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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W14
管理番号 1330286 
審判番号 不服2015-650035 
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-26 
確定日 2017-01-12 
事件の表示 国際登録第1191720号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第14類「Horological and chronometric instruments.」を指定商品として,2013年(平成25年)6月13日に,EUROPEAN UNIONにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,同年12月13日に国際商標登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『HONEYGOLD』の欧文字を普通に用いられる方法で表してなるところ,該欧文字又は『ハニーゴールド』の片仮名が,『蜂蜜の色のような光沢(つや)のある金色』程度の色合いを指称する語として,本願の指定商品に関連する時計ベルトの他,アクセサリー,化粧品,家具,シャッター等の幅広い商品分野において使用されている事情よりすれば,本願商標を,上記色合いを有する指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,出願人の業務に係る商品の識別標識であると理解,認識するというよりは,その商品の色の表示,すなわち品質であると理解,認識するというのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べを実施し,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,別掲3のとおりの事実を内容とする証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べに対する意見の要旨
請求人は,前記3の証拠調べ通知に対して,以下のように述べている。
(1)本願商標は,「HONEYGOLD」の欧文字を,全体を大文字で同書同体に一連に横書きした商標であり,該語は既存の英単語ではなく,常に一つの造語と理解されるべきである。
(2)本願商標に対し,使用事実があるとして引用された「Honey Gold」は同格の英単語が二つ存在していることを強調した表記である。
(3)本願商標は,「HONEY」及び「GOLD」として理解されるものではないからこそ,自他識別力が海外で認容されている(甲13及び甲14)。
また,本願商標と同一の称呼が生じる片仮名「ハニーゴールド」の使用事実を考慮するとしても,国際的に登録が認められている本願商標は,それ自体が,直ちに商品の品質(色彩)を想起させるものではない以上,商標法第3条第1項第3号には該当しない。
さらに,請求人の所有する国際登録第1198351号「HONIGGOLD」(甲15)は,本願商標と異なり,暫定拒絶通報に接することなく保護が認められている。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,別掲1のとおり,「HONEYGOLD」の欧文字を,ゴシック体調の書体で横書きしてなるものである。
そして,本願商標を構成する「HONEY」及び「GOLD」の各欧文字は,「はちみつ」及び「金,金色,黄金色」(ジーニアス英和辞典第5版)の意味を有する平易な英単語であり,また,これらの語を語源とする外来語の「ハニー」及び「ゴールド」も同様の意味を有する語(広辞苑第6版)として親しまれていることから,本願商標は,「HONEY」の欧文字と「GOLD」の欧文字とを組み合わせた構成からなるものと容易に認識されるものである。
ところで,原審及び前記3の証拠調べ通知で示した事実(別掲2及び3)によれば,色彩の名称に,「蜂蜜の色のような金色」を表すものとして「Honey Gold(honey gold)」があり(別掲2(7),別掲3(1)),また,本願の指定商品「Horological and chronometric instruments.」(日本語訳:計時用具)に属する腕時計(別掲2(6),別掲3(2)?(4))のみならず,これと同様に身体につけて使用する服飾品(別掲2(1),(2))や化粧品(別掲2(3)?(5))を含め幅広い商品分野(別掲2(8)?(11))において,「Honey Gold(honey gold)」の欧文字の読みを表した「ハニーゴールド」の片仮名が,その商品の色彩が蜂蜜の色のような金色であることを表す語として,普通に使用されている実情がある。
そうすると,本願商標をその指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,当該商品の品質(色彩)を表示するものとして認識するにとどまるとみるのが相当であるから,本願商標は,自他商品の識別機能を有しないというべきである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,本願商標は,構成全体でのみ把握され,一つの造語として認識されるべきであり,「HONEY」及び「GOLD」のそれぞれが英単語として理解されるものではないと主張する。
