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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W03
審判 一部申立て  登録を維持 W03
審判 一部申立て  登録を維持 W03
審判 一部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1315899 
異議申立番号 異議2015-900385 
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-12-18 
確定日 2016-06-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第5791846号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5791846号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5791846号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成27年2月25日に登録出願、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,セラミドを配合したせっけん類,歯磨き,セラミドを配合した化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年8月6日に登録査定され、同年9月11日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5258839号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成21年1月9日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同年8月21日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定商品中、第3類「セラミドを配合したせっけん類,セラミドを配合した化粧品」(以下「申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第41号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 商標の類否
本件商標は、別掲1のとおり、実線で表された水滴状の図形内に十字状の図形(以下「図形部分」という。)を表してなるとともに、「セラミド」、「原液」及び「ceramide undiluted solution」の各文字(以下「文字部分」という。)を書してなるものである。
そして、「セラミド」の文字は、「スフィンゴシンに脂肪酸が結合したもの。皮膚の角質層の細胞間脂質の約半分を占め、水分の蒸発を防ぐ」ものであるとされ、「原液」の文字は、「製造・加工のもとになる液体」を意味する語であるところ(甲5)、これらを結合した「セラミド原液」の語は、指定商品の属する化粧品等の分野において、品質を表示する語として一般に使用されており、また、「ceramide undiluted solution」の文字も、これを英語で表してなるものである。
そうとすれば、「セラミド」、「原液」及び「ceramide undiluted solution」の各文字(各語)は、いずれも、指定商品との関係において、出所識別標識としての機能を発揮し得ない部分である。
また、前記文字部分は、図形部分と不可分一体といえる程に融合してなるものではなく、一見して、図形部分と文字部分とが存すると看取できるものであるから、本件商標は、構成中、図形部分のみが独立して出所識別標識としての機能を発揮するものであり、当該図形部分をもって、引用商標との対比がなされるべきものである。
一方、引用商標は、別掲2のとおり、実線で表された水滴状の図形内に十字状の図形を表してなるものである。
そこで、本件商標の図形部分と引用商標とを対比すると、両者は共に、実線で表された水滴状の図形内に十字状の図形を表してなるものであり、明らかにその構成の軌を一にする。
また、引用商標においては、水滴状の図形内における十字状の図形が、複数の正方形により構成されるとしても、それらがまとまりよく表されてなる構成においては、一見して、これらが、全体としてひとつの十字状の図形をなしていると認識されるものであるから、両商標の外観類否に与える影響は極めて少ないものである。
さらに、セラミド原液に関わる化粧品等は、一般に、小さな容器をもって取引に資され、商標自体が極めて小さく表示されることも多いため、このような指定商品の取引実情に照らせば、両商標の微小な差異を見分けることは、より困難であるといえる。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、互いの構成の軌を一にするものであって、外観上の主たる印象において極めて近似した図形として看取され、印象付けられるものであるから、時と所を異にして観察したときは、互いに相紛れるおそれがあるといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、引用商標と外観において相紛らわしい類似の商標である。
イ 指定商品
本件商標の指定商品中「申立商品」は、引用商標の指定商品に含まれているため、両者は、同一又は類似の関係にある。
ウ 具体的取引実情
引用商標は、申立人の製品を示す商標として、取引者、需要者の間に広く親しまれている事実があり、当該事実は、商標法第4条第1項第11号の該当性の判断においても十分に参酌されるべき具体的な取引実情に該当する。
そして、引用商標が、とりわけ「アミノ酸系セラミド類似成分」配合を特徴とする申立人の著名な製品に使用されている取引実情に鑑みれば、本件商標に接した取引者、需要者等をして、申立人の製造・販売に係る製品であるかの如き観念ないし印象を想起させる本件商標は、申立人の製品を表示するものとして著名な引用商標と、取引者に与える印象、記憶、連想等において、相紛らしい類似の商標であるといわざるを得ない。
