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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X25 |
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管理番号 | 1327100 |
審判番号 | 取消2016-300003 |
総通号数 | 209 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-05-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2015-12-28 |
確定日 | 2017-03-27 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5267741号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5267741号商標(以下「本件商標」という。)は、「St. Scott」の欧文字及び「セントスコット」の片仮名を上下2段に書してなり、平成20年6月24日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服,運動用特殊衣服」を指定商品として、同21年10月2日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録は、平成28年1月21日にされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由として、本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである旨述べている。 なお、請求人は、後記3の被請求人の答弁に対し、弁駁していない。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。 (1)使用の事実 ア 本件商標の商標権者である被請求人は、2013年(平成25年)から現在に至るまで、本件商標の商品を製造し、小売業者に卸販売しているところ、主力販売先である株式会社ベルーナ(以下「ベルーナ社」という。)とは、「取引基本契約書」(乙9)を締結している。 なお、ベルーナ社は、被請求人から仕入れた本件商標の商品を自社カタログ、インターネット、新聞折込チラシ、直営店舗を通じて小売販売している会社である。 イ 被請求人は、ベルーナ社のカタログ(写し)を提出する(乙1?乙7)。当該カタログは、それぞれ、「2013年秋号」(2013年(平成25年)7月1日発行)、「2014年春号」(同年11月1日発行)、「2014年夏号」(2014年(平成26年)2月1日発行)、「2014年秋号」(同年7月1日発行)、「2015年春号」(同年11月1日発行)、「2015年夏号」(2015年(平成27年)2月1日発行)及び「2015年秋号」(同年7月1日発行)であり、ベルーナ社のホームページから誰でも入手することができるものである。 ウ 上記カタログのうち、「2015年夏号」(乙6)には、上段に「みんなで選べるブランド半袖ポロシャツ(カラーNO.0 ミント)」、下段に「みんなで選べるブランド長袖ポロシャツ(カラーNO.4 ベージュ)」が掲載されているところ、これらの商品の企画書(乙10)及び発注書(製造依頼書)(乙11)を提出する。これにより、ベルーナ社のカタログに掲載されている商品のうち、本件商標を付した商品が、被請求人が企画、製造し、ベルーナ社へ卸販売された商品であることを証明する。 エ 乙第12号証は、上記ウにおいて述べた商品2点(半袖ポロシャツ及び長袖ポロシャツ)の下げ札及び品質表示の写真であり、これらに記載されている「K-293」は、当該商品が被請求人の製造に係るものであることを示している(乙13)。 オ 上記「2015年夏号」(乙6)のカタログには、本件商標以外の商標を付した商品も掲載されているが、これらの商標もすべて被請求人が商標権を有している(乙14)。 (2)まとめ 以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、被請求人が製造、卸販売する「半袖ポロシャツ」及び「長袖ポロシャツ」に使用されていたことが明らかであるから、本件商標の登録は、取り消されるべきではない。 4 当審の判断 (1)被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。 ア 本件商標の商標権者である被請求人は、平成23年9月7日に、ベルーナ社との間で、ベルーナ社が通信販売に供する商品の仕入れ取引に関する基本契約を締結した(乙9)。 イ ベルーナ社の発行に係る「BELLUNA MEN’S LIFE(ベルーナメンズライフ)」の「2015夏号」(乙6)は、2015年(平成27年)2月1日に発行され、カタログ有効期限を「2015年9月30日」とするものであり、その2葉目下段には、「みんなで選べるブランド長袖ポロシャツよりどり3枚」の見出しの下、5つのブランドに係る長袖ポロシャツが掲載されているところ、そのうちの「4.