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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W05
審判 一部申立て  登録を維持 W05
審判 一部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1319372 
異議申立番号 異議2016-900066 
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-03-18 
確定日 2016-09-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5812191号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5812191号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5812191号商標(以下「本件商標」という。)は、「TriER」の欧文字と「トライヤー」の片仮名を上下二段に書してなり、平成27年3月20日に登録出願、「体内器官の特定部位の状態に応じて特定の成分が放出されることを特徴とする錠剤,その他の薬剤,サプリメント」を含む第5類、第7類、第9類、第40類、第42類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年11月2日に登録査定、同年12月11日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第3165532号商標(以下「引用商標」という。)は、「トライハー」の片仮名と「TRIHER」の欧文字を上下二段に書してなり、平成5年4月27日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同8年6月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第5類「体内器官の特定部位の状態に応じて特定の成分が放出されることを特徴とする錠剤,その他の薬剤,サプリメント」について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
1 本件商標と引用商標との対比
(1)商標の類否
本件商標は、「TriER」の欧文字と「トライヤー」の片仮名を横書きに上下二段に書してなるものであり、本件商標からは、「トライヤー」の称呼が生じること明らかである。
これに対して、引用商標は、「トライハー」の片仮名と「TRIHER」の欧文字を横書きに上下二段に書してなるものであり、引用商標からは、「トライハー」の称呼が生じること明らかである。
そこで、両者の称呼「トライヤー」と「トライハー」を比較するに、両者は共に4音からなり、そのうち称呼における識別上重要な要素となる語頭音を含めて第3音までの「トライ」を共通にし、異なるところは語尾における「ヤー」と「ハー」の音に差異がある点のみである。
しかして、これらの差異音は、いずれも母音(a)を同じくするのみならず、いずれも長音を伴う関係上、母音(a)が強く響く音となり、それぞれの子音(y)、(h)は、明確に聴取されにくくなり、該差異音は、ほとんど母音(a)のみ聴取され、同一音に近くなるものである。さらには、差異音は、聴感上、印象の薄れやすい語尾に位置し、かつ、全体的構成上も強いアクセントを有する前半部の「トライ」の音に続くため、さらに印象が薄くなるものでもある。
そうとすると、両称呼が構成音数において比較的短いものであるとしても、該差異音が両称呼の全体に及ぼす影響はさほど大きいとはいい難く、結局、両称呼は、時と所を異にしてそれぞれを一連に称呼した場合、全体の語調、語感が近似したものとなり、相紛れるおそれがあるものといわざるを得ない。
(2)商品の類否
本件商標の指定商品のうち、第5類「体内器官の特定部位の状態に応じて特定の成分が放出されることを特徴とする錠剤,その他の薬剤」は、引用商標の指定商品「薬剤」と同一又は類似のものである。
また、本件商標の登録査定時に有効であった類似商品・役務審査基準(国際分類第10-2015版対応)によれば、本件商標の指定商品中「サプリメント」は、引用商標の指定商品「薬剤」に包含されている「ビタミン剤,アミノ酸剤,滋養強壮変質剤」と類似とされるものである(甲3)。
なお、サプリメントやいわゆる健康食品と、薬剤に包含されるビタミン剤ないしは滋養強壮変質剤とが類似する商品である旨判示されている(甲4及び甲5)。
2 指定商品「薬剤」について
本件商標と引用商標に共通する指定商品「薬剤」は、その使用を誤れば、人間の健康・生命に極めて重大な影響を与えるおそれがある商品であることはいうまでもない。
そして、「薬剤」の分野において、他者の登録商標と混同を生じさせるおそれのある商標が使用されることは、薬剤の取り違えによる投薬ミスなど、重大な医療事故を引き起こしてしまうことにもなりかねない。実際、医療現場においては、医薬品を取り違えることによる医療事故が少なからず起きており、医薬品メーカーや業界団体による注意喚起がしばしばなされている(甲6ないし甲11)。
そうとすれば、「薬剤」を指定商品とする商標において、互いに紛らわしい商標が存在することは、他の商品、役務の場合よりも深刻な危険性をはらんでいるというべきであり、この点からしても、引用商標と類似する本件商標は、その登録を取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1 本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、大文字と小文字混じりで「TriER」と書し、その下に「トライヤー」の片仮名を書してなるところ、上段の欧文字は、「試験官、試す人」などの意味を有する「trier」に通じるものといい得るものであって、下段の「トライヤー」の片仮名は、上段の欧文字の読みを表したものと理解させるというのが相当である。
そうすると、本件商標は、「トライヤー」の称呼を生じ、「試験官」の観念を生じるものである。
2 引用商標
引用商標は、前記第2のとおり、「トライハー」の片仮名とその下に「TRIHER」の欧文字を書してなるところ、それぞれの文字は、辞書等に掲載が認められないから、特定の意味を有しない一種の造語を表したものと理解させるものであって、上段の「トライハー」の片仮名は、下段の「TRIHER」の欧文字の読みを表したものと理解させるというのが相当である。
そうすると、引用商標は、「トライハー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
3 本件商標と引用商標との対比
(1)外観
本件商標は、前記第1のとおり、大文字と小文字混じりで「TriER」と書し、その下に「トライヤー」の片仮名を書してなるものであるのに対し、引用商標は、前記第2のとおり、「トライハー」の片仮名とその下に「TRIHER」の欧文字を書してなるものであるから、両者は、全体の構成において区別できる差異を有するものである。
したがって、両商標は、外観上、相紛れるおそれはない。
(2)称呼
本件商標から生じる「トライヤー」の称呼と引用商標から生じる「トライハー」の称呼を比較すると、両称呼は、4音目において「ヤ」と「ハ」の音に差異を有するものであるところ、「ヤ」の音は、前舌面を硬口蓋に密着又は接近させて調音する音であって、有声音であるのに対し、「ハ」の音は、声門を全く開放して起こす音であって、無声音であるから、調音点や調音方法を異にする音であり、両称呼が5音という比較的短い音構成であることも考慮すると、該差異音が称呼全体に及ぼす影響は、決して小さいものとはいえず、それぞれを一連に称呼しても、相紛れるおそれはないというのが相当である。
(3)観念
本件商標は、「試験官」の観念を生じ、引用商標は、特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上、相紛れるおそれはない。
(4)以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのないものであるから、非類似の商標というべきである。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-09-07 
出願番号 商願2015-25860(T2015-25860) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (W05)
T 1 652・ 261- Y (W05)
T 1 652・ 262- Y (W05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 綾 郁奈子 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 原田 信彦
土井 敬子
登録日 2015-12-11 
登録番号 商標登録第5812191号(T5812191) 
権利者 第一三共株式会社
商標の称呼 トライヤー、トリヤー、トリイイアアル、トライイイアアル 
代理人 谷山 尚史 
代理人 杉本 勝徳 

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