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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y03
審判 全部申立て  登録を維持 Y03
審判 全部申立て  登録を維持 Y03
審判 全部申立て  登録を維持 Y03
審判 全部申立て  登録を維持 Y03
管理番号 1323730 
異議申立番号 異議2016-900237 
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-08-10 
確定日 2016-12-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5848963号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5848963号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5848963号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成27年11月27日に登録出願され、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同28年4月12日に登録査定、同年5月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の1ないし13のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5363463号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成21年10月9日に登録出願、第3類「育毛料,その他の化粧品,せっけん類」、第26類「かつら」、第35類「身の回り品・化粧品及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第3類、第5類、第26類、第35類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同22年10月29日に設定登録されたものである。
2 登録第5363465号商標(以下「引用商標2」という。)は、「フォンテーヌ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成22年2月25日に登録出願、第3類「育毛料,その他の化粧品,せっけん類」を含む第3類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年10月29日に設定登録されたものである。
3 登録第5363466号商標(以下「引用商標3」という。)は、「FONTAINE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年2月25日に登録出願、第3類「育毛料,その他の化粧品,せっけん類」を含む第3類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年10月29日に設定登録されたものである。
4 登録第5850269号商標(以下「引用商標4」という。)は、「フォンテーヌ」の片仮名を横書きしてなり、平成26年11月25日に登録出願、第35類「身の回り品・かつら・化粧品及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第5類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同28年5月13日に設定登録されたものである。
5 登録第5342841号商標(以下「引用商標5」という。)は、「FONTAINE ATELIER」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年3月11日に登録出願、第3類「育毛料,その他の化粧品,せっけん類」、第26類「かつら」を含む第3類、第5類、第26類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年8月6日に設定登録されたものである。
6 登録第5363460号商標(以下「引用商標6」という。)は、「フォンテーヌ プレミア」の片仮名を標準文字で表してなり、平成21年9月4日に登録出願、第3類「育毛料,その他の化粧品,せっけん類」、第26類「かつら」を含む第3類、第5類、第26類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同22年10月29日に設定登録されたものである。
7 登録第5363461号商標(以下「引用商標7」という。)は、「フォンテーヌ クチュール」の片仮名を標準文字で表してなり、平成21年9月30日に登録出願、第3類「育毛料,その他の化粧品,せっけん類」、第26類「かつら」、第35類「身の回り品・化粧品及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第3類、第5類、第26類、第35類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同22年10月29日に設定登録されたものである。
