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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W1825
審判 全部申立て  登録を維持 W1825
審判 全部申立て  登録を維持 W1825
審判 全部申立て  登録を維持 W1825
審判 全部申立て  登録を維持 W1825
管理番号 1326099 
異議申立番号 異議2016-900305 
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-26 
確定日 2017-03-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第5860584号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5860584号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5860584号商標(以下「本件商標」という。)は,「BUTWIN」の文字を標準文字により表してなり,平成27年12月15日に登録出願,第18類「皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同28年4月22日に登録査定,同年6月24日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由として引用する商標は,以下の商標(以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。)である。
(1)国際登録第1189640号商標であって,日本国を指定する国際登録の事後指定により国際商標登録出願されたもの(以下「引用商標1」という。)は,「B’TWIN」の文字を書してなり,第25類に属する商品を指定商品として,2015年(平成27年)12月14日に国際商標登録出願(事後指定)されたものであるが,2016年10月20日付けでその指定商品を第25類「Clothing for men, women and children, namely knitwear, sweaters, underwear, skirts, dresses, trousers, jackets, coats, anoraks (non-waterproof), shirts, t-shirts, layettes, neckties, scarves, gloves (clothing), footwear, overshoes for cycling; wind jackets, rain-cutters, namely rain jackets, headgear, base layers (first-layer clothing), shorts, padded shorts, trousers, sweat pants, tights, vests, arm warmers, knee warmers; protective clothing and footwear for cycling, including gloves.」とする限定の通報がされている。
(2)国際登録第1189640号商標であって,日本国を指定する国際登録により国際商標登録出願されたもの(以下「引用商標2」という。)は,「B’TWIN」の文字を書してなり,2012年(平成24年)12月4日にフランスにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し,2013年(平成25年)3月29日に国際商標登録出願,第25類「Belts.」及び第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成27年11月27日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
(3)国際登録第1201173号商標(以下「引用商標3」という。)は,「B’TWIN」の文字を書してなり,2013年(平成25年)5月14日にフランスにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し,同年10月4日に国際商標登録出願,第18類「Bags, traveling bags, sports bags; garment bags (for travel purposes); sports bags and travel bags intended for cycling.」及び第25類「Belts, money belts (clothing).」のほか,第1類,第4類,第6類,第8類,第9類,第12類,第14類,第21類,第26類,第28類,第37類及び第39類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成28年9月2日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
(4)国際登録第742578号商標(以下「引用商標4」という。)は,「B’TWIN」の文字を書してなり,2009年(平成21年)12月23日に国際商標登録出願(事後指定),第12類及び第28類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成25年6月28日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,「BUTWIN」の欧文字6文字からなる商標である。
引用商標1ないし3は,「B’TWIN」の欧文字5文字からなる商標である。
本件商標と引用商標1ないし3とは,構成文字5文字を共通とするものであり,両商標の差異は,中間の文字の「U」の違いのみである。引用商標1ないし3には,アポストロフィがあることにより,文字が省略されているという印象を看者に与える。外観上これだけの共通性があれば,両商標を時と場所を異にして接した場合には,両者に接する取引者,需要者において,その差異が曖昧なものとなり,相紛れて看取されるおそれがあり,外観上類似する。
また,本件商標より生じる「ブトウィン」,「バトウィン」と引用商標1ないし3から生じる「ビトウィン」の称呼は,語頭音が同じバ行で共通し,「トウィン」が同一であることから,語調,語感が極めて近似し,互いに紛らわしい。
さらに,本件商標の指定商品と引用商標1ないし3の指定商品とは,同一又は類似のものである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知著名性について
申立人は,フランスに本社を置き,世界26か国で1000店舗を展開している(甲8)。
「B’TWIN(ビトウィン)」は,世界中で270万台以上の販売実績を持つ,サイクリング市場を牽引するブランドである。「B’TWIN」は,1976年,デカトロンサイクルとして創設され,1986年,最初の自転車を設計,1999年に「どこでも快適に」をコンセプトにしたモデル「B’TWIN 5」を発売し,2006年からデカトロンサイクルから「B’TWIN」にブランド名を変更した。2010年には,フランスリール市に自転車のための総合施設「B’TWIN Village」をオープンした(甲9)。
以上から,本件商標の登録出願日及び登録査定時に引用商標が日本において周知であったことは明らかである。
イ 出所の混同を生ずるおそれについて
本件商標と引用商標は,いずれも語頭の「B」と語尾の「TWIN」を共通とするもので,その差異は看者の目にとどまりにくい中間の文字の「U」の有無であり,両商標を時と所を異にして隔離的に観察した場合,それぞれの商品に接する需要者,取引者は,両商標を混同するおそれが十分にあるといえ,両商標がその外観において極めて相紛らわしい商標として認識される。
さらに,本件商標より生ずる「バトウィン」又は「ブトウィン」の称呼は,引用商標の商標から生ずる「ビトウィン」の称呼とは,語頭がバ行の音であり,語尾が「トウィン」となる点で共通し,語調,語感が極めて近似し,互いに紛らわしいものである。
また,本件商標の指定商品中,第18類「皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」は,いずれも,スポーツ用品の店舗において取り扱われるものであって,引用商標の指定商品と販売場所,需要者を共通にする。
