性について 上記1のとおり,引用商標は,外国及び我が国において本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたものと認めることはできないから,本件商標は,商標法第4条第1項第19号の要件を具備しない。 6 まとめ 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同項第15号及び同項第19号の規定に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録は維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-06-27 |
出願番号 | 商願2016-32748(T2016-32748) |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(W09)
T 1 651・ 255- Y (W09) T 1 651・ 271- Y (W09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 今田 尊恵 |
特許庁審判長 |
田中 幸一 |
特許庁審判官 |
大森 友子 冨澤 武志 |
登録日 | 2016-11-11 |
登録番号 | 商標登録第5896119号(T5896119) |
権利者 | 真田 一将 |
商標の称呼 | ブイアアルシャインコン、シャインコン |
代理人 | 大上 寛 |