8 登録第5363462号商標(以下「引用商標8」という。)は、「Fontaine Couture」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年9月30日に登録出願、第3類「育毛料,その他の化粧品,せっけん類」、第26類「かつら」、第35類「身の回り品・化粧品及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第3類、第5類、第26類、第35類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同22年10月29日に設定登録されたものである。
9 登録第5363464号商標(以下「引用商標9」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成21年10月9日に登録出願、第3類「育毛料,その他の化粧品,せっけん類」、第26類「かつら」、第35類「身の回り品・化粧品及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第3類、第5類、第26類、第35類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同22年10月29日に設定登録されたものである。
10 登録第5363467号商標(以下「引用商標10」という。)は、「フォンテーヌ アトリエ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成22年3月4日に登録出願、第3類「育毛料,その他の化粧品,せっけん類」、第26類「かつら」を含む第3類、第5類、第26類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年10月29日に設定登録されたものである。
11 登録第5363484号商標(以下「引用商標11」という。)は、「フォンテーヌ クチュールサロン」の片仮名を標準文字で表してなり、平成21年9月30日に登録出願、第35類「身の回り品・化粧品及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同22年10月29日に設定登録されたものである。
12 登録第5363485号商標(以下「引用商標12」という。)は、「Fontaine Couture Salon」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年9月30日に登録出願、第35類「身の回り品・化粧品及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同22年10月29日に設定登録されたものである。
13 登録第5376338号商標(以下「引用商標13」という。)は、「FONTAINE PREMIERE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年1月22日に登録出願、第3類「育毛料,その他の化粧品,せっけん類」、第26類「かつら」を含む第3類、第5類、第26類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年12月17日に設定登録されたものである。
以下、上記登録商標をまとめていうときは「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
1 申立人は、申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第33号証(枝番号を含む。)を提出した。なお、以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。
(1)申立人について
ア 申立人は、国内最大手のかつらメーカーであり、「アデランス」、「レディスアデランス」及び「Fontaine(フォンテーヌ)」を中核ブランドとして、かつらの製造販売、育毛サービス事業をグローバルに展開している(甲15)。また、近年では、育毛・増毛サービスの他、スカルプシャンプー等の化粧品や育毛機器の販売も行っている(甲16)。
イ 申立人の売上高は、近年は、年間450億円ないし800億円で推移しており、右肩上がりに成長している(甲17)。
(2)引用商標の周知・著名性
ア 申立人は、自社の育毛・増毛サービスを展開するにあたり、男性向けブランドと女性向けブランドを保有しており、女性向けのレディメイドかつら事業は「Fontaine」ブランドにて展開している。「Fontaine」は、1985年に申立人が子会社化したフォンテーヌ株式会社により、1979年に女性のために生まれたブランドであり(甲18)、申立人は、いち早く女性市場に目をつけて、積極的に進出してきた。1990年には女性用サロンの展開を始め、女性用オーダーメイドかつらを本格的に販売開始した。現在では、ほぼ全ての都道府県に同ブランド名を冠した店舗が248店舗あり、いずれも有名百貨店や、大型ショッピングセンターに出店している(甲19、甲20)。
また、申立人は、全国の有名百貨店などにおいて、ウィッグお試し会などの期間限定のイベントも頻繁に開催している(甲21)。
イ 甲第22号証は、金融情報配信会社が提供している申立人に関する企業調査レポートであるが(2015年6月1日付け)、申立人の女性用かつらの国内シェアは「41%」と圧倒的であり、我が国において女性用かつらのブランドとして「Fontaine」が支持されていることが分かる。
また、2012年度ないし2015年度の女性用毛髪業市場において、申立人は4年連続売上金額No.1である(甲23)。
