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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W29 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W29 |
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管理番号 | 1322461 |
審判番号 | 不服2016-197 |
総通号数 | 205 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-01-06 |
確定日 | 2016-12-01 |
事件の表示 | 商願2015-25672拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「十勝ブラータ」の文字を横書きしてなり、第29類「食用油脂,乳製品,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと,肉製品を主材とする惣菜,魚介類を主材とする惣菜,野菜を主材とする惣菜」を指定商品として、平成27年3月20日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願商標は、『十勝ブラータ』の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、『十勝』の文字は、『北海道東南部の支庁。帯広市・音更町・士幌町など19市町村。』の意味を有し、『ブラータ』の文字は、『(プーリア地方の牛),水牛の乳で作る生チーズ』の意味を有するイタリア語『burrata』の表音である『ブッラータ』を直感させるものであるから、全体よりは、『十勝地方産のブ(ッ)ラータ』程の意味を理解させるものである。そして、『ブラータ』は、例えば、『北海道産の生乳を100%使用した手造りブラータ』が製造・販売されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、『十勝地方産のブラータ,十勝地方産のブラータを使用したもの』程の意味合いを認識、理解するにとどまるものである。したがって、本願商標は、単に商品の産地・販売地・品質を表示するにすぎないことから、商標法第3条第1項第3号に該当し、『十勝地方産のブラータ,十勝地方産のブラータを使用した商品』以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審における証拠調べ通知 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、本願商標を構成する「十勝」及び「ブラータ」の文字が、以下の(1)ないし(3)のとおり使用されている事実を発見したので、該事実について、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成28年7月19日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、これに対する意見を求めた。 (1)「十勝」の語が北海道東南部に当たる地域を表示するものであると紹介されている事実 ア 「広辞苑第六版」(岩波書店発行)の「とかち【十勝】」の項目に、「北海道東南部の支庁」との記載がある。 イ 「十勝総合振興局」のウェブサイトにおいて、「十勝の概要」の見出しの下、東寄りの南部が濃い緑色で描かれた北海道のシルエット図形が掲載され、「十勝管内は、1市16町2村で構成され、 日本最大の食料基地としての役割が期待されています。」との記載がある。 (http://www.tokachi.pref.hokkaido.lg.jp/gaiyo/index.htm) ウ 「十勝観光連盟公式サイト」のウェブサイトにおいて、「十勝について」の見出しの下、「北海道の14総合振興局・振興局の中でも面積が10,831.24km2と一番広い十勝。人口は約36万人。1市16町2村で構成されています。」との記載があり、また、「市町村紹介」の見出しの下、東寄りの南部が白抜きで描かれた北海道のシルエット図形が掲載されている。 (http://tokachibare.jp/about_tokachi/) エ 「フードバレーとかち推進協議会」のウェブサイトにおいて、東寄りの南部が白抜きで描かれた北海道のシルエット図形が掲載され、「十勝はこんなところです。」の見出しの下、「十勝は、北海道を14に分けた行政区画である振興局の一つで、北海道の東部に位置し、1市16町2村から構成される地域です。」との記載がある。 (http://www.foodvalley-tokachi.com/?page_id=6961) (2)「十勝」の語が飲食料品との関係で、商品の産地を表示するものとして使用されている事実 ア 「株式会社明治」のウェブサイト内の「明治 北海道 十勝」の頁において、「チーズ作りに適した豊かな自然“十勝”」の見出しの下、「<十勝であることの誇り> チーズ作りの聖地、十勝。」の項目に、「澄んだ水と清らかな空気に恵まれた、十勝。・・・チーズ作りが盛んなヨーロッパ地方とほぼ同じ緯度にある、十勝。・・・十勝は、豊かな自然と人間の文化がゆるやかにぶつかり合う、チーズ作りに適した場なのです。」との記載がある。 (https://www.meiji.co.jp/dairies/cheese/meijitokachi/about/tokachi/) イ 「日清ヨーク株式会社」のウェブサイトにおいて、「十勝のむヨーグルト」の見出しの下、「ひみつその1」の項目に、「北海道十勝産の乳製品を使っています。」との記載がある。 (http://www.tokachi-york.com/secret.html) ウ 「MINI STOP」のウェブサイトにおいて、2016年1月7日付けプレスリリースとして、「北海道 十勝産『北海こがね』使用 ミニストップより『十勝ハッシュドポテト』新発売!」の見出しの下、「商品特徴」の項目に、「原料のじゃがいもを北海道 十勝産の『北海こがね』に限定することで、甘みがあり、舌触りも滑らかで、芋の風味も感じられる商品に仕上げました。」との記載がある。 (http://www.ministop.co.jp/corporate/release/detail.html?press_id=10590) エ 「北海道のおいしさを、まっすぐ。 よつ葉」のウェブサイトにおいて、「よつ葉北海道十勝100 おつまみチーズゴーダ(30g)」の商品の販売ページに「北海道十勝産の生乳を100%使用したゴーダチーズを、食べやすいひとくちサイズにカットしました。」との記載がある。 (http://www.yotsuba-shop.com/SHOP/0333.html) オ 「十勝ナチュラルチーズ物語」のウェブサイトにおいて、「十勝ナチュラルチーズ協議会 会長より皆様へ」の見出しの下、「日本国内で生産されるナチュラルチーズは、日本全国の約9割が北海道で製造されており、さらに北海道の5割のナチュラルチーズがここ十勝で製造されていると言われております。」との記載がある。 (http://www.natural-cheese.jp/abput-us/index.html) カ 「楽天市場」のウェブサイト内の「チーズ工房NEEDS」の頁において、商品「NEEDS/ナチュラルチーズ7点セット」の紹介で、「十勝の大地に生まれ、磨かれ、そして熟成された豊かな風味をお楽しみ下さい。」との記載がある。 (http://item.rakuten.co.jp/hokkaido-otoriyose-get/10001690/) (3)「burrata(ブッラータ)」を表すものとして、「ブラータ」の文字が使用されている事実 ア 「Oisix 産直おとりよせ市場」のウェブサイトにおいて、「北海道産 クリーミーモッツァレラ ブラータ」の商品の紹介の頁で、「産直おとりよせ市場 初登場!」の見出しの下、「『ブラータ』とは、モッツァレラを薄く延ばして袋状にしその中に細く刻んだモッツァレラと新鮮な生クリームを詰めた、非常に贅沢で手間のかかる高級フレッシュチーズ。」との記載がある。 (http://www.oisix.com/shop.gift2--Wsc1-7415__html.htm?mi2=SanSanL_new&roadid=santyok07) イ 「AEON」のウェブサイトにおいて、「イタリアから空輸!“ブラータ”」の見出しの下、「“ブラータ”とは?」の項目に「今回紹介する、ブラータは細く割いたモッツァレラを新鮮な生クリームと混合しさらにモッツァレラの皮でつつんだ非常に手間のかかったチーズです。」との記載がある。 (http://chirashi.otoku.aeonsquare.net/pc/chirashi/burrata.html) ウ 「楽天市場」のウェブサイト内の「meshiya」の頁において、商品「Burrata di Bufala Garofalo イタリア産水牛のブラータ×125g」の紹介で、「item information」の見出しの下、「商品名」の項目に「イタリア産ブラータ×125g」との記載がある。 (http://item.rakuten.co.jp/kaisenshop/12110-1/) エ 「FORE field」のウェブサイトにおいて、「空輸で入るフレッシュなブラータチーズはここでしか購入出来ません?!」の見出しの下、「イタリア語でバターを意味する『ブラータ』はその名前の通りバターの様にコクがあり、モッツアレラチーズとは全く違う味わいがあります。」