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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X33
管理番号 1327996 
審判番号 取消2016-300288 
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-04-25 
確定日 2017-04-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第5408628号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5408628号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成22年11月25日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」並びに第29類、第30類、第31類、第32類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成23年4月22日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成28年5月17日である。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品及び指定役務中、第33類『日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒』に係る商標登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由として、本件商標は、上記商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された形跡が見当たらないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである旨主張し、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対し弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
1 本件商標の使用の事実
(1)本件商標
本件商標は、青色と白色の二色で色分けされた略正方形枠内の上段に、双葉と欧文字「L」を組み合わせた子葉の図柄、及び「LAWSON」の欧文字を表し、略正方形枠の下段には、青地の部分に白抜きで「farm」の文字が表されているものである。
(2)本件商品の使用事実
被請求人は、平成27年11月17日から、本件商標を使用した商品「ワイン」(以下「本件商品」という場合がある。)を被請求人が運営するコンビニエンスストア「ローソン」及び被請求人の子会社である株式会社ローソンストア100が運営する小売店「ローソンストア100」において、販売している。
本件商品は、被請求人が運営する農場「ローソンファーム山梨」で収穫された「巨峰」のぶどうを使用したワインであり、そのラベルには、「山梨のめぐみ 巨峰ワイン」の名称及び本件商標のロゴが表されている。本件商品は、山梨県笛吹市石和町市部476所在のモンデ酒造株式会社に製造委託され、被請求人が販売するプライベートブランド商品である。
乙第1号証及び乙第2号証は、本件商品の写真及びそのラベルの写真である。乙第1号証に掲載された商品は、後述する平成27年のクリスマス用商品として、ローソン各店舗において販売されていた商品である。
乙第2号証に掲載された商品は、ローソンストア100において販売された商品である。
本件商品「ワイン」は、本件審判に係る指定商品「洋酒」に含まれるものである。
(3)使用商標
本件商品に付されたラベルには、乙第1号証及び乙第2号証に表されているとおり、右側上段の位置に、青色と白色の二色で色分けされた略正方形枠内の上段に、双葉と欧文字「L」を組み合わせた子葉の図柄、及び「LAWSON farm」の欧文字を表し、略正方形枠の下段には、青地の部分に白抜きで「ローソン農場」の文字が表記された商標(別掲2)が表されている(以下「使用商標」という。)
そこで、本件商標と使用商標を対比すると、両商標は、青色と白色の二色で色分けされた略正方形枠内の上段に、双葉と欧文字「L」を組み合わせた子葉の図柄が表されている点で共通する。
また「farm」の文字の位置が異なるものの、本件商標と使用商標は、「LAWSON farm」の文字が表されており、当該文字から「ローソンファーム」及び「ローソン農場」の称呼及び観念が生じることから、両商標は、称呼及び観念を共通にするものである。
他方、使用商標には、「ローソン農場」の文字が付加されている点で、本件商標とは異なるが、当該文字が付加されたとしても、本件商標は、1)二色で色分けされた略正方形の枠に表されていること、2)双葉と欧文字「L」を組み合わせた独創的な子葉の図柄が表されていること、3)「LAWSON farm」の欧文字が表記されている点に特徴があり、使用商標には、本件商標の特徴が全て備わっている。また「ローソン農場」は、欧文字「LAWSON farm」の訳にすぎず、観念が同じものであることから、本件商標と使用商標は、取引者、需要者に与える印象が大きく変わるものではない。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と判断するのが妥当である。
過去の判例においても、登録商標に文字が付加されて使用されているとしても、全体の印象が変わらないものについては、社会通念上の同一性を認めているものが多数存在する(例えば、平成21年(行ケ)第10171号審決取消請求事件)。
(4)使用行為
被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を使用した本件商品を、本件審判の請求登録前3年以内に、販売及び広告を行っていた。
ア 乙第3号証(LAWSON VERY MERRY CHRISTMASカタログ)
乙第3号証は、平成27年のクリスマス用カタログであり、その39頁には、本件商標のロゴと共に、本件商品が掲載されている。本カタログの表紙には、「配布期間9/22?12/18」と記載されている(審決注:不鮮明で記載の有無を確認できない。)。
また、39頁の上段には、「ご予約期限:12/8(火)、お受取り日:12/19(土)?12/25(金)」と記載されている。さらに46頁の「宅配商品のお申し込み」においては、「ご予約期限2015年12月9日(水)、お届け日:2015年12月23日(水)・24日(木)」と記載されている。