ウ 2013年ないし2016年度のフォンテーヌ事業における申立人の売上高は、年間80億円ないし90億円で推移し、着実に売上高を積み上げている(甲24)。
エ 甲第25号証の1は、「フォンテーヌイブハーモニー楽しみ方2倍篇」に関する最近(2015年9月?2016年7月)の民法キー局4社におけるCM提供本数一覧である。なお、同TVCMは申立人のウェブサイトでも紹介されている(甲25の2、3)。
甲第26号証は、上記期間内における、引用商標の新聞掲載誌数一覧及び使用原稿であり、全国紙だけでなく、地方紙に掲載されている。また、甲第27号証は、上記期間内における、引用商標の雑誌の掲載誌数一覧及び使用原稿であり、女性誌を中心に掲載されている。
オ 甲第29号証は、引用商標に関する歴代の製品カタログの表紙であり(1989年版?2016年版)、全国のフォンテーヌ店舗ではもちろんのこと、申立人のウェブサイトを通じても配布されている。
カ 引用商標は、申立人が保有する商標権のうち本件商標と指定商品が重複しているものであるが、それに加え、申立人は、「かつら」が属する商品区分である第26類を中心に「Fontaine」に関連する商標権も保有している(甲30)。
キ 近年においては、かつらの需要者、取引者は、かつらのみならず、育毛料や育毛シャンプー等の毛髪に関する化粧品などにも興味の対象が広がっていることから、「Fontaine」はファッションウィッグだけでなく、化粧品ブランドとしても展開され、認知されている(甲32)。
ク 小括
以上より、「かつら,化粧品」等について我が国における継続的かつ大々的な使用により、引用商標が申立人の製造販売に係る「かつら,化粧品」等を表示する識別標識としての商標として周知・著名性を獲得していることは、優に推認できる。
2 本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する理由
(1)本件商標について
本件商標は、上部に円図形が配され、該円図形の上縁部には欧文字「FONTAINE BLEAU」が、下縁部には「SINCE 1997」が書され、その中央部には黒色背景に白字にて筆記体風の欧文字「F」及び2つの指輪様図形が組み合わされている。さらに、該図形の下部には、欧文字「Fontaine Bleau」が筆記体風にて大書されている。
ところで、本件商標を構成している「Fontaine Bleau」は、フランスのパリ郊外の都市名であり、フォンテーヌブロー宮殿があることで我が国でも知られている(甲33)。よって、「Fontaine Bleau」は単なる地名であることより、全体ではその指定商品の分野においても強い識別力は有しておらず、フランス語である「Bleau」は我が国では親しまれておらず認知されにくいことをも考慮すれば、指定商品の分野における申立人の商標の周知・著名性により、需要者、取引者は「Fontaine」を要部として認識するのが自然である。
よって、本件商標からはその構成から「フォンテーヌブロー」の称呼が生じるほか、前半部に配された「Fontaine」の語より「フォンテーヌ」のみの称呼も生じ得る。
(2)引用商標について
引用商標1ないし4は、欧文字「FONTAINE」又は片仮名「フォンテーヌ」から構成され、引用商標5ないし13は、いずれも「FONTAINE」又は「フォンテーヌ」と他の語との組み合わせからなる商標である。そして、上述のとおり、「FONTAINE」が申立人の商標として指定商品の分野において我が国において周知・著名であることを鑑みると、引用商標5ないし13に接した取引者、需要者は、そこから要部である「FONTAINE」のみを容易に認識するといえる。
(3)両商標の類否について
以上より、本件商標と引用商標とは、共に「フォンテーヌ」の称呼が生じ、かつ、本件商標の文字部分「Fontaine」は引用商標の全部又は一部を含んでいることから外観も類似しているため、たとえ本件商標がFontaineの後にBleauの語を伴うとしても、引用商標が指定商品の分野において既に周知・著名性を獲得している点を考慮すれば、取引者、需要者は、本件商標からは申立人の周知・著名な出所表示標識「Fontaine」を要部として認識し、出所混同を生じるものといえる。
また、商標法第4条第1項第11号の判断に関する特許庁の審査基準に照らすと、本件商標がたとえ一体的に表されているとしても、その構成中に申立人の業務を表すものとして広く知られる商標「Fontaine」を含むため、本件商標に接した需要者が該文字部に着目し、これを引用商標と類似するとして把握する場合は少なくない。
さらに、本件商標の指定商品「せっけん類,化粧品」は、引用商標の指定商品・役務と抵触している。
(4)小括
以上より、本件商標は、その構成から必ずしも一体とは把握されず、文字部分「Fontaine」のみを以て取引に資される場合も十分想定し得ることから引用商標と類似し、また、指定商品・役務が互いに抵触することは明白である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由
上述のとおり、「Fontaine」ブランドは、1979年から今日に至るまで、約37年もの間継続的に使用された結果、申立人の業務を表すものとして需要者に広く知られている。また、申立人は現在も我が国において営業活動を継続中であるため、本件商標の出願日である2015年11月27日及び登録日である2016年5月13日においてもその周知・著名性は維持されている。
