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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 41
審判 一部申立て  登録を維持 41
審判 一部申立て  登録を維持 41
管理番号 1317238 
異議申立番号 異議2015-900293 
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-09-16 
確定日 2016-06-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5771924号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5771924号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5771924号商標(以下「本件商標」という。)は、「マインドハック」の文字を標準文字で表してなり、平成26年9月4日に登録出願、第41類「資格の認定・付与,資格検定試験に関する情報の提供,科学・マジック・心理学・運動力学・行動心理学又は催眠術の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授,科学・マジック・心理学・運動力学・行動心理学又は催眠術に関する講演・セミナー・シンポジウムの企画・運営又は開催,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,科学・運動力学・心理学又は行動心理学に基づくライブパフォーマンスにおける演芸の上演,マジックの上演,催眠術を利用したライブパフォーマンスにおける演芸の上演,テレビでの演芸の上演,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」を指定役務として、同27年6月3日に登録査定、同年6月19日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
1 商標法第4条第1項第7号について
(1)標章「マインドハック」について
本件商標「マインドハック」は、本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)の事業子会社(以下「申立人子会社」という。)に所属する実演家「トニー・ジャン」氏(以下「トニー氏」という。)を出所とする標章「マインドハック」と同一又は類似であって、トニー氏の営業に係る役務「心理学又は行動心理学に基づくライブパフォーマンスにおける演芸の上演,マジックの上演,催眠術を利用したライブパフォーマンスにおける演芸の上演,テレビでの演芸の上演,演芸の上演」等の役務を指定して商標登録されたものである。
本件商標権者は、「メンタリズム研究会 スリーコール」なる任意団体の代表であるところ、平成25年以前、前記トニー氏は、本件商標権者に師事し、人の心を操ってその行動等をコントロールするライブパフォーマンスを考案した。
また、トニー氏は上記新規のライブパフォーマンス、及び当該パフォーマンスによって対象者の行動等がコントロールされた状態を「マインドハック」(以下、「使用標章」という場合がある。)と称し、更には、実演家としての自身を「マインドハッカー」と称して、平成25年1月頃より実演家としての活動等を開始している。
トニー氏は、上記の活動開始以降、地上波主要テレビジョン放送局のテレビジョン放送番組、その他各種の媒体に出演している(甲4ないし甲6。枝番号を含む。なお、以下、枝番号のすべてをいうときは、枝番号の記載を省略する。)。
なお、本件商標が出願されたのは、「平成26年9月4日」であるところ、トニー氏が出演し、ライブパフォーマンスの実演を行った上記のテレビジョン放送番組はすべて「本件商標の商標登録出願前」の放送に係るものである。
また、トニー氏の上記出演番組を「放送された時間帯」等の点から検討すると、日本テレビ放送網の平日20時?21時帯の看板人気番組『世界まる見え!テレビ特捜部』、TBSの日曜昼の看板人気番組『アッコにおまかせ』、平日19時?22時の3時間特番『見破れ!!トリックハンター』、フジテレビの平日昼12時の看板人気帯番組『バイキング』をはじめとして非常に万遍なく多岐にわたっている(甲7ないし甲10)。
すなわち、上記出演番組数、番組放送の時間帯、番組視聴率等を総合的に考慮すると、トニー氏の出演したテレビジョン放送番組を、老若男女を問わず広範囲の需要者層が視聴した結果、多くの需要者が、トニー氏の実演に係る「科学・運動力学・心理学又は行動心理学に基づくライブパフォーマンスにおける演芸の上演,マジックの上演,催眠術を利用したライブパフォーマンスにおける演芸の上演,テレビでの演芸の上演」及び標章「マインドハック」に接した可能性が高いと考えられる。
このように、出演期間は平成25年2月以降の3年未満ではあるものの、トニー氏は、新たなジャンルのライブパフォーマンス(=人の心に侵入して、その行動や考えを読み取り自由に操ることを内容とする演芸の上演)である「マインドハック」の実演家として、本件商標の指定役務中、「心理学又は行動心理学に基づくライブパフォーマンスにおける演芸の上演,マジックの上演,催眠術を利用したライブパフォーマンスにおける演芸の上演,テレビでの演芸の上演,演芸の上演」等に係る全国の需要者の間で広く知られるところとなっている。
(2)本件商標の出願経過等について
