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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W14
審判 全部申立て  登録を維持 W14
審判 全部申立て  登録を維持 W14
審判 全部申立て  登録を維持 W14
管理番号 1312091 
異議申立番号 異議2015-900185 
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-06-05 
確定日 2016-03-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第5747550号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5747550号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5747550号商標(以下「本件商標」という。)は,「LAPLUME」の欧文字を標準文字で表してなり,平成26年10月16日に登録出願,同27年2月2日に登録査定がされ,第14類「キーホルダー,宝石箱,身飾品(「カフスボタン」を除く。),チャーム,カフスボタン,時計,記念カップ,記念たて,貴金属」を指定商品として,同年3月6日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は,以下の2件であり,いずれも現に有効に存続しているものである。(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)
1 登録第5510602号商標(以下「引用商標1」という。)は,「PLUME」の欧文字と「プリュム」の片仮名を上下二段に横書きしてなり,平成23年11月18日に登録出願,第14類「貴金属製合金,指輪,宝石,イヤリング,カフスボタン,ブレスレット,ブローチ,チェーン,ネックレス,ネクタイピン,宝飾品としてのティアラ,宝飾品,メダル,ロケット,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,宝石箱,時計,時計側,時計バンド,腕時計,クロノメーター,計時用具,貴金属,身飾品」を指定商品として,同24年7月27日に設定登録されたものである。
2 国際登録第760856号商標(以下「引用商標2」という。)は,「PLUMES」の欧文字を横書きしてなり,2001年(平成13年)7月4日に国際商標登録出願,第14類「Alloys of precious metal, rings, finger rings, jewels, earrings, cuff links, bracelets, brooches, chains, necklaces, tie pins, jewelry, medals, medallions, precious stones, jewel cases of precious metal, watches, watch cases, watchbands, wristwatches, chronometers, chronometric instruments.」を指定商品として,平成14年3月15日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第79号証を提出した。
1 引用商標の周知性
(1)申立人の事業内容及びハウスマーク「CHAUMET」に関して
申立人である「ショーメ アンテルナシオナル エス.アー.(CHAUMET INTERNATIONAL S.A.)」は,1780年にフランスのパリで創業された,230年以上の歴史を誇る世界的に有名なジュエラーであり,そのハウスマークである「CHAUMET」の下,身飾品・宝飾品・高級腕時計等の販売を行っている。創業者マリ=エティエッヌ・ニトは,ナポレオン一世にこよなく愛され,戴冠式の王冠製作の任を命じられたことで知られ,それ以降も申立人はヨーロッパ各国の王室用ジュエリーを手掛け,現在ではパリのヴァンドーム広場に店舗を構えるグランサンク(5大宝飾店)の一つに数えられている。
また,申立人は,ヨーロッパ各国王室のティアラや婚約指輪など,数々のブライダルジュエリーを手掛けてきたため,「愛のジュエラー」とも呼ばれている。ウェディングジュエリーを紹介する雑誌では,「本当に知りたいWeddingジュエリーブランド辞典」という特集記事内に厳選トップジュエラーとして「CHAUMET」が紹介されている。
申立人は,現在,「CHAUMET」ブランド商品(身飾品,宝飾品,高級腕時計等)の取扱店として,パリ,ロンドン,東京,北京,モスクワを始めとする世界主要都市に80以上のブティックと世界各地に450あまりの正規取扱店を有している。日本では,北海道から九州の宮崎県まで,64のブティック及び正規取扱店を有している。また,「CHAUMET」ブランドに係る身飾品等は,日本の雑誌及びウェブサイト等で広く広告宣伝がなされている。
以上のことから,申立人の事業内容及びそのハウスマーク「CHAUMET」が日本で広く知られていることは顕著な事実であるといえる。
(2)引用商標に関して
ア 引用商標の使用及びその由来
申立人は,1999年からフランス,日本を含む世界各国で,引用商標をエングージリング及びマリッジリングに使用している。日本においては,名詞自体に単数・複数の違いがないため,単数形の引用商標1を使用している。