エ 以上より、本件商標は、引用商標と類似の商標であって、その指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 使用に係る商標の著名性
申立人は、1973年(昭和48年)の販売開始以来、広く親しまれているロングセラー商品「ミノン」を販売する者であり(甲6)、「ミノン」は、昨今においても、テレビ、雑誌その他の各種メディアにおいて大々的に広告宣伝されているものであるところ(甲7)、申立人は、別掲2のとおりの使用に係る商標(決定注:使用に係る商標は引用商標と同一の態様と判断した。以下、いずれも「引用商標」と記載する。)を、アミノ酸系セラミド類似成分配合を製品特徴とする「ミノン」のアミノモイストシリーズの多様な製品に関して使用してきた(甲8)。
そして、例えば、化粧品やスキンケア分野の評価において定評のある「日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme」の主催する「@cosmeベストコスメアワード」において、多数の受賞がされており、@cosmeのウェブサイトでは、「今年も『ミノンアミノモイストが\@cosmeベストコスメアワード2015\W受賞』」や「3年連続第1位に君臨!」のように大々的に掲載されており、引用商標も明確に表示されている(甲9?甲16)。
また、引用商標は、それ自体、製品においても、「MINON」の文字とは独立して看取されるように表示されており、ウェブサイトや店頭においても、頻繁に独立して使用されていることから、引用商標のみをもって、申立人の出所を示す標識として認識されている実情がある。
その他、多くの雑誌、ブログ、ツイート等において評価を受けており、発売以来、我が国における多数の需要者に認識されるに至っている(甲17?甲28)。
以上の事実よりすれば、少なくとも、本件商標の出願時点において、引用商標が、化粧品等の取引者及び需要者間で著名となっていたことは明白であり、その著名性を否定すべき事情は見当たらない。
イ 引用商標の独創性の程度
引用商標と近似した構成よりなる商標は、化粧品、せっけん類の分野において、他に存在しないことから、引用商標が、独創性の高い商標であることは明らかである。
ウ 本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標の図形部分と引用商標とは、上記(1)アのとおり、互いの構成の軌を一にするものであって、外観上の主たる印象において極めて近似した図形として看取され、印象付けられるものであるから、時と所を異にして観察したときは、互いに相紛れるおそれがあり、極めて類似性の程度が高い商標である。
エ 商品の性質、用途等の関連性の程度、取引者並びに需要者の共通性
引用商標に係る商品は、様々なラインナップに係る化粧品及びせっけん類である(甲30?甲41)。
これらの製品は、本件商標の指定商品中「申立商品」とは、性質、用途又は目的、取引者並びに需要者において共通することは明らかである。
しかも、申立人の製品の多くは、「水分を保持して肌本来のバリア機能をサポートし、外部刺激を受けにくい肌に整える『アミノ酸系セラミド類似成分』」の配合を「製品特徴」とするものである。
したがって、本件商標の申立商品の配合成分である「セラミド」と、引用商標に係る商品の特徴とする配合成分である「アミノ酸系セラミド類似成分」とは、その名のとおり、性質が類似するものであり、共に保湿を主な用途とするものであるから、その使用を欲するのは、とりわけ保湿用商品を求める需要者である。
そうとすれば、本件商標の指定商品中「申立商品」と、「アミノ酸系セラミド類似成分」配合を特徴とする引用商標に係る商品とは、商品の性質、用途及び需要者等の共通性が極めて高い商品であり、引用商標と構成の軌を一にする本件商標がこれらの指定商品に使用されれば、これに接する取引者、需要者は、容易に申立人の引用商標並びにその商品を連想、想起するものといえる。
オ 以上よりすれば、本件商標は、これが付された商品に接した取引者、需要者をして、申立人又は申立人と資本関係ないしは業務提携関係にある会社の業務に係る商品ないしはシリーズ商品と誤認混同を生ぜしめるおそれの高いものであるといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中の申立商品について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、1973年(昭和48年)にせっけんの販売を開始したものであり、その後、アミノ酸系セラミド類似成分配合を特徴とする化粧品及びせっけんなどの商品「ミノン」を現在まで継続して販売している(甲6、甲30?甲41)。
(イ)申立人の商品「ミノン」及びその広告には、「MINON」及び「ミノン」の文字が表示され、2009年(平成21年)頃からは、引用商標が、「ミノン」の「アミノモイスト」(以下「使用商品」という。)において、「MINON Amino Moist」(「MINON」の文字を大きく上段に、上段の文字の4分の1程度の大きさで下段に「Amino Moist」と表示する構成からなるもの。以下同じ。)の文字とともに現在まで継続して表示されている(甲8の1、甲12?甲17)。
(ウ)ミノンのアミノモイストは、2012年(平成24年)ないし2015年(平成27年)に、コスメ・美容の総合サイト「@cosme」の「@cosmeベストコスメアワード」において、2つの商品(モイストチャージミルク、ぷるぷるしっとり肌マスク)が第1位ないし第3位にランキングされ、それらのウェブサイトでは、「ミノン アミノモイスト」及び「MINON Amino Moist」の文字とともに引用商標が表示された使用商品が紹介された(甲9?甲16)。
また、本件商標の登録査定の日後の発行に係るものではあるが、複数の雑誌において、使用商品が、ベストコスメの部門別等の第1位ないし第4位にランキングされ、また、使用商品が紹介されているところ、それらの雑誌では、「ミノン アミノモイスト」の文字とともに、「MINON Amino Moist」の文字及び引用商標が表示された使用商品が紹介されたと推認できる(甲22?甲25及び甲28)。
