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審決分類 審判 一部無効 観念類似 無効としない W24
審判 一部無効 外観類似 無効としない W24
審判 一部無効 称呼類似 無効としない W24
管理番号 1321396 
審判番号 無効2016-890006 
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-02-01 
確定日 2016-10-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第5803094号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5803094号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成27年5月16日に登録出願,第24類「織物,メリヤス生地,布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん,織物製椅子カバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳」及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同年9月25日に登録査定,同年10月30日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が,本件商標の登録の無効の理由において引用する登録第5253120商標(以下「引用商標」という。)は,「天神」の文字を標準文字により表してなり,平成20年6月20日に登録出願,第24類「畳べり地,布製身の回り品,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),紅白幕」を指定商品として,同21年7月31日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は,本件商標は,その指定商品中,第24「織物,布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん」についての登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 無効事由
本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから,同法第46条第1項第1号により,その登録を無効にすべきものである。
2 無効原因
(1)本件商標
本件商標は,上段に小さく「LINEN WEAVER」と横書きし,中段に「TENJIN」の文字をやや大きめにし,大きく「TENJIN-FACTORY」と横書し,下段に上段と同じ文字の大きさで,「YAMANASHI」と「JAPAN 」の文字を横書きした三段併記で構成されているものであって,その指定商品は,前記第1のとおりである。
本件商標は,全て欧文字で,三段に構成されているところ,一般取引者・需要者が容易に目にする文字は,中段の「TENJIN-FACTORY」の文字である。この文字構成が最も大きく,見る人に強いインパクトを与えることは,経験則上明らかである。
また,上段の「LINEN WEAVER」の文字は,「リンネル織工」,「リンネルの織人」等々を意味するもので,単に,商品の原材料及びその織元等を表示するだけであって,商品の出所識別力を表示する標章とは考えられないものである。むしろ,この表示は,本件商標の指定商品の品質に疑義を生じさせる表示だと思われる。何故なら,リンネル織物を基材に指定商品の商品を製造・販売しているものと思われるのに,その指定商品に,リンネル織とは関係ない「メリヤス生地」があり,また,その他の指定商品に関しても,「リンネル製の」というような制限もなく登録されており,商品の品質に誤認混同の生じるおそれが有ると思われるからである。
これは明らかに商標法第4条第1項第16号の規定に抵触するものと思われるもので,この点においても,本件商標は,その登録は認められないものだと思われる。
さらに,下段の「YAMANASHI」及び「JAPAN」の文字は,単に「山梨県」及び「日本」を表示するものであって,商品の産地及び販売地等を表示するものにすぎず,商標としての識別力を有するものでないことは,明らかである。
このことから,本件商標の要部と見られる「TENJIN-FACTORY」を見ると,「FACTORY」の文字は,それ自体,商品識別機能は弱いから,本件商標の識別力を有する文字は,その結合している「TENJIN」にあることは,明白である。したがって,本件商標の主要部は,「TENJIN」にあることは明らかで,一般取引者・需要者は,「TENJIN」の文字を見て,本件商標を呼称し,認識して,商取引することは,容易に知りうることで,経験則上から明らかである。
したがって,本件商標からは,当然「テンジン」の自然的称呼が生じることは明白であり,また,本件商標の「TENJIN」の文字から,「天人」「天神」等の文字が想起されるから,「天神」の観念をも有するものである。
(2)引用商標
引用商標は,漢字二文字で「天神」と横書きされてなり,その指定商品は,前記第2のとおりである。引用商標からは,「テンジン」の自然的称呼が生じ,又,「天神」の観念が生じる。
(3)商標の対比
本件商標と引用商標とは,「テンジン」の称呼及び「天神」の観念において同一又は類似するものであり,かつ,指定商品においても同一又は類似するものであるから,両商標は,同一又は類似する商標である。
なお,本件商標の「TENJIN-FACTORY」を一体不可分の標章であると見たとしても,この構成からは,何ら特別な意味観念は生ぜず,単に「天神製作所」「天神工場」等の観念のみが想起されるにとどまる。
したがって,本件商標の構成を一体不可分と見ることはできず,本件商標の「TENJIN-FACTORY」は,単に商品の製造場所を表示しているにすぎないものと見るのが正当である。
欧文字を単に「-」で結合したからといって,それで特別の新たな文字構成になる訳ではないのであって,「-」で結合された本件商標であっても,その構成からは,「TENJIN」及び「FACTORY」の文字の称呼及び観念のみ生じることは明らかである。
(4)以上のとおり,本件商標は,引用商標と明らかに,その称呼,観念において同一又は類似するものであり,その指定商品においても同一又は類似するものである。
したがって,本件商標の登録は認められず,無効にされるべきものである。