引用商標1のネーミングの由来は,放った弓矢で永遠の愛をもたらすというキューピット(天使)の羽(PLUME)を象徴する指輪のデザインにちなんだものである。
イ 引用商標に係る商品の売上げ
引用商標に係るエングージリング及びマリッジリングの2007年から2012年10月末までの期間の日本を含む全世界の販売総数は9,890個で,売上総額は約39.4億円である。また,2014年の日本を含む全世界の販売数は約1,300個で,売上額は約4.4億円である。
日本における2007年から2012年10月末までの販売総数は8,107個で,売上総額は約34.2億円である。また,2014年の日本における販売数は約700個で,売上額は約2.9億円である。
2007年から2012年10月末までの期間における当該リングの全世界に対する日本国内の販売総数の割合は約82%であり,同売上総額の割合は約87%である。また,2014年における当該リングの全世界に対する日本国内の販売数の割合は約54%であり,同売上額の割合は約66%である。当該リングは諸外国と比較して日本で圧倒的に多く販売されており,日本が当該リングの重要市場であるといえる。
ウ 日本における引用商標1を使用した広告の詳細
日本においては,引用商標1がエングージリング及びマリッジリングに使用されており,引用商標1を付した当該リングの広告がウェディング関連雑誌に継続的かつ頻繁に出稿されている。また,ブライダル情報を提供するウェブサイトにも引用商標1を付した当該リングの広告が掲載されている。
エ 引用商標1に係る商品の販売場所
引用商標1に係るエングージリング及びマリッジリングは,ほぼ日本全国にわたって存在する「CHAUMET」のブティック及び正規取扱店全64店で購入することができる。
(3)小括
申立人は,「CHAUMET」ブランドの身飾品・宝飾品・高級腕時計等を全世界で販売しており,当該ブランドのシリーズアイテムの一つとして,引用商標に係るエングージリング及びマリッジリングを1999年以降現在に至るまでフランス,日本を含む全世界で販売している。
引用商標に係る当該リングが2007年以降現在までの期間,日本を含む全世界で継続的に販売されている。そして,当該リングの販売数及び売上額において,日本は他国を圧倒しており,当該リングに関して日本が最も重要な市場である。また,引用商標1に係る当該リングが2008年以降現在までの期間,日本の雑誌やウェブサイト等の媒体で継続的かつ頻繁に広告されている。
以上の事実から総合的に判断すると,引用商標1は当該リングに関し,本件商標の登録出願時及び登録査定時において日本の需要者及び取引者の間で広く知られていた。
2 本件商標及び引用商標について
(1)本件商標の外観,称呼及び観念
本件商標は「身飾品,貴金属」等を指定商品としているが,我が国において身飾品の分野で数多くのフランスのブランドが広く親しまれているのは周知の事実である。その中には申立人ブランドを始め,フランスのブランドも多く含まれている(「Cartier(カルティエ)」,「Dior(ディオール)」,「Chanel(シャネル)」,「Van Cleef & Arpels(ヴァン クリープ&アーベル)」,「FRED(フレッド)」,「Boucheron(ブシュロン)」等)。
これらのブランドは,日本において積極的に身飾品の広告を行い,ブランドの生い立ちや特徴などを紹介した日本語による書籍も発行されている。また,かかる外国ブランドだけでなく,国内のジュエラーによっても,フランス語に由来する商品名が身飾品に使用されている例は少なくない。したがって,身飾品のブランド名称にフランス語が多用されていることは,日本における身飾品の需要者及び取引者には広く知られている事実であるといえる。
このような実情の下,身飾品の需要者及び取引者が本件商標「LAPLUME」に接した場合,語頭の「LA」からフランス語由来のブランド名であると認識し,本件商標をフランス語の定冠詞「LA」と名詞「PLUME」)からなる結合商標であると認識するのが自然である。
そして,語頭の「LA」は単にその後に続く名詞を特定するための定冠詞であって識別力が弱いため,需要者及び取引者はそれにあまり注意を向けることはなく,その後に続く「PLUME」の部分に注目する。また,「PLUME」はフランス語で「羽」を意味する名詞であり,商品の品質等を直接的かつ具体的に表す語ではないことから,「LA」よりも「PLUME」の方が,識別力の強い部分であるといえる。したがって,本件商標の要部は,「PLUME」である。
以上の事実を前提に本件商標の称呼及び観念を特定すると,上記の身飾品ブランド名にフランス語のものが多々存在する実情を参酌すると,本件商標全体からは,フランス語風に発音した「ラプリュム」の称呼が発生する。加えて,上述のとおり,「LA」の部分が単に後の名詞を特定する役割を持つにすぎない定冠詞であるため「PLUME」の部分が本件商標の要部となり,「プリュム」の称呼が発生する場合も多々あると考えられる。
次に観念については,上述のとおり,「PLUME」はフランス語で「羽」という意味の単語であることから,本件商標からは「その羽」又は「羽」という観念が生じる。
(2)引用商標について
ア 引用商標1の外観,称呼及び観念
引用商標1の下段の「プリュム」の文字は上段の「PLUME」の称呼を特定したものと認められることから,引用商標1からは,「プリュム」の称呼及び「羽」の観念が生じる。
イ 引用商標2の外観,称呼及び観念
