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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 25
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審判 全部申立て  登録を維持 25
管理番号 1319371 
異議申立番号 異議2015-685039 
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-12-11 
確定日 2016-07-11 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1219242号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1219242号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
国際登録第1219242号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2014年5月8日にRussian Federationにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2014年(平成26年)6月17日に国際商標登録出願、第25類「Clothing,footwear and headgear for adults and children for ballet,dance,fitness,yoga,sports,namely,tutus,ballet skirts,trousers;hosiery,jerseys [clothing],body stockings,for ballet,dance and sports;hosiery,jerseys [clothing],jerseys [special clothing] for ”warming up”,namely,gaiters,shawls,pullovers;sports shirts,underwear,namely,fittings for underwear,sweat-absorbent underclothing;boas [necklets],trousers,bras,leggings [leg warmers],combinations [underwear],particularly,one-piece underwear with long sleeves and long pants;combinations [clothing];sportswear,underwear;bathing suits;bathing trunks;jackets,tee-shirts,dresses,stockings,neckties,clothing for gymnastics,particularly,athletics;jackets [clothing] in jerseys,garters;belts [clothing],ballroom dancing shoes;dance slippers;soft ballet shoes;gymnastics shoes;sports shoes,dance shoes of textile,leather,chamois leather,calfskin;headbands [clothing];berets;heels for dance and ballet shoes;inner soles for dance and ballet shoes.」を指定商品として、平成27年7月27日に登録査定、同年10月2日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第4440674号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「NET-A-PORTER」(標準文字)
登録出願日:平成12年2月16日
優先権主張:グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国
1999年(平成11年)年8月16日
設定登録日:平成12年12月15日
最新更新登録日:平成23年1月4日
指定商品 :第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」並びに第3類及び第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
2 登録第4085199号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「PORTER」
登録出願日:平成3年8月26日
設定登録日:平成9年11月21日
最新更新登録日:平成19年11月27日
指定商品 :第24類「運動具、この部品および附属品」
3 登録第4737383号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「PORTER」(標準文字)
登録出願日:平成14年8月26日
設定登録日:平成15年12月26日
最新更新登録日:平成25年9月3日
指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」
4 登録第4830707号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:「PORTER」(標準文字)
登録出願日:平成16年7月26日
設定登録日:平成17年1月7日
最新更新登録日:平成26年12月24日
指定商品:第26類「漁網製作用杼,メリヤス機械用編針,針類,被服用はとめ,テープ,リボン,編みレース生地,刺しゅうレース生地,房類,組みひも,編み棒,裁縫箱,裁縫用へら,裁縫用指抜き,針刺し,針箱(貴金属製のものを除く。),腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,造花,つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。),靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」