しかしながら,上記(1)のとおり,「HONEY」及び「GOLD」の各欧文字は,それぞれが平易な英単語であり,また,これらの語を語源とする外来語の「ハニー」及び「ゴールド」も親しまれていることから,本願商標は,その構成文字が全て大文字による欧文字で,同じ書体,同じ大きさで等間隔に配されているとしても,語の最小の意味単位からみて,「HONEY」及び「GOLD」の文字を結合した商標であると容易に認識されるものであり,全体として「ハニーゴールド」の自然な称呼が生じるものである。
そして,「Honey Gold(honey gold)」の欧文字及びその読みを表した「ハニーゴールド」の片仮名が色彩の名称及び商品の色彩を表すものとして普通に使用されていることは,原審及び証拠調べ通知で示した事実(別掲2及び3)のとおりである。
よって,本願商標は,単に商品の品質(色彩)を普通に用いられる方法で表示するにすぎない商標であるというのが相当であって,請求人の上記主張は採用することができない。
また,請求人は,本願商標又は「HONEYGOLD」の文字からなる商標が複数の国で商標登録されているから,本願商標の自他識別力は海外で許容されているのであって,「ハニーゴールド」の片仮名の使用事実を考慮しても,本願商標は,直ちに商品の品質(色彩)を想起させるものではなく,さらに,国際登録第1198351号「HONIGGOLD」が我が国で商標登録を受けていると主張する。
しかしながら,商標が識別力を有するか否かの判断は,登録査定時又は審決時において,取引の実情を勘案し,その指定商品の取引者,需要者の認識を基準として,商標ごと,各国ごとに個別具体的に判断すべきであるところ,本件の審決時における我が国における取引の実情及びその指定商品の取引者,需要者の認識は上記(1)のとおりであり,また,請求人が挙げた登録例「HONIGGOLD」は,本願商標とは構成を異にするものであるから,請求人の上記主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

2 原審で示した事実
(1)2007年8月30日付け朝日新聞(夕刊 6ページ)において,「プレゼント マリオン」の見出しの下,「アクセサリー」の項に,「仏・パリに本店がある『ギャラリー・アラカ』が,東京都渋谷区広尾1丁目に広尾店(恵比寿駅)をオープン。これを記念して,アーキテクトが,同ブランドの指輪・・・,ペンダントトップ・・・,ピアス・・・を各読者3人に。・・・色は,いずれもハニーゴールド。」の記載がある。
(2)2000年6月14日付け毎日新聞(朝刊 22ページ)において,「[流行のへそ]『ゴールドラッシュがやってくる?』」の見出しの下,「ジュエリーでも,プラチナやホワイトゴールド,シルバーなど“白いジュエリー”のブームが一段落して,イエローゴールドの人気が上昇中だ。イタリアで開かれるゴールドジュエリーの見本市では,『白』と『金』の比率が昨年までは6対4だったのに,今年の1月にそれが逆転した。海外の人気ブランドがこぞってイエローゴールドの商品を発表したせいもある。洋服のデザイナーコレクションでもここ2シーズン続けてゴールドが大きく取り上げられた。この春は淡いシャンパンゴールド,それが秋冬物では鈍く光るブラウンゴールドや甘い艶(つや)のハニーゴールドへとやや色目を変えながら提案されていた。」の記載がある。
(3)1997年6月6日付け毎日新聞(朝刊 8ページ)において,「[ビジネス情報]秋の口紅,はちみつ色 『オーブ』の新色を発売」の見出しの下,「花王は,口紅『オーブ ルージュドレシャス』に秋の新色として8色を加え7月7日から発売する。新しい色の中心は,柔らかなつやのあるハニーゴールドで『はちみつカラー』・・・としてPRする。97年秋冬もののファッションで,ゴールド系統の色が流行しそうなので,それに合わせたという。」の記載がある。
(4)1997年10月7日付け日経流通新聞(3ページ)において,「第1部ずらしの発想(5)需要創造,『色』で勝負(転機の市場戦略)」の見出しの下,「メーキャップ化粧品もありきたりの色では消費者は飽き足らない。花王が『オーブ』の口紅で今秋の新色として提案したのは,ハチミツのような金色の『ハニーゴールド』。テレビCMではインパクトを狙い単品をPRしたが,雑誌広告では使いやすいように,手持ちの赤やベージュの口紅の重ね塗りを提案した。こうした効果もあり,『新色八色のうちハニーゴールドが二割を占める』(化粧品事業本部)。」の記載がある。
(5)1997年6月11日付け日経産業新聞(20ページ)において,「花王,『ソフィーナ』口紅に秋の新色8色を追加。」の見出しの下,「花王は七月七日,主力化粧品ブランド『花王ソフィーナ』の口紅『オーブ・ルージュドレシャス』で新色八色・・・を追加発売する。花王パリ研究所のカラークリエーター,A・M・メスカム氏が提案する九七年秋の新色で,中心となる色は『ハニーゴールド』。」の記載がある。
(6)楽天市場の「時計屋ネット」のウェブサイトにおいて,腕時計のバンドについて,「【JCペラン】オーストリッチ」の見出しの下,「カラーバリエーション」の欄に,金色系統の色見本の写真とともに,「PA2 ハニーゴールド」の記載がある。
http://item.rakuten.co.jp/tokeiya-ishikawa/jc-ostrich/
