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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W34
審判 全部申立て  登録を維持 W34
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審判 全部申立て  登録を維持 W34
審判 全部申立て  登録を維持 W34
審判 全部申立て  登録を維持 W34
管理番号 1323748 
異議申立番号 異議2016-685003 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-01-18 
確定日 2016-11-11 
異議申立件数
事件の表示 国際商標登録第1208201号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際商標登録第1208201号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際商標登録第1208201号商標(以下「本件商標」という。)は、「PRIME15」の文字を横書きしてなり、2014年(平成26年)9月16日に国際商標登録出願(事後指定)、第34類「Electronic cigarette liquid (e-liquid) comprised of propylene glycol.」を指定商品として、平成27年9月17日に登録査定、同年11月6日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下の引用商標1ないし4(以下、これらを一括していうときは「引用商標」という。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第2248881号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 「PRIME」の欧文字と「プライム」の片仮名とを上下二段に横書きした構成からなる商標
登録出願日 昭和62年4月17日
設定登録日 平成2年7月30日
指定商品 第34類「たばこ,喫煙用具,マッチ」
2 登録第4625306号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 「PRIME」の欧文字と「プライム」の片仮名とを上下二段に横書きした構成からなる商標
登録出願日 平成14年3月13日
設定登録日 平成14年11月29日
指定商品 第34類「たばこ,喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」
3 登録第4749963号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 別掲のとおりの構成からなる商標
登録出願日 平成15年8月25日
設定登録日 平成16年2月20日
指定商品 第34類「たばこ,喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」
4 登録第5718655号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成 「プライム」の片仮名と「PRIME」の欧文字とを上下二段に横書きした構成からなる商標
登録出願日 平成26年1月17日
設定登録日 平成26年11月14日
指定商品 第34類「たばこ(未加工品又は加工品),スモーキングたばこ,パイプたばこ,手巻きたばこ,かみたばこ,スヌースを含むかぎたばこ,紙巻たばこ,電子たばこ,葉巻たばこ,シガリロ,その他のたばこ,シガレットチューブ,ライター,その他の喫煙用具,マッチ」
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第93号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標について
本件商標は、欧文字「PRIME」と数字「15」とを組み合わせた構成である。欧文字「PRIME」が自他商品識別標識としての機能を果す英単語であることに対し、数字「15」は自他商品識別標識としての機能を果し得ない要素であることから、本件商標に接する需要者・取引者は、識別標識機能を有する「PRIME」部分のみを商標の要部として認識し、該部分をもって取引に資することになることより、本件商標からは、「プライムジュウゴ」の称呼のほか「プライム」の称呼が独立して生ずる。
また、欧文字「PRIME」は、「主要な」、「優良な」、「根本的な」のような形容詞的意味合いの他にも多数の語義を有する多義語であることから、常に品質表示用語として使用される語ではなく、確定的な意味合いが生じない語と評価できるため、本件商標からは、「プライムの15のもの」または「15番目のプライム」のような観念が生ずる。
2 引用商標について
