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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W18 審判 全部申立て 登録を維持 W18 審判 全部申立て 登録を維持 W18 審判 全部申立て 登録を維持 W18 |
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管理番号 | 1328077 |
異議申立番号 | 異議2016-900389 |
総通号数 | 210 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-06-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-12-07 |
確定日 | 2017-05-19 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5881662号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5881662号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5881662号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成28年3月16日に登録出願,第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,乗馬用具,皮革」を指定商品として,同年8月12日に登録査定,同年9月16日に設定登録されたものである。 第2 申立人標章 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件登録異議の申立ての理由として引用する商標は,別掲のとおりの構成からなり(以下「申立人標章」という。),申立人が「かばん類,袋物(財布),眼鏡,チャーム,ベルト,靴類」(以下「申立人商品」という。)に使用しているとするものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第7号について (1)申立人について 申立人は,1963年に設立された,資本金3750万円,従業員数149人の会社であり(甲2),かばんや財布などの商品の企画,製造,卸売り,小売りを業務とし,申立人標章を含め,数多くのブランドを展開している(甲3)。 また,申立人は,設立以降,例えば,2004年に約25.9億円,2005年に約26.8億円,2006年に約30.1億円,2007年に37.5億円,2008年に43.0億円と順調に売上を伸ばし(甲2),高級品指向の顧客を中心に大きな人気を博している。そして,現在7都府県と台湾において計15の直営店を展開している(甲4)。 (2)申立人標章について 申立人標章は,2006年頃立ち上げられ,申立人標章を付した申立人商品は,その後,全国9都道府県の計39店舗や大手インターネット通販サイトなどにおいて全国的に販売されている(甲7)。また,2012年には東京都の表参道にプレスルーム(甲8)が開設されるなどして,申立人により申立人標章が大々的に展開されている。 (3)本件商標権者について 本件商標権者は,申立人の従業員であって,2004年4月1日に申立人の会社に入社した後,2006年以降は東京支店の営業3B部において申立人標章を展開する職務に継続して従事し,2015年7月には営業3B部の部長代行職に昇進している(甲9)。 (4)本件商標登録及び交渉に関する経緯について 本件商標権者は,2016年3月16日に申立人に無断で本件商標の商標登録出願を行い,同年9月16日に商標登録を受けた(甲1)。 本件商標は,申立人標章と完全に同一の商標である。 申立人は,本件商標権者から本件商標の出願・登録に関して何ら知らされておらず,2016年10月に自己の標章を商標登録出願するため商標調査を行ったところ,本件商標権者が商標登録を受けていることが判明した。 その後,申立人は,本件商標権者に対して本件商標の譲渡を再三申し出たが,本件商標権者は本件商標の譲渡を頑なに拒否し,2016年11月18日付けで退職届を提出した(甲10)。なお,本件商標権者は,申立人との話し合いの中,退職後には申立人標章を使用した事業を行うものとし,申立人が申立人標章の使用を継続した場合には本件商標権者の商標権を侵害することになる旨を示唆している。 (5)公序良俗に反することについて 本件商標権者は,本件商標の出願時及び登録時ともに,申立人の従業員であったから,申立人の知的財産等の財産権を侵害しないようにすべきは当然であった。そして,申立人標章に係る財産権(顧客吸引力)は,在職時のみならず退職後も尊重すべきものである。 申立人標章に係る財産権を尊重すべき本件商標権者が,申立人に無断で行った本件商標の登録は,申立人標章に係る財産権を剽窃的に取得するものであり,公序良俗に反することは明らかである。 なお,申立人標章が周知性を獲得するに際し,本件商標権者の尽力に負うところがあったとしても,それは申立人の従業員として当然のことであり,そのことをもって公序良俗に反することを否定する事由にはならない。 (6)以上より,本件商標は,申立人標章と同一の商標であって,その従業員である本件商標権者が申立人に無断で出願したものであって,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるため,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。 