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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W293233
審判 一部申立て  登録を維持 W293233
審判 一部申立て  登録を維持 W293233
審判 一部申立て  登録を維持 W293233
管理番号 1327172 
異議申立番号 異議2016-900356 
総通号数 209 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-05-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-11-07 
確定日 2017-04-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第5871121号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5871121号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5871121号商標(以下「本件商標」という。)は、「Bee Sensing」の欧文字を標準文字で表してなり、平成27年7月13日に登録出願され、第29類「果実のはちみつ漬け,果実のはちみつシロップ漬け,ジャム,その他の加工果実,冷凍果実,食用花粉,食用油脂」、第32類「清涼飲料,果実飲料,乳清飲料,飲料用野菜ジュース,ビール,アルコール分を含有しない果実エキス」及び第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,はちみつ酒,その他の薬味酒,果実のエキス(アルコール分を含む。),果実酒,洋酒,中国酒」並びに第3類、第5類、第9類、第30類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同28年6月23日に登録査定、同年8月5日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する商標は、以下の7件であり、いずれも登録商標として現に有効に存続しているものである(以下、これら7件の商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。
1 登録第4882744号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成: 別掲1のとおり
登録出願日: 平成17年1月25日
設定登録日: 平成17年7月22日
指定商品 :第33類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
2 登録第5715768号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成: 別掲2のとおり
登録出願日: 平成25年11月27日
設定登録日: 平成26年11月7日
指定商品 :第33類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
3 国際登録第1174331号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成: 別掲3のとおり
国際登録出願 2013年10月9日(事後指定)( 優先権主張 Italy 2013年6月28日)
国内登録日 平成26年11月28日
指定商品 第33類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品
4 国際登録第1127550号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成: 別掲4のとおり
国際登録出願 2012年5月18日(優先権主張 Italy 2012年4月24日)
国内登録日 平成25年12月27日
指定商品 第33類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品
5 国際登録第1127751号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成: 別掲5のとおり
国際登録出願 2012年5月18日(優先権主張 Italy 2012年3月27日)
国内登録日 平成25年12月27日
指定商品 第33類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品
6 国際登録第1138832号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成: 別掲6のとおり
国際登録出願 2012年10月22日(優先権主張 Italy 2012年10月16日)
国内登録日 平成25年7月19日
指定商品 第33類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品
7 国際登録第1184756号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成: 別掲7のとおり
国際登録出願 2013年9月10日(優先権主張 Italy 2013年8月27日)
国内登録日 平成26年8月22日
指定商品 第33類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品