引用商標2は,引用商標1とともに申立人が所有・使用する商標であり,同じブランド名称として需要者及び取引者に認識されると思われることから,引用商標2からも「プリュム」の称呼及び「羽」の観念が生じる。
3 商標法第4条第1項第11号の該当性
(1)本件商標と引用商標1の比較
ア 商標の構成態様の比較
外観について比較すると,本件商標「LAPLUME」は,構成文字に引用商標1の欧文字部分「PLUME」をそのまま含み,その共通する「PLUME」の部分が本件商標の要部であることから,当該部分が本件商標全体の外観印象を支配しているといえる。さらに,両商標の書体は,それほど特徴がなく,比較的似通ったものである。したがって,両商標は外観について近似している。
称呼について比較すると,上述のとおり,本件商標からは「ラプリユム」の称呼のほかに,その要部である「PLUME」より「プリュム」の称呼が発生する。他方,引用商標1の称呼は「プリュム」である。よって,両商標は,称呼が共通することがあり,異なる場合でも定冠詞一音の有無による相違にすぎず,近似しているといえる。
観念について比較すると,本件商標の観念は「その羽」又は「羽」であり,他方,引用商標1の観念は「羽」であることから,両商標の観念は同一又は類似である。
したがって,本件商標と引用商標1は,外観については近似しており,称呼については同一である場合と近似している場合とがあり,観念については同一又は類似であることから,これらの要素を総合的に判断すると,類似であるといわざるを得ない。
イ 指定商品の比較
本件商標の指定商品中「宝石箱,身飾品(「カフスボタン」を除く。),チャーム,カフスボタン,時計,貴金属」は,引用商標1の指定商品中「貴金属製合金,指輪,イヤリング,カフスボタン,ブレスレット,ブローチ,チェーン,ネックレス,ネクタイピン,宝飾品としてのティアラ,宝飾品,メダル,ロケット,宝石箱,時計,時計側,時計バンド,腕時計,クロノメーター,計時用具,貴金属,身飾品」と同一又は類似である。
ウ 小括
以上のことから,本件商標は,その指定商品中,上記商品について,引用商標1と類似するから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)本件商標と引用商標2の比較
ア 商標の構成態様の比較
外観について比較すると,本件商標の要部は「PLUME」であり,他方,引用商標2は「PLUME」の複数形であることから,両商標の根幹部分が共通している。よって,両商標は,いずれも「PLUME」の部分が商標全体の外観印象を支配しているといえる。さらに,両商標の書体は,それほど特徴がなく,比較的似通ったものである。したがって,両商標は外観について近似している。
称呼について比較すると,上述のとおり,本件商標からは「ラプリュム」の称呼のほかに,その要部である「PLUME」より「プリュム」の称呼が発生する。他方,引用商標2からも「プリュム」の称呼が生じる。よって,両商標は,称呼が共通することがあり,異なる場合でも定冠詞一音の有無による相違にすぎず,近似しているといえる。
観念について比較すると,本件商標の観念は「その羽」又は「羽」であり,他方,引用商標2の観念は「羽」であることから,両商標の観念は同一又は類似である。
したがって,本件商標と引用商標2は,外観については近似しており,称呼については同一である場合と近似している場合とがあり,観念については同一又は類似であることから,これらの要素を総合的に判断すると,類似であるといわざるを得ない。
イ 指定商品の比較
本件商標の指定商品中「宝石箱,身飾品(「カフスボタン」を除く。),チャーム,カフスボタン,時計,貴金属」は,引用商標2の指定商品中「Alloys of precious metal, rings, finger rings, jewels, earrings, cufflinks, bracelets, brooches, chains, necklaces, tie pins, jewelry, medals, medallions, jewel cases of precious metal, watches, watch cases, watchbands, wristwatches, chronometers, chronometric instruments.」と同一又は類似である。
ウ 小括
以上のことから,本件商標は,その指定商品中,上記商品について,引用商標2と類似するから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号の該当性
(1)判断基準の提起
混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである(最高裁判所 平成10年(行ヒ)第85号)。
(2)該当性の検討
ア 本件商標と引用商標1の類似性の程度
上記で述べたとおり,本件商標と引用商標1は,外観については近似しており,称呼については同一である場合と近似している場合とがあり,観念については同一又は類似であることから,類似度が高いと評価できる。
イ 引用商標1の独創性の程度
引用商標1を構成する語「PLUME\プリュム」は「羽」という意味を有するところ,指定商品の品質・材料等と直接的な関連性のない語であることから,識別力を十分に発揮する語であるといえる。そして,本件商標は,引用商標1を構成する「PLUME」の語を商標の要部としている。
ウ 引用商標1の周知性の程度
