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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W16
審判 一部申立て  登録を維持 W16
管理番号 1317246 
異議申立番号 異議2015-685030 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-09-07 
確定日 2016-04-26 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1132725号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1132725号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
国際登録第1132725号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2014年(平成26年)2月13日に国際商標登録出願(事後指定)、「stationery;instructional or teaching material(except apparatus);pads(stationery),writing or drawing books,note books;postcards;writing instruments;bookmarkers;bookends.」を含む第16類並びに第3類、第21類及び第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成27年3月3日に登録査定、同年6月26日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は、以下の2件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)
1 登録第300167号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、昭和11年11月5日に登録出願、第51類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同13年3月25日に設定登録、その後、5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、平成20年6月11日に指定商品を第16類「鉛筆,色鉛筆,クレヨン,パステル,鉛筆芯,色鉛筆芯,鉛筆用キャップ,金具を有する鉛筆差し用ゴム,鉛筆削り(電動式のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
2 登録第689487号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3に示すとおりの構成からなり、昭和38年4月4日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同40年11月11日に設定登録、その後、5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、平成17年7月6日に指定商品を第16類「鉛筆,シャープペンシル,白墨,ボールペン,ペン軸,ペン先,毛筆,鉄筆,骨筆,キャップ,万年筆」とする指定商品の書換登録がされたものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標について、その指定商品中、第16類「stationery;instructional or teaching material(except apparatus);pads(stationery),writing or drawing books,note books;postcards;writing instruments;bookmarkers;bookends.」については、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号に該当する理由
(1)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本件商標の第16類の指定商品中、「stationery;instructional or teaching material(except apparatus);pads(stationery),writing or drawing books,note books;postcards;writing instruments;bookmarkers;bookends.」は、引用商標の指定商品と同一又は類似である。
(2)本件商標と引用商標1との類否について
本件商標は、「頭部を上に、細長い腹部を下に表し、長い2対の羽が胸部から左右に伸びているトンボ」の図形商標である。これに対し、引用商標1は、「楕円状の頭部を下に、細長い腹部を上に表し、長い2対の羽が胸部から左右に伸びているトンボ」の図形商標である。
本件商標と引用商標1とを比較すると、両商標とも文字等のほかの構成要素を含まないトンボの図形のみからなる商標であるところ、本件商標のトンボは頭部が上を向いており、他方、引用商標1はトンボの頭部が下を向いている。すなわち、両商標の構成が上下逆さまという差異はあるが、その点を除けば、両図形は共通して写実的にトンボが描かれた商標という特徴を有しており、実質上同一の商標といえる。本件商標に接する需要者が普通に払うべき注意力を基準とすれば、需要者が両図形を時と所を異にして離隔的に観察した場合、外観において誤認混同を生ずるおそれがあるほどに類似しているものと判断する。更に、本件商標と引用商標1からは共に「トンボ」の称呼、観念が生じるものであり、称呼、観念においても両者が類似することは明らかである。
(3)本件商標と引用商標2との類否について
本件商標は、上記(2)のとおり、トンボの図形商標であるところ、引用商標2は、引用商標1と同様、「頭部を下に、細長い腹部を上に表し、長い2対の羽が胸部から左右に伸びているトンボ」の図形商標である。