(エ)申立人のウェブサイト(甲8、甲30?甲41)において、使用商品及びその広告には、引用商標が、「MINON Amino Moist」及び「ミノン アミノモイスト」の文字とともに表示されている。また、それぞれのウェブサイトにおいて、「製品紹介」、「ミノン アミノモイストについて」、「ミノン アミノモイストの独自処方」等の各表題の左側には、引用商標(色違いのものを含む。)が表示されているところ、甲第8号証の1の「『ミノン アミノモイスト』新発売のお知らせ 新発売日:2009年9月1日」についてのウェブサイトは、2009年(平成21年)8月25日から、公開されていたものと推認できる。
そして、申立人の雑誌広告においても、引用商標が、「MINON Amino Moist」及び「ミノン アミノモイスト」の文字とともに表示され、また、該広告において、引用商標が、「ミノン アミノモイスト」の文字の両側に表示された(甲26)。
イ 上記アの事実からすれば、引用商標は、「MINON Amino Moist」、「ミノン アミノモイスト」の文字とともに使用商品に表示され、さらに、申立人のウェブサイト及び雑誌広告において、「ミノン アミノモイスト」等の文字とともに表示されていることが認められる。
しかしながら、ウェブサイトにおけるランキングは、特定のウェブサイトにおいての2種類の商品のランキングを示すにすぎないものであって、多数の種類の商品が製造・販売されている化粧品における周知性を示すとまではいえないものであり、また、提出された雑誌は、本件商標の登録査定後に発売されたものである。加えて、引用商標のみの使用は、申立人のウェブサイト及び雑誌広告に限られているところ、申立人ウェブサイトは、該ウェブサイトにアクセスした者しか見る機会のないものであり、また、雑誌広告は、他社の商品とともに掲載されているものであって、その掲載誌、掲載回数、広告費等広告の規模も明らかにされてはいない。さらに、本件商標の登録出願日及び登録査定日前における使用商品の日本国内での販売数量、売上高、市場シェア等も明らかではない。
そうとすれば、申立人提出の証拠によっては、引用商標が、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、水滴状の図形内上部に十字状の図形、下部に「セラミド原液」の文字を表し、水滴状の図形の下部に沿って「ceramide undiluted solution」の文字を表してなるものである。
そして、本件商標は、その構成中の「セラミド原液」、「ceramide undiluted solution」の文字が申立商品との関係においては、商品の品質を表すものであるから、自他商品の識別標識としての機能を有しないものであって、該文字部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じず、その構成中の図形部分が独立して出所識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
また、該図形部分は、特定の称呼、観念を生じないものといえる。
イ 引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、水滴状の図形のほぼ中央に5つの正方形からなる十字状の図形を表してなり、特定の称呼、観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とを比較するに、上記ア及びイのとおりの構成からなる両商標は、外観において、明らかに区別できる差異を有するから、相紛れるおそれはない。
次に、本件商標の図形部分と引用商標とを比較するに、両者は、いずれも水滴状の図形内に十字状の図形を表した構成からなるものといえるものの、両者の十字状の図形が、前者は中央が太く先端が尖ったように描かれているのに対し、後者は一つの正方形の4辺の外側に大きさの同じ4つの正方形を配したように描かれていること、及び前者が水滴状の図形内の上部に、後者がほぼ中央に描かれていることの差異により、両者の外観全体から受ける視覚的印象が大きく異なり、両者を時と所を異にして離隔的に観察しても、かかる差異により、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
また、両者は、称呼及び観念を生じないものであるから、これらの点においても相紛れるおそれのないものである。
そうとすれば、両者は、外観、称呼及び観念のいずれの点から見ても相紛れるおそれのない非類似のものであって、別異のものというべきである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
前記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
また、本件商標と引用商標は、上記(2)に記載のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標ということができる。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれを申立商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中の申立商品について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標、使用に係る商標)



異議決定日 2016-05-24 
出願番号 商願2015-17225(T2015-17225) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (W03)
T 1 652・ 271- Y (W03)
T 1 652・ 261- Y (W03)
T 1 652・ 262- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 中束 としえ
田中 亨子
登録日 2015-09-11 
登録番号 商標登録第5791846号(T5791846) 
権利者 株式会社メビウス製薬
商標の称呼 セラミドゲンエキセラミドアンダイルーテッドソリューション、セラミドゲンエキ、セラミド、ゲンエキ、セラミドアンダイルーテッドソリューション、アンダイルーテッドソリューション、アンダイルーテッド、ソリューション 
代理人 谷山 尚史 

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