2 商標法第4条第1項第10号について 申立人標章は,上記1(2)のとおり申立人により大々的に展開され,申立人標章が付された申立人商品は次第に売上げを伸ばし,ブランド立ち上げ以降,総額6億円以上の売上げを計上している。したがって,申立人標章は,申立人の業務に係る申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものである。 また,本件商標と申立人標章は,上記1(4)のとおり,同一の商標である。 そして,本件商標の指定商品のうち少なくとも「かばん類,袋物」については,申立人標章に使用される申立人商品と明らかに同一又は類似の関係にある。 以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。 3 商標法第4条第1項第15号について (1)他人の業務に係る商品について 本件商標権者からみて他人である申立人は,上記1(1)のとおり,かばんや財布などの商品の企画,製造,卸売り,小売りを業務としている。そして,申立人標章を付した商品「かばん類,袋物(財布),眼鏡,チャーム,ベルト,靴類」を販売している(甲6)。 (2)出所の混同のおそれについて 本件商標と申立人標章は,上記1(4)のとおり,同一の商標である。 また,本件商標は「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,乗馬用具,皮革」を指定商品とするのに対し,申立人標章は,「かばん類,袋物(財布),眼鏡,チャーム,ベルト,靴類」を商品とする(甲6)ところ,本件商標の指定商品中「かばん,袋物」については,明らかに同一又は類似の商品である。また,本件商標の指定商品中「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,携帯用化粧道具入れ,傘,乗馬用具,皮革」については,同一又は類似の商品ではないが,申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し得る商品である。 なお,申立人標章は,上記2のとおり,取引者及び需要者に周知であるか,少なくとも一定の知名度を有していることは明らかである。 したがって,申立人標章と同一の本件商標がその指定商品に使用された場合,取引者及び需要者をして,申立人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがある。 以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 4 商標法第4条第1項第19号について 申立人標章は,上記2のとおり,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものである。 また,本件商標と申立人標章は,上記1(4)のとおり,同一の商標である。 ところで,本件商標権者は,申立人に無断で本件商標の商標登録出願を行い,商標登録を受けた後,申立人の再三申し出にもかかわらず,本件商標の譲渡を頑なに拒否し,2016年11月18日付けで退職届を提出した(甲10)。そして,本件商標権者は,申立人との交渉の中,退職後には本件商標を使用した事業を行うものとし,申立人が申立人標章の使用を継続した場合には本件商標権者の商標権を侵害することになる旨を示唆している。 これらのことから,本件商標について,本件商標権者が申立人標章を退職後に自己のブランドとして剽窃する意図や,申立人による今後の申立人標章に係る業務を妨害する意図が強く推認されるから,本件商標は,不正の目的をもって使用するものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。 第4 当審の判断 1 申立人標章の周知・著名性について 申立人が提出した証拠及び同人の主張によれば,申立人は,1963年(昭和38年)に設立された,ファッションバッグの企画,製造,卸,小売り等を事業内容とする法人であり,売上推移によれば,2007年の売上は37.5億円,2008年の売上は43億円である(甲2)。 そして,申立人は,「MSPC PRODUCT」等の文字を表示して,東京都,大阪府,京都府等の我が国の主要都市及び台湾に15のプレスルーム又は直営店を展開し(甲2,甲4),ウェブサイトに,申立人標章の表示の下,財布,バッグ,ベルト等が掲載され(甲5,甲6),申立人標章に関連する商品は,店舗及びインターネット通販サイトで取り扱われている(甲7)。 しかしながら,我が国において申立人商品が販売されていることは推認できるものの,申立人標章を付した申立人商品の販売実績を確認することができず,「iTADAKi」の商品が雑誌に掲載されたこと(甲5,甲12,甲13)が窺えるとしても,その具体的内容等は示されていない。 さらに,申立人標章の外国における使用の事実も確認することができない。 そうすると,申立人が提出した証拠からは,申立人標章が,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,申立人の業務に係る商品「かばん類」等を表示するものとして,我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。 2 商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標及び申立人標章は,いずれも別掲のとおり,上段に大きく「ITADAKI」の欧文字,中段及び下段に小さく「TOKYO JPN」及び「GENUINE PRODUCT」の欧文字を三段に横書きしてなるものであり,両者は同一の構成からなるものと認められる。