5 登録第5143745号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:「ポーター」の片仮名と「PORTER」の欧文字の上下二段書き
登録出願日:平成19年4月9日
設定登録日:平成20年6月20日
指定役務:第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
6 登録第5521641号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:「PORTER」
登録出願日:平成24年3月13日
設定登録日:平成24年9月14日
指定商品及び指定役務:第25類「被服,帽子,履物,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服」並びに第18類、第35類及び第43類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
以下、これらをまとめていうときは、引用商標という。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第16号及び同第19号に規定する商標に該当するものであるから、本件商標の登録は商標法第43条の2第1号に該当し、同法第43条の3第2項により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。
1 本件商標の構成
本件商標の構成については、二通りの考え方がある。一つは、「Dance-’a-porter」を一連一体として、商標の類否を判断する手法である。この場合において、外観は、欧文字12字及び2つのハイフンから構成される商標であり、称呼は、「ダンスアポーター」又は「ダンスアポルテ」が生じる。観念においては、「Dance」は、日本国内において中学生以上の学力を有する者であれば誰もが知っている「踊り」又は「踊る」という意味を有する単語である(甲3)。また、「’a-porter」は、フランス語で「着る」という意味を有する。日本でも「pret-’a-porter」(プレタポルテ)(高級既製服)という単語を通して、「’a-porter」がフランス語で「着る」という意味を有することは、特に本件商標に係る指定商品の需要者の様に、ファッションに関心のある需要者間でよく知られている語であると考えられる。なお、「’a」は、不定詞を導く前置詞であり、特に意味は有さない(甲4)。したがって、本件商標からは、「踊りのために着る」又は「着るために踊る」という観念が生じる。
他方、商標の類否を判断する際に従来から行われてきた手法で、商標の構成中、自他商品・役務識別力の強い部分を商標の要部として抽出し、比較する手法である。本件商標に係る指定商品には、「Dance」用に使用される商品がたくさん含まれる。例えば、第25類「Clothing,footwear and headgear for adults and children for ballet,dance,fitness,yoga,sports,namely,tutus,ballet skirts,trousers;belts[clothing],ballroom dancing shoes;dance slippers;soft ballet shoes;sports shoes,dance shoes of textile,leather,chamois leather,calfskin;heels for dance and ballet shoes;inner soles for dance and ballet shoes.」である。これらの商品に本件商標を使用した場合、本件商標中の「Dance」の部分は、これらの商品の用途を表すものであり商標法第3条第1項第3項に規定する記述的な部分であり、自他商品・役務識別力が弱い部分といえる。また、前述のとおり、「’a」は、不定詞を導く前置詞であり、特に意味は有さない。したがって、本件商標の要部は「porter」である。かかる場合は、外観は、欧文字6字からなる商標であり、称呼は、「ポーター」又は「ポルテ」が生じ、観念は、前述の「着る」のほかに、「Porter」単独の場合は、英語の意味である「赤帽、ポーター、運搬人」が生じると考えられる(甲5)。
2 商標法第3条第1項第3号について
本件商標を一連一体として観察した場合、前述のとおり、本件商標からは、「踊りのために着る」又は「着るために踊る」という観念が生じる。ここで、指定商品中、第25類「Clothing,footwear and headgear for adults and children for ballet,dance,fitness,yoga,sports,namely,tutus,ballet skirts,trousers;belts[clothing],ballroom dancing shoes;dance slippers;soft ballet shoes;sports shoes,dance shoes of textile,leather,chamois leather,calfskin;heels for dance and ballet shoes;inner soles for dance and ballet shoes.」に本件商標を使用した場合、本件商標は、その商品の用途及び使用の方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当する。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 商標法第4条第1項第10号について
(1)「Net-A-Porter」について
「Net-A-Porter」とは、2000年に開設されたイギリスを本拠とする世界最大の通信販売サイトの名称である。日本でも多くの顧客に利用されており、現在まで、日本国内で累積約31億円の売上高を記録している。また、日本国内向けの広告宣伝費として現在まで約1600万円を費やしており、さらに顧客を増やしている。そして、当該サイトのペイパークリックは、2013年8月から現在に至るまで約1700万円に達している。さらに、「Net-A-Porter」の関連通信販売サイトとして、2010年に、「Mr.Porter」を立ち上げ、新しい顧客を獲得している。これらの事実から日本の需要者において、「Net-A-Porter」の商標は周知であることは明らかである(甲6ないし甲10)。