トニー氏の実演家としての活動及び標章「マインドハック」の使用が開始されたのは本件商標権者に師事していた時期に遡るが、当初、トニー氏の実演家としての活動の援助を行ったのは本件商標権者であり、トニー氏による標章「マインドハック」の使用も本件商標権者の賛意並びに支援に基づくものであったとされる。
なお、トニー氏と本件商標権者との間に、当時はもとより現在に至るまで商標権の帰属を初めとする一切の契約は締結されていない。
そして、トニー氏は「平成26年9月1日」付で申立人子会社とマネジメント契約を締結し、同社所属の実演家・タレント(「マインドハッカー トニージャン」)として活動を開始した。
トニー氏は、上記契約締結の当日に、本件商標権者に対して、同日付でトニー氏と申立人子会社との間でマネジメント契約が締結された旨を告知した。
また、トニー氏が申立人子会社との間で前記マネジメント契約を結んだ約1か月後の「平成26年10月3日」に、トニー氏、本件商標権者及び申立人子会社担当の三者間で会談が行われ、今後も相互に協力してトニー氏の実演家・タレントとしての活動を後押ししていく旨を合意したが、この際にも、トニー氏と本件商標権者、申立人子会社と本件商標権者との間で契約等は一切締結されていない。
上記の合意にも関わらず、また、標章「マインドハック」を、「心理学又は行動心理学に基づくライブパフォーマンスにおける演芸の上演,マジックの上演,催眠術を利用したライブパフォーマンスにおける演芸の上演,テレビでの演芸の上演,演芸の上演」等について現に使用しているトニー氏及び申立人子会社に対して事前に何の連絡、相談もなく、本件商標権者は「平成26年9月4日」付で商標「マインドハック」を秘密裏に出願しており、更には、両者に対して登録出願を行った旨の事後的な通知等も一切なされないまま、本件商標は「平成27年6月19日」に設定登録された。
そして、当該設定登録後、トニー氏が地上波テレビジョン放送番組に出演する予定であるとの事実を掴んだとおぼしき本件商標権者から、「平成27年7月23日」付けで、電子メールが申立人子会社の制作担当者あてに送信されている(甲12)。
(3)本件商標権者の「不正な意図」に基づく商標登録の事実
本件商標権者は、トニー氏と申立人子会社とがマネジメント契約を締結した日(=平成26年9月1日)の直後である「平成26年9月4日」付けで、トニー氏及び申立人子会社等に一切の断りなく、本件商標の商標登録出願を行ったものである。
また、本件商標権者の送信に係る前記「平成27年7月23日付」電子メールによれば、本件商標の登録後、本件商標権者が、商標「マインドハック」をその指定役務について使用しているとの記述は一切なく、むしろ、本件商標権を根拠として、商標「マインドハック」の使用に対し、トニー氏及び申立人子会社等に黙示の圧力を掛けたものと推認される。
更には、約2週間後の「平成27年8月7日」付けで、申立人子会社あてに、本件商標権者の代理人から「通知書」が配達証明付き郵便にて送られており、申立人及びトニー氏に対して商標「マインドハック」の使用を中止するよう求めている(甲13)。
なお、本件商標の登録後においても、本件商標権者が、本件商標を「科学・運動力学・心理学又は行動心理学に基づくライブパフォーマンスにおける演芸の上演,マジックの上演,催眠術を利用したライブパフォーマンスにおける演芸の上演,テレビでの演芸の上演」等の役務に係る業務において使用した客観的な事実は認められず、また、将来において本件商標を使用する具体的な計画があることも確認できない。
してみれば、本件商標権者が、本件商標権者と比較して商標「マインドハック」についてより密接な関係を有するトニー氏及び申立人子会社に対し不当な圧力を掛けることにより、その営業上の利益を毀損し、金銭的対価等の不正の利益を得ようとする意図は明白である。
(4)総合判断
以上のとおり、本件商標権者による本件商標権の取得行為は、本件商標権者自ら等による使用を前提として行ったものとは認め難く、トニー氏及び申立人子会社の使用に係る商標「マインドハック」として、本件指定役務中「科学・運動力学・心理学又は行動心理学に基づくライブパフォーマンスにおける演芸の上演,マジックの上演,催眠術を利用したライブパフォーマンスにおける演芸の上演,テレビでの演芸の上演」等の需要者間で全国的に広く知られている使用標章について、その商標登録がされていないことを奇貨として、トニー氏及び申立人子会社等に無断で、これと同一又は類似の商標「マインドハック」を剽窃的に商標登録出願し、商標権を取得したものとみるのが相当である。
また、同取得行為は、上記使用標章の適切な使用を阻害し、トニー氏及び申立人子会社の営業の妨害を図って行われたものであることから、公正な商取引の秩序を混乱させ、社会公共の利益及び公の秩序に反するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に係る商標審査基準における「指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反する商標」に該当することは明白である。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する商標として、その登録を取り消されるべきである。
2 商標法第4条第1項第15号について
トニー氏とマネジメント契約を締結している申立人子会社は、申立人を中核とする一群の事業グループに属するところ、本件商標の指定役務中以下の(1)ないし(6)の指定役務との関係では、つぎの事実が認められる。
(1)「資格の認定・付与,資格検定試験に関する情報の提供」
申立人は、例えば、「ストリートダンス」の分野に関する検定試験として、「JSDAストリートダンス検定」を実施している(甲14)。
また、マジック(手品)等のライブパフォーマンスの分野一般では、各種団体が検定試験を実施している事実がある(甲15)。