第4 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求に対し何ら答弁していない。

第5 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は,別掲のとおり,上段に小さく「LINEN WEAVER」の欧文字,中段に大きく「TENJIN-FACTORY」の欧文字,下段に小さく「YAMANASHI」及び「JAPAN」の欧文字を並べて三段に横書きしてなるところ,中段の「TENJIN-FACTORY」の欧文字は,他の文字に比して太く,大きく顕著に表されており,視覚上,強く支配的な印象を与えるものといえる。
また,上段に小さく配された「LINEN WEAVER」の欧文字は,請求人も主張するとおり,「リンネル(リネン)の職工(職人)」の意味合いを認識させ,さらに,下段に小さく配された「YAMANASHI」及び「JAPAN」の各欧文字は,「日本の山梨(県)」の意味合いを認識させるにすぎないから,本件審判の請求に係る指定商品との関係において,これらの部分は,出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというのが相当である。
そうすると,本件商標に接する取引者,需要者は,本件商標において強く支配的な印象を与える「TENJIN-FACTORY」の文字部分を要部ととらえて,これより生ずる「テンジンファクトリー」の称呼をもって,取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。
請求人は,本件商標に接する取引者,需要者は,本件商標の構成中の「TENJIN」の部分に着目し,その部分をもって取引に資する場合も少なくないといえるから,本件商標からは,「テンジンファクトリー」の呼称のほかに「テンジン」の呼称をも生じ,また,「天神」の観念を生ずる旨主張する。
しかしながら,本件商標の構成中「TENJIN」の文字と「FACTORY」の文字とは,文字の大きさ,太さでやや相違するものの,連綴記号のハイフンにより結合され,同じ書体により,外観上まとまりよく一体的にバランスよく構成されているものであって,これから生ずると認められる「テンジンファクトリー」の称呼も冗長ではなく,一連に称呼し得るものである。
そして,「TENJIN」の語は,「天神」にとどまらず,「天人」,「天親」,「天仁」等も理解させるものであるから,「TENJIN」の語に接した者が「天神」を意味すると一義的に認識するとはいえないし,また,これを「天神」に限定する合理的な根拠も存しない。
さらに,請求人は,「FACTORY」の文字を含む商標の登録例が多数存在することをもって,「FACTORY」の文字は,それ自体商品識別機能は弱い旨主張しているが,「FACTORY」の文字を含む商標の登録例が多数存在するという一事をもって,「FACTORY」の文字が直ちに自他商品の識別力がないとか極めて弱いとまではいえないし,また,「FACTORY」の文字が商品の識別標識としての機能を失っていると認めるに足りる証拠の提出もない。
以上のことを総合すると,本件商標の構成中「TENJIN-FACTORY」の文字部分は,一連一体のものとして認識されると判断するのが相当であり,該文字部分からは「テンジンファクトリー」の称呼のみが生じ,特定の観念は生じないものである。
なお,請求人は,本件商標中の「LINEN WEAVER」の文字部分は,「リンネル織工」,「リンネルの織人」等を意味するもので,単に商品の原材料及びその織元等を表示するにすぎず,その指定商品中,リンネル織とは関係ない「メリヤス生地」に係る商品との関係において,商品の品質に誤認混同の生じるおそれがあるから,本件商標は商標法第4条第1項第16号に抵触する旨主張するが,本件商標中の「LINEN WEAVER」の文字部分は,前記1のとおり,「リンネル(リネン)の職工(職人)」の意味合いを認識させるにとどまるものであって,必ずしも商品の原材料を直接表示したものであるとまでは解されないから,本件審判の請求に係る指定商品の品質の誤認を生ずるおそれがある表示とは認めることができない。
2 引用商標について
引用商標は,前記第2のとおり,「天神」の文字を標準文字により表してなるところ,その構成文字に相応し,「テンジン」の称呼が生じ,該文字は,「天の神。あまつかみ。」等の意味を有する語(広辞苑第六版)であるから,そのような観念が生ずるものである。
3 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とは,それぞれ前記1及び2のとおりの構成であって,外観においては,欧文字と漢字の明らかな差異を有するものであるから明確に区別することができ,外観上,互いに紛れるおそれはない。
次に,本件商標から生ずる「テンジンファクトリー」の称呼と引用商標から生ずる「テンジン」の称呼を比較するに,両者は,その構成音数及び音構成が明らかに異なるものであるから,両商標は,称呼上,十分に聴別し得るものである。
さらに,本件商標からは,全体として,特定の観念が生じるとはいえないものであるから,本件商標と引用商標とは,観念上,比較し得ないものである。
してみれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれがあるということはできないものであるから,非類似の商標というべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから,同法第46条第1項の規定により,無効にすることができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標(登録第5803094号)




審理終結日 2016-09-05 
結審通知日 2016-09-08 
審決日 2016-09-21 
出願番号 商願2015-46236(T2015-46236) 
審決分類 T 1 12・ 262- Y (W24)
T 1 12・ 261- Y (W24)
T 1 12・ 263- Y (W24)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小松 里美 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 堀内 仁子
田村 正明
登録日 2015-10-30 
登録番号 商標登録第5803094号(T5803094) 
商標の称呼 リネンウイーバーテンジンファクトリーヤマナシジャパン、リネンウイーバーテンジンファクトリーヤマナシ、リネンウイーバーテンジンファクトリー、リネンウイーバー、ウイーバー、テンジンファクトリー、テンジン、ファクトリー 
代理人 丸山 幸雄 
代理人 岡崎 廣志 
代理人 土橋 博司 

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