第3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第29類「果実のはちみつ漬け,果実のはちみつシロップ漬け,ジャム,その他の加工果実,冷凍果実,食用花粉,食用油脂」、第32類「清涼飲料,果実飲料,乳清飲料,飲料用野菜ジュース,ビール,アルコール分を含有しない果実エキス」及び第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,はちみつ酒,その他の薬味酒,果実のエキス(アルコール分を含む。),果実酒,洋酒,中国酒」については、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1項第1号により、その登録は取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。
1 本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当することについて
(1)本件商標
本件商標は、上記第1のとおり「Bee Sensing」の文字を有する商標であり、「センシング」の称呼が生じる。
(2)引用商標1
引用商標1は、別掲1のとおり「SENSI」の文字からなる商標であり、「センシ」の称呼が生じる。
(3)本件商標と引用商標1の類否
本件商標と引用商標1は、大文字と小文字の違いはあるが、「SENSI」の文字列を共有し、その結果「センシ」という称呼も共有する類似の商標である。
また、文字例を対比すると、本件商標は引用商標1のすべての文字を含む。
本件商標の「Sensi」に続く「ng」の部分は後半部分に存在しており、識別性に乏しいといえる。そのため、時と所を異にして接した場合、本件商標は引用商標1と相紛れるおそれのある外観上類似の商標である。
上記を総合的に考慮すると本件商標は引用商標1と類似の商標である。
(4)申立てに係る指定商品と引用商標1の指定商品の類否
本件商標の申立てに係る指定商品はすべて飲料であって、引用商標1の指定商品である、アルコール飲料各種と類似の商品である。特に第32類の「ビール」および第33類の全指定商品は、引用商標1ないし7の指定商品と、類似群コード「28A01、28A02、28A03、28A04」のいずれかを同じくしている。
以上から、本件商標と引用商標1の指定商品はすべて同一又は類似している。
(5)以上より、本件商標は、本件商標よりも先願の引用商標1と類似の商標であって、かつ、本件商標の指定商品は引用商標1の指定商品と同一又は類似であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号に該当することについて
(1)引用商標の周知・著名性
引用商標の権利者である申立人「センスィ ヴィグネエ ヴィニ エス.アール.エル.(SENSI VIGNE & VINI S.R.L.)」は、1890年代創業のワイナリーを祖としている。甲第13号証は、イタリアのピストイア商公会議所が提供している申立人企業の登録データの写しとその英訳であり、登録日および事業開始日が1978年2月1日となっているが、実際には1890年代からワイン製造を行っている。
当初からワイン製造企業としてイタリアで有名となり、ワイン関連事業をはじめ様々な事業を展開し、現在では世界的な企業となっている(甲14)。ワイン事業も依然として好調で、豊富な品揃え(甲15)と、高い品質(甲16)、メディア等における高評価(甲18)を達成している。甲第17号証には申立人製造のワインが受賞した様々な賞をリストアップしたホームページのプリントアウトである。申立人はさらにワイン好きには有名な貿易フェアや各種イベントにも積極的に参加し、その事業の宣伝にも意欲的であって、新聞や雑誌に取り上げられることも多く、申立人およびその商標は周知である(甲18)。
そして申立人は、「SENSI」の文字列を含む商標を多く取得しており(甲2?甲8(引用商標1?7))、これらの多くの登録商標の存在は申立人のワイン事業が好調である証拠ともいえる。
(2)本件商標と引用商標との類似性
本件商標と引用商標1ないし7はすべて「SENSI」の欧文字を含む商標であり、上記1(3)と同様に「Sensi」部分の共有から、外観および称呼において類似しているといえる。
申立人の社名にも含まれる「SENSI」なる部分は申立人企業の創業ファミリーの姓であって、上記商標中とりわけ識別性の高い部分であり、商標中に「Sensi」をすべて含む本件商標は、申立人の商標のうちの1つであると混同させるおそれがある。
以上より、本件商標と引用商標1ないし7はすべて同一又は類似している。
(3)出所の混同のおそれ
本件商標と引用商標1ないし7とは、需要者にとって相紛らわしく、出所の混同を避けられないほど類似しているといえる。また、本件商標と引用商標1ないし7の指定商品である飲料各種は、同一の販売場所で提供されるものであるため、本件商標が第29類、第32類及び第33類のいずれかの指定商品に使用された場合、その製造者が申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者であると誤認を生じるおそれがある。
よって、当該商品の需要者が商品の出所について混同するおそれは極めて大きいといえる。
(4)以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第4 当審の判断
1 「SENSI」の著名性について
ア 申立人及びその商標が周知であるとして、申立人が提出した証拠(甲13?甲18)は、全て外国語で記載されたものであり、その訳文の提出もない。申立人の主張によれば、申立人は、1890年代創業のワイナリーを前身とし、1978年から「SENSI VIGNE & VINI S.R.L」として事業を開始したとされる。そして、イタリアのピストイヤ商公会議所における申立人企業の登録データの写し(甲13)を提出し、その事業開始日を証明する旨述べている。
また、申立人は、甲第14号証ないし甲第18号証をもって、ワイン製造企業としてイタリアで有名であり、様々な事業を展開し世界的企業となっていること、メディア等において高評価を得、申立人が製造したワインが様々な賞を受賞したこと、事業の宣伝広告にも意欲的であること等を述べているが、これらを裏付けるために提出された証拠は、申立人のホームページのみであり、その事実を客観的に確認することが出来ない。