引用商標1、2及び4は、上記第2のとおりの構成よりなるところ、その文字構成から「プライム」の称呼が自然に生ずる。また、引用商標3は、別掲のとおり、「MILD SEVEN」の欧文字が大きく書された態様であるが、その下に書された欧文字「PRIME」は上記とは別書体で太く目立つように書されているため、これに接する需要者・取引者が当該部分を商標中の別個の要部として認識し、該部分をもって取引に資することになると考えられることから、欧文字「PRIME」が分離独立され、該部分から「プライム」の称呼が生ずると考えられる。
そして、引用商標を構成する欧文字「PRIME」は辞書的には「主要な」、「優良の」「根本的な」のような形容詞的な意味合いの他、「全盛」、「初期」、「青春」のような名詞的意味合いや、「準備する」、「下塗りする」、「火薬を詰める」のような動詞的意味合いを持って用いられる事もある英単語であるため、直ちに特定の意味合いを看取させることはない多義語であり、かつ、少なくともたばこ業界においては、一般的に品質表示用語として使用されていると言い難いことから、当該英単語そのものが商標的な表示であると考えられる。
3 「PRIME」の自他識別力について
本件商標を構成する欧文字部分の「PRIME」の語は、辞書的には第一義的には「主要な、主な、最も重要な、極上の」の意味合いを有する形容詞ではあるが、その他にも、「全盛」、「初期」、「青春」のような名詞的意味合いを有する単語であるとともに、「準備する」、「火薬を詰める」のような動詞的意味合いを有する単語でもあり、かつ、たばこ業界においては一般的に品質表示用語として使用されていない事実を鑑みても、直ちに画一的な意味合いを認識させることのない多義語と評価すべき用語である。すなわち、「PRIME」の用語からは商品の特定の品質等が、具体的かつ直接的に認識されることはないと考えられるため、自他商品識別標識としての機能を発揮する用語と評価できると考えられる。
4 本件商標の分離可能性
本件商標の「PRIME」部分は先述の通り、自他商品識別標識としての機能を充分に発揮する、本件商標の要部と考えられる。
一方、「15」の数字部分は、型番や品番を表す符号と需要者・取引者に認識されると考えられるため、自他商品識別標識としての機能を発揮しない要素である。すなわち、「15」の数字部分は本件商標の指定商品の品番等の品質(内容)を表示するに過ぎない記述的(数字)部分として看取されると解することが妥当であるため、この部分が商標として認識されることは極めて不自然であり、商標中の主要な要素として需要者・取引者に認識される事はないと考えられる。
したがって、本件商標中「PRIME」の欧文字部分は、その指定商品との関係においては、直接的にその品質を表示する用語とは考えられないため、充分に自他商品識別標識としての機能を発揮する語と看做されるべきであることから、「PRIME」部分が分離独立して商標として認識されると判断した上で、他の商標との類否判断が行われることになると考えられる。
なお、これを裏付ける証左として、欧文字部分と数字部分が視覚的に分離して看取されることや、数字は商品の規格・品番等を表示する記号・符号として取引上普通に使用されるものであることから、商標が類似すると判断した審決例が、多数存在している。
以上のことからも、本件商標からは、「プライムジュウゴ」の称呼のほか「プライム」の称呼が独立して生ずる、または「PRIME」が独立して看取されると判断されることになるとの理解が、一般的な判断基準であると推定される。
5 申立人の商標の使用態様について
申立人は、平成15年から平成22年まで長期に渡り、商品「たばこ」に「PRIME」なる語を使用していた。具体的には、まず「マイルドセブン・プライム・スーパーライト・ボックス」を、平成15年(2003年)11月4日から東京都限定として販売開始し、その後の平成16年3月1日からは、販売エリアが日本全国に拡大、平成22年(2010年)7月の終売を迎えるまでの約7年間という長期にわたり、継続して販売していたという実績がある。また、平成17年(2005年)7月1日から平成19年(2007年)3月までは、商標「PRIME」を需要者・取引者によって最重要部分として看取される態様で付したたばこ「マイルドセブン・プライム・スリム・スリー」を、愛知県限定で販売していた。この他にも、商標「PRIME」が付されたたばこ銘柄としては、「マイルドセブン・プライム・メンソール・ライト・ボックス」(平成16年(2004年)3月1日?平成19年(2007年)3月(東京都⇒平成16年9月1日より全国))、「マイルドセブン・プライム・ライト・ボックス」(平成16年(2004年)7月1日?平成18年(2006年)8月(大阪府⇒平成17年2月1日より大阪・福岡))及び「マイルドセブン・プライム・ボックス」(平成16年(2004年)7月1日?平成17年(2005年)2月(大阪府))の3銘柄を販売した実績がある。
すなわち、これらの実績は、申立人が「PRIME」なる語を商品「たばこ」に付して、「商標」として長期にわたって継続的に使用してきたことの証左なのであって、申立人の保有する商標「PRIME」の識別力とかかる商標の長期的な使用に基づく業務上の信用は保護されるべきであると考えられる。