ベージュ」とされる商品についてのブランドを表す標章として、横長長方形内に「St.Scott(R)」及び「LONDON」の各欧文字を2段に配してなるもの(前者は、後者に比して、大きく顕著に表されており、かつ、両者の間には細い横線が配されている。なお、「(R)」は、○の中に「R」の欧文字を配してなる記号である。以下同じ。)が掲げられている。 ウ 乙11号証の2葉目は、ベルーナ社から被請求人へあてた2015年(平成27年)8月19日付け製造依頼書であるところ、その一覧表中、「商品名」の欄には「みんなで選べるブランド長袖ポロより3枚」の記載、「色」の欄にはベージュを示す「BE」の記載、「1次納品日」の欄には「15/11/30」の記載があるほか、サイズごとの発注総数、納入価格、累計発注数等の記載がある。 エ 乙10号証の2葉目は、被請求人の英語表記を示す「MARUSHIN SHOKAI CO.,LTD.」及び作成日を示す「2015年8月20日」の記載のある「MEN’S ORDER FORM」(メンズ注文書)と題する書面であって、「BRAND NAME」(ブランド名)の欄には「St.Scott」の記載、「FACTORY NAME」(製造所名)の欄には「李様」の記載、「CUSTOMER」(顧客名)の欄には「ベルーナ」の記載があるほか、商品の図面欄には、上記イにおいて述べたカタログ(乙6)に掲載されている「4.ベージュ」とされる商品と同様の商品絵図(サイズごとの寸法を含む。)とともに、当該商品の襟部及び右袖部に横長長方形内に「St.Scott(R)」及び「LONDON」の各欧文字を2段に配してなる標章からなる織ネームを付す旨が記載されている。 (2)上記(1)において認定した事実によれば、ベルーナ社は、自らが2015年(平成27年)2月1日に発行した通信販売用の商品カタログ「BELLUNA MEN’S LIFE(ベルーナメンズライフ)」の「2015夏号」に、被請求人の製造、販売に係る商品であって、横長長方形の枠線内に「St.Scott(R)」及び「LONDON」の各欧文字を2段に配してなる標章を使用した「長袖ポロシャツ」を掲載したところ、一定数の受注があったことから、被請求人との間で締結した商品の仕入れ取引に関する基本契約に基づき、同年8月19日に、被請求人に対し、当該「長袖ポロシャツ」の製造及び同年11月30日までの納品を依頼し、被請求人は、その依頼を受けて、同年8月20日に、製造所向けの注文書を作成、送付したことが推認される。 また、上記カタログ及び注文書内に記載された横長長方形内に「St.Scott(R)」及び「LONDON」の各欧文字を2段に配してなる標章の構成中、下段に位置する「LONDON」の欧文字部分は、イギリスの首都名を表す語として一般に広く知られており、かつ、本件商標の指定商品を取り扱う業界においては、商品の製造地又は販売地を表したものとして認識される場合も少なくないものといえるし、上段に位置する「(R)」部分は、「St.Scott」の欧文字部分に付記された一種の記号にすぎないものといえるから、当該標章において自他商品の識別標識としての機能を果たし得るのは、「St.Scott」の欧文字部分とみるのが相当である。 そうすると、上記「St.Scott」の欧文字部分は、本件商標の構成中の上段部分と同一のつづりからなるものであり、本件商標の構成中の上段及び下段のそれぞれから生じる「セントスコット」と同一の称呼を生じるものであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。 さらに、上記「長袖ポロシャツ」は、本件商標の指定商品中の「ワイシャツ類」の範ちゅうに属するものと認められる。 してみれば、本件商標の商標権者である被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、その請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項第2号にいう行為)をしたものと認められる。 (3)以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の商標権者である被請求人が、その請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものということができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-09-30 |
結審通知日 | 2016-10-05 |
審決日 | 2016-11-14 |
出願番号 | 商願2008-54974(T2008-54974) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(X25)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉沢 恵美子、大渕 敏雄、山田 忠司 |
特許庁審判長 |
青木 博文 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 高橋 幸志 |
登録日 | 2009-10-02 |
登録番号 | 商標登録第5267741号(T5267741) |
商標の称呼 | セントスコット、スコット |
代理人 | アイ・ピー・ディー国際特許業務法人 |