との記載がある。 (http://forefield.shop-pro.jp/?pid=47153880) オ 「チーズプロフェッショナル厳選の通販サイト CHEESE HONEY」のウェブサイトにおいて、「ブラータ(約330g)」の商品の紹介の頁に、「<グッファンティ熟成>ブラータ(約330g)」の見出しの下、「イタリアプーリア州で生まれた幻の絶品チーズ!日本ではなかなか食することができない逸品です。」との記載がある。 (http://www.cheese-honey.com/product_detail/index/che-000247) カ 「Ranking Share」のウェブサイトにおいて、「チーズ好きにはたまらない!【究極のチーズお取り寄せ】超おすすめランキング!のNo.5」の見出しの下、「ブラータチーズは、イタリア南部のプーリア州の特産品で、発送日の時点で賞味期限が3?4日程度と、新鮮さが命のフレッシュチーズのため、なかなか入手することが困難なチーズです。」との記載がある。 (https://www.rankingshare.jp/rank/nmjjesdylm/detail/5) 4 請求人の意見 請求人は、上記証拠調べ通知に対し、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。 5 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本願商標は、「十勝ブラータ」の文字を横書きしてなるところ、その構成中「十勝」の文字は、前記3(1)及び(2)のとおり、北海道東南部に当たる地域を表示するものであり、本願の指定商品「乳製品」を始め飲食料品との関係において、「十勝」地域で生産、製造された商品を表示するもの、すなわち、商品の産地を表示するものとして普通に用いられているものである。 また、「ブラータ」の文字は、前記3(3)のとおり、「イタリアプーリア地域発祥のモッツァレラを生クリームと混合し、モッツァレラの皮でつつんだチーズ」を指称する「burrata」を表示するものとして普通に用いられているものである。 そうすると、本願商標は、その構成全体から「十勝産のブラータ」であることを認識させるにとどまるものであり、これを本願の指定商品中の「チーズ」に使用するときは、商品の産地、品質を表示するにすぎないものといわなければならない。 また、本願商標は、商品の産地、品質を表示するものであるから、本願の指定商品中の「チーズ」以外の商品に使用するときは、「十勝産のブラータ」であるかのごとく、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当する。 (2)請求人の主張 請求人は、本願商標は、漢字及び片仮名で「十勝ブラータ」を横書きしてなり、本願商標中の「十勝」の意味するところとしては、北海道の地名のひとつとしての「十勝郡」、河川の名称としての「十勝川」、ほかに「十勝平野」、「十勝岳」等のように様々な意味合いが想起され、単に「十勝」と書かれた文字から直接的に一定の地域を表示する語とされるとはいい難く、また、「ブラータ」の文字は、「burrata」の表音が「ブッラータ」であって、チーズを取り扱う業界における使用についても、「Wikipedia」、インターネット上で提供されているイタリア語辞書、「チーズの図鑑」、「世界極上アルチザンチーズ図鑑」及びチーズの製造販売を行う「渋谷チーズスタンド」及びナチュラルチーズ専門店「フェルミエ」のウェブサイトにおいて、「Burrata」が「ブッラータ」として記載されている。そうすると、本願商標は、「トカチブラータ」の称呼を生じ、商標全体として特定の観念を生じない造語である旨主張する。 しかしながら、本願商標の構成中の「十勝」の文字は商品の産地を表示するもの及び「ブラータ」の文字はチーズの一種である「Burrata」を表示するものとして使用されていること上記(1)のとおりである。 したがって、請求人の上記主張は採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-09-26 |
結審通知日 | 2016-09-27 |
審決日 | 2016-10-18 |
出願番号 | 商願2015-25672(T2015-25672) |
審決分類 |
T
1
8・
272-
Z
(W29)
T 1 8・ 13- Z (W29) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 蛭川 一治 |
特許庁審判長 |
青木 博文 |
特許庁審判官 |
原田 信彦 高橋 幸志 |
商標の称呼 | トカチブラータ、ブラータ |
代理人 | 工藤 貴宏 |
代理人 | 山本 典弘 |
代理人 | 三井 直人 |
代理人 | 鈴木 一永 |
代理人 | 涌井 謙一 |