甲第20号証には、「MILD SEVEN」の文字が商標として表示されており、その下段に大きく太字で「PRIME」の文字が商標として表示されている。前述のように、「PRIME」なる語は多義語であり、商標的表示とみなすべきものであることから、かかる態様において商標「PRIME」を使用した場合は、「PRIME」が本銘柄の出所表示機能及び品質保証機能を発揮していると評価できると考えられる。また、甲第21号証に示したたばこ銘柄に対しては、商標「PRIME」をその他の要素と比して特段に大きくはっきりと表示していたことからしてみても、たばこ業界における需要者・取引者において、「PRIME」が申立人の業務を表示する商標として認識されることは、明らかであると考える。
さらに申立人は、販売を開始した当時においては革新的な品質・機能を有する商品であった「低臭気たばこ」商品の販売戦略の一環として、「マイルドセブン・プライム・スーパーライト・ボックス」に端を発し、商標「PRIME」を「低臭気たばこ」商品の代表的なブランド名称として、継続的に使用していた。
つまり、商標「PRIME」は、申立人が商品「たばこ」において使用する商標として、需要者・取引者に認識されるようになったと考えることが妥当であり、現在「マイルドセブン・プライム・スーパーライト・ボックス」等の個別の銘柄の販売自体は終了しているものの、今なお申立人の販売する「たばこ」商品に表示する商標として、依然高い周知性を有すると評価できると考えられる。
6 商標「PRIME」を付したたばこ商品の広告宣伝活動及び販売実績について
申立人は、「PRIME」を付した「たばこ」の広告宣伝活動を、広範な活動対象及び地域で複数回行っている実績がある。具体的には、まず新聞において、平成15年(2003年)10月から平成17年(2005年)9月まで、延べ137紙に731段分の広告を掲載し、これらの掲載料は、合計約3億8千万円に上っており、更に雑誌においては、平成15年(2003年)11月から平成17年(2005年)9月まで、延べ227誌に490ページ分の広告を掲載し、これらの掲載料としても、約8億円に上っている。これら複数の広告物からは、申立人の販売するたばこのブランド名称であった「MILD SEVEN」の文字とともに、「PRIME」の文字が、太字で目立つ態様で書されていること、また、商標「PRIME」を単独で付した商品においては、「PRIME」の文字が極めて看取しやすい態様で使用されていることが明確に確認できると考えられる。
商標「PRIME」を使用したたばこ商品は、平成15年(2003年)から平成22年(2010年)にわたって販売されたが、上記宣伝広告の結果、その間合計620億円の売り上げを誇ったヒット商品でもある。
そして、申立人が発行する「事業報告書(2003年?2006年分)」においては、商標「PRIME」を付した商品の紹介、販売エリア及び販売状況等が詳細に掲載されており、申立人が長期的かつ継続的に、商標「PRIME」を商品に付して使用してきた事実が確認できる。
さらに、申立人が作成し、たばこの小売販売店等に配布した「たばこカタログ(2003年?2010年分)」においても、商標「PRIME」を付した商品が継続的に掲載されており、商標「PRIME」は、長年にわたって申立人により使用されてきたことが証明されるものと考えられる。
また、2004年7月?11月号として、全国たばこ販売協同組合連合会より発行された業界紙(各月発行)「全国たばこ新聞」の広告欄においても、商標「PRIME」が付されたたばこ銘柄の宣伝広告活動を行っており、ここでも、「PRIME」が「低臭気たばこ」商品の商標的識別標識であることが明確になるような表示をするとともに、商標「PRIME」を付したたばこの宣伝広告をしている。特に甲第55号証及び甲第56号証では、「PRIME」なる語が独立して目立つように顕著に表示をした広告となっている。
そして、2003年から2005年においては各種の新聞記事や雑誌記事で、申立人が販売するたばこ商品が複数掲載され、紹介されているが、これらの各たばこ銘柄を表す商標として、商標「PRIME」「プライム」が商標「MILD SEVEN」「マイルドセブン」とともに用いられている。
また、申立人は、2004年10月1日から同月29日において「新作たばこ全12銘柄お試しキャンペーン」なる名称の販売促進活動を展開しており、ここでも商標「PRIME」が付されたたばこ商品の宣伝広告が行われている。さらに、株式会社博報堂の調査によると、これらの広告は、雑誌「週刊SPA!」(発行部数:64,364部)や「週刊現代」(発行部数:318,796部)、「週刊朝日」(発行部数:98,450部)に掲載されており、これらの掲載料の合計だけでも、2億3千万円に上っている。
さらに、申立人は、2003年及び2004年に「マイルドセブン・プライム・シリーズ」に係るキャンペーンを行っており、様々な景品を抽選によって配布している。それらの総当選者数は、合計で1万名を超える大規模なものであり、大きな反響があったことが確認できるものと思料する。
本来「PRIME」なる語には「低臭気」「においを抑えた」のような意味合いは一切含まれておらず、商品「たばこ」の品質を直接的に表示する用語として一般的に使用されてきた事実もなく、また複数の意味合いを有する多義語であったにもかかわらず、申立人が単独または商標「MILD SEVEN」とともに商標「PRIME」を継続的に使用してきたことによって自他商品識別力のある独立した商標として認識されることとなったと解することが妥当であるのみならず、商標「PRIME」は、申立人による該商標を付したたばこの販売数や宣伝広告量、雑誌・新聞への掲載数を考慮すると、需要者・取引者の間で申立人が販売するたばこ商品に使用される独自の商標として、周知・著名であったものと考えられる。