引用商標1は,上記で述べたとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において「身飾品」の範ちゅうに含まれるエンゲージリング及びマリッジリングについて,周知な商標であったと考えられる。
エ 本件商標と引用商標1の指定商品の関連性
上述のとおり,本件商標の指定商品中「宝石箱,身飾品(「カフスボタン」を除く。),チャーム,カフスボタン,時計,貴金属」は,引用商標1の指定商品中「貴金属製合金,指輪,イヤリング,カフスボタン,ブレスレット,ブローチ,チェーン,ネックレス,ネクタイピン,宝飾品としてのティアラ,宝飾品,メダル,ロケット,宝石箱,時計,時計側,時計バンド,腕時計,クロノメーター,計時用具,貴金属,身飾品」と同一又は類似の関係にある。
また,本件商標の指定商品のうち,残りの「キーホルダー,記念カップ,記念たて」は,引用商標1の指定商品と類似であるとは推定されていないが,引用商標1に係る指定商品「身飾品,貴金属,メダル,時計」と関連性の強い商品であり,需要者及び取引者に出所の混同を生じさせるおそれがある。
オ 取扱商品の共通性に関して
本件商標の商標権者は,バッグとジュエリーの企画・製造・販売を業務内容としている。
ジュエリーに関しては,「Samantha Tiara」というブランドの下,指輪,ネックレス,腕時計等を販売しており,さらに,「Samantha Tiara Bridal」というブランドの下,エングージリング及びマリッジリングを販売している。
よって,本件商標の商標権者と申立人は,実際に取扱商品の一部が共通しているといえる。
カ エンゲージリング及びマリッジリングのネーミングに関する業界の実情
エンゲージリング及びマリッジリングのネーミングに関しては,リングを提供する各社がメッセージ性を込めた名称(ペットネーム)を案出していることがうかがえる。
エンゲージリング及びマリッジリングのペットネームは,ジュエラーの想いが込められたものであり,リングの差別化を図るうえで重要な役割を果たしている。
(3)小括
本件商標と引用商標1は,商標の類似度が高く,その上,引用商標1は,エンゲージリング及びマリッジリングについて,本件商標の登録出願時及び登録査定時に日本において周知な商標であったといえる。
また,本件商標と引用商標1の指定商品は,互いに同一又は類似の関係にあるか,あるいは商品の性質・用途・販売場所・流通経路等について関連性が高いといえる。実際に,申立人と本件商標の商標権者は取扱商品の一部が共通している。
さらに,エンゲージリング及びマリッジリングの名称(ペットネーム)は指輪業界で商品の差別化に重要な役割を果たしているという取引の実情も存在する。
以上のことから,本件商標をその指定商品に使用した場合,これに接する需要者及び取引者は申立人に係る引用商標1を連想し,当該商品が申立人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について誤認,混同を生じさせるおそれがあると考える。
よって,本件商標は,その全指定商品に関し商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 結論
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号の規定によりその登録を取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,上記第1のとおり「LAPLUME」の欧文字を標準文字により表してなるところ,構成各文字は,同じ書体,同じ大きさ,等間隔で一連に表されているから,視覚上これをいずれかの部分で分離し,いずれかの部分のみを抽出した上で,当該部分に相応した称呼や観念をもって取引に資されるものではないというべきである。
また,本件商標の構成文字全体から生じる「ラプリュム」の称呼も,格別冗長というべきものではなく,無理なく一連に称呼し得るものである。
そして,「LAPLUME」とのつづりからなる英語その他の外国語としてなじみのある単語は見当たらないから,本件商標からは特定の観念を生じないものである。
したがって,本件商標は,その構成全体をもって特定の観念を生じない不可分一体の造語として,取引者,需要者に認識されるというのが自然であるから,本件商標は,「LAPLUME」の文字全体で取引に資されるものというべきである。
この点に関し,申立人は,身飾品のブランド名称にフランス語が多用されている実情下では,本件商標は,フランス語の定冠詞「LA」と「羽」を意味する名詞「PLUME」からなる結合商標であると認識するのが自然であるから,本件商標の要部は,「PLUME」である旨主張する。
しかしながら,「PLUME」が「羽」の意味を有するフランス語であるとしても,我が国において一般に親しまれている語であるとまでは認め難いことから,この文字に接する取引者,需要者が直ちに上記意味合いを理解するとはいい難く,このことに加えて,本件商標の外観構成等に照らせば,本件商標に接する取引者,需要者は,殊更「PLUME」の文字部分のみに着目して商品の出所を識別するというよりは,「LAPLUME」の文字全体をもって不可分一体の造語として認識するのが自然である。
したがって,申立人の上記主張は,採用することができない。
(2)引用商標