また,本件商標の指定商品は,申立人商品のうち「かばん類,袋物」を含むものである。 しかしながら,申立人標章は,上記1のとおり,申立人の業務に係る商品「かばん類」等を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されたものと認めることができない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 申立人標章は,上記1のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品「かばん類」等を表示するものとして,我が国の取引者,需要者の間で広く認識されたものと認めることができないものであるから,本件商標は,これを本件商標権者が,その指定商品に使用しても,取引者,需要者が,申立人標章を連想,想起することはなく,その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号該当性について 申立人は,申立人標章が我が国において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていること,本件商標が申立人標章と同一であること等を挙げ,「本件商標について,本件商標権者が申立人標章を退職後に自己のブランドとして剽窃する意図や,申立人による今後の申立人標章に係る業務を妨害する意図が強く推認されるから,本件商標は,不正の目的をもって使用するものである。」と主張する。 そして,「第49期 組織図」(甲9)によれば,本件商標権者と同姓同名の者が,申立人の「東京支店」の「営業3B部 ITADAKI」の「部長」であったこと,そして,該者は,平成28年11月18日付けで退職届を提出していることが窺える(甲10)。 しかしながら,申立人標章は,上記1のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,申立人の業務に係る商品「かばん類」等を表示するものとして,我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたものということができず,上記,本件商標権者と同姓同名の者が,本件商標権者であるとしても,かかる証拠からは,本件商標権者が,申立人標章を自己のブランドとして剽窃する意図や申立人による申立人標章に係る業務を妨害する意図等,不正の目的があったものということもできない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人は,申立人の従業員であった本件商標権者が申立人に無断で本件商標を登録出願し,商標登録を受けたこと,本件商標権者が申立人からの本件商標の譲渡の申し出を拒否し,その後退職したこと,本件商標権者が申立人に対し,申立人標章の使用を継続した場合は商標権侵害になると示唆したことを挙げ,「本件商標の登録が,本件商標権者が申立人標章に係る財産権を剽窃的に取得するものであり,公序良俗に反するものである。」と主張する。 しかしながら,申立人が提出した証拠からは,本件商標権者と同姓同名の者が申立人の従業員であったこと,当該者が,平成28年11月18日付けで退職届を提出したことが確認できるにすぎず(甲9,甲10),たとえ当該者が本件商標権者と同一の者であるとしても,申立人が本件商標権者との間でいかなる話し合いを持ったのか等を明らかにする記載は一切みられないし,他に,本件商標権者が申立人の事業の遂行を妨害や阻止しようとしていることを裏付ける具体的な証拠も提出されていない。 そして,本件商標は,その構成自体がきょう激,卑わい,差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字とはいえないし,その指定商品に使用することが社会公共の利益に反し,又は社会の一般的道徳観念に反するものでもない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。 6 まとめ 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものとはいえないから,同法第43条の3第4項に基づき,その登録を維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標及び申立人標章) |
異議決定日 | 2017-05-08 |
出願番号 | 商願2016-36306(T2016-36306) |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(W18)
T 1 651・ 25- Y (W18) T 1 651・ 271- Y (W18) T 1 651・ 222- Y (W18) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 中村 拓哉 |
特許庁審判長 |
田中 亨子 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 小林 裕子 |
登録日 | 2016-09-16 |
登録番号 | 商標登録第5881662号(T5881662) |
権利者 | 青木 渉 |
商標の称呼 | イタダキトーキョージェイピイエヌジェニュインプロダクト、イタダキトーキョージェイピイエヌ、イタダキトーキョー、イタダキ、ジェニュインプロダクト、ジェニュイン、ジェヌイン、プロダクト |
代理人 | 小林 正樹 |