したがって、「PRIME」なる語は、今なお申立人の販売するたばこ商品を表示する商標として、周知であると評価できると考えられる。
7 商標の周知・著名性の残存について
申立人は、平成22年に「マイルドセブン・プライム・スーパーライト・ボックス」の販売を終了したが、たばこ商品を製造・販売する事業者が限定されやすいこと、「マイルドセブン」自体が極めて著名なたばこのブランド名称であること、また愛煙家が同じ銘柄を継続して選択する慣習が認められると考えられていることなどから、「マイルドセブン」ブランド下において、「PRIME」というたばこ商品群が存在していたことを記憶している愛煙家は、今なお相当数存在すると考えられる。
このような状況下において、申立人以外のいかなる者が、商品「たばこ」に対して「PRIME」なる語をひとたび用いれば、それがたとえある商標を構成する全体の中では部分的であると主張し得る程度の態様であったとしても、需要者・取引者においては、申立人の保有する商標「PRIME」を自然に想起することになるのは明らかである。
8 本件商標の現実的な使用態様による出所混同及び不正使用のおそれについて
本件商標の構成文字をインターネットにより検索すると、本件商標権者または関連事業者による本件商標の使用と推測される例が確認できるが、その使用態様は、本件商標と同一の商標を使用しているとはいえないものである。その使用態様は、上辺及び下辺がやや矩形となった四辺形からなるエンブレム状の枠の中に「PRIME」の文字を書し、その下に、幾何学図形の背景の上に描かれた向かい合った獅子が挟む盾状の枠体の中に数字「15」を書した構成となっている。この構成を検討すると、「PRIME」の文字と数字「15」が異なる書体で2段に書された上に、「15」は枠体に囲まれており、両者は分離して認識される態様となっている。これは、本件商標と同一商標の使用に該当するものではないうえに、引用商標1ないし4と明らかに類似する商標の使用に該当するものである。
9 使用を中止した商標の使用の再開について
現在多くの業界において、過去に使用していたブランド名称を復活させるべく使用を再開する事例が発見される。
申立人も、「チェリー」をはじめ、「ピース」、「ホープ」、「櫻(さくら)」、「憩(いこい)」、「PRIME」、「PRESTIGE」、「SPIRIT」、「CAMEL」などのように、過去に使用し、休眠させていた商標について、再度使用を開始したという実績を多数有している。
したがって、周知・著名であった商標を含む商標は、たとえ現在その商標が休眠中であったとしても、依然として、周知・著名性が残存しており、かつ自他商品識別力を有する商標である場合には、安易に併存登録させるべきではないと考えられる。
10 商標法第4条第1項第11号違反について
本件商標は、欧文字「PRIME」と数字「15」を連結して横書きしたものであり、第34類「Electronic cigarette liquid (e-liquid) comprised of propylene glycol.」を指定商品として出願され、商標登録を受けたものであり、前述のように、「PRIME」部分が分離独立して認識されることから「プライムジュウゴ」の他「プライム」の称呼が生ずることになると考えられる。また、構成要素である数字「15」の部分には、全く識別力が認められない。
一方、引用商標は、その文字構成から「プライム」の称呼が自然と生ずると考えられる。
両商標の外観・称呼及び観念を総合的に考察すると、両商標は相当に類似するものと考えられる。特に、本件商標中の数字「15」は、単なる符号と認識されると考えられる要素であるため、これに接する需要者・取引者においては、引用各商標を付した商品から派生した15番目の商品、または製品番号15(ロットNo.15)とした項番を付された商品等のような誤認を生じる虞が充分に考えられることから、本件商標と引用商標との間で出所混同が生ずる可能性が高い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
11 商標法第4条第1項第10号違反について
本件商標は、申立人が使用する商標「PRIME」と類似関係にあるといい得るものであり、また、申立人が使用する商標「PRIME」は、本件商標の出願時(事後指定)及び査定時においてもなお、日本国内で周知であったと考えられる。
したがって、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
12 商標法第4条第1項第15号違反について
申立人が使用する商標「PRIME」は、上述のように、本件商標の出願時(事後指定)及び査定時において、需要者・取引者の間で周知・著名性が残存していたものと考えられる。
本件商標をその指定商品に対して使用した場合は、「PRIME」部分が商標中の要部として分離独立して認識されると考えられるため、申立人またはその関連企業の業務に係わる商品であるかのように誤認されるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
13 商標法第4条第1項第19号違反について