(2)引用商標1について
引用商標1は、本件商標の優先日前の出願日(平成12年2月16日)を有し、商標権者は、本件商標権者と他人である。さらに、上記のとおり、引用商標1は、日本国内において、本件商標の優先日(平成26年5月8日)前より現在に至るまで、需要者の間に広く認識されている商標である。
ところで、引用商標1である「NET-A-PORTER」(決定注:「第3 登録異議の申立ての理由」において、「NET-A-POETER」を「NET-A-PORTER」と訂正。以下同じ。)は、インターネットの通信販売サイトで使用されるので、インターネットを表す「NET」の部分は商標法第3条第1項第3号に規定する「その役務の質」、「その役務の提供の用に供する物」又は「その役務の用途」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当するため、記述的な部分であり、自他商品・役務識別力を有していないことは明らかである。また、「A」の部分は、商標法第3条第1項第5号に規定する「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」に該当するため、自他商品・役務識別力を有していない。
そうすると、引用商標1において、他の登録商標と類否判断を行う場合は、「NET-A-PORTER」という一連一体としてより、むしろ、自他商品・役務識別力を有さない、又は弱いと考えられる「NET」と「A」の部分を排除し、「PORTER」の部分を抽出して行うことが自然である。その点から、引用商標1と本件商標との類否判断を行うと、本件商標の自他商品・役務識別力を有する部分である「PORTER」と引用商標1とは、外観、観念(運搬人)及び称呼(ポーター)が相紛らわしいことは明らかである。さらに、引用商標1は、本件商標の指定商品と類似する指定商品である第25類「洋服」を有している。
したがって、本件商標と引用商標1とは類似しており、よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
4 商標法第4条第1項第11号について
引用商標は、本件商標の優先日の出願日前の出願日を有し、商標権者は、本件商標権者と他人である。また、引用商標は「PORTER」の文字を含むもの(引用商標1)又は「PORTER」の文字からなるもの(引用商標2ないし引用商標4及び引用商標6)、或いは「ポーター/PORTER」の文字からなるもの(引用商標5)であり、要部観察を行った場合の本件商標の自他商品・役務識別力を有する部分である「PORTER」と外観、観念(運搬人)及び称呼(ポーター)が相紛らわしいことは明らかである。さらに、引用商標は、本件商標の指定商品と類似する指定商品又は指定役務を有している。
したがって、本件商標と引用商標とは類似しており、よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
5 商標法第4条第1項第16号について
本件商標を一連一体として観察した場合、前述のとおり、本件商標からは、「踊りのために着る」又は「着るために踊る」という観念が生じるから、その指定商品中、「Dance」に関係のない商品に、本件商標を使用した場合、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標に該当する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
6 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
「NET-A-PORTER」は、世界最大の通信販売サイトであり、世界中及び日本国内においても本件商標の優先日から現在に至るまで、周知・著名である。そして、本件商標の構成をみると「Dance-’a-porter」は、単に「NET」と「Dance」を入れ替えたものであることが分かる。しかも、本件商標の指定商品は、「NET-A-PORTER」の主力商品である被服が同一である。
以上のことから、本件商標は、「NET-A-PORTER」の顧客吸引力にただ乗りした、いわゆる悪意の商標登録出願であったといえる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
また、本件商標は、日本国内又は外国において周知・著名な「NET-A-PORTER」と、商標及び指定商品が類似しており、「NET-A-PORTER」の顧客吸引力にただ乗りした、不正の目的が存在する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
第4 当審の判断
1 申立人が通信販売サイトの名称として使用する「Net-A-Porter」(以下「申立人使用商標」という。)及び引用商標1の周知・著名性について
(1)申立人の提出した証拠及び主張について
ア 申立人使用商標は、2000年に開設されたイギリスを本拠とする通信販売サイトの名称であり、その取扱い商品は、高級衣料品やアクセサリーなどのファッション用品と化粧品である(甲6?甲8)。なお、甲第6号証においては、ハイフンが表されていない「Net A Porter」の表記もあり、甲第7号証及び甲第8号証の一部においては「NET-A-PORTER」と大文字で表されている。
イ 当該通信販売サイトは、日本への発送も対応しており(甲7)、現在まで、日本国内で累積約31億円の売上高を記録している。また、日本国内向けの広告宣伝費として、現在まで約1600万円を費やしており、当該通信販売サイトのペイパークリックは、2013年8月から現在に至るまで約1700万円に達している。さらに、申立人使用商標の関連通信販売サイトとして、2010年に、「Mr.Porter」を立ち上げている。
ウ 申立人が他の会社と合併したことに関するニュース記事(甲9及び甲10)によると、「ネッタポルテ(Net-A-Porter)」と「ユークス(YOOX)」が合併して、2015年10月5日から新会社「YOOX NET-A-PORTER GROUP S.p.A」として取引を開始し、その新会社の時価総額は、36億ユーロ(約4,850億円)である。