(7)色見本の取扱いに係る「PANTONE」のウェブサイトにおいて,「Honey Gold」で検索した結果,金色系統の色見本の写真とともに,「PANTONE 15-1142 TCX Honey Gold」,「PANTONE 15-1142 TPX Honey Gold」の記載がある。
http://www.pantone.com/color-finder?q=Honey+Gold
(8)「KOBA」のウェブサイトにおいて,家具について,「貴方のお好みの形・色で創るアルミインテリア」の見出しの下,「アルミ家具シリーズです。電話台に,花台に…アイデア次第でいろいろ使えるアルミ家具のご紹介です。熟練の職人が一つ一つ丁寧に作ります。。。お色はハニーゴールド・カスティールゴールド・ガーネットレッド・インディーブルー・スーパーブラック・アッシュシルバー(無色)・フローラルピンクからお選び出来ます。」の記載があり,また,「カラーはコチラを参考にしてください。」の記載をクリックすると,「商品の色見本です」として,金色系統の色見本の写真とともに,「ハニーゴールド」の記載がある。
http://www.sanken-kougyo.co.jp/sanken_shop/index.htm
(9)「三和シャッター工業株式会社」のウェブサイトにおいて,ガレージドアについて,「カラーで選ぶ」の見出しの下,「シャッタータイプ」の項の「高耐食カラー鋼板」の欄に,金色系統の色見本の写真とともに,「ハニーゴールド」の記載がある。
http://www.sanwa-ss.co.jp/corner/garagelife/select/color/
(10)「天然石パワーストーン意味辞典」において,天然石について,「セプタリアン 新しい考えや価値観を導く石」の見出しの下,「鉱物学」の項に,「セプタリアンは,ベントナイト質粘土のノジュールに生じたひび割れに,晶質の方解石(カルサイト)が着床した石で,ハニーゴールド色のカルサイトと,茶色のアラゴナイトの2種類の鉱物から出来ています。」の記載がある。
http://www.ishi-imi.com/2011/07/septarian.html
(11)「I・NFACTORY」のウェブサイトにおいて,手縫い専用糸について,「ハイグレードカラーシニュー ハニーゴールド(黄金色) 約137m」の見出しの下,「カラーバリエーション ・ハニーゴールド(黄金色) ・ホワイト ・ブラック ・レッド ・パールブルー ・グリーン 全6色で新発売!! ハニーゴールドはタンディーファクトリー社製インディアンイエローシニューと同じように使用していくにつれて皮革と共に白っぽくなじんできます。」の記載があるとともに,金色系統で彩色された同商品の画像が掲載されている。
http://www.kawazairyo.com/?pid=9116774
3 平成28年3月14日付け証拠調べ通知で示した事実
(1)「色名事典」(株式会社新紀元社発行)112頁に「洋色名」として「ハニー ゴールド[honey gold]」の項に,「ハニーは蜂蜜のことで,金にもたとえられるような色ということで,ハニーゴールドといわれます。」の記載がある。
(2)「Gakken Mook 最新版腕時計パーフェクト入門」(2012年7月12日発行)中の「[最新版]腕時計 キーワード大事典」の記事中,「ハニーゴールド」「Honey Gold」の項に,「その名の通り,蜂蜜のような深みと艶(輝き)を持ったゴールドカラーのこと。」の記載がある
(3)「GRAGG online shop」のウェブサイトにおいて,商品「腕時計」について,「スタッフからのコメント」欄に,「ハニーゴールドがチャーミングな,セイコー5 スポーツ 自動巻き SNZG75K1。黒によく映えるはちみつ色が,時に甘えたがりな男性の一面をあらわしているような腕時計。」との記載があるとともに,腕時計のガラス周囲のリング(ベゼル)が金色系統で彩色された同商品の画像が掲載されている。
http://gragg.jp/products/detail3477.html
(4)「PATEK PHILIPPE」のウェブサイトにおいて,商品「腕時計」について,「技術データ」の見出しの下,「-≪ハニーゴールド≫文字盤,ゴールド植字インデックス」との記載があるとともに,文字盤が金色系統で彩色された同商品の画像が掲載されている。
http://www.patek.com/jp/紳士用タイムピース/グランド・コンプリケーション/5207P-001
審理終結日 2016-07-04 
結審通知日 2016-07-12 
審決日 2016-09-01 
国際登録番号 1191720 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W14)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 浜岸 愛 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 根岸 克弘
平澤 芳行
商標の称呼 ハニーゴールド、ハニー 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 

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