申立人が使用する「PRIME」は、本件商標の出願時(事後指定)査定時において、我が国における需要者・取引者の間では、周知・著名性が残存していたものと考えられる。
また、本件商標は、申立人が保有する商標「PRIME」を「MILD SEVEN\PRIME」として長年販売していた実績を充分に承知の上で出願されたものであると考えられる。近年、「PRIME」を付した商品が存在しないことを奇貨として、「PRIME」なる語を含む名称を付した第34類に係る商品を販売するための出願であると解することが容易であることから、申立人が蓄積した「PRIME」商標の著名性にフリーライドする意図をもって出願したものであると考えざるを得ず、本件商標権者による不正の目的が推認される可能性が見込まれると考えるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
14 結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条1項第10号、同項第11号、同項第15号、同項第19号の規定に違反して登録されたものであるから、本件商標の登録は取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 認定事実
証拠及び申立人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)甲第20号証(枝番を含む。)は、平成15年(2003年)11月4日から東京都限定として販売を開始し、その後、平成16年(2004年)3月1日から日本全国に販売を拡大し、平成22年(2010年)7月に販売を終えた「マイルドセブン・プライム・スーパーライト・ボックス」に係る商品「たばこ」の包装箱であるところ、そこにおける商標の使用態様は、「MILD SEVEN」「PRIME」「SUPER LIGHTS」の文字からなる構成であり、「PRIME」の商標が単独で使用されているとはいえない態様のものである(甲第20号証の4は、「PRIME」の語が包装箱内の「紙巻たばこ」に表示されていることから、「紙巻たばこ」が包装箱に納められた状態からは、「PRIME」の語の使用態様は確認できない。)。
(2)甲第21号証(枝番を含む。)は、平成17年(2005年)7月1日から平成19年(2007年)3月まで愛知県限定で販売されていた「マイルドセブン・プライム・スリム・スリー」に係る商品「たばこ」の包装箱であるところ、そこにおける商標の使用態様は、「NEW SMOKING WAY PRIME」の文字とともに「PRIME」の文字が表示されているものであり、ここにおいては、「PRIME」の商標が比較的大きく表示されてはいるものの、これが単独で使用されているとはいえない態様のものである(甲第21号証の3は、「PRIME」の語が包装箱内の「紙巻たばこ」に表示されていることから、「紙巻たばこ」が包装箱に納められた状態からは、「PRIME」の語の使用態様は確認できない。)。
(3)甲第22号証(枝番を含む。)は、平成16年(2004年)3月1日から東京都限定として販売を開始し、その後、平成16年(2004年)9月1日から日本全国に販売を拡大し、平成19年(2007年)3月に販売を終えた「マイルドセブン・プライム・メンソール・ライト・ボックス」に係る商品「たばこ」の包装箱であるところ、そこにおける商標の使用態様は、「MILD SEVEN」「PRIME」「MENTHOL LIGHTS」の文字からなる構成であり、「PRIME」の商標が単独で使用されているとはいえない態様のものである(甲第22号証の4は、「PRIME」の語が包装箱内の「紙巻たばこ」に表示されていることから、「紙巻たばこ」が包装箱に納められた状態からは、「PRIME」の語の使用態様は確認できない。)。
(4)甲第23号証(枝番を含む。)は、平成16年(2004年)7月1日から大阪府限定として販売を開始し、その後、平成17年(2005年)2月1日から福岡にも販売を拡大し、平成18年(2006年)8月に販売を終えた「マイルドセブン・プライム・ライト・ボックス」に係る商品「たばこ」の包装箱であるところ、そこにおける商標の使用態様は、「MILD SEVEN」「PRIME」との表示であり、「PRIME」の商標が単独で使用されているとはいえない態様のものである(甲第23号証の4は、「PRIME」の語が包装箱内の「紙巻たばこ」に表示されていることから、「紙巻たばこ」が包装箱に納められた状態からは、「PRIME」の語の使用態様は確認できない。)。
(5)甲第24号証(枝番を含む。)は、平成16年(2004年)7月1日から平成17年(2005年)2月まで大阪府で販売されていた「マイルドセブン・プライム・ボックス」に係る商品「たばこ」の包装箱であるところ、そこにおける商標の使用態様は、「MILD SEVEN」「PRIME」との表示であり、「PRIME」の商標が単独で使用されているとはいえない態様のものである(甲第24号証の2は、「PRIME」の語が包装箱内の「紙巻たばこ」に表示されていることから、「紙巻たばこ」が包装箱に納められた状態からは、「PRIME」の語の使用態様は確認できない。)。