本件商標と引用商標2とはトンボの図形のみから構成される商標であるという共通点を有する。なお、両商標の構成が上下逆さまという差異はあるが、その点を除けば、両商標のトンボはいずれも写実的に表された特異な態様であり、実質上同一の商標といえる。本件商標の需要者が両図形を離隔的に観察した場合、本件商標と引用商標2との関係のような、商標のわずかな相違を需要者が容易に見分け得るとは到底考えられない。更に、本件商標と引用商標2からは共に「トンボ」の称呼、観念が生じるものであり、称呼、観念上においても両者が類似することは明らかである。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、先願である引用商標と類似しており、また指定商品も同一若しくは類似している。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反しているため、第16類の指定商品中、登録異議の申立てに係る指定商品について、その登録を取り消されるべきである。
2 商標法第4条第1項第15号に該当する理由
申立人「株式会社トンボ鉛筆」は、大正2年(1913年)2月に創立された日本で有数の文房具メーカーであり、その主要取扱商品は、鉛筆、ボールペン、修正テープ、消しゴム等である。申立人は、昭和2年(1927年)より「トンボ印」をハウスマークに採用し、それ以降現在に至るまで永年にわたり一貫して「トンボ」や「トンボ図形」からなる商標を使用している。文房具業界において、「トンボ」や「トンボ図形」からなる商標を使用するものは申立人やその関連会社のほかはない。
加えて、「トンボ図形」は、AIPPI・JAPAN発行の日本有名商標集に著名商標として掲載されている。
本件商標と引用商標は類似しており、引用商標は申立人が使用する商標として周知となっていることから、本件商標に接した需要者が「トンボ」の表示を連想する可能性は十分にあり、登録異議の申立てに係る本件商標の第16類の指定商品に使用する場合には、これに接する需要者は、申立人若しくは申立人と関係のある者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当する。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号又は同第15号の規定に違反して登録されたものであり、登録を取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、頭部を上に向けて羽を広げたトンボを表してなる図形であるところ、その構成態様は、トンボの頭部、胴体、羽のいずれの部分も、デザイン化されて描かれているものであって、これはトンボの図形ではあるものの、取引に資する上での特定の称呼及び観念を生じないものというのが相当である。
(2)引用商標について
引用商標1及び引用商標2は、別掲2及び別掲3に示すとおり、それぞれ頭部を下に向けて羽を広げたトンボを表してなる図形であるところ、これらの構成態様は、互いに非常に近似した形状を有しており、トンボの頭部、胴体、羽のいずれの部分も写実的に描かれているものであって、これはトンボの図形ではあるものの、取引に資する上での特定の称呼及び観念を生じないものというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の類否について検討すると、上記(1)及び(2)のとおり、両商標は、トンボの図形である点においては共通するものの、本件商標は全体的にデザイン化して表されているのに対し、引用商標は写実的に表されている点において相違するものである。そして、両商標を詳細に比べると、トンボの向きについては、本件商標のトンボは頭部が上に配されているのに対し、引用商標のトンボの頭部は下に配されており、頭部の形については、本件商標のトンボの頭部は先が尖っているのに対し、引用商標のトンボの頭部は丸く表されており、羽の表し方については、本件商標はトンボの羽と羽の間に隙間を空け、その模様もデザイン化されて表されているのに対し、引用商標のトンボの羽は隙間なく並んで表され、羽の模様も写実的である。また、本件商標は足が描かれていないのに対し、引用商標は胴体部分に足が描かれており、胴体の形状も写実的に描かれているものである。
してみれば、これらの相違点によって、本件商標と引用商標は、全体から受ける印象が著しく異なるものであって、それぞれを時と処を異にして観察した場合、外観上相紛れることなく別異のものとして認識し把握されるというべきである。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、ともに称呼及び観念を生じないものであるから、称呼及び観念については比較することができないものであって、また、その外観においては、明確に区別できるものであるから、これらを総合的に考察すると、両商標は、互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は、大正2年(1913年)2月に創立された日本で有数の文房具メーカーであり、昭和2年(1927年)より「トンボ印」をハウスマークに採用し、それ以降現在に至るまで永年にわたり一貫して「トンボ」や「トンボ図形」からなる商標を使用しているものである(職権調査)。
ところで、申立人が提出した証拠によれば、本件商標の登録出願前までの我が国における引用商標を使用した商品の販売数量、売上高、市場占有率(シェア)等引用商標に係る商品の取引実績やその使用地域の範囲などを具体的に把握し得る証拠は提出されていないものであり、また、申立人が本件商標の登録出願日前より、我が国において引用商標を使用した商品についての宣伝広告を積極的に行ったと認めるに足りる証拠の提出もない。
そうすると、申立人の提出に係る証拠のみをもってしては、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていた商標ということはできない。
そして、本件商標は、上記1のとおり、引用商標と類似しない別異の商標であるから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、本件登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】



異議決定日 2016-04-21 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (W16)
T 1 652・ 261- Y (W16)
最終処分 維持  
前審関与審査官 阿曾 裕樹 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 中束 としえ
清棲 保美
登録日 2012-07-09 
権利者 Quintessence SA
代理人 山田 清治 
代理人 笠松 直紀 
代理人 特許業務法人清水・醍醐特許商標事務所 
代理人 萼 経夫 

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