(2)しかしながら、上記イの日本国内における売上高や日本国内向けの広告費を証明する証拠が提出されておらず、申立人が取扱う商品の我が国における市場比率(シェア)や宣伝広告の実態なども明らかではない。さらに、申立人使用商標を紹介する記事(甲6?甲8)や、申立人の会社が他の会社と合併することに関するインターネットのニュース記事(甲9及び甲10)が提出されているとしても、これらの証拠をもって、申立人使用商標及び引用商標1が、申立人の業務に係る商品について、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、イギリス及び我が国の需要者に広く認識されているものということはできない。
2 本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、「Dance-a-porter(二番目の「a」の文字の左上に、やや大きくアクサン・グラーブと思しき記号が付されている。以下同じ。)」の文字からなるところ、その構成中の「Dance」の文字は「踊り」等の意味を有する英語であり、「a」の文字はアクサン・グラーブと思しき記号が付されていることから、仏語の前置詞と理解されるものであり、「porter」は「運搬人」等の意味を有する英語である。
そして、構成各文字は、大文字で表された語頭の「D」のほかは、同じ大きさで表され、同じ書体で、まとまりよくハイフンで結合して表されているものであり、外観上、「Dance」又は「porter」の文字部分が、他の部分から独立して強調されているとはいえないものである。
また、本件商標全体から生ずる「ダンスアポーター」の称呼も、長音を含め8音で構成され、格別冗長というべきものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標の構成中の「Dance」の文字が「踊り」等の意味を有する英語であり、「a」が仏語の前置詞を表し、「porter」の文字が、「運搬人」等の意味を有する英語であるとしても、これらの文字をハイフンで結合してなる本件商標は、一種の造語として看取されるものであって、全体として特定の意味合いを表すものではなく、また、構成中の特定の文字部分のみが着目されるという事情は見いだせず、全体を不可分一体のものとして、取引者、需要者に認識されるというのが相当である。
してみれば、本件商標は、「Dance-a-porter」の文字全体で取引に資されるとみるべきであって、該文字に相応して「ダンスアポーター」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないものである。
この点に関し、申立人は、「Dance」の文字が指定商品の品質、用途等を表すにすぎない語であるから自他商品の識別機能を有しないものであり、また、「a」の文字部分は、不定詞を導く前置詞であり、特に意味を有しないものであるから、「porter」の文字部分のみが自他商品の識別機能を有する部分である旨を主張している。
しかしながら、本件商標は、特定の観念を有しない不可分一体のものとして認識されるものであることは上記のとおりであり、その構成中の「porter」の文字部分のみが分離、抽出されるということはできないものであるから、申立人の主張は採用できない。
3 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、「Dance-a-porter」の文字からなるところ、上記2のとおり、該文字は、一種の造語として看取されるものであって、全体として特定の意味合いを表すものではない。
そして、「Dance-a-porter」の文字が、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、商品の品質を表示するものとして使用され、かつ、認識されていると認めることはできないから、本件商標が商品の内容を表示するものとして普通に使用されているとはいえない。
以上のことから、本件商標は、これを指定商品中、第25類「Clothing,footwear and headgear for adults and children for ballet,dance,fitness,yoga,sports,namely,tutus,ballet skirts,trousers;belts[clothing],ballroom dancing shoes;dance slippers;soft ballet shoes;sports shoes,dance shoes of textile,leather,chamois leather,calfskin;heels for dance and ballet shoes;inner soles for dance and ballet shoes.」について使用しても、その品質、用途等を表示するものとして取引者、需要者の間に認識されるものではないから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、前記商品以外の商品について使用しても、商品の品質について誤認を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、「Dance-a-porter」の文字からなるところ、前記2のとおり、その構成文字全体から「ダンスアポーター」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標
ア 引用商標1について
引用商標1は、「NET-A-PORTER」の文字からなるところ、各文字は同じ大きさ、同じ書体で、まとまりよくハイフンを用いて表されているものである。そして、その構成中の「NET」の文字が「インターネット」等の意味を有し、「PORTER」の文字が「運搬人」等の意味を有するとしても、これらと「A」の文字をハイフンで結合した「NET-A-PORTER」の文字全体は、特定の意味合いを表すものではなく、また、構成中の特定の文字部分のみが着目されるという事情は見いだせず、全体を不可分一体のものとして、取引者、需要者に認識されるというのが相当である。
してみれば、引用商標1は、「NET-A-PORTER」の文字全体で取引に資されるとみるべきであって、その構成文字全体から「ネットアポーター」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標2ないし引用商標6について