上述のとおり、本件商標は、申立人の周知・著名である引用商標「Fontaine」をそのまま含んでいることから、「Fontaine」シリーズの製品と関連付けて認識される可能性が高く、両商標の類似の程度は極めて高い。また、本件商標と引用商標とは指定商品が重複している他、「かつら」と「せっけん類,化粧品類」とは、共に自分の外見を装うために体又は肌に付けるものとして用途が共通するほか、身だしなみに興味がある女性層が購入者であることから需要者も共通しており、両商品は密接に関連しているというべきである。
以上より、(a)引用商標は、申立人の業務に係る商品を示すものとして、関連需要者・取引者の間で、広く知られ、かつ高い関心、評価を受けていること、(b)引用商標は、申立人によって長きにわたり、独占的に用いられてきたものであること、(c)両商標の類似度は極めて高いこと、(d)互いの商品・役務は重複又は密接に関連し、本件商標に係る指定商品について申立人はすでに製造販売を行っていること、などを考慮すれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した需要者及び取引者は、申立人又は同人と資本関係又は業務提携関係を有する者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生じるおそれが十分にあるというべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 本件商標が第4条第1項第19号に該当する理由
上述のとおり、申立人は、我が国で約37年もの長きにわたり、引用商標を「かつら,化粧品」等に継続して使用してきた結果、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時においては、申立人の業務に係る商品を表すものとして、周知・著名性を獲得していた。
そして、引用商標が我が国において周知・著名であることは、指定商品「せっけん類,化粧品」の製造販売を行う又は行おうとする者であれば、当然に知りえた事実であり、本件商標権者が引用商標に何ら依拠することなく、本件商標を採択することは考え難い。よって、全国的に周知著名な引用商標の存在を知りながら、その顧客吸引力にフリーライドする目的で、引用商標と類似する本件商標を登録出願しようとしたものであり、不正の意図があったと考える。
以上より、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている引用商標と類似し、また、不正の目的をもって使用するものであるため、商標法第4条第1項第19号に該当する。
5 結語
本件商標は、指定商品「せっけん類,化粧品」との関連において商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号によりその登録が取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知・著名性について
申立人は、引用商標が申立人の製造販売に係る「かつら,化粧品」等を表示する識別標識としての商標として周知・著名性を獲得している旨主張している。
そして、申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、引用商標1は、本件商標の登録出願の日前から、申立人の業務に係る商品「女性用かつら」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されている商標であって、その状況は本件商標の登録査定日においても継続していたものと認めることができる(甲15、甲18?甲28)。
しかし、商品「かつら(女性用のものを除く。),化粧品」等に係る引用商標1及び商品「かつら,化粧品」等に係る引用商標2ないし13については、それぞれの商標の使用期間、使用範囲、営業の規模、売上高及び広告宣伝回数など、商標の使用の事実を量的に把握することができないから、申立人提出の証拠をもってしては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は、別掲1のとおり、筆記体風で大書した「Fontaine Bleau 」の欧文字の上部に円形図形を表示してなるものである。そして、その円形図形内には、その上縁部内に沿うように「FONTAINE BLEAU」の文字が配され、下縁部内に沿うように「SINCE 1997」の文字が配され、さらに、黒塗り円内に白抜きで筆記体風の欧文字「F」及び指輪様の図形が配されている。
本件商標の構成中の「FONTAINE BLEAU」及び「Fontaine Bleau」の文字部分は、それぞれが同じ書体でまとまりよく表されているものであり、また、該文字は、「フランス北部の町」の意味を有するものとして、一般的な辞書(アポロ仏和辞典、広辞苑第六版)にも掲載されており、「FONTAINE(Fontaine)」の文字が強く支配的な印象を与えるものとみるべき事情も見いだせないことからすれば、該文字部分は、一体不可分のものとして認識・把握されるとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、その構成中「FONTAINE BLEAU」及び「Fontaine Bleau」の文字部分から、「フォンテーヌブロー」のみの称呼を生じ、「FONTAINE BLEAU(フォンテーヌブロー)というフランスの地名」の観念を生じるものである。