引用商標1は,「PLUME」及び「プリュム」の文字からなり,また,引用商標2は,「PLUMES」の文字からなるものであり,当該構成文字は,引用商標1中の「PLUME」の複数形を表したものと認められるところ,上記のとおり,「PLUME」の文字は,我が国において一般に親しまれている語であるとまでは認め難いことから,いずれも直ちに特定の観念を生じないものと認めるのが相当である。また,引用商標は,それぞれの構成文字に相応して,引用商標1からは「プリュム」の称呼及び引用商標2からは「プリュムス」の称呼を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とを比較すると,本件商標は,「LAPLUME」の欧文字のみからなるのに対し,引用商標1とは,欧文字及び片仮名文字の二段表記の相違から,また,引用商標2とは,構成文字数及び文字の配列の相違から外観において明らかに区別し得るものである。
また,本件商標から生ずる「ラプリュム」の称呼と引用商標から生ずる「プリュム」又は「プリュムス」の称呼とは,「プリュム」の部分を共通にするものの,称呼における識別上,重要な要素を占める語頭音「ラ」の有無という明らかな相違により,これらをそれぞれ一連に称呼した場合には,判然と聴別し得るものである。
さらに,本件商標及び引用商標は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念において相紛れるおそれはない。
したがって,本件商標は,外観,称呼及び観念のいずれからみても,引用商標と相紛れるおそれはない。
(4)小括
以上のとおり,本件商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点においても引用商標と区別することができるものであるから,これらを同一又は類似する指定商品について使用しても,商品の出所につき誤認混同を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知・著名性について
証拠及び申立人の主張によれば,申立人は,遅くとも2007年には,我が国で引用商標1に係るエンゲージリングないしマリッジリング(以下「引用1使用商品」という。)を販売していること,引用1使用商品について,我が国における2007年?2012年10月までのおよそ6年間の販売総数は約8,100個で売上総額が約34.2億円であり,同じく2014年の販売数は約700個で売上額が約2.9億円であること(甲19,20),引用1使用商品に係る我が国での広告としてウェディング関連雑誌やブライダル情報を提供するウェブサイトに掲載されていること(甲21?60)が認められる。
しかしながら,我が国におけるダイヤモンドエンゲージリング及びマリッジリングの2011年市場規模がそれぞれ900億円強あること(矢野経済研究所「2012年版宝石・貴金属市場年鑑<市場分析編>」http://www.japanprecious.com/market/pdf/bridal.pdf)を前提にすれば,申立人の上記販売実績は市場比率(シェア)がさほどのものではないといえる。
また,引用1使用商品に係る雑誌の広告に関しても,2008年から2014年にかけてのものであるが(甲21?55),最も多い2014年で16回(甲40?55)の掲載であって,その年以外は年に数回程度の掲載にすぎないから,宣伝広告の実態もさほどのものではない。
してみれば,本件全証拠によるも,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,エンゲージリングないしマリッジリングに係る需要者及び取引者間において広く認識されるに至っていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当について
上記(1)のとおり,引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。
また,本件商標と引用商標とは,上記1のとおり,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない別異の商標というべきものである。
そうすると,本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者をして,引用商標を連想又は想起させるものとは認められず,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-02-22 
出願番号 商願2014-87059(T2014-87059) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W14)
T 1 651・ 261- Y (W14)
T 1 651・ 263- Y (W14)
T 1 651・ 271- Y (W14)
最終処分 維持  
前審関与審査官 深田 彩紀子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
田中 幸一
登録日 2015-03-06 
登録番号 商標登録第5747550号(T5747550) 
権利者 株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド
商標の称呼 ラプリューム、ラプルーム 
代理人 桶野 育司 
代理人 中里 浩一 
代理人 川崎 仁 
代理人 桶野 清香 
代理人 三嶋 景治 

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