引用商標2ないし引用商標6は、前記第2の2ないし6に記載のとおりの構成からなるところ、いずれも、「運搬人」等の意味を有する英語の「PORTER」の文字からなるもの又は「ポーター」及び「PORTER」の文字を上下二段に書してなるものであるところ、その構成文字に相応して「ポーター」の称呼が生じ、「運搬人」の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1とは、それぞれ、上記(1)及び(2)アのとおりの構成からなるところ、外観においては、判然と区別し得る差異を有するものである。
また、本件商標から生じる「ダンスアポーター」の称呼と引用商標1から生じる「ネットアポーター」の称呼とは、称呼を構成する上で重要な語頭において「ダンス」と「ネット」という顕著な差異を有するから、両称呼は、明確に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、本件商標及び引用商標1は、特定の観念を生じないものであるから、本件商標と引用商標1とを比較することはできない。
してみれば、本件商標と引用商標1とは、観念においては比較することができず、外観及び称呼において明らかに区別し得る差異を有するものであるから、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
イ 本件商標と引用商標2ないし6との類否について
本件商標と引用商標2ないし6とは、それぞれ、上記(1)及び(2)イのとおりの構成からなるところ、外観においては、判然と区別し得る差異を有するものである。
また、本件商標から生じる「ダンスアポーター」の称呼と引用商標2ないし6から生じる「ポーター」の称呼とは、その構成音において明らかな差異を有するから、両称呼は、明確に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないものであり、引用商標2ないし6は「運搬人」等の観念を生ずるものであるから、観念において相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標2ないし6とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、その指定商品が引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似のものであるとしても、引用商標とは非類似の商標である。
したがって、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第10号該当性について
申立人は、本件商標が、申立人使用商標である「Net-A-Porter」及び引用商標1である「NET-A-PORTER」と類似する商標であると主張するが、引用商標1が、本件商標とは非類似の商標であることは、上記4に記載のとおりであり、また、申立人使用商標が引用商標1と同じつづりの欧文字からなり、相違するのは、「N」、「A」及び「P」の文字以外の文字が大文字か小文字かの差にすぎず、引用商標1と同様に、本件商標と申立人使用商標とは非類似の商標であるというのが相当である。
また、申立人使用商標及び引用商標1は、前記1のとおり、申立人の商品に係る商標であることを表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
そうすると、前記1のとおり、引用商標1及び申立人使用商標が申立人商品を表示する商標として日本国内又はイギリスにおいて需要者の間に広く認識されている事実は認められず、また、本件商標と引用商標1及び申立人使用商標とは、前記4のとおり、類似するところのない別異のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
7 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、本件商標は、引用商標1の顧客吸引力にただ乗りした、いわゆる悪意の商標登録出願であるから、商標法第4条第1項第7号に該当する旨主張する。
しかしながら、引用商標1及び申立人使用商標は、前記1のとおり、我が国において、取引者、需要者に広く認識されていたものとはいうことができず、また、本件商標を商標権者が使用することが引用商標1及び申立人使用商標の顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)しようとするものであるとする証左も提出されてない。
そうすると、商標権者が本件商標の使用をしても、商品の国際的取引秩序を乱すものとはいえず、国際信義に反するものではなく、本件商標は、その構成が、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるということもできないから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
8 結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号並びに同法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号及び同第19号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】

異議決定日 2016-07-06 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (25)
T 1 651・ 262- Y (25)
T 1 651・ 263- Y (25)
T 1 651・ 222- Y (25)
T 1 651・ 272- Y (25)
T 1 651・ 22- Y (25)
T 1 651・ 25- Y (25)
T 1 651・ 13- Y (25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松本 はるみ 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 清棲 保美
中束 としえ
登録日 2014-06-17 
権利者 Obchtchestvo s ogranitchennoy otvetstvennostyou ”Grichko”
商標の称呼 ダンスエイポーター、ダンスアポーター、エイポーター、アポーター、ポーター 
代理人 特許業務法人松原・村木国際特許事務所 
代理人 片山 礼介 
代理人 柳生 征男 
代理人 中田 和博 
代理人 青木 博通 

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