(6)甲第26号証ないし甲第31号証は、申立人の「JT News Release」(2003年10月6日付ないし2005年6月9日付)であるところ、これらは、「マイルドセブン・プライム・スーパーライト・ボックス」、「マイルドセブン・プライム・ボックス」、「マイルドセブン・プライム・ライト・ボックス」、「マイルドセブン・プライム・メンソール・ライト・ボックス」、「マイルドセブン・プライム・スリム・スリー」などの商品「たばこ」に関する記事であり、「PRIME」の商標が単独で使用されている事実は認められない。
(7)甲第32号証ないし甲第34号証の「マイルドセブン・プライム シリーズ」に係る広告実績によっては、「PRIME」の商標が単独で使用されていることは確認することはできない。
(8)甲第35号証ないし甲第43号証の「日本たばこ産業株式会社事業報告書」(2003年度中間期ないし2006年3月期)には、「MILD SEVEN」「PRIME」の表示を伴ったたばこの包装箱の写真、及び「マイルドセブン・プライム・スーパーライト・ボックス」、「マイルドセブン・プライム・ライト・ボックス」などの商品「たばこ」に関する説明や宣伝がされているが、「PRIME」の商標が単独で使用されている事実は確認することはできない。
(9)甲第44号証ないし甲第53号証の「たばこカタログ」(2003年11月ないし2010年2月)には、「MILD SEVEN」「PRIME」の表示を伴ったたばこの包装箱の写真、及び「マイルドセブン・プライム・スーパーライト・ボックス」、「マイルドセブン・プライム・スリム・スリー」などの商品「たばこ」に関する説明や宣伝がされているが、「PRIME」の商標が単独で使用されている事実は確認することはできない。
(10)甲第54号証ないし甲第58号証の「全国たばこ新聞」(2004年6月25日ないし2004年10月25日)には、「MILD SEVEN」「PRIME」の表示を伴ったたばこの包装箱の写真や「マイルドセブン・プライム・スーパーライト・ボックス」との表示がされているが、「PRIME」の商標が単独で使用されている事実は確認することはできない。
(11)甲第59号証ないし甲第79号証の新聞記事や雑誌記事においても、「MILD SEVEN」「PRIME」の表示を伴ったたばこの包装箱の写真とともに、「マイルドセブン・プライム・スーパーライト・ボックス」、「マイルドセブン・プライム・スリム・スリー」に係る商品「たばこ」に関する紹介・宣伝がされているものの、「PRIME」の商標が単独で紹介や宣伝がされている事実は確認することはできない。
(12)その他の証拠(甲80?84)においても、「PRIME」の商標が単独で紹介や宣伝がされている事実は確認することはできない。
(13)前記(1)ないし(5)のとおり、申立人が商品「たばこ」について標章「PRIME」を使用していたのは、前記(1)の「マイルドセブン・プライム・スーパーライト・ボックス」に係る販売が平成15年11月から平成22年7月までの約7年間であって、その使用開始時期を含めて最長であったが、その後は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に至るまで標章「PRIME」ないし「プライム」を使用した事実は認められない。
2 引用商標の周知著名性について
前記1認定の事実によれば、申立人の使用に係る標章「PRIME」ないし「プライム」が単独で、商品「たばこ」についての商標として取引上使用されていた事実は確認できず、甲第21号証(枝番を含む。)のように、全体の構成中「PRIME」の文字が比較的大きく表示されているものがあるとしても、その使用範囲及び期間は愛知県限定で約1年9月と短く、ここにおいても「PRIME」の文字が商標として単独で取引上使用されていた事実は確認できないことからすれば、申立人が提出した証拠によっては、標章「PRIME」ないし「プライム」の語が、商品「たばこ」について取引上使用され、その発売期間中に周知性を獲得し、その後、本件商標の登録出願時及び登録査定時に至るまで、その周知性が継続していたものとは認めることができない。
3 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「PRIME15」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、同じ大きさ同じ書体で一連にまとまりよく書されており、これより生ずる「プライムジュウゴ」の称呼も特段冗長でなく、一連によどみなく称呼できるものである。
また、本件商標は、欧文字と数字とを組み合わせた構成からなるところ、その構成中の欧文字部分である「PRIME」の語は、「最も重要な、主要な、主な、第一等の」(小学館ランダムハウイス英和大辞典 第二版)などや、「第一の、優良の、最良の」(研究社新英和大辞典)などの意味を有する親しまれた英語であり、その片仮名表記である「プライム」の語も、「最も重要なさま。最良の。」の意味を有する外来語として、本件商標の登録査定時には既に知られていたといえるものである(広辞苑第六版)。
そうすると、本件商標中における「PRIME」の語は、当該商品が「最良の」、「第一等の」といったことを表示する、商品の品質表示として取引者、需要者に理解される場合があるというべきものであり、一方、数字部分の「15」についても当該数字部分が独立して自他商品識別標識としての機能し得るものとは認め難い。