したがって、本カタログから、本件商品は、クリスマス商品として2015年12月19日から販売されていることが明らかであり、また、本カタログは、本件商品に関する広告に該当するところ、2015年9月22日から被請求人のコンビニエンスストアにおいて頒布されていたこと明らかである。
イ 乙第4号証及び乙第5号証
乙第4号証は、被請求人の子会社である株式会社ローソンストア100のホームページの「トピックス」の写しであり、2015年(平成27年)11月17日のトピックに、「ローソンファーム山梨の巨峰を使用したワイン、11月17日(火)新発売!」と題して、本件商品の発売に関する記事が掲載されている。
乙第5号証は、ローソンストア100におけるレシート情報の出力データであり、商品名「モンデ 山梨のめぐみ巨峰ワイン500ml」が2015年11月16日より販売されていることが分かる。
乙第4号証及び乙第5号証から明らかなとおり、本件商品は、平成27年11年16日には、ローソンストア100において実際に販売されており、平成27年11月17日には、株式会社ローソンストア100のホームページによって、本件商品の販売に関する情報について電磁的方法において提供していたものである。
「ローソンストア100」を運営する株式会社ローソンストア100(旧名称/株式会社ローソンマート、平成28年3月に現名称に社名変更)は、出願人(審決注:「被請求人」の誤記と認められる。)の連結子会社であり(乙6)、生鮮品から日用品を100円均一で販売する生鮮コンビニ事業を行っており、本件商標の使用に関しても、出願人(審決注:「被請求人」の誤記と認められる。)は株式会社ローソンストア100に対して、黙示の使用許諾を行っている。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者及び通常使用権者によって、本件審判に係る指定商品「洋酒」(審決注:「果実酒」の誤りと認められる。)に含まれる商品「ワイン」について使用されていたこと明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実を認めることができる。
乙第4号証は、株式会社ローソンストア100(以下「ローソンストア100」という。)のホームページであるところ、2015(平成27年)年11月17日付けで、「ローソンファーム山梨の巨峰を使用したワイン、11月17日(火)新発売!」と題して、「ローソンストア100では、ローソンファーム山梨で収穫した『巨峰』種のぶどうを使用したワイン『山梨のめぐみ 巨峰ワイン 500ml』(税込998円)を、11月17日(火)より発売いたします。」の記載があり、その下部の長方形枠内に、使用商標が表示され、「ローソンファーム山梨の巨峰を使用しました。」、「数量限定」、「ローソンファーム山梨の巨峰を使用した甘口のロゼワインです。」、「山梨のめぐみ」、「巨峰ワイン」、「500ml」、「原産国:日本」及び「本体価格924円(税込998円)」の記載があり、商品の写真が掲載されている。
2 判断
(1)本件商標の使用行為について
上記1からすれば、ローソンストア100のホームページにおいて、2015(平成27年)年11月17日に、ローソンストア100が販売するワインについて、その発売開始日や原材料の説明などの商品に関する情報が掲載され、そこには、使用商標が表示されていたことが認められる。
(2)使用者について
本件商標の使用に関して、被請求人は、ローソンストア100に対して、黙示の使用許諾を行っていると主張しており、被請求人の有価証券報告書(乙6)によれば、ローソンストア100は、被請求人の連結子会社であることからすると、ローソンストア100は、本件商標の通常使用権者であるとみて見て差し支えない。
(3)使用商標について
本件商標は、別掲1のとおり、青色と白色の二色で色分けされた略正方形枠内の上段に、双葉の図柄と「LAWSON」の文字を表し、略正方形枠内の下段青地の部分に白抜きで「farm」の文字を表してなるものである。
他方、使用商標は、別掲2のとおり、右側上段の位置に、青色と白色の二色で色分けされた略正方形枠内の上段に、双葉の図柄と「LAWSON farm」の文字を表し、略正方形枠内の下段青地の部分に白抜きで「ローソン農場」の文字を表してなるものである。
そこで、本件商標と使用商標を対比すると、両商標は、ともに、図柄を共通にし、また、「farm」の文字の位置が異なるものの、「LAWSON farm」の文字が表されているから、当該文字から「ローソンファーム」の称呼及び「ローソン農場」の観念が生じるものである。そして、使用商標には、「ローソン農場」の文字が付加されている点で、本件商標とは異なるが、該文字は、「LAWSON farm」の文字を日本語で表したものと理解されるにすぎないものであるから、該文字が付加されているとしても、本件商標と相違する観念が生じるものではない。
そうすると、本件商標と使用商標は、外観において取引者、需要者に与える印象が大きく変わるものではなく、同一の称呼及び観念を生じるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と判断するのが妥当である。
(4)使用商品について
使用商品「ワイン」は、本件審判の請求に係る指定商品中「果実酒」の範ちゅうに属する商品と認められる。
(5)小活
上記(1)ないし(4)によれば、本件商標の通常使用権者は、本件審判の請求の登録(平成28年5月17日)前3年以内である平成27年11月17日に、その請求に係る指定商品「果実酒」の範ちゅうに属する商品「ワイン」に関する広告を内容とする情報に本件商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供したことが認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その請求に係る指定商品についての登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)(色彩は原本参照)




別掲2(使用商標)(色彩は原本参照)



審理終結日 2016-11-22 
結審通知日 2016-11-28 
審決日 2016-12-12 
出願番号 商願2010-91466(T2010-91466) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大渕 敏雄内藤 隆仁 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 土井 敬子
原田 信彦
登録日 2011-04-22 
登録番号 商標登録第5408628号(T5408628) 
商標の称呼 エル、ローソンファーム、ローソン、ファーム 
代理人 特許業務法人RIN IP Partners 
代理人 特許業務法人R&C 
代理人 新井 悟 

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