(2)「科学・マジック・心理学・運動力学・行動心理学又は催眠術の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授」
申立人又はそのグループ企業は、例えば、「avex life design lab」、「avex artist academy」、「avex Dance Master」の各名称で、スクール事業(技芸・スポーツ又は知識の教授)を展開している(甲16ないし甲18)。
また、マジシャン等の実演家となるための「技芸・知識を教授」する各種のスクールが、現に存在する(甲19)。
(3)「科学・マジック・心理学・運動力学・行動心理学又は催眠術に関する講演・セミナー・シンポジウムの企画・運営又は開催,セミナーの企画・運営又は開催」
申立人又はそのグループ企業は、例えば、「エンタメ業界最前線特別セミナー2015」と題して、エンターテインメントビジネス分野に関する特別セミナーを開催している(甲20)。
また、マジック等に関して、各種団体がセミナーを行っている事実がある(甲21)。
(4)「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与」
申立人又はそのグループ企業は、商標「a-presso」を使用して、「電子出版物(デジタルフォトブック)の提供」の業務を行う予定である(甲22)。
また、マジック等のライブパフォーマンスの分野では、各種の技術やパフォーマンスのコツ等を分かりやすく伝えるために、「電子出版物」の形態で出版物等が刊行されている事実がある(甲23)。
(5)「放送番組の制作」
例えば、株式会社NTTドコモが提供し、申立人グループ企業が運営する定額制映像配信サービス「dTV」において、携帯電話機・スマートフォン専門の「放送番組の制作」及び番組配信を行っている(甲24)。
また、マジック等のライブパフォーマンスを内容とするテレビジョン放送番組が各放送局、番組製作会社により日常的に制作されていることは周知の事実である。
(6)「教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」
申立人又はそのグループ企業は、例えば、商標「TRF EZ DO DANCERCIZE」を使用して、「教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」の範囲に属する「ダンスによるエクササイズを内容とするビデオの制作」を行っている(甲25)。
また、マジック等のライブパフォーマンスを内容とする放送番組が各放送局・番組製作会社により従来から数多く制作されていることは周知の事実である。
すなわち、上記事実を総合的に考慮すると、本件商標が、上記(1)ないし(6)の指定役務との関係では、トニー氏、申立人及び申立人子会社等の役務に係るものと誤信されるおそれがある商標ではなかったとしても、申立人等との間に、いわゆる同一の表示による事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る役務であるとの誤った出所を認識させる虞があるといわねばならない。
したがって、本件商標には、「広義の混同を生じるおそれ」が存在し、本号の審査基準で規定する「・・・他人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある商標」に該当することが明らかである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する商標として、その登録を取り消されるべきである。
3 商標法第4条第1項第19号について
「マインドハック」は、前記1のとおり、トニー氏を出所とする、全国的に広く知られた標章に該当するに至っている。
そして、本件商標は、「マインドハック」を標準文字で表してなる商標であって、使用標章と構成を同じくし、該標章を容易に連想又は想起させるものである。
本件商標の取得行為は、本来の権利者であるトニー氏その他から許諾等を得ることなく、他人の顧客吸引力への只乗り(フリーライド)を企図し、さらには他人の周知商標が発揮する出所表示機能を希釈化し、その名声を毀損させる行為であって極めて悪質といえるから、本件商標の使用は、直ちに不正競争行為を構成するものである。
したがって、本件商標は、「引用商標に表象される信用にただ乗りしようとする」不正の目的が存在し、本号の審査基準で規定する「・・・日本国内で全国的に知られている商標と同一又は類似の商標について、出所の混同のおそれまではなくても出所表示機能を稀釈化させ、その名声等を毀損させる目的をもって出願した商標」に該当することが明らかである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する商標として、その登録を取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1 使用標章「マインドハック」の周知性について
申立人は、「トニー氏は、対象者の行動等がコントロールされた状態を『マインドハック』と称し、更には、実演家としての自身を『マインドハッカー』と称して、平成25年1月頃より実演家として、ライブパフォーマンスによる演芸の上演の活動を開始している。そして、トニー氏は、2013年(平成25年)2月から2014年(平成26年)8月の間に、地上波主要テレビジョン放送局の『日本テレビ』、『TBSテレビ』及び『フジテレビ』の平日20時から21時及び平日昼12時等に放送される放送番組に出演した」旨を主張している(甲4ないし甲10)。