なお、申立人は、本件商標について「申立人の商標の周知・著名性により、需要者、取引者は『Fontaine』を要部として認識するのが自然である。」と主張するが、上記1のとおり、引用商標1は、申立人の業務に係る商品「女性用かつら」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められるものの、本件商標の指定商品「せっけん類,化粧品」と「女性用かつら」は、生産部門、原材料、用途を異にする非類似の商品であり、加えて、本件商標の構成中の「FONTAINE(Fontaine)」の文字が強く支配的な印象を与えるものとみるべき事情も見いだせないから、該文字部分を要部として認識するとはいえない。
そうすると、申立人の上記主張は採用できない。
(2)他方、引用商標は、(a)「FONTAINE」又は「フォンテーヌ」の文字のみからなるもの(引用商標1?4)、(b)「FONTAINE」又は「Fontaine」の文字と「ATELIER」、「Couture」、「COUTURE」、「Couture Salon」、「PREMIERE」の文字とを結合してなるもの(引用商標5、8、9、12、13)、(c)「フォンテーヌ」の文字と「プレミア」、「クチュール」、「アトリエ」、「クチュールサロン」の文字とを結合してなるもの(引用商標6、7、10、11)である。
以下、引用商標の指定商品・役務中、本件商標の指定商品「せっけん類,化粧品」と類似する商品・役務に引用商標を使用する場合について判断する。
上記(a)の「FONTAINE」又は「フォンテーヌ」の文字のみからなる商標(引用商標1?4)からは、「フォンテーヌ」の称呼を生じ、該文字は、フランス語の「泉」の意味を有するものであるから、「泉」の観念を生じるものである。
また、上記(b)及び(c)の「FONTAINE」、「Fontaine」又は「フォンテーヌ」の文字と他の文字とが結合してなる商標(引用商標5?13)からは、結合する文字に相応して「フォンテーヌアトリエ」、「フォンテーヌプレミア」、「フォンテーヌクチュール」、「フォンテーヌクチュールサロン」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。
そこで、本件商標と引用商標を比較すると、両者は、外観においては、明らかに区別し得るものであるから、相紛れるおそれはない。次に、両者の称呼は、構成音、構成音数において顕著な差異を有するものであるから、称呼において相紛れるおそれはなく、そして、本件商標から「FONTAINE BLEAU(フォンテーヌブロー)というフランスの地名」の観念を生じるのに対し、引用商標1ないし4からは「泉」の観念を生じ、また、引用商標5ないし13からは特定の観念が生じないから、本件商標と引用商標は、観念において相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号について
上記1のとおり、引用商標1は、申立人の業務に係る商品「女性用かつら」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められるものの、「女性用かつら」以外の商品及び役務については、我が国の需要者の間に広く認識されているとはいえないものであり、また、引用商標2ないし13も我が国の需要者の間に広く認識されているとはいえないものである。
そして、本件商標の指定商品「せっけん類,化粧品」と「女性用かつら」との関連性についてみても、商品それ自体の用途、原材料、品質が異なり、その生産者、取引系統においても異なるものといえる。
さらに、上記2のとおり本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、需要者が引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、上記2のとおり、引用商標とは非類似の商標であり、また、申立人の提出に係る証拠のいずれをみても、商標権者が引用商標の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)をするなどの不正な目的をもって使用すると認めるに足る事実は、見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1
本件商標(登録第5848963号商標)


別掲2
引用商標1(登録第5363463号商標)(色彩については、原本参照)


別掲3
引用商標9(登録第5363464号商標)(色彩については、原本参照)



異議決定日 2016-12-02 
出願番号 商願2015-116765(T2015-116765) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (Y03)
T 1 651・ 222- Y (Y03)
T 1 651・ 262- Y (Y03)
T 1 651・ 261- Y (Y03)
T 1 651・ 263- Y (Y03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 原田 信彦
大森 健司
登録日 2016-05-13 
登録番号 商標登録第5848963号(T5848963) 
権利者 株式会社フォンテーヌ・ブロー
商標の称呼 フォンテーヌブロー、フォンテーヌ、ブロー、エフ 
代理人 田中 陽介 
代理人 川本 真由美 
代理人 鮫島 睦 
代理人 伊丹 健次 

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