したがって、本件商標中の「PRIME」及び「15」の文字部分のいずれかが、需要者に強く支配的な印象を与えるとはいえず、むしろ、本件商標は、係る構成からは一体不可分の造語と認識され、「プライムジュウゴ」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないというのが相当であり、その構成中の「PRIME」の文字部分のみをもって取引に資されるということはできない。
この点に関して申立人は、「PRIME」の語は、その他にも、「全盛」「初期」「青春」のような名詞的意味合いを有する単語であるとともに、「準備する」「火薬を詰める」のような動詞的意味合いを有する単語でもあり、直ちに画一的な意味合いを認識させることのない多義語と評価すべき用語であると主張している。しかしながら、「PRIME」の語が申立人の主張するような意味合いで日常的に親しまれて使用されていることを示す証拠及び事情は認められず、申立人の上記主張は採用することはできない。
してみれば、本件商標は、その構成中の「PRIME」部分が要部として分離して観察されるとはいえず、同部分から出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというべきであるから、本件商標は、「PRIME」の欧文字及び「プライム」の片仮名からなる引用商標1、2及び4並びに別掲のとおり、図形と「MILD SEVEN」及び「PRIME」の欧文字との結合からなる引用商標3とは外観、称呼及び観念とも類似しない。
なお、申立人は、本件商標権者または関連事業者による本件商標の使用と推測される例において、実際に使用されている態様が、本件商標とは異なるから、なおさら引用商標と類似すると主張している。しかしながら、異議申立ての判断は、申立てに係る本件商標の態様をもって判断すべきであるから、申立人の上記主張は採用することはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第10号について
前記2のとおり、申立人の使用に係る標章「PRIME」ないし「プライム」は、商品「たばこ」に使用された結果、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間で広く認識されているということはできないものである。
また、前記3のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、申立人の使用に係る標章「PRIME」ないし「プライム」とも非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第15号について
前記2のとおり、申立人の使用に係る標章「PRIME」ないし「プライム」は、商品「たばこ」に使用された結果、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間で広く認識されているということはできないものである。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第19号について
前記2のとおり、申立人の使用に係る標章「PRIME」ないし「プライム」は、商品「たばこ」に使用された結果、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間で広く認識されているということはできないものである。
また、前記3及び4のとおり、本件商標は、申立人の使用に係る標章「PRIME」ないし「プライム」とは非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第19号該当性の前提を欠くものであり、また、申立人が提出した証拠からは、本件商標が不正の目的で使用をするものというべき事実及び実情は認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
7 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものとは認められないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】

異議決定日 2016-11-07 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W34)
T 1 651・ 271- Y (W34)
T 1 651・ 25- Y (W34)
T 1 651・ 262- Y (W34)
T 1 651・ 263- Y (W34)
T 1 651・ 261- Y (W34)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平野 美和 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 幸一
小松 里美
登録日 2014-09-16 
権利者 Nicopure Labs, LLC
商標の称呼 プライムイチゴ、プライムジューゴ、プライム 
代理人 大西 育子 
代理人 安原 正義 
代理人 広瀬 文彦 
代理人 末岡 秀文 

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