しかしながら、申立人が提出した証拠によれば、放送番組の視聴率が不明である上、放送番組の出演回数は、上記1年7か月の間で、わずか24回程度であり、その番組の出演時間についても、番組内の1コーナーとしての時間であり、老若男女と幅広い需要者において、視聴されている時間は、極めて少ないといえるものである。
また、申立人からは、上記放送番組の出演のほかに、宣伝広告、イベントの開催、新聞・雑誌等への記事の掲載等、周知性を立証する証拠の提出はない。
そうすると、申立人が提出した上記放送番組への出演に係る証拠のみをもって、使用標章が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く知られていたとは認めることができない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり、申立人の使用標章は、申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものであるから、本件商標権者が本件商標を申立に係る役務について使用しても、これに接する取引者、需要者をして、申立人を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
商標法は、同法第4条第1項第19号において「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するもの」に該当する商標について、商標登録を受けることができないと規定しているところ、前記1のとおり、申立人の使用標章は、需要者の間に広く知られているものではないから、申立人の主張は、その前提を欠くものといわざるを得ないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
同号の該当性について、「商標法4条1項7号の『公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ』を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきであり、商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで『公の秩序又は善良の風俗を害する』特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない。」(知財高裁平成19年(行ケ)第10391号判決)と解されるところ、本件について、以下検討する。
申立人の主張によれば、トニー氏と本件商標権者は、平成25年1月頃から、本件商標権者の支援及び援助のもと、「マインドハック」の語を使用して活動していた。
そして、平成26年9月1日に、トニー氏と申立人子会社とが、マネジメント契約を締結し、同年9月4日に、本件商標権者が、本件商標の登録出願を行い、同年10月3日に、トニー氏、申立人子会社及び本件商標権者の三者で、会談が行われ、今後も協力して、トニー氏の活動を後押ししていく旨が合意された。
そして、同27年6月19日に、本件商標の設定登録がなされ、同年7月23日付けの電子メール及び同年8月7日付けの通知書により、本件商標の使用を中止するよう、本件商標権者が、申立人に求めている。
なお、当初は、本件商標権者とトニー氏とは、その活動に対して、支援及び援助する関係にあったものであり、また、今後もトニー氏の活動に対し、後押しするとの合意もなされていた。
そうすると、本件については、本件商標権者と申立人との間の商標権の帰属等をめぐる問題であって、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、公の秩序や善良な風俗を害するおそれについて特段の事情があるものということができない。
そして、本件商標は、「マインドハック」の文字を表してなるものであるから、その構成自体において公序良俗違反に該当するものでないことは明らかであって、申立人の証拠を検討しても、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあった等の事実を見いだすことができず、他に、本件商標をその指定役務について使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するような事情、あるいは、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないとすべき事情等も見受けられない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第第7号、同第15号及び同第19号のいずれにも該当せず、その登録は、これら条項に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-06-13 
出願番号 商願2014-74502(T2014-74502) 
審決分類 T 1 652・ 22- Y (41)
T 1 652・ 271- Y (41)
T 1 652・ 222- Y (41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 豊瀬 京太郎榎本 政実 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 中束 としえ
大井手 正雄
登録日 2015-06-19 
登録番号 商標登録第5771924号(T5771924) 
権利者 村山 淳
商標の称呼 マインドハック 
代理人 田中 彰彦 
代理人 棚井 澄雄 
代理人 高柴 忠夫 

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