また、申立人は、甲第2号証ないし甲第9号証を提出し、「SENSI」の文字列を含む引用商標を始めとする商標を各国で商標登録しており、申立人の事業が好調である証拠であると述べている。
しかし、我が国における「SENSI」商標を使用した広告宣伝、販売数量、売上高及び市場占有率などについて明らかにする証拠の提出はない。
イ 以上からすると、申立人が1978年から「SENSI VIGNE & VINI S.R.L」として事業を開始したこと、「SENSI」の文字列を含むは商標を各国で登録していることは窺えるとしても、申立人の提出した証拠をもってしては、申立人の略称または申立人の商品(ワイン)を表示するものとして、本件商標の登録出願時はもとより、登録査定時においても、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、「Bee Sensing」の欧文字を標準文字で表してなり、同一の書体をもって、同一の大きさ、同一の間隔で、外観上一体的に表されているばかりでなく、これより生ずると認められる「ビーセンシング」の称呼も無理なく称呼し得るものであるから、「ビーセンシング」の一連の称呼のみを生ずるとみるのが相当である。
また、観念については、構成中の「Bee」が「ハチ、ミツバチ」の意味の英語であり、「Sensing」が「感覚」の意味を有する英語ではあるものの、全体として、熟語のように特定の意味を有する語として辞書に掲載されているものではなく、特定の意味合いで一般に親しまれているとも認められないことから、一種の造語として認識されるものと認められる。
そうすると、本件商標からは、「ビーセンシング」の一連の称呼のみが生じ、特定の観念は生じないとみるのが相当である。
イ 引用商標
引用商標は、それぞれ上記第2のとおりの構成からなり、その構成中に「SENSI」の文字を有してなるが、本件商標のように、「Bee」及び「ing」の文字と組み合わせたものとはなっていない。
そして、引用商標から生じる称呼は、それぞれの構成文字に相応して、引用商標1から「センシ」、引用商標2から「ドルチェプリマベラデイセンシ」及び「センシ」、引用商標3から「ジューハチケイセンシ」及び「センシ」、引用商標4から「センシカンポルーチェ」「センシ」及び「カンポルーチェ」、引用商標5から「カントロッソデイセンシ」「カント」及び「センシ」、引用商標6から「メモリエデイセンシ」、引用商標7からは「ビアッジオセンシ」の各称呼が生じるものと認められる。
また、観念については、それぞれの語が一般に親しまれた英語やローマ字とは認められず、特定の意味合いで親しまれたものとも認められないから、一種の造語を表したものと理解されるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標の外観と引用商標の外観とを対比すると、それらの構成中に「Sensi(SENSI)」の文字列を有することは認められるものの、上記1のとおり、「SENSI」の文字が、申立人の略称または申立人の商品(ワイン)を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたという事情は認められないこと、本件商標には、引用商標とは異なる「Bee」及び「ing」の文字を伴って外観上一体的に表されていることから、引用商標とは、外観において十分に区別でき、互いに紛れるおそれはない。
(イ)本件商標から生じる「ビーセンシング」の称呼は、引用商標から生じる各称呼とは、その音数、構成音の相違から、明確に聴別されるものと認められる。
(ウ)本件商標及び引用商標からは特定の観念が生じないから、本件商標と引用商標とは、その観念において比較することができず、類似するものとはいえない。
(エ)以上からすれば、本件商標と引用商標とは、互いの指定商品が同一又は類似の関係にあるとしても、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号の該当性について
上記1のとおり、「SENSI」は、申立人の業務に係る商品(ワイン)等を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
また、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標である。
してみれば、本件商標に接する取引者、需要者が引用商標又は「SENSI」商標を想起又は連想することはないというのが相当であるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者・需要者において、その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 引用商標1


2 引用商標2


3 引用商標3


4 引用商標4


5 引用商標5(色彩については、原本を参照されたい。)


6 引用商標6


7 引用商標7




異議決定日 2017-03-24 
出願番号 商願2015-71888(T2015-71888) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (W293233)
T 1 652・ 261- Y (W293233)
T 1 652・ 262- Y (W293233)
T 1 652・ 263- Y (W293233)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大森 友子 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 今田 三男
藤田 和美
登録日 2016-08-05 
登録番号 商標登録第5871121号(T5871121) 
権利者 株式会社アドダイス
商標の称呼 ビーセンシング、ビー、ビイイイイイ、センシング 
代理人 ▲吉▼川 俊雄 

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