そうすると,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,本件商標をその指定商品に使用した場合,これに接する需要者が,周知著名な商標である引用商標を連想,想起して,これらの商品が申立人,あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認するおそれがある。
よって,本件商標の指定商品中「皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」についての登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
上述のとおり,引用商標は,世界で270万台の自転車の販売実績がある周知著名な商標である(甲8及び甲9)。
本件商標と引用商標の差異は,中間文字の「U」の文字の有無のみであり,称呼も極めて近似する本件商標が,申立人とは何らの関係のない第三者によって使用された場合,申立人の商標の出所表示機能が希釈化され,また,それに化体した信用,名声が毀損されるおそれがある。
また,商標権者は,現在,50件の登録商標を有し,12件の登録出願を行っている(甲12)。かかる事情から察すれば,商標権者は,十分商標の知識があり,引用商標と中間文字の1文字しか相違しない標章を採択したことは,申立人の名声及び信用にただ乗りしようという意図があったからと推認される。
よって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第19号に違反してなされたものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
申立人の主張及び提出する証拠によれば,申立人はフランスに本社を置く企業であり,世界26か国で1000店舗を展開していること(甲8),そのサイクリングブランドとしての「B’twin(ビトウィン)」は,2006年から採用されており,世界16か国で240万台以上の販売実績があること(甲9),2010年からフランス国リール市に「B’TWIN Village」という自転車のための総合施設がオープンしていること(甲9)がうかがえるとしても,申立人による同ブランドと関連する販売額,営業地域,市場占有率,広告回数,広告範囲などが明らかでなく,引用商標が客観的に我が国及び外国において広く知られているものと認められる証拠はない。
したがって,引用商標は,申立人の提出に係る証拠のみによっては,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,申立人の業務又は自転車等の取扱商品を表示する商標として,日本国内及び外国のいずれにおいても,取引者,需要者間において広く認識されるに至っていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は,上記1のとおり,「BUTWIN」の文字を標準文字により表してなるところ,これは辞書等にも掲載のない,特定の観念を生じない一種の造語と理解されるものであって,その構成文字に相応して「バトウィン」の称呼を生じる。
イ 引用商標2及び3は,上記2のとおり,「B’TWIN」の文字を書してなるところ,その構成中「’」(アポストロフィ)は英語にて何らかの文字を「省略」する際に使われるものであるが,そのような省略した文字を直ちには認識できず,むしろ,構成全体として特定の観念を生じない一種の造語よりなるものと理解するのが自然であり,その構成文字に相応して「ビトウィン」の称呼を生じる。
ウ 上記を踏まえて本件商標と引用商標2及び3を比較すると,本件商標の「BUTWIN」と引用商標2及び3の「B’TWIN」の文字は,語頭の「B」及び語尾4文字の「TWIN」のつづりを共通にするとしても,2文字目の「U」と「’」(アポストロフィ)に差異があり,外観上,区別し得るものである。
また,両商標の称呼を比較すると,本件商標の「バトウィン」と引用商標2及び3の「ビトウィン」の称呼は,全4音中,語尾の3音を共通にするが,語頭の「バ」と「ビ」の音に差異を有するところ,この差異音は比較的強く明瞭に発音される語頭に位置し,子音「b」を同じくするものの,母音において「a」と「i」という音質,音感を著しく異にする差違を有するものであるから,共に4音という短い音構成の中ではその差異が両称呼全体に与える影響は小さいものとはいえず,それぞれを一連に称呼するときは,互いに聞き誤るおそれはないというべきである。
さらに,両商標は,特定の意味合いを有しない造語よりなるものであるから,観念において,類似するとはいえない。
そうすると,本件商標と引用商標2及び3は,外観及び称呼において類似せず,観念については比較することができないものであるから,これらを総合的に考察すると,両商標は類似しない。
エ 以上のとおり,本件商標は,引用商標2及び3とは非類似の商標であるから,商標法第4条第1項第11号に該当するとはいえない。
オ なお,申立人が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして引用する引用商標1は,本件商標の登録査定時に審査に継続中であったものであるが,念のため判断するに,本件商標と引用商標1とは,引用商標2及び3と同一の理由により非類似というべきであるから,商標法第8条第1項に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務又は自転車等の取扱商品を表示する商標として,本件商標の登録出願日前より,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものではなく,周知著名であったとはいえない。
また,上記2のとおり,引用商標はいずれも「B’TWIN」の文字を書してなるところ,上記(2)ウで示した理由から,本件商標とは類似するものではない。
そうすると,引用商標は,我が国において周知著名でもなく,本件商標とは類似するものではないため,本件商標をその指定商品に使用しても,その需要者,取引者をして,引用商標を連想させるものとはいえず,申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所につき混同を生じさせるおそれはない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
上記(1)のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願日前より我が国及び外国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものではなく,周知著名な商標とはいえない。
また,引用商標はいずれも,上記(2)ウで示した理由から,本件商標とは類似するものではない。
そうすると,本件商標は,引用商標を連想,想起するものでない以上,本件商標をその指定商品に使用するとしても,引用商標の出所表示機能の希釈化又はその名声及び信用力にフリーライドするものとはいえないし,また,不正の目的をもって使用することを意図して登録出願したものということもできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当するとはいえない。
(5)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第19号に違反してされたものではないから,商標法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-03-10 
出願番号 商願2015-122991(T2015-122991) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W1825)
T 1 651・ 262- Y (W1825)
T 1 651・ 263- Y (W1825)
T 1 651・ 222- Y (W1825)
T 1 651・ 261- Y (W1825)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大塚 順子豊島 幹太 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 早川 文宏
阿曾 裕樹
登録日 2016-06-24 
登録番号 商標登録第5860584号(T5860584) 
権利者 新妻 勝彦
商標の称呼 バトウイン、バットウイン 
代理人 大貫 絵里加 
代理人 塚田 美佳子 
代理人 橋本 千賀子 

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